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デュエル・マスターズ WIN 第20話「容疑者はX」感想

真実はいつもひとつ……かな?

不穏な要素を残していたけどカレンちゃんが可愛かったからヨシ!(現場デュエにゃんこ)

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  • 仲間たちの意外な一面

 いつも通りの平和なシラハマで、ボウイたちがバーベキューをしている光景から始まった今回のデュエマWIN。微笑ましい一幕の中で、カイザがマーダン=ロウのことを知っていたことに疑問を持ち始めているウィンの様子が描かれていました。以前の感想でも触れましたが、この辺りの謎をようやく本編で追及してくれるというのは嬉しいですね。あの場にいた仲間たちの中に裏切り者がいるかもしれない……という良い緊張感も走りそうです。

 …………などと思っていたのも束の間。うんちく主導の捜査が全体的にコミカルなのもあってそこまで深刻な話にはなりませんでした。というか終始うんちくの決めつけと妄想が激しく、場をひっかきまわしていただけのように見えます。(身内をアンドロイド呼ばわりする様には少々呆れてしまいました)そのため今回のうんちくは探偵らしく振る舞いたくて全力で滑ってしまった感がありました。とはいえそういった年相応なところが彼にあったと思うと可愛らしく思えますね。『TRICK』をはじめとした刑事もの・探偵もの作品のパロディセリフも多く、うんちくがこうしたことにノリノリだったというギャップも相まってちょっとクスっとさせられます。

 疑いを掛けられていた面々がことごとく空振りだったのも印象的ですが、それどころかいいやんとランナーが俳優デビューを狙っていたり、源さんがVチューバーみたいなことをやっているなど仲間の意外な一面が判明するのが面白かったです。(そんな中で例によってウィンとの試合を分析していた努力家ボウイが素敵……)上述の意外とノリノリだったうんちくも含め、仲間たちが普段見せない様子を知ることが出来た、興味深い回だったとも言えますね。

 

 

  • 非道な輩を討つ最強ヒロイン!

 今回のもう1つの見どころが何といってもカレンの活躍ですね。裏切り者探し中に奪われたマーダン=ロウを取り返すために、マイハマギャングのマズキ&ケンドラに立ち向かう流れには驚きつつも感動しました。初登場の時も子どもからカードを奪ったマズキたちに怯まず訴えていた彼女が、ついに1人で奴らと戦うことに感慨深いものを覚えます。

 こうして始まったデュエマパートでは度々描かれていたカレンの強さが遺憾なく発揮スノーフェアリーを駆使した大量展開の時点で感嘆していた中、それらをまとめて《無限銀河ジ・エンド・オブ・ユニバース》の進化元にした時は思わず仰天してしまいました。相手がトリガー呪文多めのデッキだからこそのエクストラウィンで勝利してみせた彼女に、拍手を贈りたくなります。

 また対戦相手であるケンドラがまたもやイカサマを仕掛けてきたのもポイント。以前も使用したアホヤガイの香水を懲りずに使用してきた(しかも今度はドローン散布とより手が込んだものになっていた件)のもあって、それを正道な方法で打ちのめすカレンのカッコいい一面がより輝いていたと言えます。卑劣な相手にも正々堂々と勝つ、強くて可愛いカレンの魅力に惚れ惚れさせられる後半でしたね。

 

 

  • 全消去の命を受けし、滅殺の処刑人

電磁魔天(でんじまてん)イエスザナドゥ 光/水/闇文明 (9)
クリーチャー:エンジェル・コマンド/デーモン・コマンド/サイバー・コマンド
パワー11500
▪️ブロッカー
▪️W・ブレイカ
▪️このクリーチャーが出た時、または攻撃する時、「S・トリガー」を持つ呪文を1枚、自分の墓地からコストを支払わずに唱えてもよい。そうしたら、唱えた後、墓地に置くかわりに表向きのままシールド化する。
▪️自分が呪文を唱えた時、それよりコストが小さい相手のクリーチャーを1体破壊する。

 ケンドラが使用した切り札的クリーチャー。光、水、闇の3色または通称「ドロマー」カラーを持った新規クリーチャーでもあります。またその名前は勝舞編で登場した敵組織「ガルド」の幹部である「Y(イエスマン)」と「X(キサナドゥ)」を彷彿とさせます。恐らくはガルドの中でも最強クラスの2人をイメージしたカードということなのでしょう。デザインも各々の切り札である《聖鎧亜キング・アルカディア》と《サイバーX・ザナドゥ》を掛け合わせたかのようで妙にカッコいいです。

 カードとしての基礎スペックはコスト9のパワー11500のW・ブレイカー。コストのわりにパワーが低く、W・ブレイカー止まりなのが惜しいところです。それ故少々心許なく思えますが、その分能力が多くいずれも強力なので決して弱くはないと言えます。

 まず登場時と攻撃時に墓地のS・トリガー付き呪文を唱えられるという能力が魅力的ですね。呪文踏み倒しの強さは《龍素記号Sr スペルサイクリカ》や《龍風混成 ザーディクリカ》などのカードの活躍を見れば言わずもがな。中でもこのクリーチャーはトリガー以外の制限が存在しない点が優秀で、サイクリカやザーディクリカの対象ではない《アルカディア・スパーク》のような高コストの呪文も踏み倒せます。

 加えてこの能力で唱えた呪文を表向きシールドにして追加するのも面白いところ。大抵の墓地から呪文を踏み倒すカードは呪文を山札送りにする中、このカードはシールドとしての再利用が狙える点が優れています。トリガー故に相手は下手にブレイクすれば反撃に遭う可能性があり、防御の盤面を整える際にもちょうどいいよくて地味に便利ですね。

 最後は呪文を唱えた際、その呪文のコストより小さいコストの相手クリーチャーを破壊する能力。こちらは上述の呪文踏み倒しに限らず、手打ちでもトリガーからの呪文でも発動します。実質全ての呪文に除去効果を与えられるも同然なので、呪文をドンドン唱えれば容易く盤面をコントロールすることが出来るでしょう。

 これらの能力から呪文主体のデッキとの相性は抜群の1枚。ただ9という重いコストを如何にして出すかが課題となってきます。幸い《ヘブンズ・ゲート》や《クリスティ・ゲート》といった踏み倒しトリガー呪文に対応しており、それらで場に出した後に墓地に行ったカードを唱えることが可能です。*1他にも光のコスト9、という点から【九極侵略】とのシナジーも考えられます。

 またこのカードには手札補充の能力がないのも痛いところ。もしヘブンズ・ゲートでさらなる展開を狙うにしても手札が無ければどうしようもありません。劇中で使われたサイバー・ブレイン》のようなカードとの組み合わせを考えておくといいかもしれません。クセは強いですが、使いこなせたら間違いなく楽しいので是非使ってみたいですね。

 

 

 とまぁここ最近の話と同じく平和な回でしたが、ラストにカイザが何者かと電話をしているシーンで一気にシリアスに引き戻されたのも忘れてはいけません。今回の件でただの杞憂かと思われた裏切り者が本当に存在している事実にはゾッとなりました。果たしてウィンの仲間の中に入って情報を抜き出し、カイザに与する裏切り者は誰なのでしょうか?(個人的には「本命:カレン、対抗:ボウイ、大穴:いいやん」とあらかじめ予想しておこうと思います)今後の話の展開次第で明らかになっていくであろう裏切り者の正体が気になるところです。

 

 さて次回はアビスロイヤルの城が謎の襲撃にある模様。邪神くんたちを襲ってきた襲撃者はアビスですら恐れる「邪龍」とのことですが、果たして邪龍の目的とは如何に……?そしてウィンはその邪龍と出会い仲間にすることが出来るのでしょうか。

 

 

 ではまた、次の機会に。

*1:ただしこのクリーチャーの踏み倒し能力が発動するタイミングではこのクリーチャーの踏み倒しに使用した呪文は墓地に落ちていないため、あらかじめ墓地に別の呪文を用意しておく必要がある。

ウルトラマンデッカー 第25話(最終話)「彼方の光」感想

自分の意味を信じて

この瞬間駆け抜けろ

未来に向かって突き進め、明日を見る彼方まで!!

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  • 絆を信じて互いに言葉を

 いよいよ始まったデッカー最終回。今回はマザースフィアザウルスがエタニティコアに直接アクセスしたことで地球が崩壊の危機を迎えている中、アガムスの残してくれたデータで作戦を立てる場面から始まりました。後述のテラフェイザー然り、難攻不落かと思われたマザー相手に太刀打ちする手立てを残してくれたのがアガムスというのが個人的にはグッときましたね。カナタが頑張ってアガムスを救ったことで、巡り巡って地球を救う成果に繋がる流れは実に美しいです。

 

 またカナタが作戦のため、ムラホシ隊長たちに自分がウルトラマンだと語るシーンも印象的。ここは自分から正体を明かすパターンに新鮮さを感じた一方で、驚きつつもカナタの身を第一に考えてくれる隊長たちにウルっときましたね。カナタが何者であれ、隊長たちにとって大事な部下であることは変わりないことが伝わってきます。なおケンゴがトリガーだと明かされた時の方がびっくりした模様。最後まで部下想いな彼らには惚れ惚れさせられました。
 そしてイチカが「決めてない」と意義を唱えるのがまた素晴らしいと思いました。ウルトラマンであることを黙っていたことはもちろんのこと、怪我で死にそうなことを隠して空元気を見せているカナタに怒っている様子はこれまた胸に突き刺さります。「やるべきことを果たせ!」と快く送り出してくれたソウマとは対照的ですが、イチカもまたカナタのことを深く想っていることは一目瞭然ですね。視聴者目線でもカナタは明らかに無理をしているので、それをはっきりと言及してくれたのはありがたいと個人的にも思えますね。

 またそのイチカの訴えがあったからこそ、カナタが「みんながいてくれたからこそ頑張れた」とひた向きさを見せてくれたことで、この新生GUTS-SELECTが最終決戦に向けて結束出来たとも言えますね。今回カナタは隊長に「努力の天才」と称されましたが、まさにカナタの努力がここまでの結果を出してくれたと捉えられます。彼らの絆をじっくり描いてくれたからの説得力に満ちた前半に、感動が止まらなかったです。

 

 

  • 想いを繋ぐ総力戦

 というわけでついに始まった最終決戦。開始直前までフレンドリーな面々の様子に癒されつつ、彼らの作戦が始まってからは終始興奮することになりました。(かつて隊長がカナタの緊張をほぐすために教えた「ガッツファルコンの操縦席は座り心地が最悪」を、今度はカナタがイチカに教えるのがここすきポイント)まずは燃えたのはやはりケンゴの活躍ですね。トリガーになってマザースフィアザウルスのコアからエタニティコアの力を奪い、デッカーの光に変えてカナタの力を取り戻す展開には膝を打ちました。空中で交差する演出も相まって、先輩の意志を後輩が受け継ぐという構図にも見えるのがグッド。新旧ヒーローのバトンタッチとしてこれ以上ない演出だったと言えます。

 そしてデッカーが登場してからは、ハネジローが操縦するテラフェイザーの起動にこれまたテンションが上がりました。長いことアガムスによって敵として立ちふさがってきたテラフェイザーですが、最後の最後のに実装初期のようにデッカーとコンビを組むことが出来たのは素直に嬉しいです。何よりマザーに関する情報のように、アガムスが残してくれたテラフェイザーを彼の意志ごと受け継いでいるかのように思えるのが見事。ガッツグリフォンやナースデッセイ号(そして生身で着地したうえ生身で銃をぶっ放すケンゴ)も含め多くの人の想いを繋いでここまできた光景から、まさに総力戦らしくなってきたことを感じ取りました。

 

 

  • 独善を打ち砕く、可能性を信じる熱さ

  最終決戦で最も印象深かったのはマザースフィアとの会話でしょう。カナタたちがまとめてスフィアに吞み込まれる危機に陥った中、マザーらしき声がスフィアの目的を明かす瞬間には驚愕させられました。「全宇宙の生命を1つにして、完全な生命体にすることで悲しみや争いを止める」と答えた辺り、スフィアなりに善意でやっているのかもしれません。しかし相手の意志を踏みにじってまで無理やり侵食する辺り、このスフィアはかつてアガムス(アサカゲ博士)が語った「あてのない善意は時に人を傷つける」を体現した存在であることがわかります。悪意がないからこそ厄介な、ある意味で最悪の敵だということですね。しかし……

 

俺たちの未来を勝手に決めつけるな!!」

「失敗することだってある。間違えることだって……でも、何度でも、何度でもやり直せばいいんだ!!」

「悲しい未来は避けられない……だったら、その悲しみを乗り越えてやる!!」

「俺たちは!前へ!未来へ!進むんだぁぁぁぁ!!」

 

 そんな独善的なスフィアに対し、カナタが放った上記のセリフに感動しました。スフィアの言う悲しみや争いは否定出来ずとも、それらを乗り越えることで未来の可能性に価値があることを示す言葉は最高の一言。カナタに触発されて熱く語る仲間たち(ここにAIであるハネジローがいるのが良き)の言葉もまた素敵でした。未来の悲劇を知っている若者たちが、これを言ってくれるからこその熱さがこのシーンに込められていたと思います。

 そして主題歌「Wake up Decker!」が流れる演出がまたエモい!!自分の意味が分からないままでもひた向きに前に進み続けることを応援してくれているこの曲が、決戦のシチュエーションにマッチしているのは言うまでもありません。コンビネーションを見せつつカナタらしいガムシャラな様子を戦闘中に見せていたのもあって、見事なまでに盛り上がりました。最後にグリッター化したデッカーの光線がマザースフィアザウルスのコアを破壊し撃破する瞬間、1分1秒の最後まで心が震えるほどの歓喜を呼び起こしてくれる内容でしたね。

 

 

 マザースフィアザウルスを倒し、スフィアを全滅させてからのシーンも印象深かったですね。フラッシャーとカードが未来を帰る瞬間、そしてレリアと再会したアガムスを見送るカナタの姿のおかげで戦いがようやく終わったという余韻が味わえました。何よりカナタが答えが見つからないままでも「目の前のことを1つずつやることで未来へ繋がる」と信じていることをケンゴに話すのも素敵でした。これまでの戦いを経て、カナタなりのやるべきことを見つけられたことが伝わりましたね。火星からの帰還船を迎えるシーンを持って爽やかに終わったのも、実に本作らしかったです。さすがに帰ってくるの早すぎな気がするけど、まぁそこはアキトが頑張ったんだろうなぁ……

 

 というわけでデッカー最終回の感想でした。いやぁ最初から最後までテンションのボルテージが上がりっぱなしの内容だったと思います。王道の熱血ストーリーでありながらしんみりさせる要素も多く、なおかつ主人公たちの成長をじっくり見せてくれていたのが素晴らしい作品でした。主要人物の描写を丁寧に1つずつやったからこその感動に満ち溢れていましたね。『トリガーの続編』としても良く出来ていて、ケンゴたちの活躍にも満足させられました。今回も実に楽しいウルトラマンを見せてもらい、製作スタッフの皆さんに感謝の念を送りたい気持ちです。

 デッカーのテレビシリーズ本編はこれで完結ですが、来月には最終章である映画の後悔も控えています。まだまだ楽しませてくれるであろうデッカーの物語が映画でどのように幕を閉じるのかに期待し、公開までを楽しみに待つ所存です。

 

 そして総評に関してですが、例によって後日に別の記事にして投稿する予定です。本作の評価点や不満点、各キャラの所感についてもまとめるつもりなので、是非そちらも合わせて読んでいただければ幸いですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。

FGOの推しを語りたい その26(雑記 2023.1.21)

※最終再臨絵&メインストーリーなどのネタバレ注意

 

 

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 今更ですが皆様、明けましておめでとうございます皆様はFGOライフを如何お過ごしでしょうか。僕はつい先日、FGOのメインストーリー第2部第7章である「黄金樹海紀行 ナウイ・ミクトラン 惑星を統べるもの」の前半パートを読み終わりました。昨年末に公開されてから大分時間がかかってしまいましたが、何とか進めることが出来てホッとしています。あとは今月末に公開予定の後半を待つだけです。

  直近の6章や6.5章と比べてもかなりシンプルな展開が目白押しでわかりやすかった一方、色々と心に来るショッキングさも多かった7章前半の感想について、今回は軽く語っていきたいと思います。

 

 

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 まず今回の舞台である第七異聞帯では地下世界「ミクトラン」の存在にかなり衝撃を受けました。地上は火山と溶岩に満ちた超大陸パンゲアの様相を呈しており、生命は宇宙コロニーのような構造の地下に暮らしている話は、これまでの異聞帯とはまるで異なる世界観だったので困惑も大きかったです。人間ではなく知性を持った恐竜「ディノス」が霊長の種として暮らしている点も、人類史とどう関係があるのか?と疑問を抱いてしまいました。

 まぁそうはいっても話を進めていく内に慣れて、あとはこの世界観を楽しむことが出来ましたね。最初に遭遇した現地民の「テペウ」さんは優しく理知的でユーモアがあり、何より主人公の戦いを肯定してくれる度量を見せてくれたのですぐに愛着が湧きました。他のディノスたちもどこか憎めない面々が多く、警戒を解いてくれればある程度良い関係を築けるなど2部でも屈指のフレンドリー空間が形成されておりかなりほのぼのとさせられます。言葉を話せる恐竜の世界での冒険とか、ドラえもんの大長編みたいで面白い!と思いながら満喫出来ましたよえぇ。

 

 

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 その他にもあの地球大統領「U-オルガマリー」と共に旅をすることになったことも衝撃的。序盤からいきなり襲い掛かってきてビビったのも束の間、なんやかんやで記憶喪失になった彼女をおだてながら護衛になってきてもらう展開には肩の力が抜けてしまいました。さらには彼女の執事としてラスプーチンまで同行するようになったことに色々と複雑な気持ちにさせられます。このエセ神父、コヤンスカヤ共々味方にすると頼もしいからかえってタチが悪いな……
 一方で進めていく内に彼女の若干抜けているところやドジっ子かつチョロインなところに萌え、同時に明かされていく善良な一面に惚れ惚れすることになりました。(全体的に元のオルガマリー所長の面影を感じさせており大変可愛い)そして未熟ながら地球を収めるものとしての責任感を持ち合わせており、オリュンポスや今回の冒頭に出ていた彼女は何だったのかとちょっと思ってしまいましたね。あのビーストⅦと今の地球大統領は別人格ではないのか?そもそも彼女は本当に敵なのか?と色々と考察が捗りそうなところです。

 

 

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  他にも意味深な発言ばかり繰り返すデイビットや彼がミクトランに連れてきた「テスカポリトカ」「トラロック」「イスカリ」そして「オセロトル」なる集団、主人公の令呪でオルタ化したサーヴァントを仕掛けてくるオルタ職人カマソッソ」やディノスたちを統べる「竜王」、さらに「ククルカン」など諸々印象に残るキャラクターが多かったのです。(そしてあのマリーンの最期が辛い……)しかし最も印象深かったものを挙げるとするならば、やはり前半ラストで戦った「ORTが出てくるでしょう。以前から登場することを仄めかしていたので覚悟はしていたものの、こんなにも早く相対すことになるとは思ってもみませんでした。

 ゲームでも戦うことになったわけですが、ゲージをブレイクして減らすとブレイクゲージがむしろ増えるという怪現象には思わず目を剥きました。HPも桁外れで、他にも倒されたサーヴァントが結晶化&吸収されるなど色々と恐ろしい演出満載だったので一目で「格が違う」ことを印象付けられましたね。これでLv.1というのも恐怖をさらに煽ってきます。TYPE-MOON世界における最強のキャラクター」の設定に相応しい存在感でしたが、これに後半どうやって対抗するのでしょうか。(余談ですが僕は1回ブレイクしただけで終わったものの、他のプレイヤーのプレイ画像を確認したところさらにこの上があるとか……

 

 

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 ORT以外のゲームそのもののプレイ感想ですが、「難易度はそこまで高くはなかったが要所要所のギミックが厄介」という印象を受けました。毎回無敵を貼ってくるディノスが出てきた時は引き返して無敵貫通礼装を付ける羽目になりましたし、終盤のイスカリ戦やトラロック戦ではこんなのどうやって勝てばいいんだ!?と本気で思ってしまいましたよえぇ。ただコンテニューすればいいわけではなく、出撃時からある程度編成を考えなければならないので色々と苦労させられましたね。

 一方で仲間になったU-オルガマリーを編成してのバトルは中々に楽しかったです。宝具が使えないなど色々と制限されているものの、それでも規格外のスキルと攻撃性能を思う存分使えるのはそれはもう爽快でした。(通常バスター攻撃が全体攻撃になっているのがちょっと使いにくかったのですが)また使用不可の宝具アイコンをタップするとオルガマリーの可愛いボイスが聞けるギミックにも癒されましたね。これで後々的に戻ってしまうかもしれないと思うと至極残念ですが、とりあえずそうなるまでは出来る限り使っていきたいです。

 

 

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 そして今回紹介する推しは英雄王ギルガメッシュです。

 『staynight』における大ボスにして「慢心王」や「金ぴか」など愉快なあだ名も多い愛されキャラ。何気に出演作も多く、夏に延期になったアニメ『strangeFake』でも登場する予定の有名キャラとして今後も色々と活躍が期待されている王様でもあります。(早くエルキドゥとの超絶バトルをウキウキと繰り広げるギルが見たい)もちろんFGOでも1部7章クライマックスでのネイキッドとしての登場など、ここぞとばかりの大活躍を見せてくれました。これからしばらくはイベントでの愉快なキャラがメインになってくると思いますが、たまにはシリアスな場面での英雄王をまた見てみたいものですね。

 バトルでは対サーヴァント戦における無類の力と純粋に強い性能を発揮。まず宝具が(星の力を持った者を除く)サーヴァント特攻となっており、クラス相性が普通のサーヴァントなら弱点クラスの全体宝具レベル、セイバーなど相性のいいクラス相手なら弱点クラスの単体宝具レベルの威力を叩きだすとんでもない火力特化ぶりです。おかげでランサー以外のサーヴァントが絡む高難易度では困った時は連れていく枠として編成に入れることが多々あります。

 宝具に限らずスキルも隙が無く使いやすいものが揃っており、通常攻撃もヒット数が多いのでNPやスターがどんどん貯まるなど、シンプルに強くて使いやすい強豪として重宝しています。さらに昨年末に親友のエルキドゥ共々強化クエストが追加され、攻撃性能とスター生産に磨きがかかったのも嬉しいところ。この調子でどんどん英雄王の強さを楽しんでいきたいですね。

 

 

 さてこれからのFGOは月末の7章後半の公開に向けて色々と進んでいく模様。その手始めとして「ニトクリスオルタ」が実装された時は驚きましたね。(プロテアちゃんや紅ちゃんを差し置いてまだ物語に登場していないオルタが出るとは……)彼女が関わってくる後半の物語に期待を寄せると同時に、オルガマリーやテペウさんといった面々とのお別れが寂しく思えてきます。しかしここまで楽しんできた者として、これから核心に迫っていくFGOを最後まで見届けいく所存です。

 

 

 ではまた、次の機会に。

2023年冬アニメ簡易感想 その4

 

 

shonenjumpplus.com

 

 ジャンプ+で連載中の漫画『ハイパーインフレーション』。奴隷問題や経済的な争いを描いた漫画で、作中のシュールなギャグと独特のセリフ回しもあって何かと話題になっている作品です。かくいう僕も隔週で更新されている本作を毎回読み込んでいる身で、毎回気になる引きや息をつかせぬ展開、そして面白おかしい登場人物とパワーワードの数々には大いに楽しませてもらっています。(「男の子に詳しい有識者」とか「ハレンチ警察は囮だぜ」とか謎のセリフをさりげなく入れるのが腹筋に悪い)

 そんなハイパーインフレーションですが、何と残り4話で完結することが発表されました。毎回詰め込みに詰め込んだ内容を魅せてくれていたが故に話が終わりに近づいているのを感じていましたが、あと数話で終わるという事実にはちょっとショックを受けてしまいますね。もっと読んでいたいという気持ちと、このまま走り抜けてほしいという気持ちが今現在せめぎ合っています。

 それはともかく、完結間近ということで同時に本作が全話無料公開されることが決定。ルークの能力描写とかその他諸々もあって大っぴらに進めにくい作品ではあるものの、とても面白いので多くの人に読んでほしいと思っています。上のリンク先で読めるので、興味がある方は是非1話からじっくり読み進めることをおすすめします。その内ページをめくる手が止まらなくなりますから!

 

 

 というわけで以下、今週の簡易感想です。

 

 

 

 

 

 

シュガーアップル・フェアリーテイル

第2話「ブラディ街道」

 1話と比べると大分穏やかな様子が描かれた第2話。アンに好意を寄せる優男(?)の「ジョナス」や前回助けた妖精「ミスリル・リッド・ポッド」など、愉快な面々が旅に同行するようになったおかげで軽快で華やかな会話シーンが展開されていました。中でもミスリルは「助けられた恩返しをしたい」と主張する反面、強引かつやたら偉そうな態度が目に留まりましたね。なんだこいつ……と思いながらも、すぐにアンと打ち解けていく過程が微笑ましかったです。
 一方で妖精に関するキツい描写も相変わらず存在していました。特にジョナスが自分が連れている「キャシー」を厳しく扱うシーンは、アンへの優しい態度とのギャップもあってちょっとギョッとなりましたね。本作の世界ではこれが普通なのかもしれませんが、人間と妖精で態度がまるで違う様子には劇中のアンのように複雑な気持ちを抱えてしまいます。

 アンもその辺りについて少々悩む姿を見せていたのが大きなポイント。ジョナスのように妖精には厳しくあるべきだと頭では理解していても、感情的にはもっと距離を縮めていきたい気持ちも見せているのが印象に残りました。妖精の食事の仕方や生まれる過程などを知らない世間知らずなところがあって夢見がちに思えるものの、やはり彼女のひた向きな姿勢は見ていて応援したくなりますね。

 

 

吸血鬼すぐ死ぬ2

第2話「フロム トーキョー トゥ ネオ ベイサイド」「わくわくドラルク観察日記」「Quest of Soul Gate:魂の探求者たち」

 東京出身の吸血鬼ハンター「籠目原ミカヅキ(かごめはら・ミカヅキ)」に降りかかった災難に同情した前半。全体的にまともで使う技もカッコよさげだったのですが、新横浜のノリについていけていなかったのが何とも哀れです。さながらギャグ漫画にシリアス漫画のキャラが放り込まれたかのような感覚に陥り、同時にミカヅキ視点であの場所のハンターと吸血鬼の異常性が再認識出来ました。

 中盤はヒナイチがドラルクを観察するエピソードでしたが、彼の手作りお菓子に釣られて思考がそっちにまとまってしまう辺りが何とも可愛らしかったですね。同時にヒナイチ視点ではドラルクがどのように変わった吸血鬼なのかが知れたのもちょっとした収穫でした。上述の展開と合わせて、およそ吸血鬼らしくない吸血鬼の愉快な日常を描いていたと言えます。

 ラストのドラルクがフクマさんからのゲームレビューの依頼を受ける内容には抱腹絶倒。クソゲーあるあるを連発した後、元々クソゲーレビューだと判明する流れには笑いが止まらなかったです。様々な難関をあの手この手で解釈し、気合でプレイするドラルクの苦労も相まって面白い一幕になっていました。

 

 

あやかしトライアングル

第2話「オンナトモダチ」

 女子のまますずと同じ高校に通うことになったまつりですが、予想よりも気にせず女子ライフを過ごす彼女(彼)の適応力の高さに驚かされました。スカートのまま妖相手に大立ち回りしたり裸でシロガネを追いかけたりと、羞恥心というものをほとんど見せずに祓忍としての仕事を果たす様子には一周回って尊敬の念を抱きそうになります。そのくせ肌の作画がやたら艶めかしいのもあって、同性愛もOKになりつつあるすずのように変な感情が湧き上がってくる回でもありました。あと女子バージョンの祓忍装束がどう見ても対魔に(ry

 また誤って男児トイレに入ってしまうお約束の展開はありましたが、それを除けばまつりが周囲に怪しまれず受けいれられている点も面白かったですね。ある程度女子っぽくなくても個性として受け入れられているのはどこか現代的と言うべきか、それとも本作のキャラがおおらかと言うべきか迷うところです。
 そしてシロガネをどうするのかという問題に触れていたのも見どころの1つ。ここで倒すのは簡単ですが、まつりを男子に戻すためには元凶であるこの猫の協力は必要不可欠という形で止めるすずには好感が持てました。妖と友好的でいたい姿勢を一貫して持ち続けるすずに応えるためにシロガネを家で飼うことにしたまつりですが、これからどうなるのか気になるところです。

 

 

転生王女と天才令嬢の魔法革命

第3話「憧憬と追憶の虹霓魔剣」

 ユフィリアがお労しすぎる……晴れて王女専属助手となったユフィリアですが、明るいアニスの裏で暗い表情を何度も見せる様子に胸が痛みました。そしてその苦悩が婚約破棄で責任を果たせず、何より多くの人に迷惑をかけてしまった負い目に由来するものであることは何となく読み取れましたね。周囲の人々はユフィリアを優しく気遣ってくれていますが、それがかえって彼女の心にやるせないものを残しているのが見ていてとても辛かったです。

 それ故前回に続いてアニスの天真爛漫さがいい清涼剤になりました。トライ&エラーを繰り返しながらもめげずに自分の夢へと邁進する姿は一転して元気づけられます。さすがのユフィリアもアニスの前では固い態度を緩め、年相応の少女らしさを見せるのが素敵でしたね。アニスのこの強さこそがユフィリア再起へのきっかけになると確信する回でもありました。(しかしアニスへの憧れと「自分はこうなれない」という悲しみを含めたユフィリアの涙がまた切ない……)

 他にはアニスが開発した魔道具の数々も面白かったですね。前回の湯沸かしポッドもそうでしたが、前世の知識を活かして現実社会の道具を可能な限り再現しているのが何ともシュールの一言。一方ユフィリアに送った魔剣「アルカンシェル」は非常にクールで、魔法と科学を融合させたようなギミックには中二心をくすぐられましたね。

 

 

にじよん あにめーしょん

第2話「ランジュと愛と可愛い」

 2話目からいきなり作画開放だぜ!となった冒頭。嵐珠と愛が「どちらが可愛いか」を競う戦いを繰り広げていたせいか、要所要所でいつもの等身に戻るのがおかしかったです。一方で可愛い対決は中々の拮抗ぶりで、2人の可愛さのベクトルが違うのもあって甲乙つけがたかったですね。(終始堂々としている嵐珠と耐えられなくて笑ってしまった愛の対比も面白いところ)

他には可愛いの伝道師かすみ師匠が舞い上がりすぎて降りられなくなったり、辛口審査員の中に混じるエマの甘々な採点も印象的。特にエマが恒河沙阿僧祇と文字通り桁外れの点数をどんどん叩き出す流れは笑いが止まらなかったですよえぇ。最終的にタラシの侑が1番可愛い!?という結論にエマがとうとう那由多を出すオチの破壊力は抜群だったと思います。

 

 

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ

第1話「ランディング・グラウンド」

 激動の1クールを終えた『水星の魔女』のお休みに合わせ、日5枠では他作品のガンダムシリーズを連続して放送することに。第1弾は2021年に劇場公開された『閃光のハサウェイ』ということで、ブライトさんの息子「ハサウェイ・ノア」の物語が始まりました。

 そんな第1話はガンダムというよりも洋画の導入部分といった感じの内容でした。映画を分割して放送しているので仕方がないところがあるものの、MSがほとんど出てこないので一見するとガンダムだということがわかり辛かったかもしれません。(せいぜいギャプランがサラッと映ったくらいでしょうか)ネットミームになった要素もほとんど序盤に集約されているほか、凄惨な描写が多いので再び視聴した身としてもちょっとビビってしまいますね。そして「しかしねぇ……」で有名な保健衛生大臣は「連邦高官の危機感の無さ」を表していたのではないかと思う今日この頃。

 そして主人公のハサウェイのキャラクターも印象的。普段は大人しい若者なのに対して、一度動き出したら止まらない“嵐”のような行動力のギャップはかなり激しかったです。「マフティー・ナビーユ・エリン」を名乗る偽物への苛立ちや『逆襲のシャア』で経験した大人に対する憤りなど、理性的な面の裏にとてつもない激情を秘めていることが伺えます。そんな大人のように振る舞っているけどどこか子どもっぽい、ヤングアダルトなハサウェイに注目が集まるところです。

 

 

 ハイパーインフレーション完結間近の情報にネット上でも今話題になっていますが、よく聞くのがアニメ化の話。面白い作品なのでアニメ化してほしいという気持ちがすごくわかるものの、それを希望する人たちのほとんどがNHKでのアニメ化を前提としているのが何とも愉快でした。

 まぁインフレーションの理屈や奴隷の扱い方など読んでてタメになる要素も多いのでこれNHKならいけるのでは!?と思うのは当然かもしれません。ただやっぱり作者の性癖が強すぎてこれNHKではやれないだろ!?という意見もあるのがこの話の面白さに拍車をかけていましたね。(僕も大体同意見ですが、もしNHKでアニメ化されたら吹き出す自信があります)ただそれ以上に本作を読んでいる人が多いことを知り、中々に愛されている作品だと知れたのは大きな収穫でした。これからはそんな人たちと一緒にハイパーインフレを楽しんでいきたいです。

 

 

 ではまた、次の機会に。

2022年アニメ映画簡易感想 その6

 

 

 2023年になっても映画を観たいと思っている今日のこの頃。つい先日『かがみの孤城』を観に行って感動するなど、自分なりに楽しい映画との付き合い方を送っています。現在公開中、または今年公開予定の映画の中からどれを観るか……それを考えるのはとても楽しいですね。

 ともあれ今回は去年の内に観たアニメ映画に関しての感想になります。例によって公開と視聴から大分経ってしまいましたが、色々と考えて何とか書き上げることが出来ました。(特にワンピースがめっちゃ疲れた……)今更なところもありますが、読んでいただければ幸いです。

※ここから先は映画の内容に触れているのでネタバレ注意!!

 

 

 

 というわけで以下、今回の映画感想です。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 


ONE PIECE FILM RED

 人気漫画『ONE PIECE(ワンピース)』の劇場版。去年の夏に公開されてから、今年の1月末に終映が決まったというとんでもないロングランを遂げた映画でもあります。本作のヒロインである「ウタ」があのシャンクスの娘、そしてルフィの幼馴染という設定が話題を呼んだことも記憶に新しいです。僕にとっては『珍獣島のチョッパー王国』*1以来となる映画館に足を運んでのワンピース映画体験で、去年の夏頃に観に行きました。その結果待っていた衝撃的なストーリーには、当時唖然となりましたね。

 まず冒頭から海賊の蛮行と被害に遭った人々の嘆きがナレーション込みで説明され、その後映画のメインであるウタを通して大海賊時代の負の一面を描いていく作風が衝撃的。暗い作風は『FILM Z』という前例がありますが、あちらと比べてもネガティブで仄暗い話が展開されていたと思います。本作のラスボスである「トットムジカ」がワンピースでは珍しい「”負の情念”という概念的な存在」だった点も、本作の異質さに拍車をかけていましたね。そんな自由の象徴でもある海賊がもたらす被害の恐ろしさ、そうして苦しい日々を強いられている市民の痛ましさを一心に受けたウタのキャラクターがこれまたエゲつなかったです。

 何といってもウタが抱えている絶望の深さに驚愕させられます。一見して無邪気で優しい「世界の歌姫」ですが、その実上述の助けを求める人々と過去の罪の意識の板挟みにあっている状況は見ていて胸が苦しくなりました。その結果「肉体は死んでも夢の中で心が生き続ければみんな幸せ」という狂気的な死生観を語るようになってしまったことにも絶句する他ありません。(また、この状況で逃げ出したい!と思いつつもそれをしない責任感の強さも彼女の哀れな境遇を一層強めています)孤独の中で歌うことで人々と繋がったはずが、それが彼女を追い詰めてる結果を招いてしまった事実に、ウタという少女のポジティブからネガティブへと変貌する悲劇性を感じ取りました。
 そんなウタを救うためにルフィやシャンクスが奮闘するのですが、それでも力尽きるという最期には本当に驚きました。何かを察して前を向き直すルフィの表情を映してからエンドロールが流れた時の呆気に取られた感覚は、今でも忘れることは出来ません。みんなを夢の世界から解放して救い、シャンクスとの再会を果たしたことでウタ自身も救われたと思う一方で、どうしようもないやるせなさに襲われてしまいます。ルフィとの気兼ねの無いやり取り、そして父・シャンクスへの愛憎入り混じった感情を念入りに描いていたからこそ、このウタの生涯に感情移入することが出来たと言えます。

 

 といった風に冒険ファンタジーとしてのワンピースは鳴りを潜めていた映画でしたが、かといって熱い場面や笑える場面が全くなかったわけではありません。まず本作の要である「歌」の要素がお見事で、Ado(アド)さんの歌声によるウタのライブシーンはどれも素晴らしく没入感がありました。歌詞に関してもウタの心情を的確に描いたものばかりだったこともあり、上述の彼女のキャラクターの掘り下げに一役買っていたと思います。

 ウタ以外でも、意外な組み合わせによるほのぼの要素が盛りだくさんでした。特に夢の世界で「サニーくん」というマスコットになったサニー号が、同じく小さくなったペポとブルーノでマスコットトリオを組んでいたのが可愛らしかったですね。(個人的にはバルトロメオの球体バリアに閉じ込められたルフィの上を、サニーくんが大道芸の如く乗っていた様子に萌えました)彼らに限らずコビーやブリュネと協力するなど、本編でも珍しい関係が築かれていたのがまた面白かったです。
 そしてワンピースといえば忘れてはならないのが戦闘シーン。特に本作では長いことまともな描写がなかったシャンクスら赤髪海賊団が戦う姿には待ってました!といわんばかりにテンションが上がりました。ラッキー・ルウが肉弾戦車みたいな技を披露したり、何か口から波動砲みたいなものを出す船員がいたりと短い出番で驚くべき戦い方を披露する面々に終始驚かされましたね。何よりシャンクスの戦いや本気の覇王色は最高の一言。大事な家族を救うためなら世界とだって戦える、四皇シャンクスの強さを堪能出来て大満足です。

 もちろんルフィ率いる麦わらの一味も負けてはいません。中でも本作でルフィはウタを徹底して殴ろうとしないのもあって中々戦う場面に恵まれませんでしたが、後半から彼女を救うために本気で戦うシーンに惚れ惚れさせられました。幼馴染のためというのもあって、騒ぐことはあったものの一貫したカッコよさに溢れていたと思います。そのうえシャンクスと共に最後の一撃を放つ瞬間、話題のギア5(フィフス)らしき姿を見せた時はびっくりしましたね。ウタに麦わら帽子を託されるシーン含めて、ルフィのどこか大人びた雰囲気にあてられてボロ泣きさせられました。

 他にもカタクリやオーブンといった意外なキャラとの共闘や黒幕かと思いきや最後まで良い人だった「ゴードン」さんなど見どころが本当に多い映画でした。(中でもウソップが父・ヤソップをどう思っているのか察せられる発言が印象的)そしてルフィの海賊王になる夢に「新時代を作るためだ」という果てが発言された点や、五老聖が口にした「フィガーランド家」というワードといった原作本編で今後回収されそうな伏線にもワクワクさせられます。気持ちが沈む要素もありましたが、映画館の大スクリーンで観て良かったと思える、素晴らしい映画でしたね。

 

 

映画『ゆるキャン△

 きららアニメの一角『ゆるキャン△』の劇場版。本作は何といっても本編から数年後、リンやなでしこといった主要キャラが成人してそれぞれ働いている将来の出来事を描いているのが最大の特徴でした。見た目のデザインはさほど変わっていないように見えますが、学生時代の初々しさが消えてみんなどこか落ち着いた雰囲気を醸し出しているのが冒頭から伝わってきます。リンは雑誌編集部なのに対してなでしこはアウトドア用品店の店員と、それぞれ就いている仕事に関してもまた“あり得そう”なのが絶妙でしたね。(一方で老犬になってしまったちくわに哀愁を感じて涙ぐむことに……

 そんなリンたちが山梨の広い土地をキャンプ場を作ろうとするのが本作の大筋。これまで何度もキャンプの楽しさ・気楽さを味わってきた少女たちが大人になり、今度は自分たちでキャンプが楽しめる空間を提供しようとする構図には唸らされました。キャンプの“楽しい”を伝搬させてきた彼女たちの成長後の物語としては、これ以上ない展開だと言えます。

 仕事とのすり合わせなどに苦労するものの、何とか時間を作って集まり土地を整備していく過程が何とも牧歌的です。友人関係を大人になっても続け、かつてと同じような感覚で協力していく学生時代の延長線上のような光景にはほっこりさせられましたね。良い大人が揃いも揃って「作業着戦隊!」とかやってるシーンは中々に痛いですが。放置されていたロボット「ジンジャーくん」で野生の動物を探すなど、コミカルな描写も多くて実に癒される前半でした。

 

 ただそんな順調にはいかなかったのが後半の展開。作業の途中で見つかった土器をきっかけに、キャンプ地の計画が白紙になりかかる展開はかなりショッキングでした。ここまでの頑張りを横から全て奪われてしまったかのような喪失感、どうしようもない感覚がスクリーン全体から伝わってきましたね。大人になったことで理解出来る「どうにもならない現実」を突き付けられ、しばらくの間暗い表情を見せるリンたちの様子に見ているこちらの気分も沈んでいきました。

 他にも小学校教師になったあおいが慣れしたんだ学校の閉校式を見守る過程も印象に残りました。しばらくの間だけでも思い出深い場所が諸々の事情で無くなってしまったことへの喪失感……それを目の当たりにして憂いを見せるあおいの無理した「うそやでー」には思わず涙ぐんでしまいましたね。大人になって何でも出来ると思ったら、様々なしがらみや理不尽を知っていく展開に切なさを覚えずにはいられなかったです。

 しかしそれをネガティブに捉えず、「様々な人たちに支えてもらっている」ことに着目していくのが素敵でしたね。仕事の都合を合わせてくれた同僚や先輩たち、協力してくれる多くの人たちに助けてもらっているのは大人も子どもも変わらないという答えを出すポジティブさは、ここまでの展開を見た身としてはあまりにも勇気付けられる話でした。

 その後キャンプ場の問題を遺跡観光とキャンプを同時に楽しめる施設にすることで解決していく展開にも膝を打ちました。変に片方を妥協するのではなく、上手いこと見方を変えて共存させていく道を選ぶ辺りが実に素晴らしいです。そうして完成させ、オープン当日のトラブルなどがありながらも家族や友人たちと協力し、無事多くの人に楽しんでもらうキャンプ場を開くことに成功するラストには一転して感動させられました。大人になることで味わうほろ苦さを乗り越え、かつての楽しさと伝えていく……素晴らしい余韻を残してくれる映画でした。

 

 

 ワンピースといえば現在進行形で原作が盛り上がっていることをよく耳にします。長年の謎だったベガパンクがついにその姿を現したことや、サボが色々と大変なことになっている状況を断片的にですが知って驚いている真っ最中です。僕はワンピースは単行本で一気に読む派なので詳しいことを知るのはだいぶ先になりそうですが、その内しっかりと読んで、最終章に向かっている本作を楽しんでおきたいですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。

*1:本作は「東映アニメフェア」として公開されたワンピース映画で、実は筆者は同時上映である『デジモンテイマーズ 暴走デジモン特急』目的で観に行ったものだったりする。