悪党と悪人
アリオの自己主張が激しい回だった
前回最高のパワーアップ回を披露してくれたタイガですが、今回は久々にE.G.I.S.の社長カナ社長にスポットが当たりました。セモン星人「ミード」という刑事ドラマに出てくるゴマすりの窃盗常習犯みたいな宇宙人の護衛をする中で彼女の過去について、そしてなぜE.G.I.S.を作ったかについてがハッキリ語られました。
6話で描かれた宇宙人の少女を助けられなかった無念の過去から、「宇宙人とわかりあえる社会を作りたい」と思いE.G.I.S.を作った社長。自分を裏切ったミードに向けてはなった「あなたは悪党であっても悪人じゃない」という言葉は地球で暮らす中で犯罪に手を染めるしかなかった宇宙人たちにも手を差し伸べようとする彼女の信念を表しており、必死に守ろうとする姿を見ていると応援したくなってきます。宇宙人との共存を度々取り扱ってきた近年のウルトラマンの中でもかなりストレートな表現であり、6話をはじめとして登場してきた地球人と共存していく宇宙人たちのエピソードも含めて、彼女が作ったE.G.I.S.が両者の架け橋となる存在であることが良く伝わってきました。
- デマーガの受難
今回登場した怪獣は熔鉄怪獣デマーガ。『X』第1話で堂々デビューして以来『オーブ』などの後の作品にも度々登場してきたニュージェネレーションを代表する怪獣の1体です。これまで「ツルギデマーガ」「カミソリデマーガ」といった派生形態も出てきましたが、ノーマルのデマーガがTVに登場したのは久しぶりのように感じます。
しかし出てきてしばらくは街を思う存分進撃し破壊していましたが、タイガとの戦闘が開始されてからは押されに押され、トライストリウムにチェンジしたタイガにあっさり敗れてしまったのは少し残念でした。この時期は新登場した主役フォームの販促活躍のために怪獣が圧倒されてしまう展開が多いのですが、ここまで為すすべなく倒されるのはかなり珍しく思います。仕方ないとはいえ、デマーガにはもう少し暴れてほしかったと個人的な願望がちょっと出てしまいましたね。
- からかい上手のトレギアさん
上記の社長のセリフの通りミードは悪人ではなく悪党でしたが、完全に悪人だったのが今回の霧崎(トレギア)。デマーガに街を壊させる中で、ヒロユキに「仲間を見捨てて怪獣を倒すのか」と揺さぶりをかけていく姿はとても前回ボロ負けして醜態をさらした男と同一人物には見えません。
さらにミードを殺害し、余計に自分の無力さを責めていたヒロユキに正体を明かしながら煽る様子から完全にいつもの調子に戻ったようです。劇場版『R/B』での初登場を彷彿とさせる画面から手を伸ばす演出までやってみせて、とことんヒロユキを追い詰めようとする辺り、前回の敗北からターゲットを完全にヒロユキに変更したことが伺えます。ヒロユキを精神的に追い詰めて何をするつもりなのか現時点ではまだわからないため若者をからかって楽しむ陰湿な奴という印象が拭えませんが、今後トレギアがどのような行動に出るのか、まだまだ目が離せない事は確かなようです。
今回のゲストキャラであるミードはどうしようもない小悪党であったものの、社長の言っていた通り優しい一面も併せ持っていたので終盤で霧崎に殺されてしまったのは残念で仕方ありません。どうせならばちゃんと罪を償ってやり直していく姿を社長とともに見てみたかったです。(というかここ最近はゲストキャラが生き延びる展開が多かったので久しぶりに死者が出てきた時には驚きましたね)
次回は前回のように地球での暮らしに不満を持った宇宙人たちが物語の中心になる模様。さらにベムラーやゼットンという『ウルトラマン』を代表する2大怪獣が登場するようなのでかなり楽しみです。
ではまた、次の機会に。