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ありがとう『ポケットモンスター サン&ムーン』(雑記 2019.11.4)

 

 2016年11月7日に始まったアニメポケットモンスター新シリーズ『ポケットモンスター サン&ムーン』が昨日の2019年11月3日を以て最終回を迎えました。

 

 原作となるゲーム『ポケットモンスター サン』『ポケットモンスター ムーン』が従来のジムリーダー制ではなく、舞台の地方に伝わる試練・大試練に挑む「しまめぐり」に挑むというこれまでにない要素をふんだんに盛り込んでいることもあってか、アニメの方も主人公のサトシをはじめとしたキャラクターデザインを一新し、これまでの様々な街に行くといった冒険ものではなく、なんとスクールに通いつつバトルしたり未知のポケモンと触れ合っていくといった日常を描いたかなり挑戦的な作品でした。発表当初は大きく異なるサトシのデザインや冒険要素を廃したことに多くの賛否がネットに集中しており、かくいう僕も今までのポケモンを知っているからこそどうなってしまうのかという期待と不安がない交ぜになった気分になった記憶があります。

 しかしいざ放送が始まってみると、これが中々面白い。サトシの十八番である「ポケモンバトル」の要素は少々控えめになったものの、物語の拠点を一つに絞ることでそこに暮らす住人たちとの関係をよりディープに描いていく物語は過去の作品にはなかった面白さがそこにはありました。また物語の舞台であるアローラ地方は温暖で自然がそのままの形で残っている場所が多く「自然はみんなのもの、その恵みは人もポケモンもみんなで分かち合う」という文化があるゆえか他の作品よりも人とポケモンの距離が近く感じられるのも本作の大きな特徴です。

 またそういった人とポケモンの暮らしを重視した作風を全面に押し出しているからか、過去作品があえて避けてきたものにも本作は積極的に切り込んできました。

 代表的なのがこの「ニャビー、旅立ちの時!」。このエピソードではニャビーと共に暮らしていた老いたムーランドが弱っていく様子を映し出し、最終的にはニャビーのもとから姿を消す、というポケモンの死について本格的に追求した内容になっています。それもサトシがムーランドの体重の不自然な軽さについて言及したり、ジョーイさんの詳しい説明を敢えて無音で演出するなど、直接死ぬような描写ではなく間接的な描写で死というものを視聴者に感じさせる物語の運びに当時は衝撃を受けました。その後愛する家族を失ったニャビーがサトシにゲットされるまでの過程も含めてシリーズ屈指の名エピソードといえるでしょう。

 他にも当初ポケモンに触れないリーリエが少しずつ自分の問題に向き合い、ポケモンとの絆を深めていく1年目のエピソードや、かがやきさまを巡るベベノムの物語、ウルトラガーディアンズなど語りきれないほどの新機軸のストーリーを見せてくれた本作は間違いなくポケモンの可能性を新たに広げてくれたと考えます。そしてそれらを積み重ねてきたからこそ、最終回で家族同然となったサトシとククイ博士、バーネット博士のやりとりや「さよなら」ではなく「行ってらっしゃい」の言葉でサトシを見送ってくれたアローラの仲間たちなどを見ていると込み上げてくるものがあります。

 

 改めてここまでアニメをやりきったアニメスタッフの方々に最大級の感謝を。そして新シリーズ『ポケットモンスター』への多大な期待を込めて。

ありがとう、サン&ムーン!アローラ!!

 

 

 ではまた、次の機会に。