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ガンダムビルドダイバーズRe:RISE 第22話「刻限のゼルトザーム」感想

もう一度やり直すために

語りたいことが盛り沢山すぎる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • もう後悔はしたくないから

 シドー・マサキを救い出すために動き出したヒロトたち。アルスによる支配から脱しようともがき苦しむマサキを発見して早々に激戦が繰り広げられましたが、これがまた最高でした。ヒロトたちの新機体の活躍に、アルス陣営の出し惜しみの無い戦力投下と序盤からバトル多めで本当に盛り上がりました。パルのヴァルキランダーがトランザムするというサプライズ*1もありつつ、クライマックスでは2期OPである「HATENA」が流れるなど演出面でも素晴らしい要素がたくさんありました。ここ数話本格的なバトルがなかったので今回の溜めに溜めたバトル回は最初から最後まで興奮しっぱなしでしたね。

 

 何よりも良かったのがマサキとクアドルンの描写に尽きます。自分の罪で推し潰れそうになっているマサキに、彼をこれ以上苦しめないために引導を渡そうとするクアドルンと衝撃の展開が続きました。ここで注目したいのがマサキとクアドルンの双方が罪悪感と責任感を抱いている点です。操られていたとはいえエルドラの罪なき人々を何人も手にかけたことから取り返しがつかないと言うマサキ。そしてアルスをかつて共に戦った記憶故に倒しきれなかったことからマサキをはじめ多くの被害を出してしまったことに責任を感じているクアドルン。どちらも自分の犯した過ちから「もうどうしようもない」と諦めてしまっているのがわかります。

 だからこそパルがクアドルンに自身の過去を話したシーンと、ヒロトがクアドルンに立ちはだかるシーンが重要になってきます。もうこの方法しかないと決めつけている彼らに他の選択肢があることを教えてくれるパル、何より、苦しみを背負おうとするクアドルンに「かつての自分と同じ後悔をさせたくない」と啖呵を切るヒロトは非常に印象的でした。かつて諦めた中で再起を果たした彼らが諦めている者たちを再起の道へと導いてくれるまでに成長したのだということがよくわかる名シーンでした。

 

 

  • 大切な者を守る盾の騎士

 前回カザミが完成させた新機体「ガンダムイージスナイト」。名前からしてベースとなっているのは『SEED』でアスランが搭乗していたイージスガンダムであることが伺えます。以前使っていたジャスティスナイトが同じくアスラン搭乗機であるジャスティスガンダムをベースとしていた中で、その前継機をベースとするのは中々面白いですね。

 性能に関してはショットランサーとシールドというシンプルな武装はそのままに、ジャスティスナイトの防御性能の高さをより発展させたかのようなコンセプトに仕上がっています。さらに今回「キングモード」なる形態で防御性能を上げ、ゼルトザームの極大ビームを受けきってみせるなど「盾の騎士」の名に相応しい機体となっています。(余談ですがキングモード中は頭部が王冠のように展開したり盾が巨大な剣のように変形するなど、彼が尊敬しているキャプテン・ジオンのν-ジオンガンダムのリスペクトが感じられますね)

 以前7話の感想記事にて「前衛で敵の攻撃を交わしたり受け止めたりしながら後方の味方の攻撃をサポートする盾役として徹底すれば大成出来る可能性を秘めている」などとカザミを評しましたが、まさに予想通りの戦法をしてくれた点と、何よりこれまで撃墜数ばかりにこだわっていたカザミが敵の攻撃からチームを守る役割に徹している姿に感動を覚えます。「自分のための正義(ジャスティス)」が「誰かのための盾(イージス)」に成長したのだと実感しますね。

 

 

  • 悪魔を砕く橙の螺旋

 そして今回イージスナイトのサポートのおかげで無事登場したのがコアガンダムの新形態「サタニクスガンダム」。「サターンアーマー」とドッキングすることで完成するこの形態は重機のようなゴツいシルエットに巨大な武装と、見るだけでマーズフォーとは別ベクトルのパワー型機体であることがわかります。

 何と言っても両肩に装備しているブレーカドリルとヴァイスプライヤが目を引きます。脚部のローラーによる高速機動で敵に接近しドリルでボディに風穴を開けるという、破壊力に特化した戦い方が基本のようです。前回ヒロトが『鉄血のオルフェンズ』に登場するガンダム・フレーム相手に製作したものだと説明しましたが、非常に硬い装甲を持つあの世界のMSとの戦闘を想定したと考えるならばこの強力な武装にも納得がいきます。*2

 今回はマサキを助け出すためにゼルトザームを支配する異形の右腕をドリルで砕き、ヴァイスプライヤで引きちぎるために使ったため本来の用途とは異なる活躍でした。しかしここまでの盛り上がりのおかげでそういったことがほとんど気になりませんでした。何よりドリルにアームと”男の子の大好きなもの”で構成されたこの機体には惚れ惚れしてしまいますね。(あと初登場時はあまりいい場面がなかったヴィートルーも今回活躍していたのは嬉しかったですね)

 

 

  • 使命に囚われた者

 また今回もう1つ印象的だったのがメイとアルスが繰り広げた問答。マサキを奪わせまいとアルスアースリィだけでなく、「フェイクνガンダム」と「デュビアアルケーガンダム」という新戦力まで持ち出してきたアルスに対しメイが本当の使命を思い出させようとする様子はかなり印象に残りました。古き民が作り出した存在であるアルスに「本当に望んでいたものは何か」を問う様子は同じく人の想いから生まれたELダイバーである彼女だからこそと言えます。しかしアルスはどんな言葉を投げかけられても「私の使命はこの星を守ること」の一点張りで全く聞く耳を持たないのでちょっとした苛立ちと恐怖を感じましたね。

 以前からアルスはことあるごとに「何故?」と疑問を投げかけてきますが、抱くだけでその何故の答えを考えようとする素振りが全くありません。疑問を持つくせに壊れたスピーカーのように使命のことしか口にしない様子は、まるでそれ以上のことが考えられないようにも見えます。アルスは自身に課せられた使命を果たそうとするあまりそれ以外のことに目を向けず、結果使命から外れたことについて思考する力が失われているのやも知れません。「何故」と思うことはあってもそれについて考えることが出来ない姿は、ある意味で今回他の選択肢から目を背けていたクアドルンと重なるところがあります。*3果たしてアルスが今後どのような答えを得るのか気になるところです。

 

 

 というわけで、見どころと語りたい内容が盛り沢山すぎる22話でしたが、無事マサキを救い出したことで一件落着で終わりました。ひとまずの目的を果たしたものの未だに衛星砲の脅威が残っている中、次回ヒロトたちはどのような行動を取るのでしょう。気になるのがCパートでマギーさんがカザミの動画を知り合いに拡散するなど今後の布石になるような行動。もしかしたらこの件から「前作のキャラクターたちが現在のヒロトたちの状況を知って協力してくれるのでは?」とつい期待してしまいます。

 

 

 ではまた、次の機会に。

*1:後で調べて知ったのですが、ヴァルキランダーは「ガンダムアストレア」をベースとしているようですね。

*2:奇しくも悪魔の名を持つガンダム・フレームのMSに対抗するための機体が悪魔の名前でもある「サターン(土星)」の名を持っているのは中々にオシャレです。

*3:他にもOPの「HATENA」の歌詞に通じるところがいくつか見られます。