一緒に描く未来(あした)を
少年たちは、新たな世界で再び飛び立つ───
- GBN頂上決戦
いきなりSE付きOPが流れるというサプライズが用意されていた26話ですが、本編もGBNに侵入してきたアルスとそれを迎え撃つトッププレイヤーたちという序盤からクライマックスな構図からスタート。前作から圧倒的な強さを見せつけてきた面子が揃い踏みしている状況故にそれらと戦わなければならないアルスに対して少し気の毒に感じていましたが、いざ戦いが始まるとGBNのサーバー自体への攻撃といった搦め手を使い対抗してきたので思わず感心してしまいました。
GBN側の面子も負けじと応戦、エルドラにいたヒロトたちも戻ってきて戦いに加わり、本格的に激化していく戦いは非常に見どころ満載でした。あまりにも多く語りきれないので箇条書きにしてまとめてみますが・・・・・・・・・・・・
- モモちゃんのペンギンリサーチ可愛い
- アストレイ2機の揃い踏み良き
- 太陽炉6積みメッサーラのインパクトよ
- NTRられるアースアーマー
- SPナナミさん、まさかのザクレロスーツで参戦
- ニパ子ノーベルの「達者でな」に思わずほろり*1
- 無印4話の偽シャフリヤールコンビも登場、機体がどう見てもゴ○ュラスとアイ○ンコングにしか見えない件*2
- 『SDガンダムフォース』世代なのでカツラギさんのガンパンツァーに咽び泣いた
- ミスターMS、お前は一体・・・・・・
- 謎の男キャプテン・ジオン・・・・・・一体何メル大佐なんだ・・・・・・?
- コーイチさんとシバさんコンビの新機体「ロードアストレイダブルリベイク」がカッコよすぎる(シバさん操作時の形態がナイトメアフレームっぽい)
- 複数のアーマーによる全部乗せドッキング「エクストラリミテッドチェンジ」
- 『ビルドダイバーズブレイク』の主人公2人に加え、『ビルドダイバーリゼ』からリゼもゲスト参戦アインソフさんはどこ・・・・・・?ここ・・・・・・?
- パルはシャフリさんと、カザミはキャプテン・ジオンと共に合体技を決める構図が素晴らしい
- 何か1人だけトライエイジ始めるチャンプはさぁ・・・・・・(ここでタイタスを選択するの好き!)
- サラとメイを受け止めるリクとヒロトの対比がエモい
と、十数分の間に楽しめるポイントをこれでもかと詰め込んでいるので終始興奮しっぱなしでした。特に印象に残ったのが「アルスによるアースアーマーの強奪」と「エクストラリミテッドチェンジ」ですね。現実のプラモの方でも散々宣伝されていた「キミだけのコアドッキングカスタムを作ろう!」という販促を見事に映像化している点も素晴らしかったですが、何よりもヒロトとイヴの思い出が詰まったアーマーを奪うアルスの恐ろしさ、そしてそれにも負けずコアガンダムの「可能性」を各アーマーから一部パーツを組み合わせることで対抗して見せたことに感動を覚えます。18話で「完璧な貴方」を語ったアルスに怒りを露わにしていたヒロトが彼に対しても冷静に対応出来るようになって嬉しいです。
- データの海で受け継がれていくもの
激戦の末ダブルオースカイメビウスとコアガンダムⅡの一撃でデータの海に還ったアルス。その結果幼い赤ん坊のようなELダイバーが生まれましたがメイ曰く「アルスではない」とのこと。さらにかつてイヴが付けていたイヤリングをメイが持っていることが判明しましたが、こちらもメイ=イヴというわけではないのがポイントですね。消えていった彼女らの生まれ変わりではなく、その「想い」が生み出した新たな命という結果であり、20話でヒロトが悟った「想いは繋がっていく」がこうして形になっていることがわかっただけでも見ている側としても救われたような気持ちにさせられます。何よりも嬉し涙を流しながら笑うメイに感動を覚えました。
さらにその後のチャンプ、カツラギさん、トーリさんのリアルでの会話から「データ化したエルドラの古き民の因子がELダイバーを生み出すきっかけになったのではないか」という仮説が出てきましたが、こちらも古き民=ELダイバーではないという考えが興味深いです。本作は徹底して「失ったものは帰ってこない」無情さをことを描く一方で、「”想い”や”願い”は消えずに受け継がれていく」希望を残してくれる作風なので見ている側としてもとても安心出来ます。
- 戦いの終わり、新しい始まり
長く苦しい戦いを終え平和を取り戻したエルドラ。ジェドをはじめとした戦いの中で犠牲になった人たちは戻ってこないけども、それでも前を向いて新たな一歩を踏み出すエルドラの住民たちの強さに胸を打たれます。
また印象に残ったのがヒロトたちがヒナタをエルドラを案内するシーン。*3ヒナタがエルドラに来られたことも驚きですが、何よりもヒロトたちが戦いの後もエルドラを行き来していることにちょっとした衝撃を受けました。こういった異世界作品は最終的にその世界に行けなくなるラストがありがちで、本作もそうなるのでないかと覚悟していただけに今でもエルドラに行ける終わり方にしたのは正直意外でした。(カザミとマイアが別れる展開にならなくてホッとしましたが)今後もヒロトたちビルドライバーズはGBNを通じてエルドラを見守っていく・・・・・・というどこか抒情的な終着点に爽やかさを感じますね。
そして前期OPの「リライズ」をバックにしたED後のラストシーンも印象的でした。アルスという司令塔を失い途方に暮れていたガードアイをカリコとザブンの2人が車に乗せていくシーンは「戦後に手を取り合う者たち」というイメージを浮かばせてくれます。戦いを終え傷つけあった憎しみを乗り越えていく様子は実に感動的です。最後の最後まで美しい余韻を残してくれた本作に拍手を送りたいです。最高の物語をありがとうございました!!
『ガンダムビルドダイバーズRe:RISE』総評
『ガンダムビルドダイバーズ』の続編としてネット配信で始まった本作。前作から大きく変わったシリアス寄りの作風に、これまでのビルドシリーズにはなかった異世界(正確には別の惑星)要素や遊び・ゲームだからこそ死人が出ない原則を大きく否定する世界観からビルドシリーズはおろかガンダム全体から見てもトップクラスのスケールでの物語が展開され、最後まで驚きと興奮を視聴者にもたらせてくれました。
先に評価点について語りたいと思います。
まず本作は何と言っても主人公をはじめとしたメインキャラクターの心情を丁寧に描写している点があげられます。これまでのビルドシリーズにあった「ガンプラを動かして戦う楽しみ」がほとんど描かれず、逆に「過去のトラウマからガンプラを楽しむ心を失った」主人公が出てくるという異色の作風で最初は戸惑いましたが、物語が進むにつれ主人公の過去が断片的に語られていき、19話と20話の過去編で一気に彼の絶望を伝えていく構成に慄く一方で思わず感心してしまいました。
主人公以外のメインキャラたちもそれぞれ何かしらのトラウマや問題を抱えていて、それを克明に掘り下げてから乗り越えていく展開を1つ1つ丁寧に描いていったことに好感を覚えます。13話で主人公たちがリアルで会い、戦いに向かう決意を固めてからの物語の盛り上がりもそこまでの彼らの成長をしっかりと見せてくれたからこその結果と言えます。過去に立ち止まってしまった少年少女たちが様々な困難を前に成長し、再び立ち上がっていく「再起(リライズ)」をやってくれたので、見ている側としても心地よく彼らを見守ることが出来ました。
また前作の無印ダイバーズとの繋がりや前作のキャラたちの扱いに関しても見事。物語の前半では接点があまり描かれませんでしたが後半に入ってからは一気に急増。前作のハッピーエンドの裏側で起きた主人公の悲劇だけでなく、「何故ELダイバーは生まれたのか?」といった疑問や黒サラの行方といった未回収の伏線の回答を次々と描写していく情報量の多さとその整合性には舌を巻きました。前作の消化不良だった点をほとんど解消する内容には膝を打つばかりです。そして24話での前作キャラが一堂に会するお祭り回は互いの株を上げ合う内容からこれまでの積み重ねを一気に解放していくようなカタルシスを味わえました。前作主人公たちの成長だけでなく彼らとの交流を経て1つの答えを得る本作の主人公たちの繋がりに思わず感動してしまいます。前作と本作、両方を合わせて『ガンダムビルドダイバーズ』という1つの作品として完成されたと言えましょう。
バトル描写に関しては主人公機のコアガンダムとプラネッツシステムの組み合わせが印象に残りました。小型の素体であるコアガンダムに分離したサポートメカが合体することで1つのガンダムになるという『AGE』のゲイジングシステムを発展させたような機体はガンプラならではのアイデア。毎回ドッキングやアーマー換装をしていく様子は見ていて非常に楽しかったです。2クールの内に太陽系モチーフのアーマーを全て出し切った弊害か1話くらいしか出番がなかったものもチラホラ見られましたが、どのアーマーも印象的な活躍シーンが用意してあったのは素晴らしかったですね。
また本作は「ゲームのミッションだと思っていたら実は本当の戦いだった」というどんでん返しが待っていたため、従来のビルドシリーズにはなかった「負けたら死ぬかもしれない緊張感」があったのも良かったですね。遊びではない実際の戦争だからこそ1話1話の戦闘に手に汗握るものがあり、だからこそ22話のマサキ救出シーンのような熱い展開を大興奮して見ることが出来ました。最早ガンプラアニメではなく普通のガンダムを見ている気分でした。
さてここからは本作での不満点と問題だと思った点。見たくない方はブラウザバックを推奨します。
前述の通り各人物の心情描写に力を入れていた本作ですが、それ故に前半の重苦しさや爽快感のない展開が気になりました。後半溜めに溜めたものが爆発する構成だったために前半の丁寧な作風がかえって退屈に感じてしまった点が否めないです。また実はゲームではなかったという真実が明かされるまでの謎のぼやかし具合も一気見する分には問題ありませんが、毎週見続ける際はどこかモヤモヤを感じてしまいましたね。
他にもガンプラ製作といった要素がほとんどなかったのも問題に思いました。*4仮にもガンプラアニメである以上、ガンプラを改造するなりするシーンをもう少し増やしてほしかったです。またGBN内でミッションを行うシーンが少なかったせいかこれまでのビルドシリーズで見られたモブキャラの謎の改造ガンプラがあまり見られなかったのも残念です。*5従来のシリーズにはなかったことに真面目に挑戦したこと自体は素晴らしいものの、結果それまでシリーズの楽しみが失われてしまったのはシリーズを見てきたものとしては少々惜しいと感じてしまいます。
では以下、各キャラクターについての所感です。
本作の主人公。「ガンプラを楽しめなくなった」というビルドシリーズでは異色の主人公であり、序盤の人と関わり合いになろうとしない性格からどちらかというとアナザーガンダムのキャラクターのように感じました。
当初はその暗い性格に困惑したものの、不器用ながらも困っている人を助けていく様子から根はお人よしでガンプラが好きであることが実感出来ました。そして回を重ねるごとに明かされていく過去の重さにはいつの間にか感情移入してしまいます。大切な人を失い絶望に呑まれながらも、新たな仲間と絆を得て最後に答えを見つけ出したことに感動を覚えましたね。
カザミ(トリマチ・カザミ)
本作屈指の成長株。お調子者で大言壮語が目立ち、チームを引っ張ろうとして逆に足を引っ張ってしまう問題児で現実でもいそうなそのウザさが特徴的です。序盤こそその言動と実力が伴っていない姿に見ていてキツいものがありましたが、7話をきっかけに少しずつ自分の問題に向き合っていき、最終的に仲間たちの中で誰よりも成長したことに感動しました。
どこまでも「等身大の少年」として描かれていて、死ぬかもしれない戦いに身を投じることに恐怖しながらもエルドラの人々のために戦う決意を固めるシーンはチームの誰よりも人間臭いと思いました。本作はヒーローごっこがしたくてGBNを始めた少年が本当のヒーローになるまでの物語だったとも言えます。
メイ
”元”謎多き女性ダイバー。感情の起伏が少なくミッションに参加した目的なども不明と前半最もミステリアスな人物でしたが、9話にてまさかのELダイバーであることが判明した時の衝撃は本当に大きかったです。最終話のイブのイヤリングを持っていた点も含め、ある意味で本作で最も重要なキーパーソンでした。
他のメンバーとは違い過去のトラウマといったものに無縁な一方で、人間ではないことからくるコミュニケーション不足や自分のアイデンティティ確立に悩み続けるなど、作中進行形で問題を抱えていたキャラクター。そんな彼女が仲間たちと協力することを知り、そこから少しずつ成長していく様子はベタながら見応えがありました。
パルヴィーズ(パトリック・アレクサンドル・レオナール・アルジェ)
本作のケモ枠その1。本名メッチャ長い・・・・・・メンバーの中でも1番の素人で前半はカザミの次いで苦戦する描写が多かったですが、問題を乗り越え技術的にも精神的にも少しずつ前進していく様子は見ていてほっこりするものがありました。
リアルは中東の大富豪(それどころか王族)の息子で車椅子姿で登場するなどゲームとのビジュアルの差が最も激しいキャラで、その姿も抱えている過去から来るものでした。他のキャラたちと比べると過去のトラウマに関して映像や口頭の説明のみですませているところがあって若干の説明不足を感じるものの、描写不足とはあまり感じませんでした。むしろ誰よりも深刻なリアルを抱えながらも誰かのために奮闘する健気さに心打たれましたね。
フレディ
本作のケモ枠その2。(何気にガンダム全体から見ても非常に珍しい外宇宙の異星人だったりします)ヒロトたちをエルドラに呼び寄せた人物であり人懐っこくかつ礼儀正しいキャラクターに癒されます。
本作においてはヒロトたちとエルドラを繋げる重要な役割を担っており前半はただの案内役に過ぎませんでしたが、後半に入ってからは自ら考え行動する成長ぶりを見せてくれました。特に25話で見せてくれたアルスへの言葉はフレディだからこそ口に出来たものだと思いました。彼もまた「ビルドダイバーズの1人」として立派に成長したことを実感します。
ムカイ・ヒナタ
メインヒロインの1人。主人公の幼馴染であることに加え、既にヒロトにはイヴという心に遺した少女がいる点から不遇な扱いを受けるかと思いきやそんなことはなく、最後まで彼を支える名幼馴染ヒロインぶりを発揮してくれました。
前半はヒロトの良き理解者として彼に助言を残し、後半からは彼の抱えているものを知っていく中でその上で応援する心の強さが印象的。特に21話にてヒロトのことを誰よりも知っているからこそ彼を送り出すシーンは必見です。戦いの場におらずともヒロトたちと共に戦ってくれたので、最終話でビルドダイバーズの一員だと名乗ってくれたことに喜びを感じましたね。
イヴ
メインヒロインの1人。前作においても重要な意味を持ったキャラクターで本編開始時には既に故人という衝撃的なヒロインでもあります。良くも悪くもヒロトに多大な影響を与えた人物で2人の過去を描いた19話と20話は本作を語るうえで欠かすことの出来ない重要な内容でした。「これからも誰かのために頑張れるヒロトでいてね」という言葉は当初彼を縛る呪いだったものの、最終的に彼を支える激励に変わるまでの過程は中々に感動的です。
結局復活することはないまま終わってしまいましたが、彼女の遺した想いがメイを生み出し、何よりヒロトの成長に繋がったことを考えると妥当だと言えます。ヒロトが救われたことによって彼女が報われて本当に良かったです・・・・・・!
さて最後まで盛り上がったまま最高の終わりを迎えることが出来た本作ですが、11月30日まで全話を無料で見られる模様。それまでの間何度も見返して新たな発見をしていきたいところ。
そして11月には『ビルドダイバーズ バトローグ』の配信が決定!まだまだ楽しみは終わらないことがわかって本当に嬉しいです。配信される日を楽しみに待っていく所存です。
ではまた、次の機会に。