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ウルトラマンZ 第19話「最後の勇者」感想

僕らの願い届く時

”A(はじまり)”が贈る”Z(おわり)”に込められた意味が明かされる────

ウルトラヒーローシリーズ 05 ウルトラマンエース

ウルトラヒーローシリーズ 05 ウルトラマンエース

  • 発売日: 2013/06/29
  • メディア: おもちゃ&ホビー
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • 時空より現れし怨念

 今回のZはいきなり「宇宙大怪獣 ベムスター」が登場したシーンからスタート。キングジョーとウインダムの激しい戦いが展開されるかと思いきや、空間がひび割れる怪現象と共に何かを察したベムスターがとっさに逃げ出すという形で終わってしまいました。(前回に引き続きまたこのパターンか・・・・・・)

 ウルトラシリーズのファンには割と見慣れた光景と化したひび割れから現れたのは「殺し屋超獣 バラバ」。異次元人 ヤプールが生み出した怪獣を超えた生物兵器超獣」の1体にしてかつてウルトラマンエースを一度下した経験もある存在です。*1今回のバラバはヘビクラ隊長曰く”ヤプールのエースに対する怨念が実体化した存在”らしくハルキの持つエースのウルトラメダルの反応したとのことです。

 そうしてハルキそしてゼットに襲い掛かって来たバラバですがこれがまぁ強いこと強いこと。いきなりデルタライズクローに変身したゼット相手に押されるどころか終始圧倒しており、初手でベリアロクを叩き落とし(ビルに突き刺さったまま無言で退場したベリアロクがひたすらシュール)そのままゼットをボコボコにする光景を見せてきました。素手でもグリーザとやり合えるくらいには強いデルタライズクローに反撃すら許さず徹底的に打ちのめすその強さはヤプールの怨念がなせる業でしょうか。怪獣よりも強い触れ込みの超獣としての風格を今回見事に魅せてくれたと感じましたね。

 

 

  • 銀河連邦はるかにこえて 光とともにやってくる

  バラバの猛攻の末オリジナルに戻ってしまい大ピンチのゼット。そんな彼の元にあのウルトラ兄弟ナンバーファイブにして、超獣退治の専門家「ウルトラマンエース」がついに登場!!『ウルトラマンA』タイトルコールのBGMと共に登場したエースの声を担当しているのはかつて主役の北斗星司を演じた高峰圭二(たかみね・けいじ)さん。A本編で声を担当した故・納谷悟朗(なや・ごろう)さんと雰囲気が似通ってきた演技に早速感動を覚えます。

 そんなエースの戦いぶりは実に見事。先手を打ったバラバの攻撃をパンチレーザーで跳ね返し、バーチカルギロチンで反撃、攻撃をウルトラネオバリヤーで防ぎつつスラッシュ光線で近づき、タリウム光線をすかさず決めるなど戦闘開始数分でいくつもの技を連発してくれました。他にもエースブレードアロー光線タイマーショットストップリングと多種多様の必殺技を披露してくれる様子は技のデパート」「光線技の達人」の異名の面目躍如といったところです。何よりエース特有のバタバタした動きを存分に見せつつ、カッコいいアクションを見せてきたことに演出の進化を感じます。

 また本作の主役であるゼットの活躍を残してくれた点も素晴らしかったです。ゼットがベータスマッシュに変身して戦いに参加してからはどちらかというとゼットをサポートするような動きを見せてくれました。特に「痛みやそれによる隙がない超獣の恐ろしさ」「超獣相手に攻撃の手を緩めないことの大切さ」を戦いながら教えてくれる様子はベテランならではの貫禄を感じさせてくれます。

 そして決め手はゼットのウルトラホーンにエネルギーを溜めて放つ「スペースZ」。エースがエースキラーを倒すために使用した「スペースQ」のゼット版といったところでしょうか。かつてウルトラ兄弟から貰ったエネルギーでその技を放ったエースが今度はエネルギーを渡す側になり、後輩に力を与える立場になった構図は何だか感慨深いものがあります。先輩ヒーローとしての威厳を損なわず、かつ現行のヒーローの活躍も奪わず逆に引き立ててくれる見事な活躍ぶりでした。

 

 

  •  誇り高き我の名を叫べ

 そうしてバラバを粉砕し戦いを終えたゼットとエース。そんなエースがゼットの「名付け親」であると明かされた時は本当に衝撃を受けました。以前からエースと何かしらの関係があるのではないかと噂されていたゼットですが、単なる親類ではなく名前を与えてくれた存在であるというのは上手い落としどころだと思いましたね。ウルトラの父に引き取られるまで孤児だったエース*2と同じようにゼットも孤児だったのだろうか、などと妄想が膨らみます。

 そしてエースがゼットの名前に込めた意味がまた素晴らしいものでした。地球の言葉で”最後”を意味するアルファベットのZから転じて、「この宇宙から争いを無くし、平和をもたらす”最後の勇者”となれ」という願いが込めたことを語るシーンには感動しました。かつて地球の子どもたちや若き炎の戦士に「優しさを失わないでくれ」と願いを送ったエースがこうして1人の若き戦士に戦いを終わらせてくれる想いを込めてくれていると思うと涙が零れ落ちてしまいます。またゼットもその名を大切にしてくれているからこそ「ご唱和ください、我の名を!!」というセリフを使っているのかと思うとさらに涙が溢れそうです。先輩ヒーローと現行ヒーローの最高の関係を見れて感無量です。

 

 

 というわけで以前から期待されていたウルトラマン”AtoZ”を実現させてくれた見事な客演回でした。他のウルトラ兄弟と比べると取り沙汰されることがあまりないため若干不遇の印象が強かったエースにこうした活躍の場を設けてくれたこと、何よりゼットのキャラクターを深める設定を引っ提げてきたことにはもう感謝しかありません。それ以外にもバラバ撃破後その力に魅せられたユカや何かよからぬことを考えていそうな顔をしていたヘビクラ隊長など、今後の展開を予感させてくれる布石もあってワクワクしてきます。その点も含め最初か最後まで興奮しっぱなしの神回だったと言えますね。

 

 

 さて次回は特別編。(今回は影が薄かった)ベリアロクが物語を振り返るとともに歴代の師弟ウルトラマンを見ていくようです。要するに列伝方式の総集編になるようですが、何かとキャラの濃いベリアロクが解説してくれるようなので案外楽しめそうです。ベリアルとはまた違ったトーク力を引き出してくれるのを期待したいですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。

*1:ウルトラマンA』第14話で描かれたその対決はヤプールウルトラ兄弟を人質に取ってエースが反撃出来なくなった隙をついて勝てたようなもので、それ以前でのエースとの戦いではむしろ劣勢を強いられていましたが。

*2:ウルトラの父と母の養子”という設定のため、その息子のタロウとは”血の繋がらない兄弟”であり、そのまた息子のタイガとは”伯父と甥”の関係に当たる。