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仮面ライダーセイバー 第26話「深き闇、剣と共に。」感想

絶望の未来を前に、雷は闇に堕ちる

セイバーは大昔から続く内ゲバの物語だった・・・・・・!?

仮面ライダーセイバー RKF 仮面ライダーカリバー ジャオウリードセット
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • 暗き未来を視た者

  前回のラストでカリバーの正体が賢人であることが判明した後、賢人と玲花それぞれが退散したノーザンベースを片付けるシーンから始まった今回のセイバー。以前の明るかった頃とは比較にならないほどに表情に暗い影を落とす賢人の変わりようにも驚きましたが、それ以上に彼が闇黒剣を通じて見た未来というのが中々に印象的でした。

 賢人の見た未来はその全てが聖剣と本が揃ったことで世界が消滅するというもの。仲間と共に戦ってメギドに勝利したり、敗北するなどの経緯の違いはあれど最終的には必ず世界は滅んでしまう非常にショッキングな結末でした。ありとあらゆる未来と同じ末路を見て悲鳴を上げていく賢人の回想はとても辛そうです。(早回しで何度も地球が消滅していくシーンはシュールでしたが)というか「いくらループしても最悪の末路からは逃げられず心が折れかける主人公」を描いたアニメをいくつか直近で見ていたので、似たような境遇に陥っている賢人にはついつい強く感情移入してしまいます。みんなで力を合わせて戦っても未来は変わらず、何をしても滅びは避けられないなら混乱の元である聖剣そのものを封印すればいい、と思い至ってしまうのも仕方ないとすら思えましたね。

 

 そんな賢人と飛羽真のすれ違いがまた切ないです。過酷な目に遭ったことで荒んでしまったものの1人で抱え込んでしまう悪癖は相変わらずな賢人に対していつものように寄り添おうとする飛羽真ですが、賢人にはそれすら無駄だと思われていて相手にされていないシーンはちょっとした衝撃でした。恐らくこの場面で飛羽真の手を取る選択をしたものの、結局世界が滅んでしまった未来も見てしまったことが予想出来ます。聖剣を封印する以外に道はないと追い詰められている今の賢人には飛羽真の言葉が届かないと思うと非常に悲しいです。そのうえこれまでエスパーダのキメ台詞であった「これで話は終わりだ」が飛羽真の想いを突っぱねる言葉になってしまったことも一連の悲壮感に拍車をかけています。

 極めつけは飛羽真にプリミティブドラゴンに変身して賢人に飛びかかっていくシーン。建物のスプリンクラーが作動して水が降り注ぐ中、悲痛な叫びをあげるセイバーは絵になるなぁ、と思ったと同時に非常に心苦しくなりました。降り注ぐ水が飛羽真の心情をそのまま表しているかのような表現がまた悲しいです。最悪の未来を前に絶望してしまった賢人と、最高の親友にその手を振り払われた飛羽真に同情してしまう内容でした。

 

 

  • 明かされる“はじまり”の歴史

 そんな本筋とは別に今回最も重要だと感じたのがユーリが語った昔話。 そもそも聖剣を封印出来るのか?という疑問が出てきてことに反応して語られたもので、かつて現実世界とワンダーワールドを繋げた1人の女性と彼女と共にワンダーワールドに降り立った5人の人間がいた、という大昔の話でしたが、その内容が中々に衝撃的でした。

 その5人の「はじまりの人」のうち、1人はワンダーワールドを守護するために留まる選択をし、1人は現実世界を守護するためにソードオブロゴスを結成、残る3人は全知全能の書の力の誘惑に負けメギドと化した・・・・・・・・・・・・つまりそれぞれタッセルマスターロゴス、そしてストリウスたちメギド幹部であることが判明し思わず仰天してしまいました。あまりの情報量に様々な感想が湧いて出ましたが、まず作品世界の根幹を為す重要な話がここにきてあっさりと語られたことに動揺を隠せません。

 

 最初にこれまで全くわかっていなかったタッセルの正体があっさりと明かされたことが驚きですね。それも本作の世界観に関わるほど重要な存在であったことはかなり意外でした。これまでの感想にも書きましたが、本作の外に存在するメタ的なキャラクターだと個人的に思っていただけに、このストレートな答えには意表を突かれた気分です。ビクトール」という本名も判明しサウザンベースのマスターロゴスに直接会いに来るなど本格的に物語に関わってきたことに少々ワクワクしてしまいます。

 さらに彼とマスターロゴスとの関係も明かされ、しかもローブを下ろした素顔が23話で飛羽真とストリウスを引き会わせた青年だったこともわかって驚きました。現マスターはタッセルらと違い初代マスターの後を継いだだけではじまりの人ではない、というのもちょっと興味深いですね。(タッセルが未だ健在なのはワンダーワールドと現実世界は時間の流れが異なるとかでしょうか)それだけでなく、現マスターの目的が全知全能の書を手に入れて世界を書き換え、支配者になることだと当人の口から語られた時はこれまた意外に思いましたね。ここまで不穏な行動を見せており、上條の言う「真の敵」候補であったマスターが実際に黒幕染みた存在だったというのは前述のタッセルと同じくかなりストレートな正体で、捻った答えを予想してた身としては何だか肩透かしをくらったような、はたまたシンプルな答えに安心したような複雑な気持ちになってしまいます。

 最後にメギド幹部の3人がタッセルらと共に最初にワンダーワールドに来た人間だったことについて。こちらは以前から彼らが元々人間であることを仄めかすようなシーンがいくつかあったのでそこまで意外ではなかったですね。(タッセルと関係があるのはさすがに予想外でしたが)これまで漠然としていた「世界を書き換える」という目的も、前述のマスターの目的とほぼ同じものと見て間違いない無いでしょう。

 問題は彼らがタッセルと初代マスターの同志(?)であることが語られたことで、本作の戦いの歴史は元々が身内同士による内輪揉めであることが明らかになってしまったことですね。現在飛羽真陣営とソードオブロゴスによる仲間同士の戦いが印象的になっていますが、元を辿ればメギドも含めて全員身内で争っているに過ぎないことがわかった時は何だか脱力してしまいまいました。人間と怪物の戦いかと思っていたら実は人間VS人間の戦いだった、という展開は割とありがちでそこまで珍しくもないのですが、身内同士で争ってないで本当の敵と戦えと思っていたらその敵も身内だったことという事実には何とも言えない気分にさせられます。

 しかしメギドもソードオブロゴスがそれぞれ対立する一方で飛羽真だけは仲間とわかりあおうとするスタンスを貫いていることが改めてわかったことは好印象。誰もが自分たちの目的のために争いあう中、誰かのために戦おうとする飛羽真こそがこの物語の鍵になっていくだろうとも考えられます。前述の通り今回は賢人に拒まれてしまいましたが、それでも諦めないであろう今後の彼の活躍に期待したいですね。。

 

 

 さて次回はプリミティブドラゴンの中にいる少年との対話がいよいよなされる模様。賢人とはわかりあえなかったもののこの少年とはどうなるのか、次回の飛羽真の行動についドキドキしてしまいます。そしてセイバーの新たなフォームも登場!プリミティブドラゴンを制御した姿であろうその新フォームで怒れるレジエルを倒す瞬間が楽しみです。

 

 

 ではまた、次の機会に。