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ゴジラ S.P<シンギュラ・ポイント> 第1話「はるかなるいえじ」感想

日常は静かに狂い始める

全く新しい怪獣王の物語が目を醒ます────

ムービーモンスターシリーズ ゴジラウルティマ -ゴジラS.P-

ムービーモンスターシリーズ ゴジラウルティマ -ゴジラS.P-

  • 発売日: 2021/03/06
  • メディア: おもちゃ&ホビー
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ついに始まりました、ゴジラシリーズ最新作『ゴジラ S.P<シンギュラ・ポイント>』。シリーズ初の連続テレビアニメということで以前から期待していましたが、いざ1話を見てみたら期待以上のものが出てきて大興奮しました。というわけで今回は1話の気になった点に触れていきたいと思います。

 

 

  • 日常を侵食する異常(怪獣)

 本作は千葉県の普通の港町が舞台ということでパッと見非常にのどか。と見せかけて、冒頭から謎の洋館、謎の地区管理局、そして謎の曲ととにかく「謎」だらけのエピソードでした。町で普通に暮らしていたと思ったら不可解な電波を調べていく中で不穏な“何か”に触れていく、そして終盤突如翼竜が姿を現す流れを見た時は衝撃を受けました。ラストに挿入された巨大な生物の骨を見た瞬間に至ってはあのBGMも相まってテンションが上がりましたね。

 何の変哲もない日常の歯車が徐々に狂いだし、怪獣の出現と共に物語はパニックへと突入する様子はまさに「怪獣映画」の展開そのものです。Jホラーにも通じるこの「非日常が日常を浸食していく」感覚をアニメでやってみせたことに感動しました。初っ端からこれはすごい作品だと確信します。

 

 劇中で提示された謎についても印象に残ったものが多いです。個人的に気になった謎を箇条書きにしていくと・・・・・・・・・・・・

 

  • 洋館で流れていた謎の曲(劇中でインド民謡であることが判明しましたが、ゴジラ作品で「音楽」=「歌」といえば小美人関連か・・・・・・?
  • 洋館の持ち主は何者なのか(ユンの推理からして「非科学的な何か」を追っていたように思える)
  • オオタキファクトリーのおやっさんは何故「ジェット・ジャガー」を作っているのか(「宇宙人が攻めてきた時に備えて」という言葉は本当に酔狂なのか?この人は何かの予兆を感じ取っているのではないか
  • 管理局の謎(軍は戦中に何を研究していたのか)
  • 怪獣はどこから現れたのか(恐竜染みた見た目からして太古の昔から存在する可能性大)
  • 舞台となる「逃尾市」の伝承について(上記の怪獣の件といいこの伝承が生まれた頃には怪獣が存在していた?

 

 といった感じにこれだけ思い浮かびました。それだけ膨大な謎にワクワクさせられたとも言えます。これらの謎の真相について考察・妄想するのが既に楽しかったりしますね。

 

 

  • オタクで変人な人々

 また本作は主人公2人がやたら“変わっている”のが印象に残りました。男主人公の「有川ユン(アリカワ・ユン)」はプログラミングに精通していて推理も特異な天才肌。しかし人付き合いが苦手そうな典型的な「機械オタク」で実にらしい変人キャラクターでした。警官の質問を代わりにAIに答えさせようとする辺り人との接し方がわからないのであろうことがよくわかります。(実際劇中でオオタキファクトリーの仲間以外には顔を合わせた描写がなかったですし)

 対する女主人公の「神野銘(カミノ・メイ)」は“空想生物”を調べているという変わり者の大学院生。初対面の人とも普通に話せるなどユンと比べるとまだ普通に見えますが、要所要所で見せる好きなこと以外はズボラ、抜けているとも言うべき「ゆるさ」が印象に残りました。突如送られてきたAIに文句を言いながらも「ペロ2」という名前を与えて何だかんだ受け入れている辺り、彼女もまた常人とは違う感覚を持っていることが読み取れます。

 そんな変人2人がこの先どのように絡んでくるのかは結構気になるところ。電話越しの初対面は見事に印象最悪で終わったしまった中でどうやって行動を共にするのでしょうか。個人的には両者と接点がある「加藤侍(カトウ・ハベル)」が仲を取り持ってくれるだろうとは思いますね。

 

 他のキャラクターも非常に濃かったですね。オオキタファクトリーおやっさんや管理局の局長など、何を考えているのかわからない不気味さに満ちていました。以前公開されたPV2を見た際に抱いていた「下町人情アニメみたい」というイメージが彼らの存在のおかげで大きく覆ったように思えます。この一癖も二癖もありそうな輩たちが巻き起こすことに既に期待大です。

 

 

 個人的なここすきポイントとなったのが終盤に登場した怪獣「ラドン」。本作のラドン翼竜ケツァルコアトルスに似た風貌(ちなみにメタレド母は「ハシビロコウに見えた」とのこと。言われてみるとそれっぽい)で、これまでの“怪鳥”のイメージとは大きく異なるデザインに驚かされました。大きさも10数メートル程しかないなどゴジラ作品の怪獣としてはかなり小柄ですが、むしろこれくらいの大きさの方がかえってリアルな恐怖が感じられるようにも思えます。土煙の中ユンの目の前に現れ、いつもの鳴き声で威嚇してきた時は鳥肌が立ちましたね。

 一方で登場時のラドンの明らかに飛び慣れていない様子は恐怖とはまた違った感情を抱かせてくれました。町の上空で飛んでいる途中で高度が下がってビルの屋上に擦れた時にはちょっとハラハラしましたし、ビルの上の建造物に乗っかって一休みしたかと思ったら建造物が壊れてそのまま落っこちるシーンには笑ってしまいました。建造物が傾いたと同時に「あれ、何かおかしいぞ?」とでも言いたげに首を傾げる姿には愛嬌すら感じられます。自分の生きている時代にはなかったであろう町の存在に慣れずに戸惑う、可愛らしいラドンに意表と突かれたと同時に萌えてしまいました。次回はこのラドンくんがどのような可愛い姿を披露してくれるのか楽しみです。

 

 

 というわけでゴジラSP1話の感想でした。1話の時点で語りたいことが盛りだくさんでとにかく楽しかったです。ゴジラそのものは登場しなかったものの(ラストの骨は恐らくゴジラなんでしょうが)、視聴していく内にこれはゴジラだ・・・・・・!という感想に至らせる構成には感心します。早くも今季アニメの中でも個人的なトップクラスのお気に入りに入りましたね。

 

 

 ではまた、次の機会に。