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ゴジラ S.P<シンギュラ・ポイント> 第8話「まぼろしのすがた」感想

異なるものを“繋ぐ”もの

ペロ2とユング、どこで差が付いたのか(子どもの扱い的な意味で)

ゴジラ対ヘドラ

ゴジラ対ヘドラ

  • 発売日: 2014/04/23
  • メディア: Prime Video
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • 放たれし熱線と繭

 今回のゴジラSPは東京に上陸したゴジラ迎撃作戦からスタート。劇中では「駆除作戦」と呼称されていましたが、怪獣相手にその言葉を使うのは少々違和感があります。これはやはりこの作品世界においては怪獣はまだ大きな猛獣止まりの認識ということなんでしょうか。それはともかく、前回に引き続きぞろぞろと並んだ戦車がゴジラに向けて砲撃を繰り返す、怪獣映画らしい光景が展開されて早くも興奮しました。

 そんな砲撃の雨を受けていた「ゴジラ・アンフィビア」(バランそっくりですね)が冷気を纏ったガスを吐いたかと思いきや、巨大な熱線を吐いて大爆発を起こすシーン*1にびっくり。これはもしや?と思わせてからの待望の熱線にはこれまたテンションが上がりましたね。口から何か光線を吐く、というだけでも他の怪獣との格の違いを見せつけているように思えます。

 そんなアンフィビアが熱線を吐いた後、炭素に包まれてしまったのも正直意外です。身を守るために体を包み込んだのか、とも思いましたが、劇中の説明を聞く限りだとさらなる形態へと進化するための“繭”の役割を果たしているのではないか、というのが正解のようですね。さながらサナギから成虫へと変態していく虫のようです。ここまでならその役目はモスラに譲るべきではないかとも考えますが、ラドンのような「別種の生物としか思えない進化」を見てきたおかげかそこまで違和感はありません。むしろここからゴジラがどのように進化していくのかワクワクしてきましたね。

 

 

  • 平行同列の世界

 葦原が遺したものを追う銘サイドではようやくロンドンに到着。李博士に案内された建物が葦原がかつて暮らしていた住居だと明かされた時は興味深いと感じました。というのも壁のいたるところに飾ってある仮面などのオブジェ、さらに研究資料をまとめた書庫の雑多さが1話で登場した謎の洋館そっくりだったからですね。劇中でもペロ2が「思いついたものを手当たり次第に書き留めている」とユンのような評価を下していた辺りに葦原のキャラクターが見えてきます。

 そして葦原に最も近い場所にいると言われた銘が辿り着いた答えの1つも実に面白いです。未来を予測する演算機能を持った超計算機を時間の屈折で成り立たせる理論を既に解き明かしていた葦原の考えが銘の気付きでさらなる答えへと向かったようなシーンは非常にそそられます。特に葦原の描いた無数の目のような絵を見て銘が「これがそれぞれ1つの“宇宙”そして“特異点”なのだとしたら・・・・・・」と考える様子には鳥肌が立ちました。これはもしや超計算機とは異なる平行世界を繋げて構築されているのではないか・・・・・・?と考えてしまいます。それ以外にも銘は何かの仮説を立てたようですが、それは次回明かされるのを待ってみたいと思います。

 

 

  • 大蜘蛛より出でし害あるもの

 一方いざゴジラ退治に向かう途中だったオオタキファクトリーの面々はまさかの「クモンガ」退治をすることに。実写のクモンガがアシダカグモのような足の長い見た目だったのに対し、本作のクモンガは足が短いイエグモのような姿をしているのが特徴的です。しかも甲虫を思わせる硬そうな外皮から蜘蛛以外にも別の虫の要素があるのではないか、と思わせます。(個人的にはメガロにも見えました)ユングが搭載されたおかげで劇的に頼もしくなったジェット・ジャガーに圧倒されるものの、数の脅威でユンたちに襲い掛かる様子はさながらモンスターパニックものらしかったです。

 そしてそれ以上に衝撃を受けたのがクモンガの死骸から「ヘドラ」が出てきたラストですね。青い体液がスライムのように寄り集まってきてPVでも一瞬登場した青いヘドラになった時は開いた口が塞がりませんでした。虫の怪獣からゴジラシリーズきっての独特な公害怪獣が出てくるという発想も今までになかったので、これまた意表を突かれた気分です。パッと見る限りヘドラがクモンガに寄生していたように見えますが、もしくはこれも前述のゴジラと並ぶ「進化」なのでしょうか。予想外の組み合わせに驚きつつもこの2体の関連性について早く情報がほしいですね。

 

 

 というわけで今回は本作の怪獣の意外性に翻弄される内容でした。こちらの予想をいい意味で裏切ってくる展開が非常に面白いですね。

 また超計算機同士の“競合”についても触れられていたのが印象的でした。同じ機械でも個性が与えられている場合、違う答えを出して争ってしまうというのは中々に興味深いです。例としてペロ2が「犬と猫どっちがペットに相応しいか」という話題を出してくれたのもあってかなりわかりやすかったですね。実際今回ペロ2とユングがそれぞれ子どもたちを触れ合うシーンがあるのですが、

 

  • ペロ2:なだめていた子にキャメルクラッチされるなど子どもに翻弄される
  • ユング:子どもたちと仲良くなりいっせーのせで全戦全勝する

 

 といった風に同じAIでも子どもたちとの関係構築が全く異なっているのがわかります。それぞれ違う形で他者と接してきたからこそ生まれる機械の「個性」がここにあると感じましたね。特にユングジェットジャガーになってから自我らしきものを獲得しつつあるようです。シンギュラリティに達しようとしているユング、そしてペロ2こそが物語の鍵になりそう、なんてことを考えつつこの2体の今後に注目していきたいと思います。

 

 

 ではまた、次の機会に。

*1:言うまでもなくシン・ゴジラ』のオマージュであろう。