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仮面ライダーセイバー 第38話「聖剣を束ねる、銀河の剣。」感想

“聖”なる“刃”が想いを繋げる

剣士たちの心が集う時、誰も知らぬ物語が生まれる────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • 溢れ出す親子の“想い”

 前回のラストにて、飛羽真の言葉に揺れ動く賢人の前に金色の鳥が現れましたが、その正体は案の定賢人父こと隼人でした。曰くワンダーワールドの守護者(タッセルか?)に助けてもらったとのことですが、これまでも何度か登場していた鳥として実は生きていたという事実はちょっと意外です。今まで何故賢人に話しかけてこなかったのか、という疑問も湧いてきましたが、よくよく考えるとこれまでこの鳥はワンダーワールドでしか出てこなかったので、恐らくはワンダーワールドからは出られず、賢人に会いに来れなかったのだろうと思います。

 そんな息子と久々の再会を果たした隼人の言動は子の成長を喜ぶ親そのもので、これまでの裏切り者としてのイメージから大きく離れていて驚きました。月闇とイザクによって運命を狂わされてしまっただけで、実際は心優しい普通の父親なのでしょうね。尾上さんもそうですが、こういった子供を想う父親ライダーは見ているだけでほっこりします。剣士たちが集合して聖剣の一撃を放つシーンでも、本来の闇の剣士として舞い戻ったと思えて興奮しましたね。でも個人的に月闇は上條さんが使っているイメージが強いので彼に放ってほしかったかも。

 父親に対してこれまでの感情を吐き出す賢人の様子も印象深かったです。親友の飛羽真の前ですら自分をさらけ出せない彼が本音をぶつけられる相手が父親、というのはなるほど理にかなっています。今まで思っていた父への恨みや寂しさを子供のようにぶつける賢人にホロリとくると同時に、ようやく言いたいことが言えたんだね、と嬉しく感じましたね。

 そうした会話を経て、最後の父の叱咤激励を受けることで黄雷を抜く賢人のシーンで見事にテンションが上がりました。「お前が信じる道を進め」という言葉に従い、ようやく彼が真っ直ぐに戻れたのだと思うと涙が出てきます。飛羽真にユーリ、倫太郎といった面々の説得を受け、最後に父親との対面で己を取り戻す流れも非常に綺麗です。ここまで長かった分、丁寧に描き切った賢人の物語に拍手を送りたいです。

 

 

  • 不死者の“想い”を貫く

 今回もう1つ見どころだったのが飛羽真とバハトの対決ですね。世界と剣士憎しで行動しているバハトが完全にイザク側についている中、「自分以外の人と力のせいにするな」とはっきり言い放つ飛羽真には驚かされました。悲惨な過去を持つ相手にその言い方はあんまりではないかとも思いますが、バハトがどこまでも過去の絶望に執着していることを考えるとこれくらいバッサリ切り捨てるのがいいのかもしれません。(また飛羽真はバハトの過去の悲惨さを知っているからこそ、彼の現実逃避に憤っているのがわかります)

 そうした問答と激闘を経て、飛羽真に敗れたバハトが潔く消え去っていくのも良かったです。バハトが飛羽真の説教を受け、見放した人間をもう一度信じて見ようと思う形で消滅するのは中々に綺麗な流れだと感じました。(倒れる瞬間に前回色々あった芽依の方を見て笑うシーンが今回のここすきポイント)ただ倒すのではなく、相手の想いを感じ取ったうえで引導を渡す飛羽真のやり方がバハトに届いたことがわかり喜ばしいです。

 何より35話でのバハトの扱いに不満を抱いていた身としては、今回きちんと退場させてくれたことに満足感を覚えますね。若干急な展開にも感じましたが、それでもかなり丁寧にやってくれたと思います。映画のゲストキャラから本編出演という破格の扱いを受けたバハトの物語のラストとしてはお見事だったと言えるでしょう。

 

 

  • 煌めく銀河を纏いし極星の剣士

 

ブレイブドラゴン!

 

聖刃抜刀!

 

刃王剣クロスセイバー!

創生の十字!

煌めく星たちの奇跡と共に!

気高き力よ!勇気の炎!

 

クロスセイバー!

 クロスセイバー!!

 クロスセイバー!!!

 

『交わる、十本の剣!!』

 

 聖剣の力を束ね完成した新たな聖剣「刃王剣十聖刃(ハオウケンクロスセイバー)」をソードライバーにセットし、抜刀することで飛羽真が変身した「仮面ライダークロスセイバー」。お待ちかねの本作の主役ライダー最強フォームです。本作のライダーはこれまで新たなライドブックによって強化フォームへと変身してきましたが、今回は何と聖剣が強化アイテムとなっています。ベルトは変わっていないものの聖剣そのものが違うからか、厳密には別ライダーとしても扱われる特殊な形態でもあります。(ある意味前作の最強フォームと同じですね)聖剣が最重要アイテムとなるのは剣士ライダーらしくて結構好きですね。

 そうして変身した姿はブレイブドラゴンを青みがかったボディへと変えたような見た目。(頭部の剣を模した角の部分のみ造詣が異なる)ほぼほぼブレイブドラゴンと同じなのであまり目新しさはないのですが、星々を想起させる光の意匠とグラデーションが非常に綺麗で素敵です。またエレメンタルプリミティブドラゴンまで順調にゴテゴテしてきた中、最後の最後にブレイブドラゴンと同じスマートな姿になる進化の過程が興味深いです。前作とゼロツーと同じように、“シンプルさ”を推したデザインと言えます。

 戦闘能力は最強フォームらしくとても高いです。特に初変身の直後に崩壊しかかっていた世界を元に戻すという、世界規模の能力を使った時は衝撃を受けました。とうとう世界そのものに作用する能力持ちのライダーが来たか・・・・・・と来るところまで来た本作のインフレ具合を思い知ります。そういった能力以外にも、十聖刃から歴代の聖剣の力を行使出来る点も非常に強力。しかも複数の力を同時に発動させられるようで、翠風と錫音の力を共に発動した時は戦闘シーンの派手さもあって息を飲みました。ソロモンが召喚した巨大ロボ軍団をあっという間に全滅させる強さもかなりのもの。最強フォームに相応しい活躍っぷりだったと思います。

 

 

 というわけで最強フォームのお披露目回でした。相変わらず1話にかなりの内容を詰め込んでいますが、今回は手堅くまとまっていてかつ熱い物語が展開されていたと思います。久しぶりに登場したストリウスにバハトがいなくなった後に虚無をこっそり奪っていったデザストの動向など、メギド側の動向など気になる要素も多かったです。

 とりわけ今回は“想い”の物語として仕上がっていたのが上手かったですね。賢人と隼人の親子の“想い“の語り合いに飛羽真とバハトの“想い”のぶつかり合いが描かれ、最後に剣に“想い”を乗せる剣士たちの物語に着地していくストーリーには膝を打ちました。(剣士ではない偽りの支配者故、剣に“想い”が籠っていないイザクとの対比になっているのもグッド)そうした想いが重なり合った結果、最強の聖剣が生まれるという流れもテンションが上がります。本作はライダーという名の、剣士たちの“想い”の物語であることがよくわかる回だったと言えますね。

 

 さて次回はどうやら飛羽真がイザクに何かを聞き出す模様。確かに最強フォームの登場で戦況が一変したにも関わらず、平然としている彼(今回玲花に「元マスターロゴス」と呼ばれたのが個人的にツボ)が何を考えているか気になります。主人公とラスボス候補がどのような会話を繰り広げるのか見ものですね。それにしても予告で見せた桃太郎姿の連中は何をしてるんだろうか・・・・・・?

 

 

 ではまた、次の機会に。