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2021年アニメ映画簡易感想

 

 

 東京の映画館が営業再開してからはや数か月。多くの人が映画館に足を運んだことでしょう。かくいう僕も見たかった映画がたくさんあったので、この数か月の間何度も映画館に行きました。待っていた映画や気になる映画、色々ありますがどれもキチンと楽しめましたね。

 そういうこともあって今回は最近観に行ったアニメ映画の感想を書いていきたいと思います。それぞれ微妙に長いのですが、読んでいただけたら幸いです。

 

※ここから先は映画の内容に触れているのでネタバレ注意!!

 

 

 というわけで以下、今回の映画感想です。

 

 

 

 

 

 

 

劇場版 Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット- 後編 Paladin; Agateram

 FGO1部6章であるキャメロットの映画後編。前編の方も映画館で観て、後編がどうなるのかと待ちわびていたのでようやく見れて嬉しかったです。

 そんな本作ですがまずバトルシーンの激しさに惹かれました。序盤のランスロット戦でキャプテン・アメリカよろしく盾をブンブン投げまくるマシュに驚いたのは序の口、後半になるにつれて戦闘シーンがとんでもない作画と動きで描かれるので終始圧倒されました。オジマンディアスの宝具解放シーンの作画に痺れたり、直立不動で走りながら壁を突き破るガウェインのシュールさに思わず吹き出してしまうなど様々な感情を抱きながら見られたのでとても楽しかったです。

 作画だけでなく原作ゲームでは描かれなかった要素も魅力的でした。中でもランスロットVSアクラヴェインのバトルは原作ではどうなったのか不明瞭なままだったので、詳細がしっかりと見れたのはとても嬉しかったです。ランスロットの円卓最強の実力をはっきりと確認出来ましたし、それに対抗するアクラヴェインの能力にも納得がいきました。

 またモードレッドの相手を三蔵ちゃんが務める本作オリジナルのマッチアップには感心しましたね。自分の存在と罪を戦いの中の死で払おうとするモードレッドを、人に寄り添う三蔵のスタイルが優しく包み込む形で決着をつける采配は非常に上手いです。「罰はその人を救うためにある」という三蔵の言葉はある意味でモードレッドだけでなく円卓の騎士たち全員に必要なものだった、とも取れるシーンでした。

 そして前編も含めた感想になりますが、この映画はベディヴィエールの心情を中心として再構成されていた点が面白かったです。ベディの視点で物語が進むため、藤丸たちとの出会いをきっかけに少しずつ自身と向き合っていく彼の変化と成長を見事に感じ取ることが出来ました。死ぬことに対する恐怖を拭いきれないままでも王の笑顔のために進むシーンは涙なしでは見られませんでした。罪の重さに押し潰されそうになる中、前に進み続ける者たちを見て覚悟を決めていく騎士の生涯を綴った6章の映画としてはわかりやすく仕上がっていたと思います。

 あとはマシュの前ではしおらしくなるランスロットや悲痛な想いで自らの目を潰すトリスタンといったシーンがどれも印象的。中でもベディから聖剣を返還してもらった獅子王がその聖剣を構えるシーンは本作屈指のここすきポイントでした。Fateの顔であるセイバーといえばこれ!と言えるポーズを獅子王がやってくれたというだけで感無量です。そういった点も込めて中々に楽しめた映画でしたね。

 

 

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ

 冨野氏がかつて執筆した小説を原作としたガンダム作品の映画化。僕は原作の小説の方は未読のまま観ることになりましたが、逆襲のシャア』の後の話ということもあって割とすんなり見ることが出来ました。

 物語としてはブライトさんの息子・ハサウェイが地球連邦の腐敗を正そうとするテロリスト集団のリーダーとして現体制に立ち向かう・・・・・・という『OO(ダブルオー)』を彷彿とさせる部分がありますが、ハサウェイの苦悩や世界の悲惨な現実を押し出しているのもあって割と苦々しい雰囲気の残る内容でした。

 そんな作品でハサウェイをはじめとして様々な人物が登場しますが、その多くが二極に分かれているように見えました。「レーン・エイム」のような自身の感情に忠実に動く者、「ケネス・スレッグ」のような自身の感情を抑えながら動ける者といった風に分けられます。(仮に前者を「子ども」、後者を「大人」と例えておきます)

 その中で二極に分けきれない存在なのがハサウェイとヒロインの「ギギ・アンダルシア」の2人。ギギは全てを見透かす妖艶な美女のように振る舞っていたかと思えば、年相応の少女のようにはしゃいだり泣き叫んだりする様子が見られました。2つの顔を見事に使い分ける彼女の底知れなさが実に印象的でしたね。(MS戦に巻き込まれ取り乱したと思ったら、保護された直後にスンと大人しくなるので中々に強かです)

 対するハサウェイは高すぎる理想と同時にそれを止める理性も働く不安定な若者として描かれていたのが興味深いです。地球の保全という目的を掲げているものの否定してくる世界に憤りながらも迷う様子が特徴的で、青臭さと律する精神が同居しているように思えます。タクシーの運転手との会話で少々ショックを受けたようなシーンからもそれが読み取れます。敵対者に対して容赦なく振る舞い切れていませんし、「子ども」と「大人」の間で揺れ動くハサウェイの心境を綴っているように感じました。本作はある意味でハサウェイを中心としたジュブナイル作品だと思いますね。

 目玉であるMS(モビルスーツ)戦は市街地での被害が印象的。巨大な兵器が街中で戦闘を行うことで起きる被害の大きさをハサウェイ視点でまじまじと体感出来ました。逃げ惑う民衆が動かなくなるシーンが生々しく凄惨で、戦争の恐ろしさを感じさせてくれます。ハサウェイの眼前に広がる火花が戦争であっけなく消えていく人の命を示しているようにも思えます。

 それでいてMS同士のバトルは激しくて見応えがありました。特に終盤繰り広げられたΞ(クスィー)ガンダムVSペーネロペー異形のガンダム対決は重力下であるにも関わらずビュンビュン自在に飛び回るので大興奮しましたね。惜しむらくは画面が暗いせいで全体的に見にくかったことでしょうか。全編通して夜の暗闇の中で戦うので、何が起きているのかわからないシーンがいくつかありました。演出上仕方のない点ではあったのはわかりますが、出来る限り光を増やして見やすくしてほしかったと思ってしまいます。

 3部作の1作ということで実質物語全体の触れ込みが基本でしたが、それでも十分に楽しめる内容でした。ヤングアダルトなハサウェイを中心としたキャラの魅力にすっかりハマってしまいましたね。次回はいつ公開されるのか未だ明らかになってはいませんが、楽しみに待っていたいと思います。

 

 

映画大好きポンポさん

 公開前からテレビで流れていたCMを見て、以前から気になっていた作品。聞けば本来は深夜アニメとしての企画だったものの頓挫、作者がpixivなどで漫画としてアップした結果話題になりアニメ映画化にまでこぎつけたとのこと。一度倒れた作品が不死鳥のように復活する、創作のような出来事が現実で起きたという事実に震えます。

 肝心の内容はわかりやすく面白いの一言。一癖も二癖もあるクリエイターたちが努力を重ねて作品を作っていき、待ち受ける困難も乗り越えていく正統派のストーリーが展開されていったので純粋に楽しめました。主人公の「ジー」が上司である「ポンポさん」の後押しや周囲の人たちの協力を得て“誰のため”に映画を撮るのか、の問いを示していく内容には感動しましたね。

 ポンポさんが語る映画、ひいては創作の心得のような独自の考えも面白かったです。「現実から逃げた人間が作る自分の中の世界こそが創造の潜在能力」などといった興味深い持論が展開されるためオタクな人ほど惹かれるものがあったように思えます。その考えが最終的にジーンの作る世界を形作り、それを表現した映画がポンポさんの心を響かせるラストには見入りました。(あくまで映画をビジネスとして捉えているポンポさんがジーンの映画を「大好き」と言ってタイトル回収する流れは見事)互いに影響を与えあう関係が心地良かったですね。

 そして本作は何と言っても後半の編集パートが最大の見どころでした。ジーンが撮った映像を編集していく中で、何が必要で逆に何が必要ないのかを考え追加撮影を望む流れは非常に印象的です。その後の編集に関しても同様で、妥協なきクリエイターの信念とそれを支える者たちの物語がしっかりと描かれていました。

 またこの後半の展開で“切り捨て”“選択”を取り上げたのが大きなポイント。映画製作のうえで必要のない映像を切り捨てる中、何が見えてくるかが本作では描かれていました。さらにその取捨選択がジーンたちの現実の選択と重なりあっていくシーンは見に詰まる思いになりながらも、物語の巧さに驚かされましたね。一見ネガティブな表現と捉えられがちな“切り捨てる”という行為の必要性、それがもたらす功罪、そして選ばれなかったものがあるからこそ、選ばれたものの重要性が価値を得ていくことをきちんと魅せてくれたことに度肝を抜かれました。さらに選択の結果生まれた映画が評価されたことに加え、ポンポさんが語る「現代の娯楽として短くまとめるべき映画」として90分に収まったラストには思わず唸りました。本作の上映時間も約90分という点もあり最高のオチだったと言えます。

 

 

 というわけでアニメ映画の感想でした。それぞれの作品の感想を単品で上げることは出来ませんでしたが、まとめてでも書き上げることで出来て本当に良かったです。特に以前は書かないまま放置していたFGOの感想がここで書けたのは嬉しいですね。

 そして感想はあるもののしっかりとブログに載せることがどれだけ難しいかを改めて思い知りました。アウトプットの苦しさはありますが、やはり自分の考えを書いていくのは楽しいです。

 とはいえ最近見た映画はまだまだたくさんあります。次回はどの作品の感想を書くべきかと今全力で考えています。(とりあえず『ゴジラVSコング』の感想は書きたいですね)口だけでなくしっかりと書き上げて公開しなければと、自分を戒めていきたいと思います。

 

 

 ではまた、次の機会に。