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仮面ライダーセイバー 第46話「さようなら、私の英雄。」感想

物語は誰のためのものか

映画と本編の共通点が多くてワクワクが止まらない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • それぞれの戦いの果て

 前回の続きでストリウスと対峙する飛羽真、そしてそれぞれの戦いの場で奮闘する剣士たちの姿が描かれた今回のセイバーですが、まだ生き残っていた仲間たちが次々と倒れていく展開が序盤から炸裂してきたのでいきなり参ってしまいました。残った四賢神を2人がかりで何とか倒すものの、同時に力尽き倒れていく様子は見ていて結構辛かったです。前回リタイアしたかと思った大秦寺が復活したと思ったらまた倒れてしまうし、玲花に至っては生身で賢神の体を貫くシーンが非常に痛々しかったです。(しかし賢神をほぼ1人で撃破してそのまま連戦している蓮は何なんだ)終盤の激選ではよく見られる内容ですが、各人物の必死な表情のおかげで手に汗握りながら見ていましたね。そうして倒れた尾上さんたちは追いついてきたユーリから治癒を受けることで助かりそうですが、肝心のユーリの方が消えてしまいそうで余計に心配です。

 一方芽依はルナを叱咤したり飛羽真の残した原稿を打ち込んでいたり(飛羽真が今時原稿に手書きするものだから毎回パソコンに打ち直していたんだろうなぁこの子)と戦いとは別のところで大活躍していたのが印象深いです。特に消滅しようとしていたルナにかつて自分も消えかけたことの恐怖を告白して行動を促すシーンには感動しました。芽依にとって恐ろしい体験でしかなかったあの時の出来事が、ルナの心に共感し彼女を助ける力となる展開には舌を巻きます。15話で倫太郎を叱咤した時に放った「顔を上げろ!」の言葉をルナにも向けるのがまた芸コマです。さらに彼女が打ち込んでいる小説が逃げ惑う人々に向けるメッセージになりそうな展開にワクワクしてきます。剣士たちの死闘には参加出来ないものの、自分に出来る戦いで仲間を助けようとする姿を一貫して視聴者に見せてきた芽依が最後の最後にどのような活躍をしてくれるのか非常に楽しみです。

 

 

  • 誰がために紡ぐのか

 そして今回のメインであるセイバーVSストリウスの決戦は圧倒的な迫力。クロスセイバーがそれぞれの聖剣を携えて戦うシーンには痺れました。(個人的には月闇と最光、流水と黄雷の二刀流がここすきポイント)対するストリウスも負けじと応戦し、両者一歩も引かない戦いが繰り広げられていて見応え抜群でしたね。

 そして戦闘前の2人の会話も印象的で、中でもストリウスが自らの過去を明かすシーンには衝撃を受けました。飛羽真と同じように作家として様々な作品を紡いできたものの、それらは全知全能の書に既に書かれていたものだった・・・・・・しかもストリウスがそれらを書いたこと自体があらかじめ決まっていたとわかり絶望する様子はかなりショッキングです。自分の想像力も行動全ても自分自身ではないものによって決められていたという事実はストリウスの心境を想うと中々に酷です。前回の時点でストリウスには共感を覚えていましたが、今回彼の心の痛みをより体感することが出来ましたね。

 そんな世界に絶望したストリウスに対する飛羽真の答えも面白かったですね。物語がどのような経緯で生まれたものであっても関係ないと一蹴する潔さも素敵ですが、物語は読者のためにあるもの、だと断言する姿はカッコよかったです。作家が紡いだ作品見て聞いた読者たちが、それぞれ新しい世界を創造していくという考えは非常に素晴らしいと思いました。そうして広がっていく物語の無限の可能性はある意味で全知全能の書の予測を超えていけるとも考えられます。何より、物語を紡いできたことでかけがえのない仲間たちに出会えたことを喜ぶ飛羽真にはほっこりしました。どんな苦難に見舞われようとも、今の状況を決して否定しないその姿勢は主人公らしくてとても勇ましいと言えます。

 書き手(自分)のために絶望し世界を否定するストリウスと、読み手(他者)のために戦いこれまでの道のりを肯定する飛羽真。世界の真実を前に全く異なる答えを出して両者の戦いはどうなっていくのでしょうか。次回が楽しみです。(余談ですが今回のラストで飛羽真が謎の穴に突き落とされ一見して大ピンチの絵面になっていたのが目に焼き付きましたね。まぁ高所からの落下は大抵生存フラグなのでそこまで心配していないのですが)

 

 

 というわけで最終決戦が描かれた46話でした。前回に引き続き全知全能の書の真実とそれに対するストリウスの心境が心に残る回でしたが、同時に映画『スーパーヒーロー戦記』を彷彿とさせる内容でもありました。(ここから先は映画のネタバレになっているので閲覧注意!

 

metared19.hatenablog.com

 

 本作の世界が全知全能の書によって全て記されているという事実は映画で飛羽真たちが自分たちの世界が物語だと知ってしまう構図とほぼ同じ、上の記事でも書いた「“逆転”する価値観」という点で共通しています。それに対して絶望するストリウスも映画の章太郎を彷彿とさせますね。その事実に対して「物語から逃げない」選択をする飛羽真も全く同じで、さながら映画はセイバー本編の実質的な劇場版といった感じです。

 では本編における「“不変”の価値観」は何なのかが気になるところ。個人的な予想としては今回飛羽真が触れた読者の存在に隠されているのではないでしょうか。誰かのために物語を書き続けてきた飛羽真だからこそ、彼の物語の価値観は読者に向けた“想い”にあるように思えます。それが明かされるのかどうかは次回を待ってみる所存です。

 

 そして次回はいよいよ最終回!!世界を消し去ろうとするストリウスに対し飛羽真は立ち上がれるのか?芽依が打ち出している物語にはどのようなメッセージが隠されているのか?そして剣士たちの運命は如何に?と気になる要素てんこ盛りでハラハラしてしまいます。予告映像ではセイバー、ブレイズ、エスパーダの3ライダーが基本形態で戦いに臨む様子が映っていたのでその辺りにも期待がかかります。1年間僕らをハラハラさせてきたセイバーがどのような結末を迎えるのか、この作品を好きになった者として最後まで見届けたいと思います。待て次回!!

 

 

 ではまた、次の機会に。