悪魔を以て
悪魔を制す
仮面ライダー生誕50周年、新たなヒーローが今誕生する!!
ついに始まりました『仮面ライダーリバイス』。「仮面ライダー50周年」というメモリアルイヤーを代表する作品としてかなり気合を入れて作られている印象で、事実1話のド派手さには最初圧倒されました。もちろんそれ以外にも魅力的な部分があったので、気になった点を書いていきたいと思います。
- 素朴な主人公と愉快な悪魔
さてまず本作で目に留まったのが主人公「五十嵐一輝(いがらし・いっき)」とその悪魔「バイス」のキャラクターですね。一輝に関しては銭湯「しあわせ湯」を家族と共に経営しているという設定に最初驚かせられました。家族と疎遠だったりそもそも家族が既にこの世を去っている過酷な環境が多いライダー主人公としては珍しく、両親も健在で家族全員と仲がいい環境で育っていて正直びっくりしてしまいます。番台としてお客たちの関係も良好だったりとかなり恵まれているのが逆に異質に思えてきますね。
一輝個人のキャラクターについては家族想いでかつ世話焼きといきなり好感を抱くキャラクターが特徴的。温かい家庭環境も相まってこれまでの主人公の中でも一際「平凡」「素朴」という印象を受けます。
しかしながらかつてサッカーに励んでいた情報が明かされた時は少々見方が変わりました。元々はプロのサッカー選手を目指していたそうですが弟と妹のために諦め、銭湯の経営に尽力するようになった背景から彼にちょっとした仄暗さを感じました。今でもサッカーの未練を抱いているものの、家族のために我慢をしてしまう「無理をしている長男」といったイメージがここで出来てきましたね。また弟の「五十嵐大二(いがらし・だいじ)」の兄に向けた感情も鬱屈していそうで、アットホームな雰囲気の裏でどこか不穏な空気を漂わせている点に震えます。ともあれ常に自分のことを後回しにしてしまう一輝のいじらしさは見ていて余計胸が弾みますね。
対するバイスは一輝の中に潜む悪魔、という設定ですが、その性格は陽気そのもの。常にハイテンションで一気に絡み、どんな時でもジョークを欠かさないキャラクターは声を担当する木村昴氏の熱演もあって見ていて癖になります。デッドプールよろしく画面の前の視聴者にも話しかけてくるスタイルも徹底してコミカルで面白いですね。
そんな可愛らしいキャラとは裏腹に、狡猾で悪質な面も見せるのが特徴的。特に1話は人々が怪人から逃げ惑う中、一輝を自身を実体化させるよう言葉巧みに誘導し、実態を得た後は彼の母親を襲おうとする恐ろしい様子を披露してきました。変身シーンの会話(リバイ&バイスの項で後述)でそのことを言及されても悪びれることなく水に流そうとする点も実に厄介です。愉快なキャラの一方で人間とは根本的にものの考え方が異なる姿はまさに「悪魔」といったところです。
それでいて自分のことを我慢し続けている一輝に対し、自分のやりたいようにやるスタイルを貫いているのが興味深いですね。本作における悪魔は“人間の中に潜む存在”とのことなので、一輝の「自分のやりたいようにいきたい」という本人も気付いていない欲求がバイスに反映されているのかもしれません。家族のために自分を抑えている主人公と、他人を省みず自分を解放しているバイス、対照的なこの2人がどのようなコンビを組んでいくのか実に楽しみです。
- 古代の力を従えし悪魔の戦士コンビ
リバイスドライバー!
レックス!
Come on! レ!レ!レ!レックス!
Come on! レ!レ!レ!レックス!
バディアップ!
オーイング!
ショーニング!
ローリング!
仮面ライダー!!
リバイ!
バイス!
リバイス!!
一輝と相棒のバイスが、フェニックスが開発した「リバイスドライバー」に「レックス」バイスタンプを押印して変身した「仮面ライダーリバイ&仮面ライダーバイス レックスゲノム」。本作の主役ライダーですが、2人で1つのコンビという斬新なスタイルが最大の特徴です。『W』のような2人で1人分のライダーに変身する前例はあれど、2人がそれぞれ別のライダーに変身してしかもそれでセットという方式は前代未聞です。
変身シークエンスも独特で、中でも変身待機音が鳴っている間は背景にLINEのチャット画面のようなものが表示されている演出が面白いところ。画面で一輝とバイスの会話がリアルタイムで映されるのがこれまた目に焼き付きますね。
そうして変身した姿は一見してヒーローらしくないデザインで目を引きます。リバイの方はパープルとピンクを基本色にしており、吊り上がった目と巨大な牙を思わせるクラッシャー部分からまるで敵キャラのような見た目です。装飾もなく身軽そうな姿も雑魚敵っぽく、それがかえって新鮮に感じられます。
対するバイスは着ぐるみをそのまま着込んだような見た目がこれまた面白い。リバイとは対照的にゴテゴテとした姿でパワー系のイメージを連想させますね。またライダーの基本形態としては非常に珍しい「恐竜」モチーフである点も興味深いです。
戦闘ではリバイがパンチやキックを基本とするスタンダードなスタイル、バイスがプロレス技など派手な攻撃を連発するパワフルなスタイルとそれぞれ全く異なっています。それでいて必殺技のキックを放つ際は絶妙なコンビネーションを披露してくれるのが素晴らしいです。またそれぞれ恐竜のパワーを足や尻尾に表出させて戦う様子を見せてくれるので見ていて楽しいです。武器の「オーインバスター50(フィフティ)」を使うスタイルも含めて、オーソドックスとユニークさが絶妙に合わさったライダーに仕上がっていると感じましたね。
- 各組織の知名度
そして主人公周り以外だと登場する組織の知名度からくる本作の世界観が気になりました。本作では悪魔「デッドマン」を使って「ギフ」なる存在を復活させようと目論む悪魔崇拝者の集団「デッドマンズ」と、それに対抗するために動く治安維持組織「フェニックス遺伝子工学研究所」の2者の対立の構図が出来ています。
ここで意外だったのが各組織とデッドマンの存在が世間に認知されていることですね。フェニックスは政府直属の組織で、デッドマンズの活動を人々に公表して悪魔の存在に気をつけるよう呼びかけている様子には驚きました。それぞれ秘密裏に活動しているとばかり勝手に思っていた分、衝撃も大きかったです。また悪魔の存在が常識となっている世界だとわかっただけに、今回大っぴらに破壊活動を行うデッドマンズの恐ろしさ、そして悪魔の危険性が公表されている中それでも悪魔に縋ってしまう人間の業がより恐ろしく強調されていると思いました。
またデッドマンズと戦うフェニックスに関しても正直怪しすぎて警戒してしまいますね。前作のこともあり、実は裏では上層部が何か恐ろしいことを企んでいるのではないか?とつい勘ぐってしまいます。開発担当の「ジョージ・狩崎(かりざき)」は奇抜な人物ではあるものの悪人ではないだろうと思いますが(悪魔を倒すために変身しようとして失敗した人も恐らく善人ですね)、それ以外の構成員に関してはどこか不穏に感じます。そしてそんな組織に入った大二は果たして無事で済むのだろうか、と心配になってきました。この不敵な組織の存在が本作のドキドキをさらに引き出してくれていると思いましたね。
というわけでリバイス1話の感想でした。コミカルながらどこか不穏な空気を漂わせ、それでいて重くなりすぎない作風は一発で気に入りました。『セイバー』に引き続き、これから1年もまた楽しめそうです。
さて次回は一輝とバイスのコンビが結成されたばかりで早くも解散の危機に遭う模様。家族のために戦おうとしない一輝が、どのようにして戦う決意をしていくのか気になります。早くもお披露目されるWみたいな新フォームと、レックスの合体形態も楽しみです。
ではまた、次の機会に。