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SDガンダムワールド ヒーローズ 感想(簡易総評)

この冒険に

乗り遅れるなよ!!

世界の危機に立ち上がれ、歴戦の英雄よ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『SDガンダムワールド 三国創傑伝』の続編にして完全新作として作られた『SDガンダムワールド ヒーローズ』。『SDガンダム三国伝』から実に約10年ぶりの新作でも本作は、SDガンダムのカッコよさと可愛さの両方を引き出した見事な作品でした。

 カッコよさに関しては何と言っても戦闘シーンの凄まじさは衝撃的。『三国伝』から10年以上経っているので当然とはいえCGのクオリティが上がっており、ダイナミックな構図と共に毎回興奮させられました。ガンダムの頭身が上がっているからこそ様々なポーズを取れるといった点もあり、歴代シリーズの戦闘シーンの中でもトップクラスのクオリティだったことは間違いないでしょう。必殺技なども元ネタのガンダムに反映したものが多く、見ていて楽しかったですね。

 それでいてSDガンダムならではの可愛い要素もパワーアップしていました。表情のバリエーションが増加しており、コミカルな顔でコメディチックな内容を見せてくれる場面も多くて微笑ましかったです。中でも前半は面白おかしい要素がたくさん描かれていて(特に趙雲関連のギャグの密度は必見)、前作の終始シリアスな空気を見事に覆してくれました。他にも元ネタのガンダムに沿った小ネタが把握しきれないほど散りばめられており*1、見返すたびに新たな発見があったのも素敵です。

 この時点でかなり充実した内容であることがわかりますが、個人的にはもっと語りたいことが山ほどあったりします。というわけで今回は、そんな本作の印象的だった点を語っていきたいと思います。

 

 

  • ヒーローたちの群集劇

 まずあげるべきは本作に登場するキャラクターたちが様々な国の史実や伝説に登場する偉人・英雄たちをモチーフにしている点。前作『三国創傑伝』が「三国志」の武将のみに縛っていたのに対し、日本の武士から西洋の騎士、果ては海賊や怪盗といった有名な名前を揃えていることにはワクワク感を覚えます。それぞれのキャラが暮らす国や街が「○○ワールド」として存在している世界観も、過去の『SDガンダム』シリーズの世界観をまとめたような豪華さに溢れています。各ワールドで異なる文化を見せているのも興味深いです。

 そんな世界で暮らすキャラたちそれぞれの濃さに関しても印象的。海賊としてその瞬間を楽しみ生きる者もいれば、街や国を守る存在としての責任を全うするべく行動する厳格な者もいるなど性格の幅が非常に広いです。それぞれの役割と立場にあった多種多様な“ヒーロー像”が描かれていたと言えます。

 

 そうしたヒーローたちが出会い、関わり合うことで生まれる化学反応こそが本作のキモ。異なる考えや思想を持ち合わせたヒーローたちが時に協力し、時にぶつかり合う様子は実に見応えがあります。(それでいていがみ合いのような描写がなるべく少なめになるような構成になっていたため、非常に見やすかったです)違う者同士意気投合することもあれば、対立から和解へと繋がることもある・・・・・・そんなクロスオーバー作品を思わせる“多様性の歩み寄り”が大きな見どころとなっていました。

 中でも曹操や信長、アーサーといった「指導者」たちの違いは個人的に大きな印象を残してくれました。前作での過ちを背負って贖罪を続ける曹操が、自身のやり方を疑わずに突き進む信長と出会う中でそれぞれの共通点と相違点を見せてくる展開は本作の“それぞれの違い”を端的に表現していました。その後完璧な王であるアーサーが登場することにより、異なる指導者像がこれでもかと目に焼き付けられます。この違いは「絶対の正解はない」「それぞれに合ったやり方が存在する」ことを示すと同時に、それぞれが互いの在り方を見て学んでいく様子と合わせて「相手の違いを受け入れること」の重要性が説かれていたと思いましたね。

 

 そんなヒーローたちが「世界を守る」という共通の使命のために集結する終盤はとても熱かったです。それまで登場してきたキャラが互いに力を合わせて強敵に立ち向かう構図はもちろんのこと、ある意味で“統一性のない”点が「夢の共演」とも言うべきシチュエーションになっており、非常に興奮します。そこに至るまでに様々なヒーローと彼らの繋がりを描いてきたからこそ、ラストの共闘にカタルシスを覚えました。本作はそんなヒーローたちの群集劇と、共闘の展開にテンションが上がる作品と言えます。

 

 

  • 成長していくヒーローたち

 そして本作は何と言っても劉備と悟空、2人の主人公の物語が主軸としてとても良く出来ていました。記憶喪失の少年悟空が劉備諸葛亮と旅を共にし、彼らをはじめとしたヒーローたちを見ていくことで自分もヒーローになることを決意していく様子はベタ故に気兼ねなく楽しめるとっつきやすさがあります。悟空の記憶と謎が少しずつ解明されていく中、同時に悟空自身も少しずつ成長していく様子が丁寧に描かれており、見ていてとても楽しめました。

 

 それが上手に描かれていたのか考えられる要因として、劉備が程よく成長している点があげられます。前作の主人公でもあった劉備はその時点ではまだまだ未熟な若者だったものの、前作での出来事を経て大きく成長しある程度の風格を得ていました。悟空のような得体のしれない存在を受け入れる余裕を持った姿も前作開始時点では考えられなかったものです。それ故に最初悟空に嫌われながらも、最終的には友達としての絆を育めたのではないかと考えます。

 また劉備にまだまだ学んでいく余地が残っていたのもポイントですね。悟空に自分の背中を見せて成長させてくれる存在であると同時に、劉備自身も多くのヒーローとの出会いを経て成長していく様子が描かれていたのが良かったです。上述の「異なる考えを持つヒーローとの出会い」が劉備にもキチンと反映されていたというわけです。中でもアーサーとの決闘はわかりやすく劉備の成長の布石を張っていて面白かったです。(同時に悟空が「仲間を信じる」ことを学んでいく構成になっていた点もグッド)特殊なW主人公だからこその物語を見事に表現していたと言えます。

 

 他にも劉備一行の日常描写にも力を入れていた点が魅力的です。限定のナイトガンダムのプラモを手に入れようとして起こるトラブルや、食事シーンのちょっとしたうんちくなど、彼らが仲良くなっていく過程がじっくりと描かれていて見ていて微笑ましいものがありました。バトルや本筋の目的以外とは別に何気ないやり取りもちゃんと見せてくれるので、彼らが生きたキャラクターであることがしっかりと感じ取れます。

 そういった描写があるからこそ悟空が学んでいく様子がより深いものとして見られたのだと思います。物事のルールなどがわからなかった彼が少しずつそれらを理解していく姿は見ていて感動を覚えます。必要な描写ばかりではなく、日常的な風景がいかに大切かを改めて学ばせてもらいましたね。

 

 それ故に悟空の成長の目覚ましさは見ていて痛快でした。最初カタコトだった口調もどんどん流暢になっていき、諸葛亮にばかり甘えていた幼さが劉備に心を開く様になるまでになる過程は、まるで幼い子どもの成長日記を見ているかのような気分になります。何より自分の過去の過ちに苦しむ悟空が救われ、最終的に「ヒーローになる」と目的を見つける最終回は感涙モノでした。まさしく本作はヒーローの群集劇であると同時に、「少年がヒーローになるまでの物語」だったのだと確信しますね。わかりやすい王道をキチンと作ってくれたからこその爽快感に包まれていました。

 

 

 少年漫画のようなストレートなテーマをストレートに魅せてくれた本作はとても楽しめましたが、同時に見過ごせない問題点も目立っていました。(ここから先は批判が多いので見たくない方はブラウザバックを推奨します

 

 それこそが各キャラの「尺配分」とも言うべき問題。悟空たちをはじめとしたメインキャラをじっくり見せてくれた一方で、明らかに描写不足なキャラもチラホラ出てしまいました。中でも顕著なのがアーサーとシーザーで、後半が悟空の過去を中心に取り扱ってきた分、彼らの出番が非常に少なかったです。

 アーサーは短い出番で的確に活躍してくれたので不遇といったイメージはなかったのですが、シーザーの方はクレオパトラ共々どういったキャラクターなのかいまいちわからないまま出番が終わってしまったように思えます。登場キャラが多かったため、全員を平等に活躍させることはほぼ不可能であることはわかりますが、どうにも主役たちの出番の割を食ってしまった、という印象は否めません。

 そして最大の問題である『三国創傑伝』の内容をほぼ流しただけの連続総集編には愕然としました。約5週に渡って続けられたという事実にも驚きますが、ただの再放送とでも言うべき構成にもちょっと呆れてしまいます。放送枠の調整や前作を視聴していない人たちへの配慮など様々な要因が考えられますが、既に視聴した身としてはひたすら退屈でした。せめて語り部たちの解説を入れるなどの工夫を凝らしてほしかったとつい思ってしまいましたね。

 

 

 では以下、各キャラクターについての所感です。

 

 

劉備ユニコーンガンダム

 本作の主人公。上述でも触れましたが、『三国創傑伝』の主人公を務めたこともあり本作ではかなり頼もしい存在として活躍してくれました。何と言っても悟空の兄貴分のような気兼ねのない関係が魅力的でしたね。元々の明るい性格が悟空との絡みに活かされていたと思います。

 それでいてハロの力を以て自身の力を引き出す、といった成長要素も見せてくれたのが素敵でした。自身も学んでいくことで悟空の成長に繋がっていく点も見事です。先輩主人公としての風格に満ち溢れた良き青年だったと改めて実感しました。

 

 

悟空インパルスガンダム

 もう1人の主人公。全体的に幼くやんちゃで、とても可愛げのある少年です。最初は物事の道理がわからずトラブルを引き起こす厄介な存在として描かれていましたが、そこから少しずつ学んでいく過程は実に応援したくなりました。

 それでいて暴走形態、さらに別人格として出てくる沙悟浄猪八戒などの不穏な要素、そして本作の登場キャラの中でもぶっちぎりで重い過去を持っている点には最初困惑しました。しかしだからこそ、それらを乗り越えた悟空には感動しましたね。

 

 

諸葛亮フリーダムガンダム

 頼れる軍師枠ですが、本作ではどちらかというと劉備と悟空の「保護者」としての一面が強かったです。彼らの引き起こす出来事に頭を悩ませながらも、何だかんだで面倒を見てくれる苦労人ぶりには思わず同情してしまいます。(6話のダークマスク装着時の暴言などは彼の苦労がわかりやすく滲み出ていました)

 しかし終盤三蔵のメッセージに気付くなど要所要所で活躍してくれたのが良かったですね。また悟空の悩みを受け止めてくれる真摯さもあり、劉備とはまた別ベクトルで悟空の成長を促してくれる名サポーターだったと言えます。

 

 

曹操ウイングガンダム

 個人的な推しキャラ。元々曹操という武将自体が好きだったのもありますが、本作の曹操の悩めるキャラクターには最初から最後まで惹かれました。前作での出来事を悔いて自身を見つめ直す中、信長との出会いで少しずつ前を向く様になっていく姿に感動しました。最終的には信長を暴走を止めることで同時に自身の過去を清算してく流れも素晴らしかったです。

 

 

ベンジャミンV2ガンダム&エドワードセカンドV

 豪快な海賊コンビ。性格も豪放磊落なベンジャミン&軽いノリのエドワードと海賊らしいその場その場を楽しむキャラクターが魅力的でした。それでいて気が利くエドワードのように孫堅&孫権の魅力をさらに引き出す活躍をしていて点も良かったです。前半の明るい作風を象徴するような名キャラでしたね。

 

 

サージェントヴェルデバスターガンダム

 やたらネイティブ発音が目立つ人。暴走する悟空を沈めたり、ネオワールドに訪れた劉備たちを翻弄するなど、当初はかなりの強キャラ感を醸し出していました。それでいて頭でっかちかと思いきや意外と話がわかる性格がギャップになっていて面白かったですね。アルセーヌの目的を知るや否や彼に謝罪する誠実さを見せるなど、堅すぎないキャラクターが見事でした。

 

 

信長ガンダムエピオン

 個人的な推しその2。かつての曹操を思わせる自信に満ち溢れた性格と、目的のために手段を選ばない恐ろしさはまさに「魔王」それ故にダークマスクの魔力に囚われてしまうのも面白かったです。最終的に自身の過ちと仲間の大切さを知り、ケジメをつけようとした点も素敵です。最終回で合流した時は興奮しましたね。(安土城が宇宙まで行く絵面には笑ってしまいましたが)

 

 

アルセーヌガンダムX

 神出鬼没の泥棒「トレジャーハンターだ!」。キザでかつセリフがいちいちクサいと、全体的にコミカルなキャラクターが特徴的でした。(弟子になった趙雲の存在もあって余計に面白おかしかったです)それでいて宝のあるべき場所を重要視するロマンチストな性格は魅力的で、本筋にはあまり関係なくとも強烈な印象を残してくれました。「月は出ているか?」などの元ネタのガンダムを上手いこと活かしたセリフ回しも最高です。

 

 

アーサーガンダムMk-Ⅲ

 ある意味で完璧だなだと感じたキャラ。ロビンフッドら部下をまとめるリーダーシップ、司馬懿の企みを見抜く慧眼、そして圧倒的な強さとどこをとっても隙の無い完全無欠の王としての風格に圧倒されました。それでいて劉備の成長のきっかけになるなど各キャラとの繋がりも忘れない点も見事。出番は短くともその活躍ぶりは深く目に焼き付きましたね。

 

 

シーザーレジェンドガンダム

 本作の尺の被害者かもしれない人。一応クレオパトラと共に序盤から登場しているものの、何をしているのかとてもわかりにくく、かなり不遇なイメージがついてしまいました。しかしながら妻クレオパトラへの愛は本物で、終盤呂布貂蝉の愛の形を通じて間違いに気付く展開は秀逸の一言。アーサーとの関係などもっと彼の活躍を見てみたかったですね。

 

 

 さて以前にも書きましたが、SDガンダムワールドシリーズは次に「外伝」が展開される模様。最終回に映ったイラストからしてナイトワールドの物語になることが予想されます。

 イラストに描かれていたキャラクターは調べたところ「ナイトストライクガンダム」とのことで、これまでの偉人モチーフから若干外れていることには驚きました。(個人的には「ギャラハッドガンダム」とか予想していました)それだけにこのナイトがどのような活躍をしてくれるのか気になるところ。まだまだSDガンダムの世界観を楽しめそうでワクワクが止まりません。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

 

↓以下、過去の感想が書かれた記事一覧です。

 

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*1:一例として10話に出てきた「サイコロガンダム」などがあげられる。