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2021年夏アニメ簡易感想 その26

 

 

 

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 ついに本日発売されました『MELTY BLOOD: TYPE LUMINA』。『月姫』のキャラを操作して遊べる格ゲーが令和の時代に世に出たという事実は今になっても衝撃的です。

 しかしそれ以上に衝撃を受けたのが先日発表された「セイバー」の参戦。『Fate』シリーズの顔にして型月のドル箱が作品の垣根を越えて登場してきてかなりびっくりしました。FGOではコラボが頻繁に行われているのであまりFate側としては新鮮味がありませんが、月姫側としてはかなり珍しい事例だと思います。

 そして参戦発表と同時に公開されたセイバーの紹介動画を見てみたのですが、そこでちょっとした発見がありました。動画に映されたセイバーのモーションは思わず既視感を覚えるものばかりで、何故なのかを小1時間考えたところ、Fateの格ゲーである『Fate/unlimited codes』のセイバーと動きがほぼ同じだからということに気付きました。

 「アンコ」の略称で知られているこのゲームは3Dの格ゲーなのですが、その動きを2Dのゲームで見事に再現していることに驚きを隠せません。アンコを学生時代に遊んだ者としては特に「風王結界」のモーションがほぼそのままであることに感動します。アンコのセイバーとは厳密には異なるのですが、こうしてセイバーをまた格ゲーで動かせると思うと嬉しくなっちゃいますね。

 

 

 というわけで以下、今週の簡易感想です。

 

 

 

 

 

 

 

ジャヒー様はくじけない!

第8話「ジャヒー様はお風呂に入れない!」

 久々登場のドゥルジにジャヒーが振り回されまくった今回。前半の演説はドゥルジにセリフを全て取られ、後半のパーティーは現実の会社の存在をチラつかせられるなど、肝心なところで思い通りにならないジャヒーの不憫さに泣きながらも笑ってしまいます。ドゥルジはドゥルジでジャヒーのことを慕っていながらも邪魔ばかりしてしまう空回りっぷりが板についてきましたね。そしてラストのジャヒーぬいぐるみは彼女の狂気の崇拝ぶりが形になっていたように思えます。

 そんな感じでいつも通りギャグ一辺倒でしたが、一方でジャヒーが後半から度々しんみりする展開が印象的でした。最初は銭湯や魔界を思わせるパーティーを満喫するものの、現在の自分の生活と比べてテンションがダダ下がりする様子が克明に描かれていました。理想と現実のギャップに打ちのめされそうになりながらも、最後に負けじと叫んだジャヒーのことを改めて応援したくなりましたね。

 

 

ラブライブ!スーパースター!!

第9話「君たちの名は?」

 タイトルにもあるラブライブ出場に向けての準備回。グループ名や曲をどうするか、どうやってアピールしていくかが取り上げられましたが、答えに至るまでのワチャワチャぶりに思わず笑い転げてしまいました。メンバーが5人になったことでより賑やかになったのもそうですが、箱入りお嬢様の恋や突然熱烈な丸押しを始める千砂都など、それぞれがはっちゃけ始めたのもあっていつになくギャグにキレがありましたね。動画配信時のカオスっぷりは見ていて何とも言えない気持ちにさせられます。

 しかし彼女たちが吹っ切れてからの展開は非常に心地いいものでした。答えを見つけたかのんと彼女にばかり任せていた仲間たちがそれぞれ動き始めてからのテンポの良さは、挿入歌の演出と相まって見やすかったです。そしてグループ名である「Liella!(リエラ)」が決まった経緯も良かったですね。まだ始まったばかりの無個性を活かし、それぞれの個性を“結んで”染め上げていく考えは初々しさを感じさせてくれます。文字通り仲間たちとの結束を強めた彼女たちの今後が楽しみになってきました。

 

 

かげきしょうじょ!!

第13話(最終話)「かげきしょうじょ!!」

 ついに始まった最終回はいきなりファントムとの一騎打ち、とも言うべき展開でした。安藤先生の圧倒的な演技力に気圧されることなく、自身の最高の演技をしてみせたさらさは見事の一言。散々悩んでいた“自分”を出すことに関しても、叶わなかった夢への儚き感情、“切望”とも言える表情を見せたのが印象深いです。何より前回の演技の時は足を引っ張ってしまった歌舞伎の経験が、今度は彼女の演技に最高のアシストをしてくれた展開にウルッときましたね。

 オーディションの結果に関しては選ばれたネームドキャラはさらさと彩子のみというのが意外でしたね。(メインキャラ以外のキャラも頑張っていることがわかるのはいいことですが)その分選ばれなかった者たちが悔しさを糧にしていく様子が見られたのも面白いです。特に泣きじゃくる愛の姿は彼女が本格的に紅華に打ち込んできていることが伝わってきてつい嬉しくなります。

 そしてラストは沙和がメインと言ってもいい内容でした。『アマデウス』を例に出して選ばれなかった自分と選ばれたさらさの違いに苦悩する様子は彼女の真面目さを知っているが故に見ていて辛くなります。しかしそこから本科生の委員長といった面々との会話を経てゆっくりと受け入れていく様子が描かれていたので、見ているこちらもゆっくりと心が癒されていきました。「萌え」の要素に驚愕を受けるギャグなどもあって最後まで非常に楽しめましたね。

 

 

総評

 夏アニメの中でも特に素敵な一作。事前情報から期待して見ましたが、予想以上の内容に思わず見入りました。歌劇の世界に足を踏み入れた少女たちの苦悩と成長を丁寧に描いていく内容は非常に面白かったです。生々しい描写や鬱屈とした感情などをしっかりとリアルに扱ってくれたからこそ、そこから乗り越えて進み始める彼女たちの姿に一気に感情移入出来ましたね。

 何と言っても主人公のさらさが物語の大きなスパイスでした。よくある天然でかつ才能に溢れている活発少女でありながら、その背景には大きな夢を諦めざるを得なかった仄暗さを秘めているギャップが実に魅力的です。歌舞伎とミュージカルの違い、女性ならではの劇の世界の苦難、そしてそこからくる複雑な想いを抱えながら夢を見つけるまでの彼女の姿に何度も惹かれました。(もちろんそんなさらさに影響を受けていく愛たちも見逃せません)「夢」の正と負の両面と真摯に向き合わせてくれる本作は、間違いなくおすすめしたい良作となりましたね。

 

 

うらみちお兄さん

第13話(最終話)「Forever『ママンとトゥギャザー

 前回兎原が危惧していた裏道の「やめる」発言はやはり仕事のことではなくてホッとした件。予想通りだったものの序盤の内に解決させるスピード展開に笑ってしまいましたね。

 そうして始まった最終回前半は演出さん無双とも言うべき内容でした。「忍びのやくみ」に続くヒットがほしいからとはいえ、裏道をストーカーする創作家の執念にゾッとします。そうして生まれた「こんにちは隊」は例によって裏道だけ「ボンジュールマン」とかいう謎のキャラをやらされるので笑いが止まりませんでした。いらないフランスパンクッションといい、裏道の不憫さがいつにも増して多かった印象です。

 後半は最終回特有の展開が起こりそうで起こらない、という肩透かし感が強いものでした。ドラマの話から若干メタ発言に片足突っ込みはじめる兎原が妙にシュールです。内容としては物足りなさがありましたが、前回の裏道の過去を知ったうえで見ると彼の笑顔のぎこちなさが消えていることに気付いて驚きました。(ただし撮影中の芽が相変わらず死んでいる)あの体操以外のアイデンティティがなかった歪な青年が何でもない日常を過ごせるようになったことにはちょっとだけ感動を覚えますね。

 

 

総評

 非常にシュールなお仕事アニメ。辛い仕事に打ちのめされそうになる大人たちを描く内容は最近多いものの、それを教育テレビのおにいさんたちでやるというセンスがまず凄まじいです。子どもたちを前にしている時とそれ以外の大きなギャップ、監督たちスタッフやお偉いさんの無茶ぶりに目が死んでいく様子など、とにかく心が穿たれそうな光景ばかりで胸が痛みました。それでいて見ていて辛くなりすぎない塩梅がギャグとしては良かったと思います。

 主人公の裏道に関しては上述のギャップが最も大きく、最も情緒不安定でした。含蓄ある言葉を死んだような目でひたすらに言っていく様子は彼の「“歪”な大人」としてのシルエットがよく表れていたと言えます。終盤暗い過去が明かされていくのと同時に、彼に恐怖を抱いていけるのが面白かったですね。

 そんな重苦しさもありながら、登場人物の多くが子どもたちのないがしろにしなかったのが素晴らしかったです。中でも裏道はヤバいことを子どもに教えながらも彼らに自分の不遇を押し付けない思いやりに溢れていました。世の中の理不尽に呑みこまれそうになりながらも、背を向けずに子どもたちと向き合う・・・・・・そんな大人たちの“矜持”が描かれていて何だかんだで楽しめましたね。

 

 

 しかしメルブラが発売されたことでアンコがちょっとだけ注目される今の状況は個人的には結構嬉しかったです。アンコは格ゲーとしてかなりの世紀末でしたが、Fateキャラゲーとしては非常によく出来ていたので当時かなりハマった記憶があります。

 アーケードモードのストーリー制覇に躍起になったり(特にランサーのストーリーが素晴らしかったです)、「衝撃のマーボー」といったミニゲームばかりやりこんだりと色々ズレている気がしますがとても楽しめました。格ゲー以外にも楽しめる要素があるゲームだったので、また引っ張り出してやりたくなってきましたね。

 

 

 ではまた、次の機会に。