庵野秀明氏が監督・脚本を務める『シン・仮面ライダー』。その情報が先日ようやく公開されました。製作が発表されてから詳細な内容が全くといっていいほど明かされなかったため、ようやくその一部を括目することが出来て嬉しいです。今回はそうして得た情報を個人的にコメントしていこうと思います。
↑詳しい情報に関してはこちらの公式サイトを参照。
『 #シン・仮面ライダー 』出演者の発表です。
— 『シン・仮面ライダー』【公式】 (@Shin_KR) 2021年9月30日
本郷猛/仮面ライダー #池松壮亮 さん
緑川ルリ子 #浜辺美波 さん
御期待ください。 pic.twitter.com/QweYprPSS7
まず気になるのが出演者情報。今回の発表は主人公とヒロインをそれぞれ演じる主演の方がメインの発表でしたね。
主人公の本郷猛を「池松壮亮(いけまつ・そうすけ)」さん、ヒロインの緑川ルリ子を「浜辺美波(はまべ・みなみ)」さんが演じるとのこと。ついに主演の2人が明かされたことに喜びを覚えます。
中でも本郷役の池松さんは現在NHKで放送されたのドラマ『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』にて主演を務めたことでも有名な人です。何とこちらのドラマ、『クウガ』のオダギリジョーさんが脚本・演出、そして犬を担当している特徴があったりします。*1かつてライダーだった人が作ったドラマの主演がライダーを演じるという話に奇妙な縁を感じてしまいますね。
そんな池松さんですが、上の動画で見られる合同記者会見では何と松葉杖をついた姿で登場したことでも話題になりました。話によるとアクションシーンの練習で大怪我をしてしまったとのことで、本作のアクションの苛烈さを既に感じさせてきます。
撮影中に怪我と聞くと、どうしてもバイク撮影中に大怪我を負ってしまった藤岡弘、氏の件*2を思い出して心配になってしまいます。ただ今回の記者会見で池松さんが「改造手術に失敗してしまったということにしてください」といった小粋なジョークを決めてくれたおかげでいくらか空気が和やかになりましたね。
コミカルな池松さんに対し浜辺さんは口数は少なかったものの、『賭ケグルイ』の映画に主演したことで庵野氏の目に留まったなどのエピソードが興味深かったですね。2人それぞれ中々に期待が出来そうでワクワクしてきます。
主演者情報の他にも本作のPV(プロモーションビデオ)も公開されましたが、何とAとBの2種類を同時に公開する方式でこちらの度肝を抜いてきました。一見するとどちらも全く同じような内容ですが、カメラのアングルやライダーの動きなど細部で違いが見られる、ちょっとした間違い探しのような感覚で見比べられるようになっていて面白いです。
そんなPVですが、どちらも基本初代『仮面ライダー』のOPを現代風に昇華したような映像になっているのが特徴的です。お馴染み「レッツゴー仮面ライダー」をバックにサイクロン号を駆るライダーの姿はあのOP映像そのもの。砂だらけのサーキットで激しく動き回る様子は実にライダーっぽいです。(マフラーから排出される排気ガスの量に「体と環境に悪そうなバイクだなぁ」とか思ってしまう点はご愛敬)あとは映像後半に出てくる「蜘蛛男」がやたらスタイリッシュで目に焼き付きましたね。
また仮面ライダーやサイクロン号はどこか“懐かしさ”と“新しさ”を混ぜ合わせたようなデザインになっているのも興味深いです。特にライダーは後ろから髪の毛が出ているなど昔のライダーらしい要素とは別に、モールドの多いベルトが本来の1号とは全くの別物であることを意識させてきます。初代ライダーのアレンジといえば『仮面ライダー THE FIRST』と『仮面ライダー THE NEXT』の1号や『仮面ライダー1号』のネオ1号など様々な前例がありますが、このライダーはそのどちらとも異なるアプローチをしているように思えます。
デザインから読み取れる要素に関しては、上の動画で見れる庵野氏のインタビューからもわかります。中でも氏は初代ライダーの“怖さ”、つまり「ホラー作品」としての一面を大事にしているような発言から初代のテイストを残すために四苦八苦していることが伝わってきましたね。
当時見ていた人はもちろんのこと、今の若者たちにも楽しめる要素を混ぜ合わせていこうとする考えは素晴らしいです。「故きを温ねて新しきを知る」を形にしようと頭を悩ませている氏に好感を抱きます。この苦悩の果てにどのようなライダーが出来上がるのか非常に楽しみです。
公開日も2023年の3月に決まり、本格的に動き出してきたシン・仮面ライダー。常に新たな挑戦を続けてきた平成・令和ライダーとは別の「原点回帰」を模索し続けるスタイルを本作は見出してくれそうです。『シン・ウルトラマン』に合わせてどのような作品になっていくのか、今後の庵野氏に期待したいですね。
ではまた、次の機会に。