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2021年映画簡易感想 その3

 

 

 前回の映画感想から2週間ほど経ちましたが、観に行った映画はまだいくつかあるので今回はそれらの感想を書いていく予定です。

 特に今回はきんいろモザイク』劇場版の感想を書くということでちょっとだけ気合が入っています。このブログがYahooブログ時代だった頃、きんモザ2期の感想を書いていたこともあり、少なからずこの作品に対して思い入れがあります。そんなきんモザへの想いも込めて、書いていきたいと思います。

 

※ここから先は映画の内容に触れているのでネタバレ注意!!

 

 

 というわけで以下、今回の映画感想です。

 

 

 

 

 

 

 

劇場版 きんいろモザイク Thank you!!

 上述した通り、個人的に思い入れの深いアニメである『きんいろモザイク』の劇場版。原作のラストエピソードまでを描き切った完結編*1として製作されましたが、メッチャ感動しました。アリスやシノたちの「卒業」までをキッチリ魅せてくれたことに喜びが収まりません。

 何と言っても本作は卒業するアリスたちの「その先」に着目しているのがポイントとなっています。卒業して彼女たちはどの道を選ぶのかが物語の至る所で強調されており、そのうえで避けられない別れといった出来事の決断をじっくり描いていました。その分印象的なイベントである修学旅行が序盤で行われあっという間に終わってしまったことには驚きましたが、そういった演出も避けられない日常の終わりが近づいていることを強く印象付けていたと思います。

 そんな終わりの中で描かれた物語の中でも、シノとカレンの選択が個人的には印象深かったです。母とアリスの母の出会いを知り、それを自分とアリスに重ね合わせる中でイギリス留学を決意するシノ。そして日本で出会った様々な人や出来事を経て、ここに残ることを決めるカレンの2人は実に対照的です。また初期の頃から自分の“好き”が一貫しているシノに対し、カレンはアリス以外の多くのものを“好き”になっていたことに気付く様子が面白いですね。日常系の中での「変わらないもの」と「変わっていくもの」の双方をわかりやすく表現していると言えます。

 

 また本作は視聴者への「お別れ」も随所に散りばめられていたと感じました。上述の通り卒業という彼女たちの区切りを描いていくと同時に、映画を観ている側に物語の終わりを意識させているかのような構成に仕上がっていました。「きんいろモザイク』はこれで完結である」ことを否が応にもわからせてきます。そのことに対して悲しい気持ちもありますが、その分アリスたちの受験などを見て、彼女たちの新天地での日々を応援したくなりましたね。ただ悲しいだけでは終わらせなかったのは素晴らしいです。

 そして本編ED後に流れた特別映像が本当に最高でした。過去のアニメ映像をエドワード・エルガーの「威風堂々」をバックに流していく演出は、過去作まで見てきた人たちほど感動するものだったと思います。(事実僕はこの辺りで感極まって泣いてしまいました)これまであった様々な物語を収めつつ、こちらのきんモザへの未練を断ち切ってくれる仕上がりには驚きを隠せません。本編がアリスたち登場人物の卒業式だと捉えるなら、さながらこの映像はきんモザ視聴者たちの卒業式だったのかもしれませんね。

 といった感じで心を揺さぶられた劇場版でした。ここまできんモザを見てきて良かったと思えるラストは実に素晴らしかったです。最初のアニメ化から約8年、ここまで見続けてきて本当に良かったと思いました。今までありがとう、きんいろモザイク!!

 

 

劇場版 Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ Licht 名前の無い少女

 明るい魔法少女モノに見せかけたいつものFate作品『プリズマ☆イリヤ』の劇場版最新作。美遊の過去を描いた『雪下の誓い』やOVAでもあるギャグ短編『プリズマ☆ファンタズム』に続く映画化で、かなり久々に本編の続きが描かれました。原作でも非常に熱い展開が映像化されたということもあり、見ていて大興奮しましたね。

 そんな本作ですが、個人的な印象としては「「正義の味方」になったイリヤが目の前の人々を助けようとする物語」でした。世界の崩壊や大切な人の消滅など、避けられない問題を前に苦悩していく敵に対し、ぶつかり合いながらも救いの手を差し伸べていくイリヤの心の強さが物語の至るところで描かれていました。相手の側に立って寄り添う優しさもそうですが、厳しい現実にも負けずに「世界も友達も全てを救う」選択をしてみせるイリヤがとにかくカッコいいです。特に「わたしはもう何も諦めない」のシーンはセイバーの夢幻召喚が霊騎再臨する演出と相まって惚れ惚れしてながら見てしまいました。

 またジュリアンやベアトリスといった本作の敵キャラが「大切な人の“笑顔”を取り戻す」ために戦っていたのもポイント大義や自身の愉悦のために動いていたように見えた彼らが、忘れかけていた本来の願いを思い出す過程に胸打たれます。特に自分の死を願うエリカ(パンドラ)の想いを汲み取りながらも、それでも笑ってほしかった心情を吐露するジュリアンが印象的でした。綺麗な願いが歪んでしまった、というのは型月作品ではよく見られるものですが、それだけに願いを抱いている本人たちがイリヤを通じてかつての想いに気付いていく様子に心が震えましたね。

 

 ストーリー以外では戦闘シーンが特徴的でした。原作でもかなりの激闘が繰り広げられていましたが、それを上手いことアニメで表現出来ていたと思います。中盤の見せ場であるベアトリス戦はイリヤがライダー+バーサーカーになってからが凄まじいものになっており、3Dを駆使しているからこその三次元的な映像表現に圧倒されました。その後のジュリアン戦ではクラスカードでフォームチェンジしていくイリヤが目に焼き付きましたね。セイバー、ライダー、バーサーカーと高頻度で使い分けながら激しい攻防を凌いでいくシーンはかなりの見応えがありました。

 また終始激しかったイリヤに対して、美遊とクロの戦闘シーンは比較的おとなしめの印象を受けました。しかし決して見劣りするようなものではなく、むしろ触れたらアウトの桜戦は中々の緊張感に溢れていたと思います。感情的なイリヤとは対照的に、冷静に立ち回りながら一手一手を進めていくというイメージがありましたね。

 そんな感じで非常に楽しめた劇場版でしたが、ラストがクロの「あのシーン」だったこともあり驚愕のまま終わってしまいました。しかもエンドロールが流れた後の一枚絵など、この先の辛い展開を予感させてきて気が気でありませんでしたよえぇ。現在も続いている原作からして続きが映像化されるのはまだまだ先になりそうですが、ここまで来たら最後の結末までアニメで見届けたいと思いました。だからひろやま先生、原作の続きをお願いします・・・・・・!

 

 

シャン・チー/テン・リングスの伝説

 MCUフェーズ4の2作目。シリーズ初となる本格カンフー映画であり、原作のアメコミでもマイナーらしい『シャン・チー』を題材にしているということもあって以前からどうなるのか非常に気になっていました。過去のMCUにあったヒーロー的テイストは薄かくなっていましたが、その分これまでになかったような要素満載で楽しめましたね。

 そんな本作を一言で表すとしたら「カンフーアクションかと思ったら中華ファンタジーだった」というのが適切でしょうか。冒頭から語られる不思議な土地と異界の存在、そしてその地に隠されたものを巡って繰り広げられるバトルが中心のストーリーでした。物語の鍵となる異世界ター・ローは特徴的な幻獣と神秘的な力が多く登場し、過去作にはなかったファンタジー空間を形成しており実に新鮮でした。ドクター・ストレンジ』とは別のアプローチの、王道の幻想的な表現だったと言えます。

 アクションに関しても既存のカンフーアクションにファンタジー要素を加えてドンドン派手になっていくのが良かったです。もちろん序盤や中盤の通常のアクションも見応えがありましたが、幻想表現が加わることでさらなる領域に入っていき、さらなる表現を獲得していたと感じました。特にドラゴンが出てきてからの最終決戦は圧巻の一言です。古来から伝わるカンフーと古代のファンタジーを上手いこと融合していましたね。

 

 ストーリーに関しては主人公の「シャン・チー」が家族の問題を如何にして乗り越えていくかがキモでした。母の死から始まった父や妹との確執に向き合いながら、隠していた本当の自分を見つけ出していく彼の物語がじっくり描かれていました。(直近の前作である『ブラック・ウィドウ』が「偽りの家族の絆」を扱っていたのに対し、本作は「実の家族のしがらみ」がメインだったと言えます)幸い相方である「ケイティ」が明るい性格だったこともあり、そこまで暗い雰囲気にならずに済みましたね。彼女の存在がシャン・チーの「帰るべき日常」として終始彼を支えていた点がとてもエモいです。

 他にも印象的なキャラクターが多かったのも面白いポイントでした。父側の戦闘員である「レーザー・フィスト」は終盤コミカルになっていたのが微笑ましかったですし、やはり再登場を果たしたマンダリンこと「トレヴァー・スラッタリー」は何故か達観したキャラクターに変化していたのが興味深かったです。(彼が俳優を目指すきっかけになった『猿の惑星』のシーンも好き)また何故かウォンと仲良くなっているアボミネーションなど、意外なキャラの再登場も面白かったですね。ブルースはラストにさらっとハルクから戻っていた辺り、今後も登場する予定があるのか気になるところです。

 そんなこんなで結構楽しめた本作。従来のMCUらしい『ブラック・ウィドウ』とは異なり、徹底して新しいことをやってみせたことに感激しました。テン・リングスについてもまだまだ謎が秘められているようですし(このリングのルーツが映画で一切明かされなかった辺り、かなり重要なアイテムっぽいですね)、これから先のシャン・チーたちの活躍にも期待がかかります。MCUの新しい風として今後も是非登場してほしいです。

 

 

 というわけで映画感想でした。今回も色々書き込みましたが、何だかんだでどの作品も楽しかった、の一言で終われるのが嬉しい限りです。

 さて映画に関してはいよいよ明日『エターナルズ』が公開されます。上記の『シャン・チー』のように、これまでのMCUでは見られなかった新たな要素を全面に押し出してくれそうでワクワクが止まりません。早くスクリーンで観て感想をまとめたいですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。

*1:ちなみに本編最終回後を描いた特別編など、アニメされていないエピソードもあるにはある。