新・メタレドの楽しんだもん勝ち!

様々な作品について語ったり語らなかったりするサイト

劇場版 仮面ライダーリバイス バトルファミリア 感想

大騒動の渦の中で

踊らせてくれよ

家族の絆が、閉ざされた心を解き放つ

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

 以前から大々的に告知されていた仮面ライダーバイス』の映画がついに先週公開。暴太郎戦隊ドンブラザーズ』との同時上映だった本作は、久々となる「戦隊とライダーの同時上映形式」だったこともあり、僕としてもとても楽しみにしていた映画でした。令和ライダーになって初めて「いつもの夏映画」が帰ってきたような感覚にどこか懐かしさも覚えましたね。

 さてそんなこんなで公開日当日、映画館に足を運んだわけですが、ド派手な絵面をスクリーンで叩き込んでくるかのような内容だったのが印象深かったです。細かいことを抜きにしてとにかく豪快なバトルに割り振ったかのような展開の連続は見ていて中々に楽しかったです。というわけで今回はそんな劇場版リバイスの感想を書いていきたいと思います。(※同時上映のドンブラザーズの感想は今回書く予定はありません。ご了承ください

 

※ここから先は映画の内容に触れているのでネタバレ注意!!

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

  • 詰め込みまくりの超絶アクション

 まず語りたい本作の魅力は、上述にもある通りド派手なバトル。監督が坂本浩一氏ということもあり、変身前の生身から変身後の戦闘シーンまで、よく動きよく爆発する絵面が頻繁に見られました。爆発が多めで目がチカチカするのはご愛敬で、まるでアトラクションのような動きの連続だったのが魅力的です。特に登場人物の多くが見せる生身のアクションシーンで別のアクション映画を観ているかのような感覚を覚えたのが印象深かったです。

 変身後のバトルでは序盤の連続ゲノムチェンジなど、様々な形態をこれでもかと出して活躍させてくれる坂本監督お得意の演出が特徴的。テレビシリーズ本編でも度々初期の派生ゲノムの出番がありましたが、今回はそれに輪をかけて豪華な内容だったと思います。(個人的には冬映画でも活躍したネオバッタがひときわ輝いていたのが素敵でしたね)ホーリーライブといった主役以外の強化形態の出番はなかった*1ものの、十分に面白かったです。

 

 個人的に最高だと思ったバトルはラストのリバイVSダイモン。一輝とアヅマの生身のバトルから始まり、そこから変身後も激しい戦いを繰り広げる様子には目を奪われました。さらに後述の展開もあって、最後に諸々のしがらみから解き放たれたように戦う2人の姿に惚れ惚れしましたね。遺恨を残さない決着も含め、爽やかな最終決戦だったと思います。

 他にはオルテカによるバリア突入後の展開も素敵でした。花や玉置、ヒロミといった主要な面々が揃って助けに来てくれる展開には素直に燃えましたね。玉置がオーバーデモンズに念願の変身を遂げる*2などサプライズ要素もあって見ごたえ抜群でした。(それにしても放った先で爆発するヒロミアローの唐突感が凄まじい)

 またこの戦闘シーンで各キャラの関係をわかりやすく描写していたのも印象的です。中でもオルテカ退場で長いこと進んでいなかった彼の周囲の関係にある程度決着がついたのが良かったですね。「これまでの悪事は許せないが、それでも今は協力し合う」くらいで落ち着いているので安心して見れました。

 このようにファンが見たかった光景が多く見られた本作のアクション。まるで「見たいもの・やりたいものをとにかく詰め込んだ」かのような内容には苦笑いしつつもどこか嬉しくなってきます。そんな夏のお祭り感溢れる点が本作の魅力の1つであったとつくづく感じましたね。

 

 

  • 孤独を埋める“繋がり”

 アクションがド派手だった一方で、ストーリーにある種の“繋がり”を描いていたのも本作の特徴の1つ。五十嵐家たち家族はもちろんのこと、仲間や宿敵といった人と人との繋がりにフォーカスしつつ、それを作っていくことの意味を説いていくのがこの映画のテーマだったように考えます。

 そんな繋がりを取り上げるため、登場人物たちの“孤独”にも焦点が当たっていました。まず本作のボスキャラである「アヅマ」は使命を全うしようとする執行者であると同時に、長い時の中で「楽しむ」ことを忘れてしまった哀れな青年として描かれていました。ギフの契約者としての使命を果たす中で大切な人を失い、最終的には人類に絶望して世捨て人になったという過去にちょっと同情を寄せてしまいます。一度人との“繋がり”を知ったうえで、それを切り捨てて“孤独”を選んだ哀れな悪役と言えます。

 もう1人印象的だったのが「大谷希望(おおたに・のぞむ)」。こちらは本作の前日譚にてアヅマたちに家族と親友を奪われた過去から、彼らへの憎悪を燃やす復讐者として描かれていました。宿敵以外には優しい好青年で復讐に燃えている人間にはあまり見えなかったものの、どこか他人と距離を置いているようにも見えます。こちらはさながら大切な“繋がり”を失い、“孤独”に生きざるをえなかった者と言うべきでしょうか。

 

 どちらも先に繋がりを知っていたものの今はそれがなくなり、たった1人で戦っていることが読み取れます。そんな彼らに新たな“繋がり”を与えることで救っていくのが今回のキモとなっていました。

 アヅマは一輝とのやり取りを経て彼に友情を感じ、満足したまま消滅することが出来、そして希望は元太父さんの言葉、そして「竹田由芽(たけだ・ゆめ)」という妊婦を守る中で復讐以外の道を見つけることが出来た……それぞれ過程は違えど、今の生き方とは別のものを見つけていくという共通点が見られます。

 前者は一輝のお節介のおかげで最後の一騎打ちを思う存分楽しめたのが重要でしたね。アヅマがギフの契約者としてではなく、1人の人間としての幸せを勝ち取れたというのは映画の敵キャラとして珍しく、そして素晴らしい最期だったと思います。孤独だった悪役が、一輝の「My Friend」になって安らかに消滅するシーンには不覚にもウルっときてしまいました。

 片や後者は大切な者を失って自分は1人であると思っていたところを、他の人たちとの交流で決して1人ではないことを知っていくのが面白かったです。自分を心配してくれる幸美母さんや叱咤してくれる元太父さんなど、会ったばかりの人の優しさによって復讐ではなく人々を守るために戦うようになっていくのは良い意味でライダーらしかったです。特にラストの由芽の赤ちゃんが産まれた後のシーン、自分の希望(のぞむ)という名前をその赤ちゃんに渡す瞬間は実に素敵でした。

 このようにそれぞれの苦悩を救っていき、最後には繋がりの強い主人公たちが勝利するという少年漫画的な王道展開が大きく取り扱われていました。そもそもリバイスの本編でも1人で何かを為そうとするものは決まって迷走・失敗していますし、そこから立ち直って誰かと協力すれば大きな成長と成功を得られる描写が多々見られました。悲しい“孤独”ではなく、誰かとの“繋がり”を重視するのがリバイスという作品全体における大きなテーマなのかもしれません。そして本作はそんなテーマをストレートに、そして熱く魅せてくれていたのがお見事でしたね。

 

 

 そんなこんなで見ていて非常に楽しかった映画だった劇場版リバイス。しかしその一方で、どうしても気になってしまうところもいくつかありました。(ここから先は批判が多いので見たくない方はブラウザバックを推奨します

 

 中でも目についたのが展開の詰め込みすぎ問題。上述の通りやりたいことを目いっぱい詰め込んだような内容だったのですが、その分全体的にゴチャゴチャしている印象を受けました。あれやこれやと駆け足で進んでいくうえ、それぞれの展開の繋ぎにもどこか違和感を覚えましたね。希望が五十嵐家の助けに入ったものの、すぐさま飛行機に戻るようお願いされるシーンをはじめとして、肩透かしを喰らうような展開も多かったです。

 前半の五十嵐兄弟が突入するパート、後半の敵地から脱出するパートで別々の作品のイメージが強かったのも問題だったように思えます。それぞれの山場を楽しめると言えば聞こえはいいですが、もう終わりそうとなったところで全く別の内容になったかのような感覚に陥られるのはあまり気持ちよくなかったですね。

 極めつけは映画オリジナルライダー「仮面ライダー五十嵐」のあっさりとした出番。母の愛で完成した3兄弟の合体形態というエモさ満点のライダーなのに、前半の内に登場して雑魚敵を粉砕して終了という活躍の短さには唖然となりました。その後の戦闘シーンは一切出てこないのはあまりにももったいなかったです。リバイとダイモンの決戦を重視していたがために、五十嵐の出番を確保出来なかったのではないか?とつい邪推してしまいます。(しかし上述の通り最終決戦自体はお気に入りなのが個人的に複雑です)こちらに関してはせめて、敵幹部1体を倒させるなどの見せ場を用意してほしかったところです。

 

 

 では以下、各キャラクターについての所感です。

 

 

五十嵐一バイス仮面ライダーリバイ仮面ライダーバイス

 ご存じ主人公コンビ。本作では一貫して勇敢な長男、そして日本一のお節介焼きとして活躍していた一輝が印象的でした。中でもお節介な部分が肯定的に描かれているのが素敵で、敵であるはずのアヅマも救ってみせたのはお見事でしたね。多少無理やりにでも相手に寄り添い、その心を開いていく一輝らしさがよく出ていたと言えます。
 バイスに関しては出番が全体的に少なめ、しかもダイモンの能力で操られるなど良いところがほとんどなかったのが惜しかったです。(決戦時も見守るだけだったのが可哀想でしたね)しかしながらコミカルな部分は健在で、存在感は何だかんだで保っていたと思いますね。

 

 

五十嵐大二/仮面ライダーライブ五十嵐さくら/仮面ライダージャンヌ

 五十嵐家の次男&末っ子。今回は合理的な大二、強者なさくらとテレビでのイメージそのままの2人が見られました。しかしそれぞれ単独での活躍シーンや他キャラとの絡みもしっかりあったものの、他の家族と比べて目立つ場が少なかったように感じてしまいました。良くも悪くも、いつも通りの面々だったと言ったところです。

 

 

五十嵐元太/仮面ライダーデストリーム

 前作主人公感のある五十嵐家の家長。前半は幸美母さんと一緒に囚われの身だったものの、解放されてからの後半では見事活躍してくれました。中でも大二とさくらの家族3人で戦うシーンは印象的です。

 また上述でも触れた希望への叱咤が良かったですね。自分の人生をめちゃくちゃにした悪魔を許した人間が、同じように復讐に駆られている若者を救う構図に感慨深いものを覚えました。

 

 

五十嵐幸美

  結構目立っていた五十嵐家の要。突如として自分の悪魔を召喚して新アイテムを生成するのはもちろんのこと、バスを運転して脱出するなど全体的にアクティブな活躍をしてくれました。本編では家で家族の帰りを待っていたのに対して、積極的に家族のために戦う様子は微笑ましかったですね。

 公開前はライダーに変身するのかと予想されていたものの、結局は変身せずに終わりました。ただ個人的にはこの人には「一輝たちの帰るべき場所」であり続けてほしいと考えているので、その一線を越えなかったことに感謝しましたよえぇ。

 

 

アヅマ/仮面ライダーダイモン

 本作の大ボス。赤石長官と同じギフの契約者という映画の敵キャラに相応しい設定と貫禄に溢れていたのが見事の一言。演じているケイン・コスギ氏の華麗なアクションとカタコト日本語がまた大きな魅力になっていたと思います。

 また映画のキャラとして珍しく、主人公と和解して救われる結末を迎えられたのが個性的。使命に忠実であろうとするものの、その実誰かと一緒にいたかったという人間臭さに一気に惹かれましたね。色々な意味で味わい深さのあるキャラクターでした。

 

 

大谷希望/仮面ライダーキマイラ

 ゲストキャラの一角。彼に関しては前日譚の方を見ていないので、全体的に唐突感が否めなかったのが惜しかったです。極論五十嵐家とアヅマの戦いで成り立つ本作で、そこまで必要性が感じられなかったのも残念なポイント。*3

 しかし後半に入って復讐者から少しずつ変わっていくシーンは結構見入りましたね。助けたいと思った人たちから感謝されて救われるシーンも良かったですし、最終的には本作のメインの1人になれたのかな、と思います。

 

 

仮面ライダーギーツ

 映画公開と同時に発表された新ライダー。ほぼ毎年恒例である次回作ライダーの先行登場が今回も為されました。どこから現れたのか、といった疑問を吹き飛ばし、華麗に活躍する様子は非常にカッコよかったです。同時にアヅマや元太父さんと、敵も味方も彼の存在に困惑していた辺りで内心フフッときてしまったり。

 また戦闘シーンで見せた商品や会社のロゴのような要素、さらには「この力、お前は信じるか?」「お前の運勢は大凶だ!」といったセリフ回しからどのようなライダーになるのか予想するのも楽しかったです。(個人的には前者はスポンサーロゴを背負って戦うライダーなのでは?と予想しました。あと後者に関しては主人公は占い師なのでしょうか)本格的な発表が楽しみになってくる、見事な活躍でしたね。

 

 

 というわけで劇場版リバイスの感想でした。「細けぇことはいいんだよ!!」とばかりに映像と展開の洪水で攻めていく内容は観ていて飽きなかったですし、何だかんだで最終的には楽しかった!!という感想が出てきました。整合性よりも熱さを重視した映画、といったイメージを抱きましたね。

 他にも同時上映のドンブラザーズは中々にカオスでしたし(それでもテレビシリーズ本編よりはおとなしいと思ってしまっている……)、『映画泥棒』や『お昼のショッカーさん』とのコラボも愉快の一言。本作だけでなく、映画全体が「お祭り」のように賑やかだったように思えます。何より、こうして夏映画が戻ってきてくれたのが本当に嬉しくなる映画体験だったように感じました。

 

 リバイスに関しては本編がいよいよ終盤に差し掛かっており、どのように終わるのか気になるばかり。一輝の記憶の件などの問題もどのように解決していくのか、怒涛の展開の中で着実に終わりに向かっている本作に目が離せません。

 そして9月からスタートする『仮面ライダーギーツ』、さらにはバイスとギーツが共演する冬映画にもワクワクさせられますね。この先も続いていくであろう仮面ライダーシリーズを、何よりも楽しむことを忘れずにこれからも追っていく所存です。

 

 

 ではまた、次の機会に。

*1:後述の本作が本編最終回後と考えると、登場しないことにも納得はいくかもしれない。

*2:こちらに関しては、テレビシリーズ本編の46話で変身までの経緯が読み取れる。

*3:ただこの件は前日譚を見れば大きく印象が変わりそうではあるので、そこまで問題ではない可能性がある。