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気まぐれ漫画簡易感想 その10

 

 お久しぶりの漫画感想。今回取り上げる作品はどれも以前に感想を書いてから1年以上経過しており、少々内容を忘れてしまっていました。おかげで以前の巻まで一気読みしてしまいましたよえぇ。

 ただそうして読み返したことで当時この作品を読んでいた頃の自分の記憶や、その時の気持ちについて改めて見つめることが出来たのが楽しかったですね。そういった楽しみに浸りつつ、感想を書いていきたいと思います。

 

 

 

 というわけで以下、漫画の簡易感想です。

 

 

 

 

衛宮さんちの今日のごはん 第6巻

 久しぶりに取り上げるFateシリーズ屈指の優しい世界を描いた料理漫画の第6巻。この巻ではあまり見られなかったキャラ同士の組み合わせが印象的でした。特に男子勢が目立っており、初っ端から士郎と一成が一緒に料理したりするなど男子たちの仲良さげな様子にほっこりさせられます。中でも士郎&一成&慎二&ランサーという男子だらけの昼食タイムはかなり新鮮でした。

 他には藤ねえこと藤村大河が存在感が大きかったように感じました。主役回では学生時代に教員を目指す様子が描かれましたが、その過程で切嗣のことを想う姿にジーンとさせられます。その後のキャンプのエピソードでもランサーの士郎への印象に対し「頑張り屋さんなんです」と答えたりと、藤ねえだからこそ言える士郎評に驚かされます。つくづく彼女と衛宮家は切っても切り離せない関係であることがわかりますね。

 そして特別編ではあのバゼットが登場。士郎のバイト先に現れたかと思ったら、さっさと食事を済ませてさっさと出る姿は相変わらずです。士郎の作ったナポリタンの味について「美味しかった、のだろう」という感想を抱く辺りに彼女の効率主義が伺えますね。(そして相変わらず牛丼の方が効率がいいという……)それでも食べている間は不思議と表情が柔らかくなっているように描かれており、本人は知らずとも本当に美味しかったのだろうと思いました。

 そして今回登場した料理は例によってどれも美味しそうなものばかり。個人的には上の男子組で食べた親子丼、そしてキャンプにてみんなで作った鮭のちゃんちゃん焼きが特に美味しそうに見えましたね。また上述のバゼットが食べたナポリタンの回にて描かれた豆知識「パスタの麵をあらかじめ茹でた後にオリーブオイルに浸して置いておくともっちりとした触感になる」には内心へぇ~と驚きました。機会があれば試してみたいところです。

 

 

幸色のワンルーム 第9巻

 こちらもお久しぶりとなる漫画の感想。幸とお兄さんの逃亡劇を描いた本作では前巻ラストの懸念もあってどうなるのかとヒヤヒヤしていたのですが、蓋を開けてみればまだ和気あいあいとした雰囲気が見られたことにホッとしました。それどころか幸が松葉瀬たちにも心を開き始めている様子に驚かされましたね。これは前巻でお兄さんの過去を聞いたことで、“幸せ”について考える余裕が出来たからでしょうか。八代に今の仕事について聞くほか、例の自殺未遂お姉さん(一応「一ツ木亜実(ひとつぎ・つぐみ)」って名前があるのですがどうしても初登場のシーンが強烈すぎて……)に言葉を贈る行動を取れるようになり、他人に興味を持つことで自分の人生が幸せかどうかを実感出来るようになったのはいいことだと思いました。

 何より幸が「写真家になりたい」という夢を持てるようになったのが素敵でしたね。何もかもに無関心でいるしかなかった少女が、自分の感情を伝える方法として写真にハマり出す様子は実に微笑ましかったです。かつて彼女にとって写真は自分が虐待されている証でしかなかったことも考えると、残されたものの“正”と“負”を描いているようにも思えましたね。今回はそんな幸の世界が広がっていく幸福な変化を楽しむための物語だったのかもしれません。

 それ故幸が1人で家に戻るラストには衝撃が走りました。今のままではいつか警察に見つかる以上どうするのか……その話が上がった以上覚悟はしていたものの、彼女が単身母親を説得しに行く展開にはギョッとしましたね。前向きになっているとはいえ、実質自分を犠牲にした幸に色々と複雑な感情を抱いてしまいます。お兄さんとの共犯関係はこのまま終わってしまうのか、幸の家庭の問題は解決するのかなど、次巻が気になって仕方がない引きでした。

 また幸の所在を突き止めた刑事の桐山と松葉瀬の会話も印象的。あの松葉瀬が頭を下げて頼み込むシーンには衝撃を受けました。(それだけ松葉瀬が幸たちの問題を真剣に考えてくれていると思うとちょっと嬉しいですね)桐山や岸野の言う「警察の仕事」も正しいのですが、それだけでは解決出来ない問題もあるということは本作では何度も描かれているので、読んでいるとこれまた考えさせられます。ただ上述の幸のように自分や他人に興味を持っていくことで幸せを手にしたと考えるのならば、警察や周囲の家庭の無関心が本作の歪みを引き起こしたのかもしれないと思いました。

 

 

機械じかけのマリー 第2~3巻

 約1年半前に感想を書いた少女漫画。数か月前に本作のことを思い出し、今現在どうなっているのかを調べた結果何と4巻まで出ていることを知ってびっくりしました。既にそこまで刊行されていたのは少々予想外だったので、近くの本屋に駆け込んで2巻と3巻を速攻で購入してしまいましたよえぇ。(4巻は後日探して購入する予定です)

 そうして読んだ2巻と3巻では、例によって主人公たちに悶えまくるようなラブコメが展開されていました。ロボットを演じているマリーと人間嫌いのアーサーのドタバタ劇に様々なシチュエーションが加わることで、前巻よりもコミカルぶりがパワーアップしています。アーサーの看病や主従逆転、南の島のバカンスと立場や状況を変えていくものの、最終的にはいつもの関係に落ち着いていくので安心感がありましたね。1巻の時に感じた“ギャップ”の面白さも、責任感の強さを見せるアーサーなどでさらに魅力的になっていたと思います。

 一方で両者の意識に大きな変化が訪れるのも特徴的。2巻のラストではマリーが自分のアーサーへの好意に気付き、逆に3巻でアーサーはマリーが人間だったら……と考えるようになっていくのは面白かったですね。互いに互いを想いあっているいわゆる「両片思い」の状況にニヤニヤさせられます。しかしそれだけに、マリーが人間であるとバレた時が怖いですね。アーサーが機械関係なしにマリー個人を好きになっているものの、彼が嫌いな「嘘をついている」話はどうしようもありません。最終的に破綻するであろうこの関係がどうなっていくのか想像するだけでワクワクビクビクしてしまいます。

 また2巻以降主役2人以外のキャラも濃くなっていくのも見逃せないポイントです。(一応ロイといった他キャラは既に登場していましたが)中でも暗殺者の「ノア」のインパクトにドン引きしてしまいました。マリーの秘密を握る者、という定番ポジションである以上に、彼女に向ける感情のねちっこさが嫌でも目に焼き付いてしまいます。それでいてマリーとアーサーの関係が如何に歪かを指摘してくる重要なポジションに収まっているのが興味深かったですね。主人公たちを客観的に見れる第三者というのはやはり大切だと改めて思いました。(あと1巻で登場した「マリー2」(完全なロボット)がいつの間にかマリーの友人兼理解者と化していることに爆笑してしまいました

 

 

 上述の通り今回感想を書いた作品は読むのが久しぶりでしたが、どれも当時の自分が初めてこの作品を手に取った時のことを思い起こさせてくれるような作品でした。特に幸色のワンルームの1巻を買った頃の自分は色々と荒んでいて、心の中のモヤモヤに向き合ってくれるような作品を求めていた記憶があります。だからこそ今の幸たちの様子にほっこりさせられたのかもしれません。

 そうしたこともあっていつもとはちょっと異なるものの、それはそれで有意義な読書が出来たかと思います。このように自分自身と振り返っていく漫画体験もたまにはいいと感じましたね。

 

 

 ではまた、次の機会に。