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仮面ライダーリバイス 第50話(最終話)「あくまで家族、いつかまた会う日まで」感想

君のために 強くなる

悲しみと喪失を乗り越えて、彼らは新たな一歩を踏み出す

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  • さらば相棒……最後の思い出作り

 1年間続いたリバイスついに最終回。前回から始まったバイスとの決戦に戸惑う一輝の様子の続きから描かれましたが、ラブコフのミスをきっかけにしてバイスの真意が意外なほどあっさり読み解かれました。もう少しだけいざこざを繰り広げるかと思っていた中でのこれは、個人的には結構嬉しい誤算でしたね。

 そして全てを理解したうえでバイスと再び戦うことを選んだ一輝がまた良かったです。自分のために敢えて悪者を演じていた相棒を尊重して、戦いに臨む姿勢はお節介な一輝らしかったと思います。またどこまでも他人のために自分を犠牲にしてきた一輝が、最後の最後に自分のためになってくれているバイス=“自分のため”に戦ったと解釈すると、感慨深いものを覚えます。

 そんな一輝とバイスの最後の戦い……というよりはイチャツキは、過去のフォームやリミックス変身を多用した中々豪華なものとなっていました。それもこれもアルティメットリバイとアルティメットバイスの装甲がお互いのキックで剥がれて通常のレックスゲノムになったことで、リバイとバイス別々でチェンジ出来るようになったのは上手いと感じましたね。(こうして突発的に生まれたレックスゲノムは、令和ライダー前2作で見られた「基本フォームと見た目が同じ最強フォーム」の枠におさめてもいいかと思います)

 そうして繰り広げられた戦闘は異なるゲノムでの技の競い合い、さらにはリミックス変身による大立ち回りなど、まるで遊んでいるかのような光景に微笑ましさとやるせなさが同時にこみあげてきました。例え消え去るとしても少しでも今の思い出を残そうとしている……この2人なりの関係の清算が感じられます。無駄だとか関係なく、どこまでも自分たちのためにやりたいことをやりきった人間と悪魔の姿がそこにはありました。最終的にバイスは消え、一輝は家族の記憶と引き換えにバイスのことを忘れてしまったものの、後述のラストシーン然り、この時の戦いは決して消えていないと感じることが出来ましたね。

 

 

  • 新しい明日へと

 一輝の記憶問題も解決し、物語は後日談へ。前半の内にバイスとの戦いを済ませたので、後半は一輝たちのその後がガッツリと描かれていたのが素敵でしたね。「物語が終わる余韻」をじっくり味わえるのは、視聴者的には非常にありがたいです。

 まずは大二たち元フェニックス組が「ブルーバード」という組織を立ち上げていたのが印象的。悪魔でもある不死鳥ではなく、「幸せの青い鳥」の名を冠することにしたセンスに唸らされます。(「幸せ」繋がりでしあわせ湯とかけているのでしょうか)他にもお手伝いという形で償いと再出発をしている途中の花と玉置、普通の学生として登校していた光くんなど、サブキャラの描写もさりげなくしっかり見せてくれていました。デッドマンやウィークエンド関連で普通の生活を送れなかった人たちに、こうしてやり直すチャンスが与えられていると思うとほっこりしますね。さくらが医大を目指すなど何故そうなった?と首を傾げそうになるその後もいくつかありましたが、概ね満足のいく「それぞれの明日」が見られて良かったです。

 そして肝心の一輝はサッカーを始めていたことに驚きました。しかし彼がサッカーを辞めた理由親友への負い目だったことを考えれば、それを乗り越えた今は気兼ねなくやれるようになったことにも納得がいきます。何よりジーコや昴先輩たちとサッカーを楽しんでいる光景を見るだけで心が暖かくなります。さらにキング・カズこと「三浦知良(みうら・かずよし)」さんが本人役で出てくる謎サプライズによって、一気に感情が吹き飛ばされました。まさかの出演に困惑が止まりませんが、ここまで頑張ってきた一輝へのご褒美と捉えながら、喜ぶ彼の姿を見てひとまずは好意的に受け止めることにしました。

 その後の五十嵐家団らんのシーンでも一輝の中にバイスが残されている可能性を示して終わるという、どこか希望を残したラストにしてくれたのが素晴らしかったですね。これで冬映画でのバイス復活の布石はバッチリだな!様々な苦難を乗り越えてきた五十嵐家にとって、このラストはまさに「望んでいた結末」だったと言えます。最後の最後に、戦いを終えた人たちに向けた手向けのような後日談を見れた気分です。

 

 

  • もう1人の自分との別れと向き合い

 そんな感じで爽やかに終わった最終回ですが、他にも気になったこととして大二とさくらが「悪魔との別れ」について語っていたシーンがあります。戦う一輝とバイスを見て、弟たちも自分たちの悪魔といつか別れなければならないことを小さく決意していることがわかりました。

 何よりこのシーンは、本作の悪魔は「もう1人の自分」「いつか決別するべき感情」として描かれているように感じられたのが大きかったです。大二とカゲロウのような関係を築きながらも、成長につれてその関係を克服することを迫られている……悪魔はそんな若者たちの心を支える存在としているのかもしれません。それ故ただの悪感情の表れとしてではなく、自分の一部として受け入れる=別れるプロセスが必要となっているのだと思います。

 そして最終回の一輝はバイスというもう1人の自分と戦い・別れたことで、「自分のためにも生きる」選択が出来るようになったのではないかと個人的には考えています。最後までバイスを家族として認識した結果、守るべき家族に自分の存在も入ったのかもしれません。正直苦しい話ではありますが、最後の最後にこういったロマンチックな話があってもいいじゃないかと思い、この物語の解釈を書き残しておこうと思います。

 

 

 というわけでリバイス最終回の感想でした。最終回としてはかなりこじんまりとした内容でしたが、その分一輝とバイスの2人にフォーカスを当てた「彼らの物語」を見ることが出来て良かったです。ギフとの決着など肩透かし感があるものの、全体的には丸く収まった印象を受けましたね。

 後味も爽やかなので見終わった後はある程度すっきりしましたが、同時にリバイスの物語がこれで終わりという事実に対する寂しさを覚えました。過去作のように、一輝やバイスのことをいつのまにか好きになっていたことを実感します。この1年間も、見ていて良かったと思える楽しい時間でしたね。

 しかしその後の新たなライダーとの出会いが描かれた追加ラストシーンから、また一輝たちに会えるという期待も残されています。直近の冬映画や最終回同日に発表されたVシネマなど、彼らの新しい活躍も楽しみです。

 

 

 さて総評は例年通り、後日別の記事として登校する予定です。そちらで評価点や不満点、各キャラクターの所感など、自分なりの本作への想いを綴ってこうと考えています。今回の感想を読んでくれた人たちも、次の総評まで読んでいただければ幸いです。

 

 

 ではまた、次の機会に。