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デュエル・マスターズ WIN 第1話「邪神復活」感想

ようこそ、邪神の世界へ

キリフダを手にした時、デュエマが闇に染まる────

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 ついに始まりました『デュエル・マスターズ WIN』。切札家ではない少年が主人公を務め、これまでのシリーズとは全く別の物語として一新された本作は、早くも衝撃的な内容を見せてきました。楽しそうな雰囲気に紛れ込むダークな要素の数々は、視聴者に「これまでのデュエマとは何かが“違う”」ことを印象付けてきたように感じられます。というわけで今回から、デュエマWINの気になる点などを語っていきたいと思います。

 

 

  • 明るい?得体のしれない?ウィンウィンな少年

 まず取り上げるのが主人公の「斬札ウィン(きりふだ・ウィン)」。上述の通り切札ではなく“斬”札の、全く新しい主人公です。特徴的な青い髪と、最初から小学6年生と年齢が高く設定されているのが特徴的です。

 そんなウィンですが、基本的には「普通にデュエマが好きな普通の少年」という印象を受けましたね。冒頭からカードショップでパックを購入し、当てたカードで友達を一喜一憂する様子は、まるで現実のデュエマで遊ぶ子どもたちのようです。中でも《ボルシャック・ドラゴン》のことが特に好きな辺り、カッコいいドラゴンに憧れる男の子らしさに溢れていると感じました。

 父親のパパリンこと「斬札ガッツ(きりふだ・ガッツ)」と共にデュエマの大会に出る際、キャビネットから無数のデッキを選択する様子はいわゆるガチ勢の雰囲気を醸し出していましたが、初心者相手にも親切に教える優しさもあるのが素敵なところ。心の底からみんなとデュエマを楽しもうとする姿勢には、最初から好感を抱きます。

 

 そんな可愛らしいウィンでしたが、ジャシン(邪神)が登場してからはその印象が一転、どこか得体のしれない雰囲気を見せてきました。自分のデッキに入り込んでいた《アビスベル=ジャシン帝》を前に最初は驚愕したものの、臆さず話しかける姿は中々に衝撃的です。その後もジャシンが繰り出してきた「邪神デュエル(邪神ゲーム)」を強要されても即座に順応し、デュエマを楽しんでいたことにも驚かされます。対戦相手の「覚知山ボウイ(おぼちやま・ボウイ)」の胸がジャシンによって貫かれても(無事でしたが)、動じることなく新しいカードをゲットしたことに喜んでいた辺りは中々に怖かったですね。

 また邪神デュエルに入ってからは雰囲気が明らかに変化した描写が興味深いですね。髪も逆立ち、冷静さと荒々しさが同居したようなキャラクターになっていた理由について気になるばかりです。果たしてこれはジャシンの影響によるものなのか、それともウィン自身に秘められた“何か”なのか……?まだまだ謎は多そうです。

 他には圧倒的なデュエルセンスが光っていたのが素敵なポイント。ジャシンたちアビスロイヤルのカードを一瞬で理解して使いこなしたことにはこれまた驚愕しました。(持ってきたボルシャックデッキにジャシンたちが入り込んだシナジーゼロのデッキになってしまってもあまり動じなかったのも印象深いです)墓地のカードをぶん回してボウイを圧倒するところなどは、これまでの主人公以上に“強キャラ”としてのオーラが感じられました。まさに異質な要素満載の主人公として、最高のデビューだったと思います。

 

 

  • 平穏な日常に侵食するモノ

 今回もう1つの注目ポイントだったのが上述のジャシン。黒い影としてウィンに接触しボウイとのデュエマに乱入、山を破壊したり謎の邪神フィールドに引きずり込んだりと初っ端からやりたい放題でした。そして尊大な態度もさることながら、「この世界を征服する」「敵の命を奪う」といった旨の発言を堂々としてきたのが個人的に衝撃的です。悪役であることを隠すことなく主人公と共に戦うクリーチャーもそうそういないです。ここまでウィンたちの平和な日常が描かれていただけに、ジャシンたちの登場はかなりショッキングなものに仕上がっていました。

 余談ですがジャシンの存在が異質に思えたのは、本作の世界観が極めてリアルに近いのも関係していると考えています。思えば本作では上述のカードショップや大会の描写、ウィンのデッキ選択といった現実でもごく当たり前に見られそうな光景が度々映し出されています。その他デュエマやクリーチャーの物語が完全にフィクションとして扱われているのが意外でしたね。ジョーたちが描かれている漫画をパパリンが読んでいるシーンから、本作においてこれまでのデュエマの物語は現実と同じく空想のものであることがわかります。(『デジモンアドベンチャー』における『デジモンテイマーズ』のような関係ですね)

 ウィンたちが暮らしているのがそんな現実的な世界と思うと、そこにジャシンというフィクションのような存在が出てくる様子は実に恐ろしい状況だと言えます。さながら絵巻の妖怪が現実に飛び出してきたかのような感覚を覚えますね。穏やかに暮らす人々の現実にとっては、超常の死を持ち出してくるジャシンの存在は極めて異質です。

 

 …………とまぁここまで恐ろしげに書いたものの、デュエマが終わってからはジャシンのドジっ子的ムーブが目立っていたのもあってそこまで怖くなかったですね。殺したつもりのボウイが無事でしたし、何よりカードに閉じ込められてうろたえる様子は威厳も何もなかったです。そのうえ可愛らしい姿になったところで1話が終わったので、最終的にはマスコットキャラとしての印象を抱きました。ここまで邪悪な野望を持っている分、こうしたちょっと間抜けな一面を見せることでこのジャシンというキャラのバランスを取っていくのだろうと思いましたね。

 

 

シェケダン・ドメチアーレ 光文明 (5)
クリーチャー:メカ・デル・ディネロ
パワー5500+
▪️ブロッカー
▪️このクリーチャーが出た時、自分の光のクリーチャーまたは光のタマシード1つにつき、カードを1枚引いてもよい。
▪️自分の光のクリーチャーと光のタマシードを使うコストを2少なくする。ただし、コストは0以下にはならない。
▪️シビルカウント5:自分の光のクリーチャーまたは光のタマシードが合計5つ以上あれば、このクリーチャーのパワーを+10000し、「T・ブレイカー」と「このクリーチャーが攻撃する時、相手のクリーチャーを1体選んでもよい。相手はそれをシールド化する」を与える。

 ボウイが繰り出してきたスーパーカーデッキの切り札。「メガ・ソル・ディネロ*1という新種族を引っ提げてきた新たな光文明のクリーチャーです。クリーチャーと言っても車をモチーフにしているせいか、生物らしさはほとんど感じられませんね。前面のライトが過剰なほど多いくらいで、あとは普通の高級車のような見た目をしています。(これはこのカードに限らず、メガ・ソル・ディネロ全体の特徴だと考えられます)ただ光文明のクリーチャーはエンジェル・コマンドなど機械的で生物らしさが見られない種族が多いので、このカードはある意味でそれらの系譜を受け継いでいると言っていいかもしれません。

 カードとしてはコスト5、パワー5500のブロッカーと平均的な基礎スペックをしています。登場時に光クリーチャーとタマシードの数分ドローするcipを持っており、手札補充に最適な1枚です。このカード自身もカウントするので、最悪1枚はドローできるのが嬉しいところ。さらに光クリーチャーとタマシードを対象としたコスト軽減まで備えており、それらを横に並べることに特化したクリーチャーだと言えます。

 この時点で十分便利なのですが、新能力「シビルカウント」の条件を満たせばパワー15500とT・ブレイカーを持つ大型クリーチャーへと早変わりするのが最大の特徴。このコストで高パワー&3打点を持てるというのは非常に強力です。上の展開を補助する能力のおかげで、シビルカウント5も容易に達成させられるかもしれません。さらに相手をシールド送りにするアタックトリガーもおまけのように獲得します。そのためシビルカウントを満たしてからはガンガン攻撃していくといいでしょう。

 まとめると中盤は手札を盤面を整えつつ相手の攻撃を防ぐブロッカーとして使用し、シビルカウント達成後はフィニッシャーとして使用出来る万能クリーチャー。状況に応じて実質2枚のカードを使っているような感覚でバンバン活躍出来ることでしょう。一方でコスト5という微妙な重さ故のテンポの遅さや能力の噛み合い具合、そしてクリーチャーやタマシードを減らされてシビルカウントが満たせなくなると元のサイズに戻ってしまう難点も抱えています。しかしそれらを考慮したうえで使いこなせば、間違いなく活躍してくれるかもしれません。

 

 

  • 深き闇の底より目覚めし、死をも支配する帝王

アビスベル=ジャシン帝(てい) 闇文明 (4)
クリーチャー:アビスロイヤル
パワー7000
▪️ブロッカー
▪️W・ブレイカ
▪️自分の墓地にあるアビス・クリーチャーに「アビスラッシュ」を与える。(「アビスラッシュ」を持つクリーチャーを自分の墓地から召喚してもよい。そうしたら、このターン、そのクリーチャーはプレイヤーを攻撃でき、ターンの終わりに山札の下に置かれる)
▪️このクリーチャーが離れる時、かわりに自分の手札を2枚捨ててもよい。
▪️自分の墓地にあるクリーチャーの召喚コストを2少なくする。ただし、コストは0以下にはならない。

 ウィンのデッキに突如として潜り込んだ謎のカード群「アビスロイヤル」。それらを統べる本作の主人公の“キリフダ”です。得体のしれない魔人のような風貌から如何にも怪しげな雰囲気が出ており、玉座に座りふんぞり返る姿も相まって「恐ろしい闇の皇帝」というイメージがよく似合っています。カードとしてはコスト4のクリーチャーですが、そうとは思えないほどの威圧感を覚えるイラストですね。それに触手などクトゥルフ神話」っぽい要素がところどころに見られるのが不穏……

 カードとしては上述の通りコスト4ですが、パワー7000のブロッカーにしてW・ブレイカーという、この軽さからは考えられないほどに高い基礎スペックを誇ります。これまでも低コストで高パワーの闇クリーチャーはいましたが、それらが全て何かしらのデメリット持ちだったこと*2を考えるとそれがないこのカードの破格ぶりが感じられることでしょう。この時点でかなりハイスペックなのに、持っている能力がこれまた強力です。

 まず挙げられるのが手札2枚を犠牲にして生き残る置換効果。1回で2枚も消費するのは痛いですが、あらゆる除去に対応しているのは非常に便利です。この耐性のおかげで生き残ることはもちろんのこと、相手クリーチャーを確実にブロックしても次に繋げたり、トドメの1体として残して置けるメリットが生まれてきます。また捨てた手札も墓地肥しとして考えると決して悪いことではありません。

 そして次に特徴的なのがこのカードの目玉である「アビスラッシュ」の付与。墓地から召喚することですぐさま相手に攻撃出来、ターンの終わりにデッキボトムに戻る能力を墓地のアビス全てに与えられるのは言うまでもなく強いです。強力なアビス・クリーチャーを出して一気に攻めるワンショット・キル性能はとても高いと言えます。そのうえ墓地のカードの使用コスト軽減まで備えているので、手札からプレイするよりも断然お得です。この能力でアビスラッシュを付与したいアビス・クリーチャーとして挙げられるのは……

 

  • 攻撃時にハンデス出来る点が相性のいい《ブック=ラギルップ
  • 攻撃後自壊するので墓地からまたアビスラッシュ可能な《レター=ジェンゲガー
  • シビルカウントも合わせれば最大2体を除去出来る《悪灯 トーチ=トートロット
  • 墓地肥し&アタックトリガー、そして破壊以外では離れない耐性が最高に噛み合う《深淵の三咆哮 バウワウジャ

 

 他にも多数存在します。そのうえ今後もどんどんアビス・クリーチャーは増えていくことはほぼ確定しているので、その分このカードの強さも光ってくることでしょう。ちなみに墓地のカードのコスト軽減はアビス・クリーチャーに関係ないのが嬉しいところ。フシギバースやムゲンクライム持ちはもちろんのこと、《絶望と反魂と滅殺の決断》を少なめのコストで使えるのは魅力的ですね。

 自分だけは確実に生き残り、部下を使い捨てるようにどんどん呼び出していく様はまさに戦場でふんぞり返る皇帝そのもの。圧倒的な能力もあって、実に凶悪なカードと言えます。闇文明を使う新主人公のキリフダに相応しい性能故、早くその強さを味わってみたいものです。

 

 

 というわけでデュエマWIN第1話の感想でした。いやぁ1話から引き込まれる内容でとても面白かったですね。正直感想の方もここでは書ききれないくらいたくさんあります。真面目な一方でふざけたノリも見せてくれる杉田智和さんのナレーションは新鮮でしたし、一方でボルシャックがプロレス技を駆使するデュエマアニメあるあるのシーンも定番で面白かったです。「斬新さ」と「懐かしさ」が同居したかのような作風が癖になります。またキャラだけでもボウイの生意気な可愛さやタコアザラシの「源さん」の存在感(原作漫画と同じくこいつの存在についてまるで説明がないのがじわじわくる)、ショップのギャル店員が何かマブいなど様々なことがこみ上げてきますね。

 またONE N' ONLYさんのOP「Step Up」と上月せれなさんのED「WINNING ROAD」も興味深いですね。どちらも基本落ち着いた曲調で、良くも悪くも激しい曲が基本だったデュエマソングの中ではかなり異質に思えます。どこかほの暗いものが感じられるものの、明るさも決して忘れていない辺りが素晴らしいですね。どちらも上述にも書いた本作の「斬新さ」と「懐かしさ」を同時に感じさせてくれるような良い曲だと思います。

 

 

 さて次回は小さくなってしまったジャシンの逆襲……とはいかず、あっという間に斬札家に受け入れられてしまう模様。特にパパリンにはかなり可愛がられている様子なのが微笑ましいですね。そして1話目から既に怪しかったジャシンの威厳に関しては、次回で完全に消え失せてしまいそうな予感がします。

 そしてデュエマの方はウィンとパパリンの親子対決が繰り広げられるとのこと。しかもパパリンが使うカードたちのガチぶりにビビらせられます。(パッと見た限りでは《覚醒連結 XXDDZ》《R.S.F.K.》《天命龍装 ホーリーエンド》らしきCGが確認出来ますね)ネット上ではこのデッキは【7軸ガチロボ】ではないか?という噂が立っているようですが、果たして……?

 

 

 ではまた、次の機会に。

*1:ディネロ(Dinero)はスペイン語で「お金」を意味する言葉。メガ・ソルと合わせると「お金の機械」という意味になる。

*2:憤怒の猛将ダイダロス》《虚空の翼ダークモルダー》《黒神龍ギランド》などがそれにあたる。