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2022年夏アニメ簡易感想 その24

 

 

 

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 『ルパン三世』と『キャッツ・アイ』。怪盗を主役とした異なる作品がまさかのコラボするアニメ作品ルパン三世VSキャッツ・アイの製作が発表されました。ルパンでコラボと言えば『名探偵コナン』との対決が有名ですが、とうとう同業の怪盗同士の対決が見られるということですね。怪盗キッドとの対決はどうした……?現在異世界転移をする漫画なども存在するルパン三世の懐の広さを再認識した気分です。

 対するキャッツ・アイに関してですが、僕自身はこちらの作品をほとんどチェックしたことがありません。数年前に公開されたシティーハンター』の劇場版にゲスト出演したところを見た程度で、彼女らの活躍については把握しきれてなかったりします。ただ怪盗美女三姉妹という後の作品たちに影響を与えた魅力に関しては理解しているつもりなので、これを機会にいくつか確認してみたいなぁ、と考えています。

 何はともあれそんな2大怪盗が激突するという構図にはとてもワクワクさせられます。キャッツ・アイが活躍した1980年代を舞台にした内容、そして近年多く見られる3Dレンダリングされた映像など、気になる要素がいくつも見られます。AmazonPrimeで来年配信するとのことですので、楽しみにしながら待っていく所存です。

 

 

 というわけで以下、今週の簡易感想です。

 

 

 

 

 

 

RWBY 氷雪帝国

第12話(最終話)「Best day ever 「最高の一日」」

 長い戦いを終え、ワイスたちとの日常を取り戻したルビー。最終回はそんな彼女たちが日常を取り戻していく様子が描かれました。ここまでの暴走を恥じらいながらも打ち解けてきたワイスの姿を見ていると、ようやく全てが終わったのだと改めて実感出来ます。ワイス自身、家との確執やブレイクとの関係にようやくひと段落させられたようで本当に良かったです。ブレイクに対する実質的なスカウト発言にもどこかウルっときます。

 シオンに関しては何か抱えていそうで特に何もないまま去っていったのがちょっと意外でした。ただセンブランスの可能性について語るシーンは印象的で、人の力の可能性についてルビーたちの見識を広めていくような流れは興味深かったです。また前回ルビーが使った「銀の目の力」らしきものについてオズピンが言及する中、あくまでルビーは「仲間たちとの協力」があったからこそ勝てたと主張する様子も良かったですね。

 そうして穏やかに物語が進む中、ラストにあの「フードファイト」が始まったので色々と衝撃を受けました。原作Volume.2の序盤で見せた伝説のアクションシーンを手描きで再現してくれたことに喜びを覚えつつ、何とも言えないシュールさを再び味わった気分です。あとやっぱり日本人的には食べ物を粗末にするのはちょっと……と考えてしまいますね。ただ原作よりもずっと爽やかなやり取りを以て終われたのはこの作品らしかったと思います。1話のナレーションとオズピンの独白が再び流れたことで、ある種詩的でロマンチックなエピローグだとも感じましたね。

 

総評

 海外発のCGアニメを日本主導で作り出した本作ですが、日本ならではの作風が感じられました。それぞれの人物描写をきっかり分けつつ、本作のメインであるワイスの抱えている問題を的確に描いていくのが印象的。彼女の家庭と境遇に関してここまで掘り下げてくれたのは嬉しかったですね。他にもファウナスの差別問題に関してなど、原作では触れなかった部分を積極的に掘り下げていたのが最大の特徴でした。

 ただそれらに力を入れすぎたせいで、全体的に暗いストーリーが出来上がったという印象は否めません。そしてワイスの夢の世界の奇妙奇天烈さは面白かったものの、夢の世界を何度も行ったり来たりする過程や失敗と成功を繰り返す展開には少々辟易としてしまいました。RWBY』という作品の陰鬱な部分ばかりを描写して、ファンが求める爽快感を疎かにしてしまったに思えてなりません。序盤の原作エピソードの割合を増やして、オリジナルと半々くらいにした方が良かったのではないかとも考えてしまいます。

 そしてアクション面ですが、手描きアニメーションとしては十分に素晴らしかったです。原作のCGアクションほどの躍動感はないものの、手描きならではの動きを重視した作画がどれも見応えがありました。迫力のある戦闘シーンの割合は低かったものの、ここぞという時の「1枚絵にした時の美しさ」を描いてくれているかのようなシーンの連続は最高の一言でしたね。

 

 

連盟空軍航空魔法音楽隊 ルミナスウィッチーズ

 第11話「わたしとみんなのうた

 前回モフィと別れたことでウィッチでなくなってしまったジニー。軍を退役してルミナスウィッチーズからも離れる展開は予想していたものの、ジニーがほとんど何も言わずに姿を消してしまったことにショックを受けました。去った後の仲間たちの反応も痛々しくて、泣き出すいのりや前回の行動を後悔し始めるエリー辺りは見ていられなかったです。

 またルミナスを去る前にジニーがいのりに話した心情も辛かったですね。自分がここにいても役に立たないと自覚して、だからこそいなくなろうとする姿勢には悲しみと憤りを覚えました。ウィッチとしてやってこれたのも全部モフィのおかげだと考えてる節も見られますし、ジニーはこう見えて意外と自己肯定感が低い内面を抱えているのかもしれません。

 そんな悲しい前半に心が折れそうになったものの、その後少しずつ風向きが変わっていく後半がとても素敵でした。ジニーがいなくなった後も彼女がいると想定して曲や衣装を考える仲間たちを見て、ジニーはちゃんとルミナスにいなくてはならない存在になったのだと実感します。何よりジニー自身がファンの子どもや大人たちが歌う様子を見て戻ってくる決意を固めるシーンが最高でした。自分には何もないと思っていた少女が、多くの人たちの力になれていたことを自覚して涙を流す姿にはグッときましたね。

 

 

ユーレイデコ

第12話(最終話)「最高に秘密の場所」

 いきなり謎の3D空間が展開された冒頭に困惑させられた最終回。女の子として扱われるハックと人と動物以外実写のような質感とリアリティのある世界に驚きっぱなしでしたよえぇ。しかし早々にベリィがハックを救出してくれたので一安心しました。ベリィがこれまでハック投げかけられてきた「自分の目で見たものが本物」を彼自身に思い出させる流れは中々に熱いですね。

 そしてその目で見たものに対する考えがラスボス「インジャクション・ジョー」との問答でも炸裂したのがまた素晴らしかったです。怪人ゼロの正体にしてカスタマーセンターの統率者が語るアルゴリズムの話を、ハックが「どうでもいい」の一言で一蹴するシーンはこれまた熱かったです。機械論を振りかざす相手に対して、自分が感じてきたものや築いてきた関係を以て我が道を行くハックの“ブレなさ”が光る名シーンだったと思います。

 最終的にはハックがジョーの跡を継いでワールディングしていくという結果に寂しさを覚える一方で、それぞれのその後がじっくり描かれていたことに暖かい気持ちを覚えました。(特にカスタマーセンターが情報の隠匿を止めて、良いもの悪いものを教えていくという方針に切り替えたのが良き)何より最後にベリィがハックとの再会を果たせたラストに、安心感とワクワクを心から感じられたのが個人的にはグッドでした。

 

総評

 湯浅政明氏原案のオリジナルアニメである本作。何とも奇妙な世界感と設定、独特な言葉回しが織りなす謎解きストーリーが印象的な作品でした。都合が悪いことを隠し、なかったことにする欺瞞を感じさせつつ、“本当”とは何か?についてを考えさせていく内容には色々と惹かれるものがありました。嘘が本当になっていったり、大切なものが見えなくなってしまう流れは、現実世界の情報化した社会を痛烈に皮肉っているともとれるのが面白いところです。
 そんな問題に対して「自分の目で見る」ということを徹底して描いていたのが素晴らしかったですね。上の問題全てに飲み込まれることなく、良い情報も悪い情報も受け入れ、自分で考え判断していく重要性が全話をかけて説かれていました。劇中のユーレイ探偵団の合言葉「I love I」も、「自分の見たものや考えを貫く」姿勢を暗に示していたように感じます。

 また少年少女のジュブナイル作品として良質だったのが最大のポイント。大冒険の最中で悲しい出来事で辛い事実に直面しつつも、それを受け止めた子どもたちが少しずつ成長していく過程は本当に良く出来ていたと思います。子どもたちが主役の物語を好む身としては、ここをしっかりとやってくれたことに最大限の評価を送りたいです。

 

 

風都探偵

第7話「閉ざされたk/名コンビ遭難」

 まるで『金田一少年の事件簿』を見てるかのような気分になった今回。ギャグのような遭難から陸の孤島となった洋館で発生した殺人事件の解決に動くという、クローズドサークルミステリーの王道をストレートに見せてくれて驚きました。また屋敷の主「鏡野空也(かがみの・くうや)」を含めた全員が仮面を着けているという奇妙な絵面が形成されている点も、日本のミステリー作品染みた不気味さに溢れていましたね。

 そしてその状況で殺人を行った犯人について気になるところなのですが、翔太郎たちを助けた「久保倉環奈(くぼくら・かんな)」が怪しかったりとかあの万灯もいたりしているので個人的にはそれどころではなかったです。あと被害者の殺害方法が普通にエグくてドン引きしてしまいました……

 戦闘ではヒートジョーカーが初登場したのがポイント。炎のパンチのカッコよさがもちろんのこと、極寒の吹雪の中に赤いボディが映えますね。一方で今回の敵である「アルコール・ドーパント」はアルコールを燃やしたり痛覚を感じない特性が実に厄介そうでした。見た目のブヨブヨも相まって、強敵ではなくとも相対したくない難敵、といった印象を受けました。

 

 

継母の連れ子が元カノだった

第12話(最終話)「ファースト・キスは布告する」

 まさかまさかの展開を見せた最終回。実家の近くで始まった夏祭りで見せる水斗の不可解な行動に相変わらず疑問符を浮かんでいく中、水斗自身の独白と結女の考察で彼の内面が一気に露になったことに驚かされました。まず母を失った自分を憐れんだり、偉いと誉める親戚たち相手にいたたまれなくなったという理由だけでちょっと胸が痛みます。それ以上に現実に実感が持てず小説の世界に没入するようになった経緯、そして彼女の存在にリアルを感じていた水斗の心情が明かされた時は色々と腑に落ちました。ここまで掴みどころのなかった彼のイメージが、結女への執着によって実像を得ていくような感覚を覚えます。

 そして水斗の心情を知った結女が、彼女だった頃の自分に勝負を挑む展開がこれまた衝撃的。水斗の心に居座る「彼の彼女である“綾井”結女」に対し、「彼のキョウダイである“伊理戸”結女」として彼を奪い取る決意を固める流れはとんでもないと思いつつ感嘆してしまいましたね。そんな決意表明と宣戦布告を兼ねたファーストキスが何とも勇ましかったので、結女の頑張りに対してついテンションが上がります。

 最後は何故か小暮VSいさなという水斗の友達対決が繰り広げられるといったおかしな光景を挟みつつも、改めてキョウダイとして日常に戻っていく2人が見られて一安心。奇妙な三角関係がいきなり形成されたものの、互いに心情を汲み取ったうえでいがみ合うことになったのはある意味で一歩前進と言えますね。何とも面倒くさい元カレ元カノの面倒くさい話としては、実にスッキリとした終わり方でした。

 

総評

 タイトルのインパクトに惹かれて見始めた作品でしたが、色々とこちらの予想を超えてくる展開の連続で毎回目が離せなかったです。何と言っても水斗と結女という元カップルがどのような心情を抱えていて、どのような理由で別れたのかという謎を明らかにしていくミステリーのような楽しみ方が出来たのが特徴的。両者の独白と共にそれらの謎が少しずつ紐解かれていき、最後の最後に2人の関係が明らかになっていく流れには毎回ワクワクさせられました。

 また水斗と結女がどちらも意地っ張りで面倒くさい性格なのも大きなポイントですね。上述の隠された心情が解き明かされることで、この2人の面倒くささはどこからきているのか、どうしてこうなってしまうのかと考えさせていく人物描写が面白かったです。ラノベ的な回りくどい会話やマウント合戦も、最終的にはそれぞれの「個性」として受け入れられたように思えます。

 主人公2人以外では東頭いさなの存在が印象に残りました。だらしないオタク女子という受けの良さそうな属性と、視聴者側をドン引きさせてくる発言の数々には何とも言えないシュールさを覚えました。それでいて水斗への複雑な感情はどこか可愛くて、個人的に見ていて癖になるキャラクターでしたね。

 

 

 今年の3月に『PART6』が終わったばかりの中、早速新作製作が決定したルパン三世。正直早くても再来年辺りまで新作が見れないだろうと思っていたので、予想よりも早く情報が舞い込んできたのは嬉しかったです。

 原作者のモンキー・パンチ氏や初代次元役の小林清志氏など、本作を形作ってきた偉大な方たちが次々と亡くなったニュースには今もなお悲しみを覚えます。しかし同時に、その後もルパンの世界が広がっていく様子はとても素晴らしいことだとも感じますね。偉大な作り手たちの跡を継ぎつつ、視聴者を楽しませてくれる存在として、ルパン三世がこれからも続いていくことを切に願っています。

 

 

 ではまた、次の機会に。