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機動戦士ガンダム 水星の魔女 第3話「グエルのプライド」感想

己を賭して戦う時

百合アニメと見せかけたハーレムアニメが始まった件

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  • その意思は彼女の意思か?

 前回ミオリネの直談判&プロスペラの根回しもあり、退学を賭けて再度決闘をすることになったスレッタ。でも当の本人は「やりたいことリスト」もあってあんまり乗り気ではないのが何ともおかしかったです。その後のシーンでもエランとの交流に舞い上がったり、ミオリネをあだ名で呼ぼうとしたりと「学園生活を楽しむこと」を第一としているスタンスなのがよくわかりました。渦中の人物なのに全く事態を把握していないことには苦笑いしてしまいますが、スレッタの楽しそうな様子を見ているとそれでいいのかもと思えてきますね。

 また今回も大人たちによって縛られている子どもたちが描かれていたのもあって、スレッタの天真爛漫ぶりがなおのこと際立っていました。サブタイにもあるグエルは前回から父親と会社の威厳のために戦わされ、ミオリネは言わずもがな。加えて決闘委員会の「シャディク・ゼネリ」も父の命で色々探っていたりと、それぞれが窮屈な思いをしているのが伝わってきます。今回行われた決闘で行われた裏工作なども考えると、大人たちを意識せず、自分の意思で行動出来ることがどれだけ幸せなのかがあることが何となくわかります。

 ただスレッタに関しては完全に自分の意思で行動出来ているかと言われるとそうではないのが難しいところ。OP明けの母との会話シーンでスレッタの母親=プロスペラであることがほぼ確定したと同時に、以前から感じていたスレッタの「母から色々と刷り込まれている」描写を再確認しました。スレッタ本人は自分で考えて行動していても、実際は母のレールに敷かれているのは明らかです。彼ら子どもたちの生活やMSによる決闘は全て、大人たちの戦いの延長線上にある代理戦争であることを改めて感じましたね。

 

 

  • “自分”を見てくれる家族を探して

 そんな状況にささやかな反抗を見せたのが今回のグエル。上述の通り父の思惑に振り回されていましたが、決闘の後半で自分の意思で戦ってみせたのが素敵でした。終盤まで曇らせていた表情を、怒りと闘争心に満ちたものに変化する瞬間は爽快感抜群の一言です。自動操縦(オートパイロット)に任せて何もしていなかった時よりも、自身で操縦してみせた時の方が善戦してみせた辺りにもグッときました。

 思えば第1話の時点でミオリネの「父親の言いなり」発言にキレていたりと、家族のことで問題を抱えていたグエル。スレッタの母親の話を素直に羨ましがっていた様子からも、彼が“自分自身”を見てくれる家族を欲していたのは言うまでもありません。また弟の「ラウダ・ニール」が父側だと思ってから上の反発に繋がったシーンを見るに、グエルにとっての家族はミオリネ以上に重い意味合いが込められていそうです。恐らくグエルは自分を見てくれる存在としての家族を欲しているのでしょうね。

 そう考えるとラストのスレッタへの求婚にも納得がいきます。負けたことをはっきりと指摘する一方で、自身で操縦してからの強さを正当に評価してくれた彼女と家族になりたいと思ったのでしょう。グエルからしてみれば、スレッタが初めて「“自分”を見てくれた人」になったことへの衝撃も少なからずあったと思います。(彼には「自分を見てくれる相手」=「求めている家族」という図式があるのかもしれません)あのシーンの唐突さには最初唖然としたものの、グエルという少年の人となりをわかりすくまとめた名シーンようにも感じました。1話の嫌な奴ぶりが嘘のように魅力的になってきたグエル、そして着々と謎のハーレムを築きつつあるスレッタの今後が楽しみです。

 

 

  • 赤きボディを進撃させる多兵装機

 今回グエルが搭乗したMS(モビルスーツ)「ダリルバルデ」。赤を基調としたカラーリングが特徴的なジェターク社の機体です。同じくジェターク社製作のディランザを比べると大分スマートなシルエットをしており、武骨なあちらとは対照的な軽やかさが感じられます。他にも頭部のツノがピンと伸びたものではなく、弓なりに曲がったデザインに仕上がっている点が何とも独特に見えますね。

 そんな身軽そうな見た目に反して装備はかなり豊富。長大なビームジャベリンを筆頭に、ビームサーベル付きサブアームに足首から飛び出すクローなど近距離から中距離までをカバーした武装の数々がまず目を引きます。それ以外にもエアリアルとはまた別のビット兵装まで搭載されており、現時点で判明している本作の機体の中でも何でもありなオールラウンダーという印象を受けますね。個人的には破壊された両腕をロケットパンチしつつ、サブアームを繋げて腕から直接ビームサーベルを出すギミックが面白いと感じました。

 そしてこのダリルバルデ、意思拡張AIによって自動操縦を行うのが最大の特徴となっていました。一見して強そうでしたが、スレッタのわかりやすい囮に引っかかったりと戦術AIとしてはまだまだ未熟な点が見られます。何よりグエル自身が操縦してからの動きの違いもあって、彼のパイロットとしての実力が最初から発揮されていればもっと強かったのではないか……?と思わずにはいられません。グエルがまたこの機体に乗るかはまだわかりませんが、次こそは是非、彼自身の腕で活躍してほしいところです。

 

 

 さて次回のサブタイは「みえない地雷」。この「地雷」というのは兵器としての地雷ではなく、個々人のメンタルに関わる比喩表現のことですね。ここまで見た限りスレッタは思ったことをはっきり言ってしまうタチなのがわかるので、それが誰かとの関係悪化に繋がるのでしょうか。あるいはスレッタ自身のトラウマに関わる話なのか……いずれにせよ、次回も一筋縄ではいかなさそうです。

 

 

 ではまた、次の機会に。