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ウルトラマンデッカー 第16話「君は君のままで」感想

共に分かち合い、乗り越える

「可愛い怪獣は癒し」そんなふうに考えていた時期が自分にもありました(『ダイナ』7話を見ながら)

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  • 悩みを越える3人の絆

 前回の激闘から1週間が過ぎ、スピニーという可愛い怪獣を捕獲するところから始まった今回のデッカー。TPUの捕獲作戦に駆り出されたカナタたち同期3人の奮闘が繰り広げられる中、カナタの大きな悩みが描かれていたのが印象的でした。子孫のデッカー・アスミに託された「アガムスを救ってくれ」という言葉の意味に悩み、アガムスとスピニーを重ね合わせてしまうことで立ち止まってしまうカナタには大きく驚かされました。これまでもカナタは何度か悩んでいる様子を見せていたものの、今回はいつになくデリケートだったような気がします。

 彼の悩みの根本が“怒り”にあったのが今回の大きなポイント。アガムスの瞳に宿っていた怒りを感じ取り、戦うことに迷いを抱き始めていたのが興味深かったです。アガムスが怒っているという事実を、まるで自分のことのように考えることにカナタの意外な繊細さが読み取れます。これまでのエピソードから見ても、他人の感情に一喜一憂するのがカナタの特徴なのかもしれません。

 そんなナイーブさを見せてきたカナタを、イチカとソウマがそれぞれ支えてくれたのが良かったですね。前者は励ますように声をかけ、後者は厳しく当たりながらもさりげなく手を貸してくれる……初期のエピソードを彷彿とさせるやり取りを見せてくれたことにグッときました。特に“カナタらしさ”を問いかけ、悩みを共有してくれようとしたソウマのぶっきらぼうな優しさに胸打たれます。若く未熟だからこそ支え合う、この3人の変わらない関係性に安心感を覚える回でした。

 

 

  • 赤く可愛い姿には要注意!?

 今回登場した「浮遊幼獣 スピニー」は赤くちょっとトゲトゲしたボディに加え、フワフワと浮いている様子がとても可愛らしい怪獣でした。冒頭のシーンでもTPUの隊員や町のおばちゃんたち相手にどこか微笑ましい逃亡劇を繰り広げていたのが印象的です。お婆ちゃんがほっこりしている庭先で行われたバトル(?)は、ウルトラマンシリーズらしいコミカルさに溢れていました。

 なので今回はそんな可愛い奴を巡る癒し回なのかな?とか思っていたところ、スピニーが見た目に反した凶暴性を発揮し始めたことから状況が一変。成長して火を吹くようになった怪獣の恐ろしさがこれでもかと強調されていました。しかも小さい小屋を焼き尽くすなど、威力が高かったのも恐ろしかったです。小さくても怪獣は怪獣、その力は人間にとっては非常に恐ろしいものに変わりはないということでしょうか。マスコット怪獣が主役の優しいエピソードが多くなってきた最近のウルトラマンを見ていると、この辺りの意表の突き方にはギョッとさせられますね。

 そしてスピニーがゴースド鉱石によって「双頭怪獣 パンドン」になってからの衝撃は凄まじかったです。前回の予告である程度は予想していましたが、こんなかわいい見た目からあのパンドンに変わる瞬間を見るとやはり驚いてしまいます。(頭が2つになったところでやはりか!と興奮しましたね)その後は2つの頭から炎を吐いたり、肉弾戦や岩の投擲などで大暴れしていたのが印象的。中でも火炎放射を巻き上げ、炎の竜巻を作る技はこれまでにないテクニカルな技でした。最終的にはフォーメーション・デルタやダイナミックタイプになったデッカー(デュアルソードとシールドカリバーによる「剣と盾」が実にカッコよかった!)に敗れたものの、怪獣らしい凶暴性をわかりやすく示してくれたかと思います。『タイガ』に出てきたゴース星人はこんな危ない奴を育てていたのか……

 

 

  • 踏み込まれる闇?

 パンドンも無事倒して一件落着……したかと思ったら、暗い影を落とすムラホシ隊長とカイザキ副隊長にビビらせられたラスト。修理されたハネジロー(初期の喋り方に戻っている?)の口から「TPUの内部調査局が隊長に聞き取り調査」を行うとのことですが、何故今になってそのようなことが行われるのかと疑問に感じました。TPUが隊長に聞き出そうとしているのはやはり、アガムスの裏切りの件についてでしょうか。隊長がスフィアの内通者を組織に入れた責任を取らされることになったらどうしよう、などと考えてしまいます。

 或いは隊長本人に用があるのかもしれません。神妙な顔で眼鏡を吹く隊長の姿には、どこか不安にさせられるものがあります。これまで何度も優しい人格者として描かれてきた隊長ですが、やはり彼にも何かしらの闇があるのでしょうか。ただでさえ博士の裏切りがショックだっただけに、ここでさらに隊長に何かあったらと思うと気が重くなります。どうかその展開だけはよしてくれ!と願うばかりです。

 

 

 というわけで次回はムラホシ隊長にスポットが当たる模様。予告を見る限りだと、隊長の過去にまで踏み込んだ話になるのかもしれません。予告映像では『トリガー』で暴れたヒュドラムやメツオロチの姿も確認出来ましたが、彼らも隊長の過去に関係があるのでしょうか。
 そして隊長を取り調べる内部調査員がまさかのメトロン星人なのも特徴的。(カナタがマルゥルと間違えているのが何か可愛い)マルゥル以外にもメトロン星人の協力者がいたというだけでも驚きですが、そのうえ地位もそれなりに高そうことに余計衝撃を受けました。このメトロンは果たして何者なのでしょうか。

 

 

 ではまた、次の機会に。