新・メタレドの楽しんだもん勝ち!

様々な作品について語ったり語らなかったりするサイト

機動戦士ガンダム 水星の魔女 第7話「シャル・ウィ・ガンダム?」感想

孤立と独立、

そして会社設立

親たちの株価の変動が激しすぎる!

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

 今回の水星の魔女は実質ミオリネの主役回。エランの退場というショッキングな引きで終わった前回に対し、ガンダム」という名の会社を設立する形で異なる衝撃を与えてくれました。ここ最近彼女の出番が控えめだった分、2話の時のような啖呵を見せた時の興奮度は段違いでしたね。

 この回の最大のポイントは何といってもミオリネの「自立」。これまでずっと父親の支配から逃れたい一心だった彼女が、本当の意味で親からの独立を目指すようになる過程がわかりやすく描写されました。プロスペラに父の庇護下に過ぎないことを指摘された後に、会社を設立することで自分の力だけで生きていく覚悟を固める流れがあまりにも綺麗で、ミオリネの決意と展開の面白さには思わず感心してしまいます。

 大嫌いな父に頭を下げて投資を求めるシーンも、ただ反発するだけが自立ではないことをミオリネ自身が学んだことが伝わってきました。子どもながらの真っ直ぐな面を持っていたミオリネが、大人としての柔軟さを獲得してきていると思うと見ているこちらも嬉しくなりますね。

 

 またここまでの行動がスレッタを守るためという点にもグッときます。これまで自分の立場を守ってくれていたスレッタに、今度はミオリネが彼女の立場を守ることで恩返しを果たせたような構図が映えます。(スレッタに対する不愛想な態度とのギャップがまた良き)今までもオドオドしていたスレッタを引っ張る保護者のようなポジションだったのですが、今回に限っては2人は対等な関係になりつつあるようにも感じられますね。

 そして禁忌とされている「ガンダムの製造」を、会社の事業にすることでひっくり返していこうとする流れにもスカッとさせられます。(直前まで行われていたスレッタへの理不尽な魔女裁判に対し、正当な形で意義を唱えることで爽快感を与えてくれているのが上手いです)子どもの駄々だけではどうにもならない魔女の烙印を、大人たちと同じ土俵に上がることで消してみせようとするミオリネの確かな成長が見られます。株式会社ガンダムを設立した彼女たちのこれからが実に楽しみになってくる回でした。手始めに学園の森で野宿しているアイツを入社させようぜ!

 

 

 

  • 親への印象がひっくり返る

 子どもだった少女が目まぐるしい成長を遂げた一方で、親たちの方も注目度が非常に高かった今回。特に主人公2人の親であるデリングとプロスペラの意外な一面、そして子どもから見た印象の変化が興味深かったです。

 まずデリングに関しては、言うまでもなくミオリネへの投資をしてくれるシーンの衝撃に尽きますね。人の話を聞かずに自分の意見ばかりを押し通す強引さばかりが目立っていたあの父親が、娘の必死のお願いに応えてくれた時は本当に驚きました。ミオリネ自身もこれには驚愕したことでしょう。他にもミオリネの信頼問題という真っ当な指摘をしてくるなど、聞く耳持たずな親としてのイメージが大きく覆ったかのような感覚を覚えます。(また本作のガンダムを利用した危険性が度々描写されたことで、デリングの言い分も視聴者としてはわかるようになってきたのも大きいですね)何より初めて自分の言葉に耳を傾けてくれたことで、ミオリネの父への印象が一気に変わりそうな予感がします。

 対するプロスペラはスレッタに対する扱いのひどさが目立っていました。スレッタに飲み物を取りにいかせたりと、娘に対する母親の態度としては違和感を覚えるシーンがチラホラ見られました。電話越しの会話と比べても、上っ面だけでスレッタ自身のことはまるで見ていないように思えてきます。極めつけとも言えるのがエアリアルガンダム」だとスレッタの前ではっきり認めたラストですね。以前の言葉をあっさりと否定して、娘を騙していたことをあっけらかんとした態度で言い放つ様子には呆れと憤りが同時に湧いてきます。そして今まで信じてきた母親に裏切られてしまったスレッタの心情を思うと……
 ミオリネとスレッタ、親に対する印象の違いはあれど、今回それがひっくり返った時の衝撃は当人にとって凄まじいものだったと思います。片や冷酷な父の情のこもった一面、片や信頼出来る母の裏切りと、彼女らそれぞれがこれまでの認識を改めさせられたことでしょう。ミオリネは上述の成長もあって心配なさそうですが、スレッタの方はかなり心配になってきますね。自分にとっての全てである家族が信頼出来るものではなくなってしまったスレッタの今後や如何に。

 

 

 というわけで子どもと親でまたもや色々あった7話でした。サブタイの「シャル・ウィ・ガンダムガンダムしない)?」の意味が会社設立というのはあまりにも予想外だったので、見ている最中はどうなるのかとハラハラさせられました。

 上述の内容以外にも色々な要素が介在していたのが印象深かったです。本物エランがスレッタの前に現れて4号を演じたり、そこからCEOと共に彼女を嵌めていく流れをはじめとして、それぞれの思惑が入れ混じったかのようなインキュベーション・パーティーとなっていました。中でも個人的にはシャディクとニカが通じているかのよう会話が気になっているのですが、あれは6話のブースター開発が関わっているのでしょうか?双方ともに未だキャラの底が見えてこないだけに、この辺りの意外な関係に不穏なものを感じずにはいられませんね。

 

 あとはやはりネタ要素も満載だった点も面白かったですね。ペイル社のCEO4人組がその最たる例で、スレッタを追い詰める時の床がせり上がる演出のシュールさにはちょっとだけ吹き出してしまいました。そのうえスレッタを追い詰めたくせにミオリネの会社設立にニヤリとしているシーンでどういう感情で笑ってるのこいつら……?となってしまいます。

 プロスペラに関してもミオリネが動かなければ絶体絶命だったのに、何事もなかったかのように感謝してくるのがまたシュール。この母親に関してはこれが計算通りなのか、それとも行き当たりばったりなのか判断が付かないせいで余計に困惑させられますね。(そのくせ「娘たち」など思わず二度見する発言があったのが厄介)

 

 

 そして次回のサブタイは「彼らの採択」。恐らくは会社設立にあたって、ミオリネたちがどうするべきかを考えていく回になりそうです。ガンダムを使って会社経営していくためにはどうすればいいのか、どのような事業なのかを確立させていくのでしょうか。スレッタがショックで使い物にならなくなっているであろう中、ミオリネの経営戦略科としての手腕が問われそうな予感がしますね。

 

 

 ではまた、次の機会に。