新・メタレドの楽しんだもん勝ち!

様々な作品について語ったり語らなかったりするサイト

ウルトラマンデッカー 第23話「絶望の空」感想

誰であろうと何者だろうと

君だけじゃなく守りたい

現行主人公を差し置いてラスボスと先に戦う前作主人公がいるらしい

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

  • 通じる想いが消え去る時

 記憶を失ったアガムスを確保したところから始まった今回のデッカー。そんなアガムスと話をすることになったカナタの様子がまず印象的でした。表向きはスフィアの情報を聞き出すためですが、カナタ的にはアガムスのことを知りたい一心でいる辺りに好感が持てます。

 そうして始まった面会でしたが、穏やかなアガムスの態度が見ていて辛くなってしまいました。スフィア侵攻によってレリアを失う前の状態に戻っているようで、性格もアサカゲ博士を演じていた頃を彷彿とさせます。(恐らくアサカゲ博士のキャラこそ、本来のアガムスだったんでしょうね)スフィアと共に戦う地球人を仲間だとはっきり言うなど、この頃は信頼と希望に満ち溢れていたことがわかるだけに虚しさを覚えてしまいそうになります。

 ただカナタが「みんなを守りたい」想いでアガムスと繋がる展開には少しだけ感動させられました。以前アサカゲ博士に言われた「あてのない善意は時に人を傷つける」という忠告を受け止めたうえで、アガムスだけでなく目の前の人を救うことを諦めたくないのは実にカナタらしいです。何よりアガムスも同じ気持ちだと、2人の想いは同じことが伝わってきたのが素敵でしたね。(面会室のガラスに映ったアガムスの顔がカナタと重なるシーンは、記憶を失う前のアガムスはカナタと似ていることを表しているかのようです)

 

 しかしスフィア出現でアガムスの記憶があっさり戻ってからは一転して悲しい展開に。先ほど語った希望の言葉も、全てスフィアの強大さの前には無意味と判断してしまったアガムスの痛々しさが際立っていました。

 そして再びスフィアの侵食が始まってしまった結果、本格的に廃人と化してしまった彼の姿を見た時は言葉を失ってしまいましたね。度々呟いていた「花、木、空、風……」といった言葉も「花」しか言えなくなり、とうとう言葉すら発さないスフィアの傀儡となった様子が何とも物悲しいです。前回必死に覚え続けようとしていたレリアのことさえも忘れてしまったかと思うと見ていられません。スフィアのせいで全てが歪められてしまったアガムスを、カナタが救うことが出来るのか……そればかりを考えてしまう回でした。

 

 

  • 友を支える見つめる天才

 一方で前回デッカーの正体を知ってしまったソウマの行動も大きな見どころでした。冒頭カナタがデッカーだったことに衝撃を受けつつも、これまでの彼とのやり取りから納得していくソウマの様子が目に焼き付きます。驚くべき事実を前にして混乱し続けるだけでなく、冷静に物事を整理していくのは「見つめる天才」と評された彼らしいですね。

 そんなソウマがカナタのことを徹底的にサポートしていたのが今回の素敵なポイント。上述のアガムスの面会の件でも後押ししてくれたのはもちろん、デッカーに変身することをわかったうえで行かせてくれるシーンには心が震えました。「お前はお前のやるべきことをやれ!」という激励からは、彼の気遣いが語らずとも伝わってきます。これまで何度も協力してきたカナタだからこそ、人々やアガムスのために戦っていることを理解しているであろうソウマの言葉は全体的に暗くなりつつあるストーリーの良き清涼剤でした。

 ソウマの想いを心で理解したうえで、勇ましく変身するカナタがこれまたカッコよかったですね。2人の信頼関係がじっくり描かれてきたからこその感動がここにありました。(テラフェイザーに倒されたカナタをソウマがすかさず受け止めるシーンがここすきポイント)この後もカナタのことを度々支えてくれるであろうソウマの今後に期待がかかります。

 

 

  • 回って回って絶望を切り裂く

 今回の戦闘シーンは大量のスフィアソルジャーだけでなく、スフィアゴモラスフィアレッドキングスフィアネオメガスといったスフィア合成獣が勢ぞろいするという豪華っぷりが特徴的でした。(スフィアが集まれば過去造った合成獣を再現可能ということでしょうか。こういった再生怪獣の出し方は面白いですね)恐らくは親玉である「マザースフィア」を呼び出すために必要な「スフィアオベリスク」なるものを守護するためにここまで揃えたのでしょう。スフィア側も地球を取り込む段階に入るため、本気になって攻めてきていることが伺えます。

 そんな3大合成獣とデッカーの戦いはデッカーの大苦戦が印象に残りましたね。さすがのダイナミックタイプでも3対1では劣勢を強いられる状況というのもあって危機感が煽られまくっていました。3体に袋叩きにされたりビームでボールのようにポンポン飛ばされるシーンなどにはハラハラさせられます。

 そんな状況を打開したのがウルトラマン名物「回れば何とかなる」。高速回転斬りでスフィアゴモラとスフィアレッドキングを切りつけ、残るスフィアネオメガスを真っ二つにする瞬間はあまりにも痛快でした。序盤の面会の切ない空気と絶望的な状況を、それでも必死に打ち倒そうとするカナタたちの賢明さが伝わってくるかのようです。直後にテラフェイザーの攻撃を受けて倒れてしまったものの、デッカーのカッコいい活躍も見られて満足が高かったですね。

 

 

 色々とあって激動の23話でしたが、ラストにワームホールからスフィアを統べる最強の敵「マザースフィアザウルス」が出てきた時は衝撃を受けました。予想よりも早く登場したことに加え、マザースフィアそのものではなく既に怪獣と化した姿で出てくる様子はかなりショッキングです。

 そして駆けつけていたケンゴ/トリガーとマザースフィアザウルスが交戦開始する辺りで終わったことにも驚かされました。まさか現行主人公よりも前に前作主人公がラスボスと戦うとは……少々意外ですが、結構燃えるシチュエーションですね。???「頑張りなよマナカケンゴォ!!」今後の展開からしてトリガーが勝つのは非常に難しいとは思うのですが、ケンゴには頑張ってマザーに一矢報いてほしいです。

 

 

 さて今年2022年のウルトラマンはこれで終わり。波乱の戦況のまま、『デッカー』の物語は年を跨ぐことになります。去年の『トリガー』の時もそうでしたが、来年もウルトラマンが見られると思うとちょっと得した気分になれますね。

 ただ次回はまたもや特別総集編。気になる引きをしておいて焦らしてくるのはかなりエゲつないです。またもや待たされることにもどかしさを感じますが、一方でマルゥルとホッタさんを見られるのは嬉しいところ。年明けはこの2人の凸凹コントを見て癒されたいと思います。

 

 

 ではまた、次の機会に。