新・メタレドの楽しんだもん勝ち!

様々な作品について語ったり語らなかったりするサイト

仮面ライダーギーツ 第16話「謀略IR:キツネ狩り」感想

願いと想いは踏みにじらせない

ここまでの話の余韻を全て吹き飛ばす鈴木福の衝撃よ

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

  • タヌキとネコも化かす時

 珍しく冒頭のOPカットから始まった今回のギーツ。前回予告されたデザ神決定戦「キツネ狩り」のターゲットにされた英寿と、彼の討伐を強いられる景和と祢音の様子に早速胸を痛めることになりました。同時にゲームマスターの権利を振りかざすギロリへのヘイトが少しずつ溜まっていく感覚を覚えましたね。本来は禁止されているはずのライダー同士の戦いを運営自体が強要してくる辺りに、ギロリのなりふり構わない態度が透けて見えます。(他にもウィンが洗脳されたまま自爆させられたことが判明した時は怒りよりも先に絶句してしまいましたね。ニチアサウィン三銃士の1人が……

 また景和の心の揺さぶって英寿を倒させようとするギロリの憎たらしさが目に焼き付きました。脱落者の復活を願う景和の心を尊重しているようでいて、その善意を利用して戦わせる気満々なのが腹だたしかったです。そして景和が前回からずっとデザイアグランプリに対する不信感が募っていたのもあって、迷いに迷いを重ねていたのが見ていて辛かったですね。姉にもし両親が戻ってきたら……と相談するシーンには胸が痛みました。そうして始まったギーツとタイクーンの直接対決に興奮する一方、どこか苦しくも思えました。

 

 なんてことを思っていた中、全ては景和がギロリを引きずり出すための作戦だとわかってからは一転してテンション激上げ。祢音と協力してギロリの不正を告発出来る準備をしていたことに膝を打ちましたね。その後激昂したグレア(ギロリ)を倒すため、ギーツら3人のライダーで立ち向かう戦闘シーンもあって一気にカタルシスに包まれました。グレアは何だかんだで強かったものの、3人のコンビネーションで退けるまでに追い詰めたシーンの迫力が抜群だった点もグッド。

 何より景和が願いを踏みにじったギロリに憤っていたのが素晴らしかったです。どんな願いであれ自分の命をかけてかなえようとする以上は立派は願い……これまで参加してきた経験を経て、景和がこの答えを導き出したことにちょっと感動すら覚えます。化かすのはキツネだけじゃない」と英寿に一杯食わせた点も含め、景和(そして祢音)が本作のライダーとして立派になったことを実感させてくれる回でした。

 

 

  • 参加者を見通す不穏な“目”

  そんな景和と祢音の活躍もあって不正が発覚し、ニラムによってゲームマスターを降ろされることになったギロリ。見苦しいところがあったものの、いざ彼が消されたと思うと少々寂しい気持ちになってきます。ジャマトに対抗しうるライダーを育てようとしていた意志は本物だったようですし、英寿の件がなければゲームマスターとして真面目に続けていられたのではないでしょうか。(現在公開中の映画での活躍を見ただけに余計そう感じます)

 まぁそんなことよりも、不正によって今回のデザグラは打ち切りで終わってしまうことになったのが残念に感じましたね。ここまでの脱落者のことを考えるとこの中途半端な終わり方は正直釈然としません。代わりに英寿たちは次回のデザグラの優先参加の権利を獲得しましたが、もう少し彼らに何かしらのボーナスを付けてほしいと考えてしまいます。

 そんなモヤモヤを抱えた中、デザイアグランプリがリアリティーライダーショーであることが明かされた時は何とも印象的でした。スポンサーがいる以上オーディエンスも存在しているだろうとは薄々感じていましたが、“巨大な目”のようなカメラが一斉に姿を見せるシーンにはギョッとしましたね。この手のデスゲームが見世物にされているといいう展開はありがちなものの、犠牲者のこともあって何とも言えない胸糞悪さを覚えます。

 しかし今回のラストに登場した謎の人物「ジー」の姿を見た瞬間ここまでの感情が一気に吹っ飛んでしまいました。というのもこのジーンを演じているのが石ノ森章太郎先生鈴木福さんだったからですね。生粋のライダーファンとして知られている彼が映画に続いてついにライダー作品本編にメインキャラとして出演出来たこと*1にちょっとウルっときてしまいました。間違いなく重要キャラとして据えられたジーンが今後如何なる動向を見せるのか、次回からの展開に非常にワクワクさせられます。

 

 

 さて今回で今年の放送及び「謀略」シリーズは終わり。タイトル通り様々な謀略が飛び交う展開に毎回ハラハラさせられて一方、前述の通りギロリの暴走もあってゲームとしては破綻していたのが気になりましたね。先ほども言ったようにデザ神が決定しなかったのは仕方ないにしても、英寿側にもっと何かしらの報酬を用意してほしいと考えてしまいます。

 ただ道長の脱落に関しては終盤のアルキメデルのシーンもあって色々と腑に落ちましたね。IDコアを破壊されて脱落した者がアルキメデルの元に送られることが判明したほか、ゾンビバックル多用の副作用で道長がまだ生きているという情報が得られたのは嬉しかったです。恐らく今後の展開で英寿たちがデザグラに挑む中、道長はジャマトの秘密に触れていくことになるのでしょう。脱落者を「肥料」呼ばわりするアルキメデルの謎も含め、世界の裏側に突入した道長のこれからの活躍に期待がかかります。

 

 

 そして次回からは「乖離」シリーズがスタート。まず気になるのはやはりタイトル。乖離とはゲームが今までのものとはかけ離れたものになるのか、それとも世界のとんでもない真実にギャップを覚えることを意味しているのか……今から妄想が止まりません。

 また次のゲームからの新規参加者の活躍も楽しみですね。予告映像では新人もいきなり大型バックルを装着して戦うようですし、これまでとは異なる頼もしさを感じます。(一方でゲーム序盤から全員が大型バックルを使わなければならないほどインフレが進んでいると見るべきか……)公開中の映画で使われたバックルも登場するようですし、次回のデザグラにも目が離せません。

 

 

 ではまた、次の機会に。

*1:2011年の『オーズ』での一般子役、2021年に公開された『スーパーヒーロー戦記』での石ノ森章太郎役に続いて、3度目のライダー作品への出演である。