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機動戦士ガンダム 水星の魔女 第11話「地球の魔女」感想

少女たちの拠り所の行方

ケナンジお前……ずいぶんと太くなったな

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  • 己の価値を見出せない子どもたち

 2週間ぶりとなる水星の魔女は変に張り切りまくっているスレッタの様子から始まり、早くも心を痛めることになりました。簡単な手伝いなら何でもこなそうとしており、自分の存在価値をアピールするのに必死なところが何とも痛々しかったです。そのうえ今まで以上に自分の主張を表に出さないようになっており、お弁当の数が足りないと言えずにトイレに籠るなど見ていられない様子が何度も映りました。

 そういったシーンでは自分が認められないことを何より恐れている……というスレッタの感情がチラホラ見られたが興味深いところ。自分が頑張らなければいけない・必要とされなければいけないと思っている辺り、かなり自己肯定感が低い子どもであることが読み取れます。(小説の内容からして、水星での生活が彼女をこうしてしまったことが考えられますね)他人がいなければ自分に価値を見出せないというのは何とも可哀想に思えてきます。

 そんなスレッタもミオリネとぶつかり合ってすれ違いを解消したのはいいものの、何だかんだで他人に依存する点は変わっていないのがまた不穏ですね。ミオリネが正面から本音を言ってくれるシーンは最初こそスカッとしたものの、彼女のスレッタへの執着が強すぎる発言がチラホラ見られたことに危機感を覚えます。メール1日3回」はさすがに重すぎるよミオミオ……スレッタもミオリネも、お互いを必要としすぎているせいで変に噛み合っているようにも見えました。(それはそれとして、ガンダム特有の不和を1話でひとまず解決させるスピード展開には少し感心しました。視聴者にストレスを溜め過ぎないようにする配慮は現代アニメらしいです)

 ここから如何にこの2人が本格的な自立をしていくのかがこの先のカギになりそうです。終盤フォルドの夜明けによる襲撃で離れ離れになってしまったことからも、これからしばらくはスレッタとミオリネは別々の場所で行動することになるのかもしれません。別離エンドは悲しいですが、これをきっかけにそれぞれが自分のことを大事に出来るようになってほしいところです。

 

 

  • 影で蠢く謀略

 子どもたちが相変わらず内面的な問題を抱えている中、大人たちは暗躍しまくっているのがこれまたいつも通り。特に前回ラストから謎の会合をしているデリングとプロスペラの様子が印象的でした。2人が実は繋がっていたことは個人的にはかなり驚きの事実です。プロスペラが本名である「エルノラ・サマヤ」の名前を出したことから、エルノラ=プロスペラが確定したことも大きな見どころですね。

 そんな2人が何を共謀しているのかはわかりませんが、エアリアルを使って何かを成し遂げようとしているのは明らか。9話でのシャディクたちの戦いでエアリアルとスレッタがパーメットスコア6まで達成していたことからも、彼女たちで何らかの実験をしているのでしょうか。話し合っていた「クワイエットゼロ」という謎の計画がその要となるようですが、果たしてそれが何を意味するのか……

 他には前回の通りデリング暗殺に乗り出したシャディクとヴィムですが、シャディク側が約束を破って予定よりも早くフォルドの夜明けにプラント・クエタを強襲させたことにはちょっとビビってしまいました。ヴィムたちをも出し抜いて総取りを狙おうとしているのであろうシャディクの判断には慄くばかり。ミオリネが巻き込まれることをわかったうえで仕掛けるなど、シャディクの中のタガが外れていっていることがわかりましたね。ボブ(グエル)のような巻き込まれた側からするとたまったものではないこの状況、次回でどのような混迷を極めるのでしょうか。

 

 

  • 歪められた影と呪いを背負う機兵

 前回ラストから登場しているフォルドの夜明け所属のMS(モビルスーツ)「ガンダム・ルブリス・ウル」と「ガンダム・ルブリス・ソーン」。それぞれソフィとノレア、地球の魔女たちが搭乗する2機のガンダムです。名前にルブリスが入っていることからそれらの改造機であることが察せられますが、その詳しい出所は今のところ不明。元となった機体として考えられるのはプロローグにてベギルベウが拿捕した量産型ルブリスですが、あれが如何にして地球の集団の手に渡ったのかという経緯について色々と気になってしまいますね。

 そんな改造されたルブリスですが、その見た目は以前のものとは大きく異なっています。ウルは手足やボディの装甲が太く角ばったものとなっており、ソーンは逆に手足のパーツが細長いうえに全体のバランスがかなり歪です。人間的な流線型シルエットが美しかった元のルブリスとはまるで別物の変貌を遂げていますが、その変化は他の機体のパーツを流用しているからだと予測出来ます。資源が乏しい地球だからこそ、手元に残ったもののみで仕上げたのがこの2機なのではないでしょうか。

 そんな2機のルブリスの戦闘シーンは現状ほとんど描かれておらず、その詳細なスペックも今のところ不明なまま。(わかっているのはウルの方は巨大なビームランチャーによる砲撃が得意、なくらいでしょうか)本作のガンダムの特徴であるGUNDフォーマットによるガンビット兵装も見当たらないので、ガンダムとしての強みもほとんど無さそうに思えます。ここまで書くとあまり強そうには見えませんがそこはガンダム何かしらとんでもない隠し種があるかもしれません。少なくとも次回の戦闘でそのスペックが明らかになると思うので、それを見てからこの改造機の実力を判断したいところです。

 

 

 今回他にも印象に残ったポイントとして「ケナンジ・アベリー」の再登場があります。プロローグでベギルベウを駆り、量産型ルブリス2機を倒した実力者が再び登場したのは嬉しかったものの、見た目がかなり太っていたことに愕然としてしまいました。プロローグから本編まで21年の月日が流れたことを考えるとまぁこうなっても仕方がないのかな?と思うところもありますが、それはそれとしてあのイケメンがこうなったことには少なからずショックを受けてしまいます。

 ただ性格は若干マイルドになっていたようにも思えました。プロローグでのケナンジは生意気そうな高慢ちきの若者、といった感じでしたが、今では落ち着いた態度を見せていることに別の驚きを覚えます。自分の体型を笑う部下を冗談めいた口調で咎めたりと、ある意味ではいい年の取り方をしたのかもしれません。上述のプロスペラがエルノラだと判明した点といい、今回はプロローグとの繋がりが強い要素がいくつか見られたのが面白かったですね。

 

 

 さて次回は第1クール最終回。年明けを挟んでひとまずの終わりを迎えるようです。ついに対面した水星と地球の魔女、裏で動く様々な思惑、離れ離れになったスレッタとミオリネと、気になる要素が満載でこれらを1話でまとめきれるのか!?という心配も出てきますね。少なくとも第2クールに向けて色々とやってくれそうですが、これまでの話の傾向からしその分視聴者の心に大きな傷跡を残していきそうなのが怖い……

 そんな次回のサブタイは「逃げ出すよりも進むことを」。ここから読み取る限り、スレッタたちが何かしらの決意を固めるのでしょうか。「逃げたら1つ、進めば2つ」からさらに発展させた言葉であろうこの意志が吉と出るか凶と出るかはまだ定かではないものの、ポジティブになることを期待したいですね。まぁとりあえずは待て次回!

 

 

 ではまた、次の機会に。