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2022年秋アニメ簡易感想 その26

 

 

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 今もなお続いているデュエル・マスターズ』のアニメシリーズ。その中でも切札勝舞が主人公を務めていた頃はいくつか劇場版が制作されていました。僕も幼い頃、最初に公開された『闇の城の魔龍凰(カース・オブ・ザ・デスフェニックス)』を観るために親に映画館に連れて行ってもらったものです。

 そんなデュエマアニメ映画の中でもひと際有名なのが2009年に公開された『黒月の神帝(ルナティック・ゴッド・サーガ)』。当時の映画観客動員ランキング・映画満足度ランキングで共に1位を獲得したことのある作品で、実際かなり面白い作品でもあります。映画オリジナルキャラクターである「黒月ミカド(くろつき・ミカド)」&「黒月ルナ(くろつき・ルナ)」兄妹の悲壮な過去とそれに向き合う勝舞のひた向きさが刺さるストーリーは、良くも悪くもシンプルで見ていて気持ちがいいです。当時の流行りだったCGレンタリングによるアニメーションですが動きが非常によく、キャラクターとクリーチャーの一体感も感じられます。(個人的には勝舞が決意を固めて歩み出すと同時に仲間のクリーチャーたちが次々と出てくるシーン、そしてボルシャック・クロス・NEX》が姿を現してからのクライマックスが特にお気に入りのシーンです)

 

 前置きが長くなってしまいましたが、そんな黒月の神帝が何とデュエチューブ内で先日から期間限定で公開されました。上の動画からでも見ることが可能です。上述の通り非常に見応えのある映画なので、気になる方は是非見てほしいですね。(来年2月18日までの期限つきなのでお忘れなく)そしてこの調子で上記の闇の城の魔龍凰などといった、他の映画の方も配信してくれたら嬉しいところです。

 

 

 というわけで以下、今週の簡易感想です。

 

 

 

 

 

 

SPY×FAMILY

第25話(最終話)「接敵作戦(ファーストコンタクト)」

 学校の懇親会という保護者が集まる場でオペレーション<梟>のターゲット「ドノバン・デズモンド」がついに登場。ロイドがいよいよ情報を聞き出すべき相手と出会ったことにかつてないほど興奮させられました。デズモンドは見た目はともかく内面についてはどこまでが本当でどこまでが演技なのか読み取れず、声の威圧感もあって計り知れないものを感じ取りました。「人と人は永遠にわかり合えん」と話しながらも、息子・ダミアンに対する親の情のようなものも垣間見えるので何を信じればいいのか困惑させられてしまいます。

 そんなデズモンドとの接点を作ろうとするロイドの心理戦に手に汗握る中、ダミアンのいじらしさも印象に残りました。自分の頑張りを認めてもらいたいと思う一方で、失望されることを恐れて尻込みしてしまう辺りは年相応の子どもらしいです。しかしアーニャの言葉もあって自分の父を信じ、言葉を交わすシーンには胸を打たれましたね。上述の父の言葉とは相反する、「わかり合おうとする勇気」をダミアンから見た最終回でした。

 

総評

 凄腕諜報員によるスパイアクション……に見せかけたコメディ作品。いずれも裏の顔を持った者たちが身の上を偽り、家族として過ごす様子を描いていました。非常にコミカルな要素が強いもののクセが少なく、万人が楽しめるホームドラマとして洗練されている、という印象を受けましたね。

 特に「偽りでもわかり合う努力を」といったテーマが感じられるのが面白いところで、素性を隠したままでも優しさなどが通じ合う関係性が心地よかったです。全体的に丁寧な作風とハイクオリティな映像のおかげで、日常アニメような感覚で気楽に楽しめる作品に仕上がっていたと思います。

 ただ一方でその丁寧さ故に、面白みがあまりないと思わざるを得ないところがいくつか見られました。全体を通して物語の起伏が少ないうえに、様々な事件は主人公のロイドが秘密裏に解決してしまうので毎回終わりがかなりあっさり目に感じてしまいます。(例えるならば「起承転結の“結”がいつの間にか終わってしまった気分に陥ってしまう」でしょうか)ストレスフリーに楽しめるクセのない点が、回を重ねるごとに退屈に感じてきてしまう、というのが個人的な感想になってしまいましたね。

 

 

BLEACH 千年血戦篇

第12話「EVERYTHING BUT THE RAIN JUNE TRUTH」

 1クール目最終回ということでまさかの1時間スペシャルとして放送された今回のBLEACH。前半は一心と真咲の過去編の続き、2人が如何にして共に歩むことになったのかが語られました。この辺りは何といっても虚化寸前の真咲を救うため、死神の力を捨てることを即決する一心のイケメンぶりが印象に残ります。未練はあるものの、恩人を見捨てるという選択肢をはじめから取らずに決断する辺りに惚れ惚れさせられますね。前回の真咲と同じように「明日の自分を~」といった言い回しをする点にもニヤリとさせられます。

 その後2人が結ばれてからの様子に癒され泣かされた後に、真咲が死んだ真実が告げられるパートで冷や水を被らされた気分になりました。ユーハバッハによる聖別(アウスヴェーレン)のせいで滅却師の力を失い、一護を守って死んだという事実にはわかっていても愕然とさせられます。そのせいでグランドフィッシャーの扱いが色々と滑稽なことになっていますが、まぁいいでしょう。石田の母も含め、本来死ぬはずではなかった人の運命が狂わされていることに憤りを覚えますね。その真実を知ったうえで両親の愛を知った一護が、改めて戦う決意を固めたのが唯一の救いでしょうか。

 あとはやはり竜弦の過去にも胸が締め付けられました。上述の真咲の危機に何も出来ずに曇らされただけでなく、自分を慕ってくれた片桐さんも聖別で失った過去には悲しみしか湧き上がってきません。彼が滅却師を毛嫌いし、息子にその道を進ませたくなかったことにも納得するほかなかったです。でも雨竜くんにはもうちょっと本音で語り合う努力をした方がいいですよお父さん!

 

第13話「THE BLADE IS ME」

 後半は一護が王悦の元に戻る場面からスタート。浅打の試練も難なく突破した後は、相変わらずハイテンションな王悦のノリに劇中の一護共々困惑させられました。まぁ「二枚屋親衛隊」のアクの強さ、そして一護が見つけ出した浅打のシュールな可愛さ(体育座りしているのがキュート)のおかげで、ここまでのシリアスな空気をいくらか壊してくれたのは良かったですね。

 それはともかく新たな斬魄刀を創る中、ついに一護の中にいた力の正体について明かされたのが今回最大のポイント。何度も助けてくれた白い虚の一護こそ本当の斬月であり、これまで斬月と思われていたオッサンは一護の滅却師の力だと判明した時の衝撃は本当に大きかったですね。特に斬月のオッサンの姿は若い頃のユーハバッハそのものという事実には、色々と納得してしまうところがあります。(原作を読んだ身としては、アニメでユーハバッハの声優さんがオッサンと同じ人だとわかった時のやってくれたな!感は異常)一護の卍解が奪われなかった理由もこれで何となく察しが付くのが面白いところです。

 そんな衝撃的な事実を知ったうえで、敢えて新たな「斬月(ざんげつ)」を2対の刀に据える一護の優しさに胸打たれました。これまで自分を危ない目に遭わせまいとしていたオッサンも、自分の危機に何度も現れてくれた白一護も彼にとっては両方大切な“斬月”だという想いが伝わってきました。お馴染みのBGMを流しながら消えゆくオッサンも含め、一護が自分の一部として認めるシーンは何とも勇ましく思えます。何より本作のOPが「一護が自分のルーツを知って本当の斬月を手にするまで」の過程を描いていることを実感させてくれる、素晴らしい回でしたね。(「共にまた歩き出した」いいよね……

 他にも尸魂界でそれぞれ決戦に向けて準備する隊長たちも描かれ、ユーハバッハの元に下った石田のシーンで終わるという期待感を高めてくれるラストで締めた点も最高でした。来年の7月から始まる第2クールも非常に楽しみです。

 

 

チェンソーマン

第12話(最終話)「日本刀 VS チェンソー

 とうとう始まったチェンソーマンVSサムライソードの決戦。両者が変身してからのダイナミックな戦闘シーンには初っ端から興奮させられました。戦いの場所を次々と変えていき、最終的には電車の中で繰り広げる様子に心が躍ります。特に前回は惨敗だったデンジが足のチェンソーを初披露して倒すシーンが最高にカッコいいです。「狩人の言葉を信じるな」という岸田の言葉を口にするなど、あの地獄の修行からしっかり学んで成長しているのだと実感しましたね。

 一方アキの方は例によってしんみりさせられる要素が満載でした。操られたゴーストがかつて姫野先輩が取ったタバコを差し出すシーンに驚愕すると同時に、死後もなお先輩のアキへの想いが感じられる展開にほろりとさせられます。決着後の「サムライソードのキ〇タマを蹴るゲーム」に参加する様子は、アキ個人が姫野先輩への追悼を兼ねていてまた興味深かったですね。(ただこんな汚い鎮魂歌貰っても先輩あの世で困ると思うよ!)色々ありましたが、その後はデンジもアキも元の日常に戻れてとりあえずはめでたしめでたし、といった終わり方のおかげで爽やかな気分で見終わることが出来ました。

 

総評

 近年のジャンプ漫画の中でも特にバイオレンスなバトル漫画のアニメ化。悪魔が存在する現代社会で繰り広げられるデビルハンターの戦いには色々と惹かれるものがありました。エログロは多いわ登場人物の倫理観はいかれてるわと少年誌で連載していたとは思えない内容に最初はドン引きしたものの、見れば見るほど興味がそそられていきましたね。殺伐としていながらも劇中のキャラそれぞれが吹っ切れていることもあり、あまり重く受け止めずに見ることが出来たのも大きかったように思えます。(個人的にはやはり姫野先輩のアキへの激重感情ばかりが頭に浮かんできますが)

 主人公のデンジは良くも悪くも利己的で、自分の欲望を隠さず大っぴらにするキャラクターだったのがこれまた印象的。それでいて身内への情の深さも持っており、回を重ねていくごとに好感が持てていく主人公だったかと思います。彼とパワーちゃんのドタバタギャグは本作のいい清涼剤になってくれていました。

 またMAPPA制作だけあって作画は毎回ハイクオリティでしたね。映画的な間を活用した表現も多々見られ、見ている間この作画だからこそ感じられる情緒が得られました。戦闘シーンの迫力は言わずもがな、血飛沫飛び散るゴア描写の丁寧さにはある種の美しさを逆に覚えます。人気作ということもあって、気合の入った要素も感じられてとにかく濃いアニメ体験でした。

 

 

異世界おじさん

第12話「名前は大事だ、あいつもそう言っていた」

 騎士をクビになった癖に自分から辞めたみたいな虚勢をはるメイベルに呆れていたのも束の間、例によってゲーム脳なおじさんの異常性が露になっていた今回。SEGA関連の歌を彼女に歌わせるわ、敵を倒せば新展開のフラグが立つと思って挑むわとおじさんのズレっぷりがいつも以上にひどくなっていると思わざるを得ませんでした。価値観を押し付けるのはよせ」という言葉はその通りだと思う一方、如何せんここまでの行き当たりばったり&洗脳されているシチュエーションを考えると素直におじさんに素直に賛同出来ない気分です。

 それはそれとして例によってツンデレエルフとのラブコメは見ていて楽しかったですね。前回に続いて別の女子と仲良くしているおじさんを目撃して修羅場っている様子はハラハラさせられるところがありつつも笑えてきます。かと思いきやその後のお互いの名前を名乗り合うパートで「スイ」というあだ名を貰って喜ぶなど、妙にチョロいので何とも微笑ましいですね。最終的にはメイベルやアリシア一行みんな揃っての決戦になるようですが、エルフがどこまで正ヒロインとして活躍出来るか気になるところです。そんな期待に胸が膨らむ中での最終回延期は……ちょっと辛い……

 

 

 上の劇場版デュエマを見終わった後、是非読んでほしいのが漫画『大長編デュエル・マスターズ。様々な番外エピソードを収録した短編集ですが、各巻にミカドとルナの兄妹のエピソードが収録されているのが魅力の1つとなっています。第1巻では2人の過去が、2巻と3巻では映画のあとの様子が描かれています。(他にもザキラとアッシュが出会う大学編や勝利VS黒城、死神デッキ完成を目指す黒城のエピソードなども面白いです)

 特に2、3巻の後日談が最高の一言。漫画特有の強烈なギャグ描写で繰り広げられるシスコンミカドの顔芸なども印象に残りますが、何よりあの兄妹が平穏な日常を送っている光景に感動させられます。辛い日々ばかりだった過去を乗り越え、勝舞に救われたことで些細なことに一喜一憂したり、命や世界をかけないただのデュエマを楽しむ日々を彼らが送れていると思うと感極まってしまいそうになります。全3巻と短くてお求めやすいと思うので、余裕があれば多くの人に読んでこの感情を堪能してほしいですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。