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気まぐれ漫画簡易感想 その11

 

 

 2023年に入ったことですし、久々に漫画の感想を書いていきたいと思った今日この頃。前回から約5か月が過ぎているなど例によってスローペースですが、少しずつでも続けていきたい所存です。

 前回が以前から読んでいる作品の感想を書いていたのに対し、今回は最近読み始めた新作を主に取り上げていく予定です。昔から追っている作品を嗜むのもいいですが、どうせなら新しい漫画にも目を向けていくのも大切だと思うのでいい機会です。これまたジャンルが雑多になっていますが、読んでいただければ幸いです。

 

 

 

 というわけで以下、漫画の簡易感想です。

 

 

 

 

機動絶記ガンダムSEQUEL 第1巻

 

 

 まず最初は数多く存在するガンダムの漫画作品から1作。本作は現在放送中『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』の脚本を担当している井上敏樹氏が原作を務めていることで話題になった作品でもあります。『仮面ライダー913』が打ち切りになってしまったことで味わった敏樹レスを少しでも補いたいあまり手を出したのですが、ガンダムかと思ったらい能力者バトルモノだったでござる」的衝撃に唖然となりましたね。ガンダム特有の人類の革新を「ネオス」という特殊能力者で表現した内容には驚きを隠せません。(一方で本作の舞台が「ニュータイプを隔離・放逐した幽霊コロニー」という点で本作がガンダムであることを意識させてくれます)

 主人公「シャギ・カリオス」の設定も強烈で、ガンダムのコックピット内で火あぶりにされている母から生まれた話牙狼炎の刻印かな?が出た時はこれまた仰天しました。殺し屋の仕事をする傍ら自分の記憶にあるガンダムを探していること、さらには不死身故の刹那的な生き方には何とも言えない戦慄と魅力を覚えます。彼女が探している「ガンダムミナーヴァ」とは何なのか……?その謎を巡るサスペンス要素が本作の醍醐味とも言えますね。

 それでいて井上氏らしいセリフ回しや描写がチラホラ見られるのも面白いところ。まず冒頭の溶鉱炉に入れられるガンダムのくだりで語られる「人は兵器と共に自らの敵も創造している」というセリフに胸打たれました。戦争を終わらせた守護神でもあるガンダムを排する中で、ある種の戦争の真理を語るセンスに痺れてしまいます。他にもカリオスの父疑惑がある「デュラン・ロータス」のキザったらしい言葉にも変な酔いを覚えてしまいましたね。読者をニヒルかつ皮肉めいたもので突き放す距離感は求めていた井上敏樹節そのもので、個人的にはかなり満足です。

 そんなこんなで楽しく読んでいるものの、ところどころでこれはガンダムなのか?という考えが浮かんでくるのもまた事実。面白いけどガンダムに求める面白さとはまた別物のようにも思えますね。ただガンダムが出ること自体は確定していると信じたいところ。現在ネットで公開されている話でもガンダムの姿は影も形もありませんが、いずれはカリオスがガンダムミナーヴァに乗り込むことを期待しながら読み続けていくつもりです。

 

 

ひぐらしのなく頃に令 鬼熾し編&星渡し編 第1巻

 

 

 ゼロ年代サブカルチャーの一角を代表するひぐらしのなく頃に』の新作は何と2本同時進行。本編から約30年後の令和元年、圭一たちの子どもたちを主人公としたスタイルに早速ワクワクさせられました。(レナが離婚している点は納得するほかない……)真の主役である梨花病室から子ども世代をアドバイスする安楽椅子探偵のようなポジションに落ち着いているのも興味深いですね。

 そんなひぐらし令ですが、本作ではシリーズ特有の不和を「ポラリス家族の会」という宗教団体の介入によって再び描いているのが最大の特徴となっています。DV被害者たちで構成されている故に他者との関わりを断絶した集団が、廃村の危機にある雛見沢の村民たちと度々軋轢が生まれていく様子から、読んでいる間はザワザワとした感覚が刻まれていくのを感じました。ただそんな感覚こそひぐらしらしい、と個人的には好感を覚えますね。DVを受けた少女の拙い態度など、全体を通して嫌な生々しさに溢れているのがまたページをめくるスパイスとなっています。

 主人公の「前原圭太郎(まえはら・けいたろう)」は誰とでも仲良くなれる性格故ポラリス出身の子どもたちと触れ合おうとするものの、周囲とのやり取りでその仲間との関係にヒビが入りつつあるような様子がこれまた面白いです。ただ1人不和に立ち向かおうとする少年が、これから起こるであろう惨劇を前にして如何に心を保てるかは大変気になるところ。(この後綿流しのお祭りとポラリスのイベントどちらかに行くかで、この2編へとルート分岐していくのでしょう

 雛見沢とポラリス双方に被害を出して諍いを煽っている「第三者」がオヤシロ様の祟りを復活させようと暗躍している点など、こちらの心臓を試していくような不穏な描写の数々にも胸が躍りますね。例えるならば「いつ割れてもおかしくない風船が膨らむ様子を眺めている」ような空気を与えてくるひぐらし、今後の展開が実に楽しみです。

 余談ですが殺伐とした本編の癒しとなるおまけ要素も本作の魅力の1つ。特に鬼熾し編の作画担当である夏海ケイ氏のコラージュ劇場は、何とも言えないシュールさから笑いが止まらなかったです。何より氏はかつて作画を担当していた『うみねこのなく頃に』コミカライズでも同じようなコラージュ劇場を掲載していたこともあり、それをまた味わうことが出来て色々と嬉しかったです。

 

 

生徒会にも穴はある! 第1巻

 

 

 週刊少年マガジンで連載中のラブコメ(?)作品。基本4コマだけど要所要所で普通の漫画的なコマ割りにもなる、近年の作品らしい点がまず特徴というべきでしょうか。それ以上に本作を表すなら「この作品妙に下品でエロチック!!」といったところ。生徒会に入った主人公「水之江梅(みずのえ・うめ)」のツッコミアリの日常が微笑ましいのですが、ところどころに入る下ネタ&エロ描写がストレートすぎて、読んでいる間は何度も開いた口が塞がらなくなる現象に遭いました。

 何といっても登場ヒロインがどいつもこいつも個性的。まともなようでかなりのむっつりな会長になんか怖い人(プライベートは可愛い)、度々相手を煽っては制裁を受けるオスガキとインパクト抜群の面子が揃っているせいで彼女らのことを嫌でも覚えてしまいます。中でも8話から登場する「陸奥こまろ(みちのく・こまろ)」のキャラクターは強烈の一言でした。ダウナー系女子&トランジスタグラマー&リョナ担当という属性のてんこ盛りぶりには変な笑いが出てきそうです。(調べたところ、こまろのデザインは作者の自画像そっくりなんだとか……)場合によっては苦手意識すら抱いてしまいそうな要素も数多く見られることから、総じて劇中のギャグや登場人物に作者の性癖が惜しげもなく晒されているかのような作品だと言えます。

 そんな作者の味が濃縮されているのが単行本のおまけ要素。作者のむちまろ氏と担当のひらつか氏による「各キャラの自〇シーン考えようぜ!」という狂気のくだりにまず仰天し、カバー裏の会長の自〇事情の紹介で完全に放心してしまいました。マガジン本誌で載せている本編はむしろ配慮している方だったと思い知り、単行本で包み隠さなくなった作者たちのポテンシャルに驚きを隠せません。ここまでエロに正直だと一周回って尊敬の念すら抱いてしまいそうです。全国の学生たちの貴重な紳士本となっているであろう本作に、これからも目が離せないかもしれませんとりあえず作者のTwitterアカウントフォローしてR-18絵チェックしようっと。

 

 

 というわけで漫画感想でした。様々な娯楽で溢れかえっている現代、漫画は最も身近な娯楽として多くの人に愛されています。その分溢れかえった作品から自分に合ったものを見つけるのに苦労することもありますが、宝探しの感覚で様々な漫画を読むのもまた一興。上の作品はもとより、他の様々な作品にこれからもドンドン触れていきたいですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。