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2022年秋アニメ簡易感想 番外編

 

 

 新年を迎えてから早数日、2023年冬アニメも少しずつ始まってきましたが、皆様はどの作品を視聴しているでしょうか。かくいう僕は様々な新作が名を連ねる中、どれを見てどの作品の感想を書いていくかを例に如く悩んでいる最中です。それらについてまとめるのもちょっと大変なので、冬アニメの感想はもう少し先になりそうです。

 というわけで今回の感想は番外編。前季で放送されていたアニメの中から、密かに見ていたアニメの感想を書いていこうと思います。簡易感想で毎週感想を書いていた作品とは別に、マイペースに見ていた作品をチョイスしてまとめていくつもりです。今更去年のアニメなんて……という方もいられるかと思いますが、読んでいただければ幸いです。

 

 

 というわけで以下、今回の簡易感想です。

 

 

 

 

 

 

Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-

 まず1つ目は上のサムネにもあるアニメ『Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-』。タイトルから察せられる通りDIYの要素を扱い少女たちが様々なことに挑戦していく癒し要素のある作品として、事あるごとにほっこりさせられました。

 本作の魅力はまずDIYを通じて「踏み出す一歩」の力強さを描いていた点。登場人物たち自らがモノづくりに励むことでやりたいことを始めるチャレンジ精神や、他人との触れ合いを広げていく心を少しずつ養っていくかのような過程が見られました。その中で起こる失敗も気にせず邁進していく様子は、見ているだけでこちらも元気づけられます。(ツリーハウス用の廃材が捨てられるトラブル展開も、今となっては良いカタルシスの前準備として優秀だったなぁ……と思います)

 主人公の「結愛せるふ(ゆあ・せるふ)」は最初からコミュ力が高くグイグイくるタイプで、DIYに挑戦することでさらに彼女自身の視野を広げていくのが見事。最初はみんなと比べて上手くいかないことに悩むものの、絵の才能や持ち前のポジティブ精神で何のそのと乗り越えていくのが気持ち良かったですね。最初は何かにつけて怪我をしてばかりの危なっかしい子でしたが、終盤は全く怪我をしなくなる辺りにも成長が感じ取れてウルっとさせられます。

 一方せるふの幼馴染である「ぷりん」こと「須理出未来(すりで・みく)」はつっけんどんな態度を取りながらもせるふのことを度々心配していくツンデレヒロイン枠。新しいことを始めたせるふを横から眺めつつ、彼女自身も徐々にDIYに興味を示していくのが何とも微笑ましかったです。せるふと同じ道を進むことに躊躇していたぷりんが、DIYのおかげで踏み出す勇気を手にしていく展開にこれまた感動させられましたね。

 また本作ではぷりんサイドに最新技術が導入されているのが興味深かったです。街では宅配ドローンが飛び交い、家にはオートメーションセキュリティとAI搭載のロボットが存在しており、液晶パッドが導入された授業など、ぷりんが暮らしている光景はせるふサイドとはまるで異なっています。一方でせるふは普通の一戸建てかつ普通の学校と、近未来と現代が平行して存在しているかのような世界観は何とも奇妙で面白かったですね。

 そんな最新鋭テクノロジーが存在している世界で、敢えてDIYをするということに大きな意味を持たせていたのが良かったですね。様々なことが出来るからこそ、欲しいものを自分で作る時間の有意義さにスローライフ的な心温まる感覚を覚えます。かといって最新技術を否定するわけではなく、時にはDIYのサポートとして活用するのがまた素敵。(ジョブ子のARパッドが欲しい……)見ていて楽しく、DIYをやってみたくなる隠れた良作アニメでした。

 

 

4人はそれぞれウソをつく

 続いては『ブルーロック』と同じ枠で放送されていたギャグアニメ。タイトルの通り劇中で登場する少女たち4人の嘘・隠し事を見せつつ展開するハイテンションな作品でした。宇宙人&忍者&超能力者&女装男子という各キャラの設定の盛り具合を前に早くもお腹いっぱいになりそうですが、本編はそれ以上に凄まじかったです。

 それぞれの内心描写を入れつつ価値観や感覚の違いからくるキレキレのギャグで襲い掛かってくる内容は、独特のテンポ感もあって毎回毎回クスっとさせられます。特に大塚芳忠さんのナレーションによるツッコミが度々入るのが実にシュールです。人によってはクドいと感じてしまうことがあるかもしれませんが、個人的には気にせず大いに楽しめましたね。

 そして本作のギャグは基本的に各キャラの「善意」が感じられるのも大きなポイント。誰かが良かれと思ってと行ったことがトラブルに発展していき、それを他の面々がフォローすることで収束させていくのがお決まりの流れとなっています。基本的にそれぞれ悪意なしのまま進むのもあって、何かと酷い目に遭っても最終的にはみんな仲良し!で終わるのが興味深いですね。どんなことがあっても互いに許し合ったりする関係には見ていて安心感を覚えます。

 それでいてそれぞれが抱えている秘密故の後ろめたさなどにも終盤から触れていくのが特徴的です。みんなを騙していることに罪悪感を覚えつつある様子からは、みんな根はいい子なんだなぁ……だと思って癒されずにはいられません。そのため最終回で大佐こと「リッカ」が宇宙人としての正体を明かしてからの流れには感動させられました。自分の秘密を暴露し合い、それでも「一緒にいたい」気持ちを伝えあう展開はベタですが見ていて胸打たれます。最終的には爆発落下オチ&暴露の件を全てリセットという力技でなかったことにされましたが、4人全員に愛着を湧かせてくれる素敵な最終回だったと思います。

 

 

虫かぶり姫

 ラノベから始まりコミカライズもされた女性向け作品。本を読むことに没頭しがちな伯爵令嬢と、彼女に想いを寄せている王子の純愛ストーリーが展開されていました。主人公が本好きという点を除き少女漫画的テンプレ要素の連続だったのですが、だからこその安心感というものがありましたね。

 本作はまず主人公の「エリィ(エリアーナ・ベルンシュタイン)」ではなく、王子「クリス(クリストファー・セルカーク・アッシェラルド)」の方を応援したくなるのが特徴というべきでしょうか。文字通り本当に本を読めればそれでいいエリィと、如何にして結ばれるかに全てをかけて色々と頑張るクリスに見入ってしまいました。エリィの方は序盤自分はクリスの“弾除け”だと思い込んでいるうえ、彼のことを想うようになってもやはり本を優先しがちなので余計にクリスのことが不憫に思えてきます。加えて何度も鈍感かつ天然な態度を見せてくるエリィに、前半はヤキモキさせられましたね。(まぁそのせいもあってか人目を憚らずイチャイチャしだすクリスに引きつつも、まぁ別にいいか!と受け止めることが出来ました

 しかしエリィが本の魅力以上にクリスに惹かれ始めていくようになってからは素晴らしかったです。自分なんて所詮……といった自信の無さも見せていた彼女がクリスと共に過ごすことで、徐々に彼の妃として意識し始めていく様子に甘酸っぱいものを何度も感じました。上述のクリスとのイチャイチャぶりも、一転して彼に翻弄されることもあってかなりこそばゆかったです。本には書かれていない感情などに戸惑いつつ、それを受け入れていくのがエリィの魅力なのかもしれません。(一方で盗みの証拠隠滅のために本を燃やそうとした貴族相手に「ゴミムシ以下です!」とおよそお姫様の発言とは思えない罵倒をする辺りがとんでもねぇ……)

 他にはエリィとクリスが国の様々な問題を解決していく内政要素もポイントの1つ。こちらはエリィが本で得た知識が役に立つ(あるいは既に役に立っていた)展開はベタそのものですが、上述のエリィが自信を付けていく過程に繋がっているのが面白いですね。何より最終回でエリィが貴族として人々を助ける意識を毅然として語るシーンに驚きつつも感動しました。本では得られない経験をクリスと共に乗り越えてきたことで、ノブレスオブリージュの精神を手にしたのだと思うと少しほろりときます。序盤はクリスの頑張りに惹かれ、終盤はエリィの成長に胸躍らせる……そんな作品だったと言えます。

 

 

アキバ冥途戦争

 恐らく2022年アニメ屈指の問題児。放送前に公開されたモザイクだらけのPVに1999年の秋葉原を舞台とした閉塞した世界観、不穏なあらすじとただのメイドアニメではないことを1話放送前から感じ取っていましたが、いざお出しされたもののインパクトに思わず絶句してしまいました。まさか任侠映画の「ヤクザ」を「メイド」に置き換えた作品だったとは……

 オタ芸しながら敵店舗のメイドを撃ち殺していく第1話の衝撃から始まり、以降毎回の如く誰かが死んでいくシュールギャグの極みには何度も唖然となりました。表向きはメイド喫茶で萌え萌えキュンキュンやっている中、裏では重火器による他店との抗争を行っているというギャップはあまりにも凄まじかったです。エピソードによってはカジノに行ったり野球をしたり主人公が忍者になったりと色々ありましたが、基本的に誰かが殺される展開は必ず存在するのも恐ろしかったです。

 それでいて全体を通して「メイドとは何なのか?」という問いを投げかけていたのもこの作品の面白いところ。主人公の「和平なごみ(わひら・なごみ)」が暴力ではなくご奉仕によって「ご主人様をお給仕する可愛いメイド」を再定義していく最終回など、本来のメイド像を取り戻すための物語だったと言えます。メイドたちの命が簡単に失われていく過酷な世界観だからこそ、暴力ではなく“萌え”を本命にしていく流れには不思議と納得させられるものがありました。

 またなごみともう1人の主人公といえる「万年嵐子(まんねん・らんこ)」のキャラクターにも注目する点が多かったです。片や天然煽り体質の一般人、片や何度も相手を殺してきた凄腕メイドの対比を描きつつ、お互いに影響を受けてメイドとして一歩ずつ進むような過程は、見ている内に彼女たちへの愛着に変わりました。嵐子は無表情で一見不愛想ですが、内に秘めた仲間想いな一面が明かされるごとにそれが可愛く見えてくるのが面白かったですね。(それ故終盤嵐子が殺される展開には本当に悲しくなってしまいましたよえぇ……)

 そしてなごみに関しては上述の通り忍者になったりどこか狂気的な平和主義者になったり黒豚化(闇落ち)したかと思ったら戻ったりとひょいひょい変わるものの、不殺と非暴力を最後まで貫いたことには賞賛したいところ。敵味方問わず誰かを殺してきた者は必ず誰かに殺された世界で、そんななごみが最後まで生き残ったことにも簡単を覚えます。そんな彼女が2018年の秋葉で我々の知るメイド喫茶の世界を創り、メイドを続けていることがわかるラストには少しだけ心が震えました。(嵐子と同じ36歳になってもメイドを続けているのがいい……)毎度毎度とんでもない内容で視聴者の心を掴み、オリジナルアニメだからこそ予想のつかない展開を魅せてくる本作は、終わった後には実に楽しかった!と言える作品に仕上がっていたと思います。

 

 

 というわけで前季のアニメの感想でした。既に放送が終了した作品について書くのは以前も経験がありますが、何だかんだで楽しいですね。時間が経って評価が固まっているのもあると思いますが、やはり普段の感想のように定期的に上げなくてもいい、マイペースに書けるというのが大きいように感じます。たまにはこういうのもいいと改めて思いました。

 こうなると他の作品も色々と語ってみたいところ。アニメをはじめとして、過去の作品には多くの名作が存在するのでそれを巡るのも楽しそうです。このような複数の作品を簡易感想でまとめるかそれとも個別感想にするかで迷いますが、そういったことはその時に考えればいいこと。まずはどんな作品を見るか吟味していきたいですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。