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仮面ライダーギーツ 第24話「乖離SP:緊急特番!デザグラのすべて!」感想

そしてゲームは歪められる

サポーターたちの推しへの愛がそれぞれ別ベクトルでヘビィだぜ……

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  • 「デザグラのすべて」と推しへの感情

 今回のギーツは何と総集編。デザイアグランプリ続行不可能により、緊急特番を放送するという体でこれまでを振り返っていくことになりました。冒頭いきなり運営側の謝罪文から始まり、ニラムたちがしれっと番組をお送りするものなので思わず吹き出してしまいましたね。前回の衝撃のラストとの落差も相まって、中々にシュールな演出でした。

 そして未来のオーディエンスに向けた番組ということもあり、デザグラに関してこちらが知らない情報もいくつか明かされたのが前半の特徴でした。中でも興味深かったのが「参加者はオーディエンスの公募によって決まる」という情報。以前から気になっていた選定もオーディエンスの気分次第だったという事実にはギョッとさせられます。*1英寿がライダーに選ばれた経緯も明かされた話も印象的で、初めて見たはずのジャマトに恐れず立ち向かう高校生浮世英寿の異質さに惹かれてしまいました。

 

 というわけで色々明らかになったわけですが、個人的にはどうしても運営とオーディエンス側の身勝手さが目に付いてしまいますね。全ては壮大な自作自演だったことが明らかになった今、仕掛けた奴らに巻き込まれたこの時代の人たちが気の毒に思えてなりません。ライダーになって参加した人たちはまだいいとしても、ジャマトの襲撃に巻き込まれてしまった一般人のことを思うと、それを見世物にしている連中への憤りを覚えてしまいます。ジーンやケケラたちサポーター個人は魅力的なキャラ故に愛着が持てるものの、未来人としての感覚の違いを思い知らされてしまうばかりです。(両親がジャマトに殺されたのに怒らずみんなの復活を願う景和が優しすぎる……)

 後述のジャマトによる反逆に巻き込まれた一般人を助ける英寿たちを見て、少なくともジーンたちの気持ちもわかってしまうのがまた複雑です。見返りなどなくても苦しんでいる人たちを放っておけない、まさにヒーローらしい振る舞いと活躍をしてくれる彼らの姿はやはりカッコよく映りましたね。そんなヒーローの活躍に惚れ惚れすればするほど、オーディエンスもこのように楽しんでいることを否が応でも理解してしまいます。前回の感想でも書きましたが、オーディエンスたちに反感を抱けば抱くほど視聴者に返ってくるこのメタ的構造は本当に上手いと思います。本作を見ている視聴者とデザグラを楽しむ未来人、それぞれがシームレスで繋がるかのような感覚を改めて覚える回でもありました。

 

 

  • 敵役たちの反逆、ベロバに利用され

 そんなデザグラ緊急特番ですが、後半からはベロバが番組をジャックして「ジャマトグランプリ」を開催する展開になったので驚きました。前回とんでもないインパクトを与えてきたベロバが、再び衝撃を与えてきたような感覚です。そんな彼女がジャマトによるジャマトのためのジャマトのゲームを仕掛けてくるのも予想外でしたね。

 そんなジャマトグランプリは一見すると普通のデザグラと同じですが、クリア条件がニラムのヴィジョンドライバーを盗むことなどからはベロバの思惑が垣間見えるのも特徴的。恐らくは創世の女神目的で、理想を叶えようとするジャマトを利用しているに過ぎないのかもしれません。(ジャマト化が進んでいることもあって道長も当然参加する模様。彼も含めてベロバのいいように使われているようにしか見えないのが……

 しかしジャマト側の反逆としてこのゲームを謳っているのも見逃せません。ジャマトがデザグラの敵役として作られた存在であることが判明した今となっては、それらが自我を経るまでになって人間に反旗を翻すのも自然な流れのように思えます。ただやられるだけの存在としては収まらないほどに成長したジャマトにとっては、ジャマトグランプリは自分たちの尊厳を勝ち取るための真剣な戦争なのかもしれませんね。「創造主からの反逆」というある意味でライダーらしい要素を引っ提げてジャマトが、次にどのような形で人類に挑むのか俄然気になってきました。

 

 

  • 歓喜と切なさを求めて獣撃する蛙と獅子戦士

 

KEKERA SET.

KYUUN SET.

 

LASER ON.

 

KEKERA LOADING.

KYUUN LOADING.

 

READY FIGHT.

 

 ベロバ打倒のために姿を見せたケケラとキューンがそれぞれ緑と黄色のレイズライザーカードを装填して変身した姿「仮面ライダーケケラ」「仮面ライダーキューン」。残りのサポーターのライダーです。片やカエル、片やライオンを模した4足歩行の巨大な姿が特徴的です。前回巨人のようなベロバを見たこともあってある程度予想していましたが、彼らが変身した姿も人型ではないのはかなり驚きましたね。ある種サポーター側の特殊な事情を感じさせる異形っぷりとなっています。(ここまでくると等身大の人型であるジーンがかえって異質に思えてきます)

 戦闘に関しては例によって描写が少なかったのですが、恐らくはジーンやベロバと同等の強さを誇る模様。巨大なベロバを相手に3対1で。巨大なロボットバトルのような激闘を繰り広げていたのが印象に残りました。またケケラは口から舌のようなものを伸ばして相手を攻撃し、キューンは背中の翼で自在に空を飛ぶなど見た目のモチーフ通りの能力を披露していましたね。ジャマト相手に戦うギーツたちの横で、彼らサポーターライダーの戦闘能力の高さが垣間見えた気分です。

 

 

 というわけで24話の感想でした。いつの間にかギーツも折り返し地点にまで来ていることにちょっとびっくりさせられます。毎回様々な展開で視聴者を惹かれさせていく本作ですが、それが24話も続いたのかと思うと感慨深いものを覚えますね。デザグラが本来の形から大きくかけ離れることになってしまった「乖離」シリーズのラストとして、続く後半のエピソードも楽しみになってきました。

 さて今回は上述の要素の他にも参加者を推すサポーターたちの様子が印象に残りました。各人自分の推しを全力で推していることもあり、不思議と違和感なく受け入れることが出来ましたね。何より人間態を見せたケケラの景和への期待、他にも祢音の幸せを願う気持ちが何よりもじっとりとしていて重いキューンが目に焼き付いてしまいました。ジーンとベロバも含めて、それぞれ別ベクトルで推しへの愛を惜しみなく注いでいることもあって、不思議と彼らが好きになれたと思います。

 

 他には残された謎や伏線もいくつかありましたね。まずケケラの発言から、未来から来た運営やオーディエンスが人間の姿から外れている可能性が出てきました。人間としてのボディを初めて作ったかのような発言もあって、彼らは本体が別にあってボディに精神を宿しているのかもしれません。案外未来ではデータになった人間が暮らしているのかも……

 あとはやはり英寿について。彼がデザグラに入った過程が明かされたものの、ミツメの件や「西暦元年から参加している」発言などは未だに不明です。個人的には西暦元年の言葉は、様々な時代に飛ぶ英寿がその度にデザグラに参加しているのかもしれませんね。彼の謎がいつ明かされるのかも楽しみにしていたいと思います。

 

 

 さて次回はジャマトグランプリ第1回戦「かみなりジャマト祭り」が開催。名前からはどんなゲームなのか読み取れませんが、ジャマトである以上人間を巻き込んでいく様子は容易に想像がつきます。英寿たちも放っておけないことをしてくるのは確かでしょう。

 また道長関連で色々ある模様。何と言っても彼の親友・透が姿を見せたのは衝撃的です。十中八九ジャマトの擬態でしょうが、ライダーを憎む原因である親友を前にした道長がどのような反応を示すのか非常に気になりますね。次回から始まる「慟哭」シリーズとはもしや道長のことを指しているのでは……?そうしたことを考えつつ、次回を待っていたいと思います。

 

 

 ではまた、次の機会に。

*1:以前ギロリが英寿に選定の基準を聞かれた際「我々にもわからない」といった旨の発言をしていたが、今思えばあながち間違いではなかったのかもしれない。