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ルパン三世VSキャッツ・アイ 感想

ついに、この時がきたぜ

泥棒と怪盗、勝つのはどちらだ

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 モンキー・パンチ氏の『ルパン三世』と北条司氏の『キャッツ・アイ』。いずれも日本の有名漫画であり、アニメ化もされている人気の高い作品です。そんな2大作品の主人公たちが激突するという『ルパン三世VSキャッツ・アイ』のが先々月にAmazonPrimeVideoで配信されました。この手のクロスオーバーは『ルパン三世VS名探偵コナン』といった前例がありましたが、今回は泥棒VS怪盗とどちらもアウトロー寄りということもあって中々にそそられるものがあります。

 そんなわけで本作を視聴したわけなのですが、シンプルなアクション活劇といった感じで楽しめました。キャッツ・アイに関してはほとんど知らなかった身としてもキャッツの面々に惹かれつつ、ルパン一味の安定した活躍に惚れ惚れさせられた気分です。というわけで今回はそんなルパンVSキャッツの感想を書いていきたいと思います。(キャッツ・アイ』に関してはほとんど知らないので、『ルパン三世』についてを中心に書いていくことになります。ご了承ください

 

※ここから先は作品の内容に触れているのでネタバレ注意!!

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  • 驚きはない、だからこそ面白い

 さて本作はタイトルに「VS」とありますが、実際の劇中では両者はそれほど対立してはいません。最初こそ絵画に隠された秘宝や秘密を巡って争うものの、お互いの事情を知ってからは立場を越えて共闘する様子が描かれていましたね。こうした「言うほどVSしていない」問題は割とあるある*1なので、個人的にはある程度こうなるだろうと予想していましたし、そこまで気にはならなかったです。

 本作は他にもそういった、予想していた通りの要素が実に多かったですね。話の展開そのものがスタンダードだったということもあるのでしょうが、「この先の展開でこうなっていくのだろう……」と考えていたことがドンピシャリで当たることが何度もありました。キャッツ・アイこと来生三姉妹の元に訪れた「ハインリッヒ・ベルガー」は登場時点から怪しかったですし、敵組織の「ファーデン」のボスであることは序盤から考えていました。(そもそも「ルパンがあなたたちの父親を裏切って殺した」という話からし違和感を覚えましたね)その後の種明かしや展開に関しても、そこまで驚くほどのことはないものばかりだったように思えます。

 

 ただ意外性こそなかったものの、それでも十分に面白かったのがこの作品の妙でした。そもそも予想の範疇というのも、裏を返せば視聴者の期待通りの展開をやってくれたと捉えることが出来ます。話の展開自体がシンプルだった分、各キャラについてを重点的に見られたこともあります。勘違いからくる対立も前半の内に解消し、以降は両陣営の共闘が見れますし、何よりルパンとキャッツそれぞれの活躍シーンもキッチリ用意されているのでその瞬間にはテンションが上がりました。

 また本作は3DCGをセル画アニメのように使用したアニメーション技術を使っているのも特徴的。ヌルヌル動くCGで手描きアニメのような動きを再現してくれていたおかげで、アクションシーンが抜群に見やすかったです。(表情の固さとかは少々気になりましたが)何より両作品の画風の個性を違和感なく融合させていることに感心させられましたね。それぞれのキャラクターの活躍も相まって。元々の世界観の融合を気にせず楽しむことが出来ました。こちらの期待していた要素を裏切らずに魅せてくれる……本作はそんな「そうそうこういうのでいいんだよ」となる普遍的な面白さを持った作品だったと思います。

 

 

  • ネコを見守るあしなが泥棒

 本作でもう1つ印象的だったのがルパンですね。多くの人が予想しているルパンのイメージを内包しつつも、コアなファンがイメージするダーティーさも兼ね備えるルパン三世が描かれていました。何と言っても序盤からキャッツ・アイの先を行く大泥棒として活躍しており、最後まで彼女たちよりも格上感を出していたのが特徴的です。キャッツのファンから見てこの描き方はどうなのだろうか?と思いつつも、個人的にはそんなルパンに惚れ惚れさせられました。

 またルパンが三姉妹を見守る保護者のような存在になっていたのも見逃せません。彼女たちの父親であるハインツに昔助けられた過去を持ち、彼が生死不明になったのもあって娘たちを守ろうとする行動に出ていた様子が見られました。『PART6』のリリーの時のような、一歩引いた立ち位置で少女を見守るあしながおじさん的キャラは近年のルパン像に乗っ取っていたと思います。彼女たちに危害が及ばないよう、外敵を影で排除する汚れ仕事を担う点もある種安定感がありましたね。

 その中でも三姉妹の末っ子・愛とルパンが行動する中盤はその要素がかなり強かったです。まだまだ未熟な少女をたしなめつつ、彼女を導いているかのような行動が多く見られました。泥棒としてのアドバイスを度々して、大一番の場を三姉妹に任せる流れは特にグッときます。行方知れずのハインツのためにボロボロになりながらも娘たちを守り、最後に三連作の絵画に隠された「まだ愛が生まれていなかった時の絵の秘密」を教えて去っていくラストもオシャレの一言です。

 華やかな場面での活躍はキャッツ・アイに任せ、自分たちは別の場所でケリをつける……和やかなパブリックイメージと同時に、裏の世界出身としての存在感も醸し出す本作のルパン三世は、個人的には結構満足のいくものでした。そういった意味でも、ルパン好きとしては嬉しい作品でしたね。

 

 

 ということでルパンVSキャッツの感想でした。いやぁ日テレの金曜ロードショーで放送されてもいいくらい、いつものルパン三世って感じの作品でしたね。内容に関しても上述の通り見やすく大衆向けでしたし、何より両作品を知らなくてもある程度楽しめるように出来ていたと思います。キャッツ・アイをほとんど見たことがない僕でも彼女ら三姉妹に対する愛着が湧いてきたのは流石の一言。まさに「世代を越えて愛される作品同士のクロスオーバー」といったところです。

 CGの顔が引っ掛かる点や一部のキャラの活躍がほとんどなかった(特に銭形と俊夫は結局本筋にあまり関われなかったのが非常に残念)など不満点もいくつかあったものの、概ね満足のいく内容だったと思います。特別秀でたところや驚きはないものの、こういったいい意味での“無難さ”は作品を楽しむうえでは重要だと常々思っているので、個人的にはとても良い作品だったと評価したいです。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:この手のVSもので有名な『スーパー戦隊VSシリーズ』も、対立する展開はあまり見られない。