灰色なSKYが光り出す今
止まない雨はない……その先には、きっと輝かしい未来が待っている!!
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- 答えはきっと自分の中
絶望の雨を晴らし、希望の虹の橋を架けてくれた今回のガッチャード。前回はホッパー1の退場というあまりにもショッキングな展開を前にして慟哭する宝太郎に胸が痛みましたが、卵に包まれた彼と「タマゴン」の会話を経ての逆転劇を見てこちらの心も大いに晴れ渡ることとなりました。
何といっても宝太郎がほぼ自力で立ち直っていったのが意外でしたね。タマゴンに励ましてもらうかと思いきやむしろ「ここにいなよ」と苦しみから逃げることを提案されたこと、その問答を前にして宝太郎が帰る選択を取ったことなど驚かされる過程が多かったです。しかしこれまで壁にぶち当たっても歩くことを止めなかった様子を思い返すと、宝太郎が悩みすぎることなく立ち上がったのも納得ではあります。親友を傷付けてしまった事実に打ちのめされても、「それでも!」と理想を口に出来るのはなるほど宝太郎らしいという説得力がこの辺りのくだりで生まれていたと思います。
意外と言えば外の世界に恐れを抱くタマゴンを説得する展開にも思わず二度見しました。宝太郎を守ってくれたものの、これから生まれることを拒んでいるケミーというのはかなり新鮮。ただ宝太郎越しにマルガムにされて苦しむケミーを見た後だと、そう考えるのも無理はないのかもしれません。それだけに宝太郎が未来を語ったうえで外の世界への憧れを引き出す手腕には舌を巻きましたね。確かに世の中には怖いことや悲しいこともあるけど、同じくらい見たことのない喜びもあるはず……という理屈もこれまた宝太郎の経験を考えると頷かされるものがあります。
他にも宝太郎のイメージの中で出てきた珠美母さんの存在感、宝太郎がタマゴンのために作ってくれた例によって美味しくなさそうな色合いのオムライスなど、外に出るまでの演出の数々も見事の一言。未だ生まれていないケミーの狭い卵を破り、広い世界へと連れ出す流れとしてはかなり秀逸だと感じました。(卵に卵料理を食わせるセンスはぶっ飛んでいるものの、オムライスが「卵の殻を破る」の暗喩だと思えば納得がいきそうです)苦しみの先にある未来を手にしようとする……そんなずっと貫かれていた“宝太郎の中にある答え”を改めて実感させてくれる復活に心が湧きたった次第です。
- 絶望を払い希望を照らす、煌めく虹色の究極錬成
エキストラ
EXTRA!
スペシャル
SPECIAL!
「ガッチェンジ!」
You ready?
「ゴン!」
ガッチャンコ!!
ガッチャンコ!!
ガッチャンコ!!
ガッチャ&ゴー!!
レインボーガッチャード!!!
ガッチャード!!
ガッチャード!!!
ガッチャードライバーに埋め込まれていた卵が孵り誕生した101体目のケミー「ニジゴン」をガッチャードライバーと合体(ガッチェンジ)させ、錬成(ガッチャンコ)した姿「仮面ライダーレインボーガッチャード」。ついに登場したガッチャードの最終・最強形態です。ホッパー1という相棒たちと至ったプラチナガッチャードから如何にしてさらに上に行くのかと思っていましたが、幻の101体目と共に一体化することで最強の境地を得るというのがいい意味で意表を突かれましたね。最後が“虹”というのも、宝太郎や本作の明るさに見合ったモチーフと言えます。
ビジュアルは青をベースに赤や黄、オレンジのラインが全身の至るところに配置されており、胴体の中心部に向かって鋭く尖っている形状からはガッチャード特有の“矢印”の意匠がより派手に強くなった印象を受けます。(頭部を横から見ると「巨大な矢印」のように見えるのが面白ところ)そのイメージはさながら「青空と虹」といったところでしょうか。加えて胸の融合炉は太陽の如く燃え盛っており、このフォーム1つで雨が止んだ後の澄み切った晴天を表わしているのだと思います。元々青色系統がイメージカラーだったガッチャードですが、1つの到達点としてこのド派手なカラーリングは十分にアリですね。
戦闘に関しては最強フォームらしく、5大錬成の「ファンタスティックマルガム 5タイプミクスタス」相手にも怯むことなく応戦してみせていました。足取りも軽やかで、見た目の明るさも相まって見ている最中は何とも爽やかな感覚を覚えましたね。また演出の特徴として歩行時や攻撃を当てた際に綺麗な音階のサウンドが鳴り響くのが興味深いところ。劇中の戦闘シーンは、まるで戦いながら音楽を奏でているかのようでした。
そして戦闘能力において特筆すべきは「自由な錬金術」と評されるほどの再錬成能力。ケミーカードの装填や詠唱を必要とせず、触れるだけで物質を作り替える驚きの技を披露してみせました。その錬成は地面を水のように潜って移動したり、鉄骨をヘビのように動かし攻撃、敵が投擲した武器を自分専用の剣に変えてしまうなど自由自在。*1その力もあってか、冥黒マルガムにされたファンタスティックケミーや動かなくなったホッパー1たちをも元に戻す活躍を果たしたのも印象深いです。宝太郎が「錬金術は料理と同じ」とか言い出した時は思わず吹き出してしまいましたがケミーと人の明るい未来を築こうとする、宝太郎の理想を叶えてくれる点で最高の最強フォームだと言えるでしょう。(また次回予告でも確認出来ますが、レインボーガッチャードにはさらなる能力が隠されている模様……?そちらの披露も楽しみです)
- それぞれの再起
タマゴン改めニジゴンと共に復活した宝太郎だけでなく、仲間たちの奮闘もガッチャードの醍醐味。今回はみんな宝太郎が戻ってくることを信じているのが印象的で、例によって各々が自分の出来ることを果たそうとしていたのが嬉しかったですね。スパナやりんねがギギストたちと戦う最中、ミナト先生たちが卵の詳細を調べ上げている役割分担はまさに本作の素晴らしいポイントだと言えます。
その中でもひと際目立っていたのが蓮華とりんねのやり取り。ホッパー1を抱いてまたもや自責の念に駆られているりんねの姿にもどかしさを抱いていた最中、蓮華が彼女に喝を入れた時はハッとさせられました。これまでりんねは周囲からの優しいフォローを受けて成長してきたので、こうした厳しい言葉を向けられるのはかなり珍しく感じますね。だからこそ今の自分を恥じ、戦いに向かう彼女の姿に感動させられるものがあります。ここにきてりんねに必要な叱咤激励を飛ばしてくれた、蓮華の姉御肌には感服するばかりです。(戦闘の後に感謝するりんねに対して飄々とした態度でとぼける蓮華もここすきポイント)
あとはあまり関係ないのですが、ギギストとの問答を繰り広げたスパナも気になるところ。以前から仄めかされていたスパナの黒い炎がギギストの力と同じことが判明しましたが、その事実を前にしたスパナには期待と不安が押し寄せてきます。ギギストには「自分の本質と向き合うのが怖いのだろう?」と言われたものの、個人的には動揺しつつも戦い抜く姿勢を評価したいですね。前回同様、苦しい戦いには率先して向かうことをスパナの強さとして捉えたいと思っています。
というわけで38話の感想でした。いやぁ期待していた通りの展開と意外性のある要素を重ね合わせた最高の最強フォーム獲得回でしたね。どんなに絶望しても最後には必ず立ち上がる宝太郎が、最後のケミーの心を解きほぐす内容には仰天しつつも違和感なく見ることが出来ました。また劇中ずっと降っていた雨が、レインボーガッチャード登場と共に止み晴れ渡る演出もシンプルながら素晴らしかったです。
何より宝太郎の描写が秀逸。宝太郎が決して諦めないことは過去の30話以上のエピソードで何度も描かれているので、この行動にも大いに納得がいくのはまさにここまでの積み重ねあってこそ。積み上げてきたものを丁寧に昇華して、視聴者の中に沁みついた主人公のキャラクターを的確に魅せてくれた点は27話とはまた異なる集大成になっていたと思います。総じて暗い展開を引っ張りすぎず、明るく楽しくカタルシスを味わわせてくれる『仮面ライダーガッチャード』の作風を貫いてくれた内容に大満足の一言です。
さて次回はいよいよ全ケミーガッチャの時。残ったケミーがオジーラカンスとパクラプターの2体(どちらもエンシェント属性という)となったことで、この2体を誘いだすための作戦を各自行うとのことです。しかし予告映像や場面写真からして、かな~りトンチキな作戦ばかりになりそうですね。シリアス回の後は必ずギャグで作品の空気を入れ替えるガッチャード特有のノリになりそうで、これには早くもほっこりしてきました。
そしてギギストとの決着も見逃せません。今度こそニジゴンを手にしようと暗躍するようですが、101体揃ったケミーの力で迎え撃つらしいので期待してしまいます。超越者としてふんぞり返る大ボスに対し、今度はこちらが反撃だ!とばかりにスカッと倒してほしいですね。
ではまた、次の機会に。
*1:ちなみに鉄骨を利用した錬金術に関してだが、『映画 仮面ライダーギーツ 四人のエースと黒狐』にて先行出演したガッチャードが似たような技を披露しているのが興味深い。(そのため「映画に出てきたガッチャードはこの回の後の宝太郎なのではないか?」という説も出てきたり……)