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仮面ライダーガッチャード 第43話「愛・哀・AI?憎しみを消す力」感想

兄弟の絆で恐怖を討て

生意気少女をたしなめるスパナ……アリだな!

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  • 兄の複雑な劣等感と罪悪感

 マルガムと化した真美所長は止められたものの、今度はグリオンが金剛ラボラトリーにやってきてさぁ大変!という場面から始まった今回のガッチャード。前回から仄めかされていた所長とグリオンのただならぬ関係も気になりますが、それ以上に鶴原兄弟の確執が注目すべき焦点となっていました。

 前回の予想通り、謎のケミーことカメドーンは錆丸と鍵一が制作したことが判明したのが大きかったです。絵を基に2人で制作した結果、兄がカメドーンを持っていき弟に冷たくなった……これだけで兄の真意が何となく読み取れますね。案の定終盤で兄さんが錆丸を守るために敢えて突き放していた事実を明かし、ただ弟に冷たい人間ではないことがわかった時は少々ほっこりしました。(余談ですがカメドーンの亀の部分が錆丸、大砲の部分が鍵一考案であることが描かれた時は大いに納得がいきました)

 その一方で弟に対する嫉妬や負い目を抱いていた点も興味深いです。カメドーンは錆丸は作り出したものだと思っていた鍵一兄さんは妬むしかなかった、しかしそのせいでカメドーンを奪ったことへの罪悪感もある……弟への親愛と劣等感が同居した結果があの辛辣な態度だと考えると結構納得がいきますね。グリオンに見せられた幻覚が自分を責める錆丸(このシーンの富園力也の闇の深さを醸し出した演技がここすきポイント)は、まさに鍵一の心情を表わしていると言えます。自分のAI技術がイマイチ成果を挙げられないことの悩みも相まって、このお兄さんのややこしく複雑なキャラクターに味わい深いものを覚えました。

 

 

  • 弟の勇猛な優しさと戦い

 そんな非常に厄介な兄弟関係の修復に繋がったのが、後述のドレットルーパーとの戦い。鍵一の開発したAIによって造られた尖兵相手に苦戦しながらも、兄とカメドーンのために奮闘する錆丸の姿には大いに胸打たれました。兄の心情に対して恨み言を1つも抱かない時点で見事ですが、彼らを助けようとする辺りも錆丸らしい優しさに溢れていましたね。(そのうえで「寂しかった」と呟くのがまた素敵)また錆丸は兄こそがカメドーンを作ったものだと考えていたのも面白いところで、お互いに自分の兄/弟はすごいんだ!と認めているとも取れる関係に微笑ましいものを覚えます。

 そして何と言っても、錆丸がトラウマであろうドレッド相手に敢然と立ち向かったのが最大の見どころと言えるでしょう。かつて無理やり変身させられた対象が襲い掛かってくる状況は、錆丸にとって恐怖でしかなかったのは想像に難くありません。だからこそ大切なもののために怖いといった感情を抑えつけ、戦い抜いてみせたことに感激せずにはいられなかったですそれはそれとして生身でアクロバティックな動きを披露する錆丸先輩スゲェ……となるシーンがチラホラあったのも面白かったですね。また彼の背中を後押ししてくれたのが兄の真意とカメドーンの存在、何よりそれらを伝えてくれる宝太郎という点も良き。1人では立ち向かえなかったであろう戦闘を、仲間との絆で果たしたとも取れます。

 加えて最高だったのがドレッドと化した自分を救ってくれた武器・エクスガッチャリバーに兄弟の想いが詰まったカメドーンの力を宿し、恐怖の対象を撃破する……という錆丸の関連要素をまとめた構図ですね。トラウマを乗り越える瞬間としても非常に熱いですし、鶴原錆丸という少年の成長の集大成としてわかりやすく魅力的に映っていたと思います。大人しくも何かと頼りになる錆丸のことが以前から気に入っていた身としては、とにかく感動ものでしたよえぇ。

 

 

  • 邪悪な意思を写し取った破壊の尖兵

 というわけで今回かなり衝撃的な登場を果たしたのが「ドレットルーパー」。鶴原鍵一が製作したアイザックをのAIを利用して生み出した、完全自立量産型ライダーです。ドレッ“ド”ルーパーじゃなくてドレッ“ト”ルーパーなのがややこしい……見た目こそはドレッド 零式そのままですが、アイザックを媒体にしているため変身者がいないのが最大の特徴となっています。これは鍵一の「対象の思考を読み取って魂のコピーを生み出し再現する」というAI錬金術の技術によって、グリオンの意思がそのままドレットルーパーに乗り移っているとのこと。そのため戦いぶりはグリオンが変身した時と大差ないのでしょう。今回は錆丸が何とか倒しましたが、今後何度も立ち塞がってくるのは容易に想像がつきます。

 そんな非常に厄介なドレットルーパーですが、それ以上に驚いたのが今度公開される夏映画『ザ・フューチャー・デイブレイク』に軍勢として登場する情報。以前から予告映像に映っていた謎のドレッド軍団の正体は、間違いなくこのドレットルーパーであることがわかりましたね。さらに映画ではドレットルーパー 軍式」という量産型専用の形態まで擁していることまで発表され仰天が止まらなかったです。何よりグリオンがこの軍式を大量配備して世界をしている辺り、あの未来の鍵一兄さんは恐らく……といった考えが思わず浮かんでくるのも恐ろしい限り。テレビシリーズ本編だけでなく、夏映画でこのドレットルーパーがどれだけ猛威を振るうのか、そちらの方も気になるところです。

 

 

 今回は他にもミナト先生まで固まるギャグシーンやドンドン居場所を失くしていくクロトー、グリオン製のゴーレム相手に披露されたレインボーガッチャード&ヴァルバラドのコンビネーションなど印象的な場面が多く存在。特にスパナとアルミちゃんのやり取りには大いに気ぶらされましたね。逃げ遅れたアルミを助けに行くスパナの王子様っぷりもさることながら、助けられるや否や「私の超A級にしてあげる」と言ってのけるオマセなアルミちゃんにニヤニヤせずにはいられなかったです。前回同様、生意気な少女に翻弄されることでスパナの人間的魅力が増したと言える名シーンでした。

 

 

 さて次回は何と加治木にスポットが当たる模様。度重なる記憶操作によって、彼の消された記憶の蓋が開きそうになっていると明かされたので納得しつつも吹き出してしまいました。同じ人間の記憶を何度も消していたらそりゃこうなるわ!とツッコみたくなりますね。何はともあれ加治木に隠し事が出来なくなってきたことで、彼をどうするべきか今一度考えるべき時は来たということなのでしょう。加治木のことが好きな身としても、この問題をはっきりさせてほしいです。

 また加治木がメインということもあってか、彼と交流している聖さんが久々に登場する模様。2人の仲が上手くいっていないという話はショックですが、それを差し置いても聖さんが再登場してくれるのは嬉しい限りです。しかし再登場するのは聖さんだけでなく、過去の悪人やマルガムも復活するらしく……?次回暗躍するらしいガエリヤの動向も含め、これまでのエピソードを欠かさず見ている人ほど目が離せない回になりそうな予感がしますね。

 

 

 ではまた、次の機会に。