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ウルトラマンアーク 第2話「伝説は森の中に」感想

その言葉に耳を傾けて

石堂さん!?信じていいんですよね石堂さん!?

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  • 信じて向き合う姿勢を説く

 シュウがSKIPに配属されたばかりの場面から始まった今回のアーク。本筋では冒頭からいきなり子どもの電話を受け出動する過程と、とある工事で伝承に残っている怪獣復活の可能性が描かれました。伝説の怪獣が目覚めるかもしれないという話は定番なので、ファンとしてはある意味で安心感を覚えますね。また子どもの訴えから始まるのが仄かに昭和のウルトラマンらしいテイストですが、本作におけるSKIPは民間の組織だからこその説得力が生まれていたのが興味深いところ。防衛隊のような大掛かりな集団ではないからこそ、こうした身近な声にも応えてあげられる設定に感心させられます。

 そんなストーリーの中で度々「まずは信じること」を語っていたのが大きな見どころとなっていました。何と言ってもリオドの復活を危惧している「大田原ハヤト(おおたわら・ハヤト)」少年の話を真面目に取り合ってくれるユウマが素晴らしかったです。周りの大人や組織が証拠なしでは信じてくれない中、子どもの話だと一笑に付さない時点で主人公に好感を抱きますね拙者、子どもと話す時は少ししゃがんで目線を合わせてくれる大人が大好き侍で候。さらにそんなユウマの姿勢を目の当たりにしたシュウが、同じように真剣に調査に取り組んでくれる過程も見事でした。対等な相手として向き合い、その言葉を真摯に受け止める在り方はシンプルですが大事なことだと実感させられます。

 それでいて話を聞かなかったハヤトの父親「大田原ヒトシ(おおたわら・ヒトシ)」が一方的に悪かったという話で終わらなかったのがこの回の素敵なポイント。最初こそハヤトくんの言葉を否定する頭でっかちな父親に見えたのですが、仕事がない時はちゃんと息子に謝る様子を見て評価を改めました。何より工事の現場長としてマンション建設を急ぐ理由として「怪獣災害で済む場所を失った人たちが大勢いるから」という話にも膝を打ちましたね。怪獣が出現する世界だからこその問題に触れつつ、そのために必死になる親子の軋轢をしっかり魅せてきたことには舌を巻くばかりです。最終的にはヒトシさんも工事と怪獣災害との兼ね合いも取る選択もしたそうですし、信じることで解決するストーリーとして綺麗に収まったかと思います。

 

 

  • 望むものを奪い・襲う欲深き魔獣

 マンションが建設される予定だった森に封じられていた怪物「古代怪獣 リオド」。本作における伝承に登場する怪獣枠であり、はるか昔に村や土地を襲う物の怪として恐れられてきた存在とのことです。(余談ですが劇中でリオドのことについてを綴っていた書物は太平風土記でしょうか?)そのビジュアルは少々ひょうきんな様子で、特に像のような細長い鼻が垂れ下がっている点が面白いところ。他にも側頭部にはラッパのような管形状の牙(?)、頭頂部には後ろに向いたツノ、後頭部にはイソギンチャク染みたトサカととにかくユニークなものを感じます。寸胴体型とのゆるい組み合わせと相まって、パッと見は前回のシャゴン同様可愛いとすら思ってしまいますね。

 しかし祟り神のような扱いをされているだけあって、その振る舞いは狂暴そのもの。目覚めるや否や鼻の吸引力で以て周囲のモノを吸い尽くそうとするなど、なるほど恐れられるのも納得のいく暴れっぷりを披露していました。(その辺の木を口でむしってペッと吐き捨てる姿からも粗暴なイメージを抱きますね)その後のアークとの戦闘でも異様な強さを発揮しており、触れたものを発火させる泥や電撃光線といった多彩な技は見ているこちらの度肝を抜いてくるものばかりです。他にもアークアイソードの攻撃を受けて多少は耐えきるほどの防御力まで兼ね備えており、伝承に残る怪物としての存在感をこれでもかと発揮していたと言えるでしょう。

 最終的には封印に使われたという丸薬をユーが再現し、口に放り込むことで弱体化。ヤマタノオロチの如く酔っ払ったかのような千鳥足になり、さらにはアークが光輪技「アークエクサスラッシュ」で掘った穴に突き落としたうえで光線技で倒す……とかなり手が込んだ攻略法で見応えがありましたね。伝承通りのやり方でようやく倒せた恐るべき怪獣ですが、コミカルな面(アークが木を使って鼻をコチョコチョくすぐってくるシーンとか)もあったので何だかんだ愛着が湧いてきたかもしれません。

 

 

  • 信じていいのか、まだ迷う時

 上述の通り「信じること」の重要性を説いたエピソードになっていましたが、その一方でちょっと不穏に感じるような描写がいくつかあった点も見逃せません。まずシュウについてですが、ユウマのハヤトくんの話を真面目に取り合う姿に感化された裏で何かを探っているラストシーンを見せてきてドキッとさせられました。リオドが暴れた跡地で何かを計測して、何者かに「例の数値が高いです」といった言動を取る様子に、シュウへの不信感を抱かずにはいられなかったです。ユウマたちにも隠している“何か”も気になりますし、それが目的で防衛隊から配属になった可能性も頭に浮かんできます。(ただ「SKIPにはまだ……」という口ぶりからしていずれは話してくれそうなんですが)

 他にもリオドの情報収集中に鏡越しにアドバイスをしてきたアークが気になります。一言も発することなく指さすだけで、古書店に残されていたリオドを封じた丸薬入りの壺を教えるシーンは中々に奇妙でした。前作と比べるとちゃんとわかりやすい方法で意思疎通してきて偉い!となる反面(まぁブレーザーはやり方が強引すぎるのが魅力なのですが)、何故それを知っていたのかについてを考えてしまいますね。現状アークが何者なのかハッキリ描かれていないのもあって、この壺は最初からそこにあったものなのか?アーク自身がその場で生み出していたりして?などと勘ぐってしまったり……シュウもアークも良い人出ることは間違いなのですが、信用出来るかどうかについてはまだまだ判断出来そうにありません。

 

 

 そして今回の特撮シーンに関してですが、こちらはアーク&リオドの視点をそのまま見せる演出には驚きましたね。至近距離での取っ組み合いを繰り広げる両者の見ている視界が広がっていたことで、戦いの臨場感がダイレクトに伝わってきたと感じています。特にアーク視点でリオドに殴られる瞬間には思わず身構えてしまうほどでした。巨大な者同士の戦いでも等身大の殴り合いとさほど変わらないかもしれないと思いつつ、前回とはまた違った形で画面の先の世界と視聴者をシームレスで繋ぐバトルで興奮させられた次第です。

 

 

 そして次回はついに明かされるウルトラマンアーク誕生秘話。ユウマが如何にしてウルトラマンに変身したのか、その経緯がいよいよ語られるようです。他にも少年時代のユウマが遭遇したという16年前の事件、森の中で遭遇した宇宙怪獣VS光の巨人の戦いや父親の話も含め、主人公の掘り下げが盛りだくさんの模様。本作における“第0話”に位置するであろうエピソードなのは間違いないので、これは期待したいですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。