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仮面ライダーガッチャード 第46話「黒き占星、黒鋼の宣誓」感想

この悪意、君はどう向き合う?

スパナは激怒した。必ず、かの邪知暴虐な悪意を除かねばならぬと決意した。

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  • 力を狙う醜い人間たち

 ガエリヤの企みによって多くの人たちの間でケミーの記憶が蘇ってきた冒頭。今回のガッチャードはケミーとマルガム、そしてそれらを知ってしまった一般人(?)を巡るいざこざが大きなメインになっていました。まずケミーへの恐怖や驚きを思い出す人々の反応は様々で、未知なるものへの不安が詰まっているシーンになっていたかと思います。まぁズキュンパイアの元取り巻きのような例外もあるのですが、基本は怯える人が多い辺り以前スパナが言っていた「人は自分と違うものを簡単に受け入れはしない」の意味を実感させられました。

 そこまでならまだ良かったものの、ケミーの力を狙う連中まで現れたのがガッチャードらしいというか何というか……オーズのガメル如何にもな悪人が宝太郎たちに襲いかかってくる絵面は本作の治安の悪さを端的に表していたと言えます。情報に踊らされ、マルガムになれば警察も怖くない!と張り切る敵には呆れと悍ましさを感じましたね。安直ながらケミーを都合の良い便利な道具としか見ていない、人間の凝り固まったエゴに少々辟易としてしまいます。(後述の大人たちも自衛するための力としてケミーを狙ったのでしょうかね?

 何よりエゲつなかったのが「たっちゃん」をはじめとした動画配信者&マスコミの存在ですね。14話と23話に出てきた編集者兼結逢の元カレと同一人物であるこの男が、ケミーの存在を報道しつつズケズケと錬金アカデミーに乗り込む様子にはかなりの嫌悪感を抱きました。チャンネル名を間違えるほどオカルトに微塵も興味がなく、単なるチャンネル稼ぎの手段だと思っていそうな軽薄さが実にイラっときます。ケミーや錬金術に対する忌避感ならまだしも、それらを利用する気満々な奴らばかりが出てくる……ガッチャードで散々描かれてきた、人間の極端なまでの俗物っぷりには一周回って感嘆してしまいそうになります。最近影の薄いギギスト様「なんか……えらい事になってるな」

 

 

  • 超A級錬金術師の義憤

 悪意を持った人間たちにメンタルが打ちのめされる中、注目したいのが今回のスパナの動向。ラストに「錬金連合の解体」と「ケミーの廃棄」「人間の悪意の根絶」を宣言してきた時は仰天しました。これまで宝太郎の夢に対して何度も苦言を呈してきた彼が、とうとう本格的にケミーと人間を切り離しに来たのだと感じさせる一幕でしたね。いつか来るだろうとは予想していたものの、ケミー廃棄まで言い出したことなどにはどうしてもショックを受けてしまいますただ錬金連合が腑抜けなのはその通りだと思いますし解体の方は是非やっちゃってくださいマジで。

 そんなスパナのいきなりな演説でしたが、そこに至るまでの過程も彼の行動に対する納得感を生んでいました。ケミーを狙う連中が鏡花さんの研究所に押しかけ、彼女を傷つけたという事実はスパナを奮い立たせるのに十分な出来事だったかと思います。そのうえ直前に繰り広げられた大人たちが女の子のぬいぐるみを取り上げるシーンは、それ以上の不快感に満ち溢れていましたね。ここのヘイトは中々のモノで、視聴者として大人げがなさすぎる者どもに対するスパナの憤りと完全にシンクロできたように感じています。(同日に放送された『ブンブンジャー』に出てくる大人たちのマトモさも相まって、こちらの大人たちの酷さがより克明になっていたのもポイント)

 これらの人間の醜さを目の当たりにしたことで、スパナが決起したことに違和感を抱くことはなかったです。むしろ彼はこれ以上宝太郎たちや、真面目な人間たちが傷付かないように自分1人で泥を被るつもりなのだろう、とさえ思えてきます。今スパナが抱いている怒りはきっと、正直者が馬鹿を見る世の中に対する義憤なのかもしれません。苛烈ながら生真面目で、子どもたちへの優しさを持ち合わせているスパナを何度も見てきたからこその信頼が大いに描かれていましたね。無論宝太郎と争うことになるのは火を見るよりも明らかですが、どちらの主張もわかるだけに複雑な気持ちになってきます

 

 

  • 歪んだ家族ごっこ

 ケミーに対する人間たち云々を除くと、アトロポスとグリオンのやり取りも大いに印象に残りました。りんねとの約束通り人を襲わなくなったものの、グリオンに対する依存度が上がったアトロポスに妙な不安を覚えてしまいます。危険な道にズブズブ嵌っていくかのようだったので、りんねのグリオンに関する警告にも思わず頷きますね。(「グリオンを信用してはいけない」発言も夏映画が先に公開されたのもあって余計に説得力がありました

 そんなアトロポスとグリオンが繰り広げた微笑ましい(?)家族の雰囲気も見逃せません。アトロポスが普通の女の子の格好に着替え、グリオンが絵本の読み聞かせをしてあげる光景には困惑が止まらなかったです。しかもグリオンの回想から、この行動は風雅&りんね親子を真似していることが読み取れた時は鳥肌が立ちましたね。幼少期のりんねと同じ服を着せて、同じ暁の錬金術師の絵本を読ませてあげるというのは結構おぞ気が走る話です。嬉しそうなアトロポスはともかく、グリオンからは九堂家に対する歪んだ執着を感じずにはいられません。

 それにしてもグリオンが何故こんなやり取りをしたのか気になりますね。これまでは冥黒の三姉妹を道具のように扱っていたのに、復活してからは彼女らに娘としての接し方を選んでいるのは少々奇妙に思えます。個人的な予想ですが、自称・人間を愛するジェルマンを基に復活したから、ジェルマンの「愛する気持ち」が強くなっているのかもしれません。ただジェルマンの愛はお人形遊びみたいな側面が強いので、その場合グリオンの愛情もその程度の可能性があります。正直アトロポスにはそんな家族ごっこで満足なのか?と問いただしてみたいところです。

 

 

 今回の戦闘シーンに関しては久々登場のゴーレム剛力/ゴリラマルガムとのパワー勝負もあって派手派手な印象でしたが、それ以上にニジゴンの力の制約に驚きました。101枚のケミーの内1枚でも奪われれば、ガッチャーブラザーズのような能力を十全に発揮出来ないというのは強烈かつ興味深かったです。(レインボーガッチャード初変身時にガッチャーブラザーズを披露しなかったのも、ケミーがコンプリートされていなかったからなのでしょうね)いざという時は他のフォームと使い分ける必要性が出てきたことから、最強フォームのデメリットとしては悪くない塩梅だと思いました。

 またそのように感じた矢先、プラチナガッチャードでニジゴンの力を使う瞬間には膝を打ちました。レインボーガッチャードに頼らずとも、ユニゾン能力さえあればレインボーブレスが使用可能というのはなるほど理に適っていると言えます。何より最強フォーム一辺倒で終わるのではなく、各フォームの強みを活かしての戦闘は見ていて楽しいですね。それぞれのフォームの役割をしっかりと理解し、有効な場面で使う舞台を用意してくる点はファンとしては喜ばしい話題この上なかったです。このように意外、それでいて納得の戦闘シーンの多様さに溢れていた今回は何だかんだで見応えがありました。

 

 

 さて次回は宝太郎VSスパナの戦いが勃発。ケミーを全て奪おうとするスパナに対し、宝太郎は決死の想いで抵抗する模様です。みんなの夢を叶えたい宝太郎とみんなの夢を守りたいスパナ、両者の正義と信念が対立する展開にハラハラしながらも高揚感が湧いてきますね。上述の通りどちらの言い分も理解出来るため片方のみを応援するのは難しい……けれども2人の本音をぶつけ合う戦いは是非見てみたいという気持ちも事実。ガッチャードでは珍しいというか今回初めてにして最後の、味方同士のライダーバトルの行く末が楽しみで仕方ありません。

 

 

 ではまた、次の機会に。