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仮面ライダーガッチャード 第47話「大激突!宝太郎VSスパナ」感想

譲れない信念がぶつかり合う時

「1話限りのゲストキャラが再登場」でここまで盛り上がるのはガッチャードならでは!

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  • 覚悟の中にあった同じ“願い”

 スパナの衝撃的な宣言から始まった今回のガッチャード。冒頭からラケシスが冥黒王やグリオンへの対処について問いただしに来て、スパナが何を考えているのかを知ることになりました。諸々の問題をどうするのかと思っていたら「全てのケミーとの百十一重錬成して全部を倒す」とんでもない手段には絶句しましたね。己が身を怪物にしてでも全てを片付けようとする覚悟に納得するものの、その選択自体には少々ため息が出てしまいます。案の定自分を犠牲にしてしまうだけでなく、鏡花さんたちを追いていってしまうつもりなので何とももどかしいです

 ただ後述の宝太郎との戦いで吐露したスパナの本音が興味深かったです。自分を守って亡くなった両親を見て「何かを得るためには何かを捨てなければならない」という考えになったのはなるほどスパナらしいと思いました。両親の死に意味を見出したい心情も読み取れますし、彼の合理的思考故の結論なのだということがよくわかります。それでいて鏡花さんやラケシス、マッドウィールたちへの情を隠しきれていないのがいじらしいですね。(マッドウィールたちに「すまない」と謝罪するシーンもここすきポイント。彼らもそんなスパナだからこそついて行くつもりだったのがわかりますね)

 

 そうして宝太郎との本気の戦いを繰り広げ、お互いの信念をぶつけ合ったわけですが、その過程でさらにスパナの根っこが明らかに明らかになった時は驚きました。「生きているもの全部が幸せな世の中を錬成する」という、子どもらしい夢を持っていた事実には思わず微笑ましくなってきますね。猫や犬はともかく「ダンゴムシ」を名指ししているところはシュールでしたが……この願いから上の信念に繋がったのも理解出来ますし、何より宝太郎と同じ答えに通じているのがグッド。スパナもそのことに気付いたのか、根負けする形で去っていった様子に見入ってしまいます。

 彼の心境を表わしているかのようなマスク割れ、壊れてしまったヴァルバラドライバー、何より鏡花さんの元にも帰ってこなかったスパナが少々心配になってくる幕引き。とはいえ宝太郎の考えを理解しあったことで、少なくとも前に進めたのではないかと思います。道は交わらないことを口にして去っていきましたが(この辺りのドローンでスパナの後ろ姿を映す演出が良き)、最終回辺りでスパナが帰ってくることを期待したいです。

 

 

  • その善意が若者を突き動かす

 今回もう1つの見どころはやはり宝太郎と彼を取り巻く人々との交流ですね。まず彼の我が家であるキッチンいちのせにまで、ケミーを狙う悪人が押し寄せてきた事実に慄きました。本作の日常の象徴とも言える聖域が侵されたことに終盤の切なさを覚えますが、そこで配達の仕事を続ける珠美母さんの姿に胸打たれますね。どんな状況でも当たり前の日常を続けようとする、そんな姿勢も立派な強さだということを実感します。そのうえ宝太郎の錬金術についてを知っても深くは言及しない、むしろ喜んでくれる母親の優しさにウルっときました。

 そして宝太郎にとって最大のアシストとなったのがまさかの旭さん!第5話で登場したきりのゲストですが、その回が本作において如何に重要かはこれまでの話で大いに強調されてきました。そのため5話の象徴である旭さんの再登場に思わず感極まってしまいます。(前回ゴーレム剛力が出たのは今回のための布石だったんですね)スパナの心情を理解したうえで思い悩む宝太郎に対し「言葉だけではない説得」「自分の夢の砦を守ること」と、旭さんのキャラクターからして大いに納得のいくアドバイスを授けてくれたのもお見事でした。

 前回のせいで人間の悪意に辟易しかけていたのですが、今回は逆に珠美母さんや旭さんといった善性を見せてくれたので一安心。人間は悪意だけでなく、善意を以て誰かを救えることを示してくれたのが素敵ですね。特に旭さんはレスラーGとの記憶を思い出したうえで宝太郎を導いてくれたのですから、ケミーと人の出会いは決して悪いモノばかりではないことに説得力が生まれていたと言えます。そこから宝太郎が「俺は仲間を見捨てたりしない」「俺は欲張りだから」といった理想を口にしてくれる流れも含めてグッとくる展開の連続で胸が熱くなります。満を持して始まったガッチャードVSヴァルバラドのライダーバトルも、両者出し惜しみなしの全力っぷりからの泥臭い殴り合いまで最高の一言でした。

 

 

  • その人形の正体は……

 宝太郎とスパナの激戦の裏で描かれたアトロポスの危機、そしてその正体についても見逃せません。ガエリヤがここにきてアトロポスを狙ってきたのは正直意外だったので、本筋の横で驚愕しっぱなしになりました。あとガエリヤの言うとおりにした結果、大事な姉を危険に晒してしまったクロトーの失態に最早言葉が出てこなくなったり……(余談ですがアトロポスの拘束シーンは子役に配慮しているかのようでちょっとほっこりしたり)

 何と言ってもアトロポスのモデルになった人間がりんねだという事実は衝撃的。前回の時点である程度予想はしていたものの、ここまでドンピシャだとかえって驚いてしまいますね。そしてグリオンが心の底では風雅・りんねの親子に対して羨望などの感情を抱いていたのではないか?といった考えが浮かんできて、その哀れさに何とも言えない苦々しさを覚えることとなりました。予告でアトロポスを助けてほしいと懇願していましたし、少なくとも今のグリオンにとってアトロポスは大事な娘なのかもしれません。だったら何故、その愛情をクロトーやラケシスにも分けてやれなかったんだ……!!

 ともかくオリジナルであるりんねの力を注ぎこむことで、アトロポスを究極の人口生命体に変えようとするガエリヤ。この辺りのラストで一気にハラハラさせられました。両者の関係性がはっきりしてきたところで、この急展開は中々にショッキングと言えるでしょう。おかげで次回が余計に楽しみになってきた次第です。

 

 

  そういうわけで次回はアトロポス救出のために宝太郎たちが動き出す模様。何とグリオンが恥や外聞を捨てて風雅に助けを求めてくるようですが、この父親同士のタッグは正直気になりますね。娘を持つ者として、敵味方の垣根を越えてやっていけるのでしょうか。

 そしてりんねとアトロポスの因縁にどのような決着がつくのか気になるところ。ガエリヤという共通の敵を前に、2人は歩み寄れるのでしょうか?満を持して登場するマジェードの強化フォーム含めて、非常に楽しみな回になりそうです。

 

 

 ではまた、次の機会に。