新・メタレドの楽しんだもん勝ち!

様々な作品について語ったり語らなかったりするサイト

仮面ライダーガッチャード 第48話「黄昏(トワイライト)にさよならを」感想

この一言で、私たちは変わる

ここにきてグリオンが令和父親ライダーのワーストを更新するとは……

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

  • 運命を決めるは2人の友情

 ガエリヤに捕らえられ、究極の人工生命体「キマイラ」に作り替えられそうになるアトロポス。今回のガッチャードではそんな彼女とりんねを巡る物語が展開されましたが、終盤アトロポスがりんねを庇って事切れる展開にショックを受けてしまいました。ここまでの2人のやり取りや、自分のアイデンティティを模索していたアトロポスを思うと当然の結果……ではあるものの、何とも言えない悲壮感を覚えずにはいられなかったです。(メタ的な話になりますが色々悪いことをしてきた以上、彼女が生き残るのも難しかったでしょうし

 ただその行動を以て、アトロポスが本音を口にしたのが良かったですね。以前からりんねに執着してきたアトロポスですが、15話で指摘された「(りんねと)友達になりたい」という気持ちをここにきてようやく認めてくれました。人形兼グリオンの娘としての生き方しか知らなかった彼女が、自分の意志で選択したと思えばこの最期も決して悪いものではありません。何よりりんねの「私のルールは私が決める」という在り方に則っているとも取れる辺りに目頭が熱くなってきます。

 そうした過程もあってガエリヤや後述のグリオンのように、周囲に自分の考えを強要してくる連中に「自分の運命は自分で掴み取るもの!!」と返す構図が爽快感抜群。様々な困難を乗り越え不屈の精神を手にしたりんねと、自分の最期を決めることが出来たアトロポスの合体として見事な意思表示だと言えます。アトロポスのりんねへの羨望が健全な友達関係に至ったことも含め、序盤から続く2人の関係に感動的な決着がついて何よりですね。個人的にもアトロポスの救いを求めていたので、このラストにはウルっときた次第です。

 

 

  • 強き想いで夜明けを導く、一角と陽光の聖黒錬成

 

マジェスティードライバー!

 

ブライトネスリンク!

ダークネスリンク!

 

ユニコン

UNICON!

トワイライト!

 

ザ・サン

THE SUN!

トワイライト!

 

Sunset in the dark, two in one.

Sunset in the dark, two in one.

 

ガガガガッチャンコ!

ガガガガッチャンコ!

ガガガガッチャンコ!

 

ブライトネスダークネス!

トワイライトマジェード

 

 りんねがアルケミスドライバーの進化版「マジェスティードライバー」にハイアルケミストリングとアトロポスの形見の吹きゴマから生まれた「プロミスアルケミストリング」を同調(リンク)、トワイライトケミーとなった「トワイライトユニコン」と「トワイライトザ・サン」を装填し錬成(ガッチャンコ)することで変身した姿「仮面ライダートワイライトマジェード」。終盤になってまさかの登場を果たしたマジェードの最強形態です。自身をモデルに作られたアトロポスの意識と一体化し、光と闇が合わさり最強に見える状態になっているのが何とも興味深いところ。

 そのビジュアルはサンユニコーンをベースに、マントなど黒い装束が数多く追加されたモノ。その装いは父・風雅が変身するウインドにも見えますが、それ以上にアトロポスが纏っていた服装を彷彿とさせるものになっています。(後頭部の形状もアトロポスのボブヘアを意識しているのだとか)さらに胸の水晶体や複眼にはサングラスのようなゴーグルも存在し、軽装だったマジェードのイメージから一転して重装備になっているのが興味深いですね。その結果錬金術師としての厳かな雰囲気が出ているとも取れますし、最強フォームに相応しい貫禄があると思います。

 しかし戦闘ではマジェードらしい軽やかな動きで相手を翻弄していたのが特徴的。さらに初変身に限りりんねの意識とアトロポスの意識が繋がっており、その結果ガエリヤの予知すら上回って攻撃を繰り出していました。光の矢を降らせるといった攻撃方法も確立させ、遠距離・近接共に隙のないバトルスタイルになっていると言えます。何より長いこと続いていたりんねとアトロポスの因縁の終着点として、ここまでエモいフォームは中々ないだろうと感動しますね。

 

 

  • 歪んだ男の偽りの愛

 娘たちが泣ける物語を展開していた一方で、父親連中は割とドロドロしていたのも今回の見どころ。まず冒頭風雅に助けを求めるグリオン(ドンドン叩いていた扉の隣から風雅が出てくるのがシュールでした)が正直意外でしたが、何だかんだ娘を助けたい一心の2人が結束するのは胸熱でした。だからこそ、本性を表したグリオンに愕然としたわけですが……アトロポスのことを最初から道具としてしか見ていない、最低の父親ぶりは憤りと安心感を同時に覚える不思議なシーンとなっていましたね。自分のためならどうな嘘も平気で付く、グリオンの外道っぷりはある意味で視聴者の予想通りといったところでしょうか。

 それでいてガエリヤに強制された風雅とのロシアンルーレットにて、風雅に吐露した彼への羨望の話は本当らしかったのがまた興味深いです。錬金術師としても父親としても理想的な風雅に憧れ、彼を超えてみたいと思ったのはきっと本心だったのでしょう。ただ父親になってみたいけど娘は欲しいわけではない、だからこそ忠実な人形としてのアトロポスたちを生み出したのが実にグリオンらしかったです。どこまでも利己的で歪んでいるこの男のキャラクターは悪役として中々に秀逸。ここまでくると一周回って清々しさすら覚えますね。

 またガエリヤが倒されてもその力を奪い取る算段を整える、抜け目のなさも流石でした。誰が勝っても何かしらが手に入ると裏でほくそ笑む、敵として上手な描写がされていたのがグリオンの面白さを表わしていますね。久々に出てきたギギストすらも煽る怖いものなしのこの男が、果たしてどこまで行ってしまうのか。この調子で夏映画に続いて本編でもラスボスになりそうなグリオンを見て、ちょっと変なワクワクを覚えてしまいます。

 

 

 今回は他にも宝太郎の機転が印象に残りました。ガエリヤが作り出した空間が「決闘に必要なものしか入ることが出来ない」ルールで縛られているのに対して、決闘用の銃(バレットチョウチョワイルド)になって忍び込む作戦を取った時は膝を打ちましたね。まさかの再登場を果たしたバレットチョウチョの使い方も上手いですし、何より相手が押し付けるルールを自分の解釈で突破するのが非常に宝太郎らしいと感心します。ガエリヤが語る運命を、りんねやアトロポスとは別ベクトルで否定してみせたのも見事でした。

 あと心配になってくるのがクロトーについて。冥黒の三姉妹から退場者がとうとう出てしまったことに、誰よりもショックを受けていそうなので同情を覚えます。特に前回ガエリヤにそそのかされて、アトロポスを連れてきたので「アトロポスが死んだのは自分のせい」と自責の念に駆られていそうですし本当に可哀想です。加えて今度はラケシスに死亡フラグが立っているので、この調子だとクロトーだけが生き残りそうな予感がしますね。三姉妹一緒にいたい彼女にとって、自分以外みんな死ぬのはこれ以上ない仕打ちでしょうが……こちらの末路についても目が離せません。

 

 

 さて次回は未だに続くケミーへの不信と非難、その裏でスパナとギギストの対決が描かれるという忙しい展開になる模様。自分の力で仮面ライダーになろうとするスパナに対し、黒い炎による強化をそそのかすギギストという構図は結構不安になってきますね。しかしスパナのことですから、強い意志でギギストを突っぱねてくれることでしょう。マジェードに続いてヴァルバラドの最強フォームが出てくるのも楽しみです。

 

 

 ではまた、次の機会に。