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ウルトラマンアーク 第14話「過去の瞬き」感想

映し出される真実

映画館での説明の仕方からして、ルティオンはかなりの凝り性な可能性

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  • 地球を巻き込んだ真実と問題

 衝撃の真実の連続に驚かずにはいられなかった今回のアーク。謎の異星人「スイード」による突然の襲撃から、アークが語る真相まで始まってからものの十数分でクライマックスのような内容が展開されました。思った以上にアークがあっさり話してくれたのも意外でしたが、彼が地球に来た背景がそれ以上に壮大だったのもあって前半の内から目が離せなかったです。あまりにも情報量が多かったのですが、箇条書きにしてまとめると……

 

  • アークことルティオンの故郷の星がある銀河の太陽「恒星ソニア」が突如膨張を始めた。このままではソニアのエネルギーで銀河の星々が滅んでしまう。
  • 各国の指導者たちが知恵を出し合う中、その内の1人「ゼ・ズー」が「ゼ・ズーゲート」なるワームホールを使ってソニアのエネルギーを別の銀河に放出する案を考える。
  • しかしエネルギーの放出先が地球にあるということで他の指導者たちはその案に反対。それでもゼ・ズーは作戦を強行しようとしたため、それを止めるべくルティオンが地球に派遣される
  • すんでのところでゼ・ズーゲートを封印したルティオン。その直後にゼ・ズーが送り込んできたモノゲロスの襲撃に遭い、地球の星元市に墜落。ルティオンは瀕死のユウマを救うために彼と一体化する。(これが後のK-DAYである)

 

 といったところ。本作では宇宙人たちの文明の滅亡が度々描かれてきましたが、まさかルティオンの星も同じような危機を迎えていたとは思ってもみなかったです。そしてシュウが上層部の命で調査しているオニキスは、ほぼ間違いなくルティオンが封印したゼ・ズーゲートと見ていいでしょう。ワームホールから通じて出ているソニアのエネルギーこそ、本作での怪獣の活動を活発化させていたという可能性にも大いに納得がいきますね。物語が別の銀河にまで発展し、そのスケールの大きさには舌を巻くばかりです。

 また襲ってきたスイード、そしてゼ・ズーのことを考えると一概に悪とは言い切れないのが興味深いポイント。地球が危機に晒されているとはいえ、彼女らも自分たちの銀河を守るために行動しているのですから複雑な心境を抱かずにはいられません。仲間が代替案を考えてくれていると説得するルティオンに対し、スイードが「時間稼ぎにしかならん」と切り捨てるのもわからなくはないです。(とはいえ巻き込まれた地球人からすればたまったものではないのですが)地球を慮ってくれるルティオンら穏健派と、他を犠牲にしてでも故郷を優先する強硬派の戦い。そんな構図に問題の難解さを覚えた次第です。

 

 

  • 相手に寄り添う「想像力」を

 上記の真実をユウマの明かし、心情を吐露してくれたアーク(ルティオン)の様子も今回の注目ポイント。ユウマの思い出の映画館にて懇切丁寧に説明してくれたことに感動しつつ、ちょっと緩い絵柄のアニメーションをスクリーンに流す方法にフフッときてしまいました。ユウマとアークがすごい良い姿勢で並んで観ている絵面も、何だかシュールでじわじわ来てしまいましたね。何より前作のブレーザーとは打って変わって良く喋ったり、シチュエーションに凝っているアークに不思議な魅力を覚えます

 そして言葉の節々から感じられるアークの誠実な人柄に胸打たれました。地球が巻き込まれることを良しとせず、スイードにも必死に説得する辺りが何とも理性的で惚れ惚れします。同時にユウマの両親を守れなかった件について「今でもずっと悔やんでいる」「一日たりとも忘れたことはない」と口にするシーンにはウルっときましたね。巻き込んでしまったとはいえ、見ず知らずの人たちのことでここまで後悔してくれる真摯さに好感を抱かずにはいられません。ユウマへの気遣いや献身性なども相まって、彼もまた“ウルトラマン”を名乗るに相応しい高潔な宇宙人であることを実感しました。

 そんなアークの優しさが、本作のテーマである「想像力」から起因しているのがまた面白いところです。そもそも無関係の地球を見捨てず守ろうとするのも、そこに暮らす人々の生活を想う想像力あってこそ。ユウマがこれまで実行してきた他者の身になって考え、寄り添うための想像をアークもまた備えていたという事実に感動しますね。(ユウマもアークの銀河について聞いたり、スイードから守るためにアークを抱き返す優しさを例によって発揮していたのがここすきポイント)自分たちの都合ばかりでなく、時に相手のことを思いやる姿勢こそ彼らの物語が目指すべきメッセージであることが伝わってくる回でもありました。

 

 

  • 次元を裂き現れる、立方体の光を持つ刺客

 スイードと共に地球にやってきた「宇宙獣 ザディーメ」はモノゲロスディゲロスと同じゼ・ズーが送り込んだ宇宙怪獣である模様。何と言っても目の部分が二股の尻尾のように分かれている、シュモクザメを彷彿とさせる頭部がまず目につきます。また石像のようなごつごつとしたボディが特徴的で、どちらかというと人形のような印象を受けました。ずんぐりむっくりな体型も相まってどこか愛嬌を感じますね。(特に空中に次元の穴を開けて退散する際のドタバタとした動きは特に可愛らしかったです)一方でおよそ生物らしくない、無機質な点はモノゲロスたちと同じ不気味さが内包されていると言えます。

 戦闘においては「テセラクトーン」という金色に光る四次元立方体を主に武器として使用。胸の発光体や背中の突起から発生させ、光弾として発射したりバリアとして展開したりと多彩な活用法を披露していました。特にバリアはアークのアークファイナライズを防ぎきるほどのものとなっており、破裂して慌てていたものの驚異的な防御力を持っているのは間違いありません。とはいえアークに蹴られて多少怯んでいましたし、肉弾戦はそこまででもない様子。何より今回のアークは戦闘前から疲弊していたのもあって、最初から向こうが全力だった場合どうなるかはまだわかりませんね。決して弱くはないものの、悲観するほどの強敵かどうかは次回で判断しておきたいところです。

 

 

 というわけで14話の感想でした。いやぁ後半戦のスタートとしてはいきなりフルスロットルなエピソードでしたね。これまで提示されてきた謎を一気に明かし、アークの正体共々ハッキリさせてくれる内容には非常に興奮させられました。気になっていたことがあっという間に氷解したおかげで見ていて気持ちよかったです。(前作『ブレーザー』が最終盤まで謎を引っ張っていたのも大きいですね)シュウの任務やアークとユウマ父の声が同じ件などまだまだ謎は残っていますが、視聴者の疑問を引っ張りすぎず八割方解決してくれた構成は大いに評価したいところです。

 

 またストーリー後半ということでOPやEDにいくつか変化が見られた点も見逃せません。OPは例年通り歌詞が2番になりましたし、EDの方は「ミチカケ」へと変更され装いも新たになりました。特にEDはARCANAPROJECT(アルカナプロジェクト)さんが引き続き続投しているものの、前期のメラメラと打って変わって落ち着いた曲調になっているのが特徴的。「君」と「ぼく」といったワードを多用していることから、ユウマとアークの関係性を歌っていることが読み取れるのもエモかったです。

 そして最も注目したいのがOPのサビで流れた怪獣ラッシュですね。前期までの登場怪獣に加え、後半から出てくる予定の怪獣たちも映し出されたのでテンションが爆上げしました。(この辺りは前作のOPの「後期に入ってもサビの登場怪獣が変化しない」という視聴者の不満を反映させているのかもしれません)タガヌラーなどを合体させたようなキメラ怪獣モノゲロス・ディゲロスに続く3本ヅノの怪獣(トリゲロス?)なども気になりますが、最も衝撃を受けたのはやはりキングオブモンス!『ガイア』の劇場版で出てきたあの怪獣が再登場する情報には仰天するほかありません。ただキングオブモンスも想像力から生まれた怪獣だからアークと敵対するには納得のチョイスですし、何よりガイアが客演するのでは……!?といった期待が膨らんできます。そうした想いを胸にしまいながら、アークの後半も前半同様楽しんでいきたいですね。

 

 

 さて次回はスイードの企みによってオニキス=ゼ・ズーゲートの封印が破かれかけ、地球が大ピンチに発展。ユウマも変身不能に陥ってしまい絶望に打ちひしがれる中、アークがある言葉を残そうとするようですが……?さらにシュウが隠していた秘密をSKIPのみんなに話すようで、今回に続いてほぼ全ての謎が明かされそうなのが楽しみですね。そして登場するアークの最強のアーマーと、次回は絶対に見逃せないことになりそうです。

 

 

 ではまた、次の機会に。