軌跡描いたヒカリが蘇る
恐怖や絶望を跳ね除けて、今こそ想像の翼を解き放て!!
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- 隠されていた衝撃の真実
今回のアークはザディーメとの戦いで倒れ眠るユウマ、そして彼の身を案じるシュウの様子からスタート。スイードによってゼ・ズーゲートの開放が迫る状況で、シュウがSKIPのメンバーに隠していたことを話す瞬間が最初の見どころとなっていました。劇中での情報統制が厳しくなっているだけに、仲間を信用して話すシュウの決意が身に沁みますね。最悪自分が非難されることを覚悟のうえで、みんなを選んだことを高く評価したいです。(そして真相を知ったうえでシュウを責めることなくオニキスの対処にあたるSKIPメンバーがまた素敵)
さて彼が明かしたコードネーム「オニキス」についてですが、前回同様長いので箇条書きでまとめると……
- 16年前に地球防衛隊が、地球から1000km先の地点にブラックホールに近い性質を持つ物体を発見。直後収縮して地球に落下したそれを「オニキス」と名付け、長い間捜索していた。
- オニキスはその高エネルギー故の重力波と高エネルギー粒子によって地磁気を乱し、眠りについていた怪獣たちが次々と覚醒する「K-DAY」を発生させる。
- 星元市の怪獣被害の頻度から、防衛隊はオニキスが市内にあると見てシュウを派遣した。
- さらにオニキスはエネルギーを蓄積し続けており、近いうちに爆発することが予測されている。その威力は超新星爆発に匹敵するとのこと。
といった感じでした。前回のルティオンの話と照らし合わせると大体の謎がこれで明かされたと言えますね。他にも劇中でギヴァスが探していた“新たな月”の正体もオニキスの可能性が高いという話からして、過去の事件の多くにオニキスが関わっていることが読み取れます。言及はされなかったものの10話のフィオの電波と繋がったのもオニキスが発している重力波が由来でしょうし、2話のリオドや5話のリヴィジラが目覚めた原因もオニキスかもしれません。これまでの話が点と点で繋がり、1つの線となっていく感覚にスッキリしました。
一方でオニキスが爆発する危険性を孕んでいる事実は衝撃的でした。SNSの書き込みを速攻で削除する防衛隊の過剰な規制に最初は首を傾げたものの、地球が滅ぶか否かのパニックが起こる危険を考慮すれば徹底するのも納得です。何よりオニキスもといゼ・ズーゲートをこのまま押し込めているだけではダメという点に絶望を覚えますね。解放しようが封印しようがどっちみち詰んでいる、本作の地球の現状が重くのしかかってくる前半となりました。
- 共に乗り越え、解き放て!!
上述の真実を前にショックを受ける視聴者と同じように、シュウの話を聞いて動揺していたユウマの姿も目に焼き付きました。スイードによって精神だけ連れていかれた時は何事かと思っていましたが、彼女の企みでこうして戦う意志を削がれる展開がこれまたショッキングでしたね。アーク(ルティオン)との信頼すら壊そうとするスイードに感心しつつ、ユウマの選択にハラハラさせられた次第です。
しかし再び対面を果たしたユウマとアークのやり取りは一転して胸打たれました。何と言ってもユウマに爆発の件を話していなかったことについて「怖かった」と語るアークの人間臭さが印象に残ります。これはユウマが戦えず地球が失われてしまうかもしれない……といった恐怖はエゴでもありますが、それ以上にアークの優しさ故のモノだということが伝わってきたのが大きいですね。任務としてよりも個人的な感情でそこまで地球人のことを慮ることが出来る、そんなアークの他人を想う想像力に感動を覚えました。
そしてアークの恐怖をユウマが払うのが見逃せないポイント。実際に絶望していたことを吐露しながらも、アークと共に戦うことを決意する場面はアークにとっても勇気づけられる場面だったかと思います。何より「きみは僕で、僕はきみだ」「想像力を解き放て!」といったアークがユウマにかけた言葉を、今度はユウマがかける演出が最高でした。ウルトラマンと人間が、対等な関係として叱咤激励し合う構図は個人的に大好きなのもあって本当に興奮しましたね。(『コスモス』や『タイガ』など、主人公とウルトラマンの関係が近い作品が特に好き)共に恐怖を乗り越えて、2人が一心同体の“ウルトラマン”になっていく過程を丁寧に魅せてくれたと思います。
- 繋がる想像力を胸に、今こそ銀河の未来を切り拓く
共に戦い想像力を解放したユウマとアークが、オニキス(ゼ・ズーゲート)の力を取り込むことで生み出した「ギャラクシーアーマーキューブ」アークアライザーに装填、変形させることで発言させた鎧「ギャラクシーアーマー」。本作におけるウルトラマンアークの最強形態です。問題のオニキスを基に新アーマーを作り出す無法さに驚かされますが、同時にユウマとアークが2人で作り出した力という点が実に素敵な姿だと思います。スケッチブックに新しく絵が浮き出たのも、ユウマだけでなくアーク自身の想像力が描き出したとも取れるので中々にエモいですね。
ビジュアルとしては隕石が分裂して体に張り付いたようなイメージ。上半身だけでなく下半身・両足にも装甲が追加されており、これまでのアーマーと比べて重武装に見えますね。シルエット自体はこじんまりとしているものの、その武骨さは過去のアークの中でもトップクラスに勇ましいと感じます。また最大の特徴として、アーマー以外にも4つの「アークフェザー」なる武器が周囲で浮遊しているのが最大の特徴となっています。
戦闘ではそのアークフェザーを駆使したワープゲート戦法が印象的。「アークフェザーサークル」なるゲートで攻撃を吸収・回避したり、相手の死角から攻撃するなど変幻自在なバトルが可能となっています。単純な身体スペックの向上では留まらず、相手を翻弄しながら自分のペースに持っていくトリッキーさはこれまでの最強形態とはまた違った魅力を内包していると言えますね。(ちなみにザディーメの攻撃を胸で楽々受け止めるなどフィジカルも強化されていることが伝わってきます)
そしてアークフェザーを合体させることで生成される短刀状の専用武器「アークギャラクサー」による戦いぶりもかなりの強さでした。ノコギリ状の刃を逆手持ちしての近接戦闘の他、光の刃を飛ばして中距離から牽制するのもお手の物という万能武器となっています。アークギャラクサーにアークキューブを3つはめ込むことで放つ必殺技「ギャラクサーファイナライズ」も、最強形態に相応しい威力を発揮していました。総じて奇抜な技とド派手な技を併せ持つ、まさにアークらしい最強の力と言えるでしょう。
今回地味に印象的だったのがスイードとユピーの2人。まずスイードの方は上述のユウマへの精神攻撃など悪辣な手段が目立ったものの、自分もろとも地球が滅んでも構わない覚悟で戦っていた点に不思議と惹かれました。彼女もまた故郷を守るために必死で、自己犠牲も厭わない戦士だったことが伺えましたね。人間大のままでアークを足止めしたり、ザディーメを攻撃から守ったりと体を張っていたことにも好感が持てます。後述のユピーに動揺する可愛さも相まって、この憎むに憎みきれないキャラクターが好きになってきました。
そして姿を消しているスイードを捉え、アークを助ける働きをしたユピーには別の意味で驚かされました。そんな機能があったの!?と驚きつつ、シュウとのコンビネーションを発揮する名アシストには舌を巻くばかり。というかこんな謎の機能が突然発揮される辺り、ユピーの技術力は実はオーバーテクノロジーなのではないかとすら思えてきます。その内ユピーが如何にして造られたのか、彼をメインにしたエピソードも欲しくなってきましたね。
というわけで15話の感想でした。新章前後編のクライマックスに相応しい盛り上がりで、ユウマとアークの関係を中心にテンション爆上げしながら見ることが出来ましたね。地球の危機などスケールの大きさはあるものの、物語としてはユウマたち個人に焦点を当てているのが素敵なところ。おかげで等身大の主人公たちの魅力を思う存分多能出来たと言えます。同時にオニキス消滅やザディーメが残したであろう時空の裂け目など、これからの戦いを暗示する不穏な要素も残してくれているので最後まで見応え抜群で楽しかったです。
そんなわけで次回は2度目の特別総集編。以前のエピソードに登場した中村さんが再登場し、新たに配属された関西のSKIPミヤコ士分所にて、今度ははんなりな感じのAIロボに翻弄されるようです。そのロボがアークの大ファンとのことなので、これまでの出来事を振り返ることになるのでしょう。不憫故に応援したくなる中村さんの、ちょっとした妄想力が楽しみです。(例によって感想の方は個別感想をお休みして、簡易感想の方にまとめる予定です。ご了承ください)
ではまた、次の機会に。