月イチの楽しみになってきたドラゴン娘のストーリー編第2章。生徒会メンバー4人の物語に続き、ついに生徒会長のアーシュの出番がやってきました。さらに今回はその前にアオハルにスポットを当てたエピソードを挟むなどやや変則的な構成になっており、物語が終盤に迫っていることを予感させます。というわけでいつも以上に長くなりましたが、アオハル編とアーシュ編の感想をまとめて書いていく予定です。
- アオハルのスタンスとドーラの焦燥
アーシュ編の前にアオハル編をば。この回は実質的な総集編で、これまでのストーリーのおさらいを兼ねているのがまず特徴となっていました。校長先生による説明が意外とわかりやすいと感じながら、クリーチャーが頻繁に事件を起こすのは何か裏があることを示唆しているのが印象に残ります。それとは別に第1話からまだ1カ月しか経過していない事実に衝撃を受けましたね。あまりにも濃い一カ月だ……
そして校長の話を聞いていた「帝王坂∞(ていおうざか・むむ)」と「蒼斬しのぶ(あおぎり・しのぶ)」の口から、生徒会とアオハル組の関係が改めて説明されたのが興味深かったです。元々後述のドーラ以外好戦的ではないのはわかりきっていましたが、彼女たちの口からはっきりと敵対しているわけではないことが明言されたことにホッとしました。「宿禰マロン(すくね・マロン)」や「ジュラ子・リューバー(ジュラこ・リューバ-)」も普通に新入生交流会の準備を手伝っていますし、むむの言う通りどこまでもフラットな立ち位置にいるのがわかります。(一方でむむが宝石を集める理由などを隠している点が気になるところ)
そんな中で唯一敵対している「伍大ドーラ(ごだい・ドーラ)」の過去も少しだけ明かされましたが、思ったよりも深刻な話に少々顔をしかめてしまいました。勝ち続けてきたからこそみんなに慕われていたから、自分は勝たなければ価値はない……そんな風に考える姿が痛々しく見えましたね。いじめっ子を諫める穏やかさも見せているだけに、強さと勝ち負けにこだわる姿勢が彼女を追い詰めていることが余計に伝わってきます。そんなドーラの問題は次回以降も続いていくようなので、そちらに注目していきたいところです。
- みんなの絆が、私を強くした
そして個人的な最推しである「流星アーシュ(ながれぼし・アーシュ)」について。ドラ娘アニメの主人公的ポジションである彼女は、優等生ながら人見知りのコミュ障というとてつもないギャップが最大の特徴。憧れのJKライフを望むあまり空回りしたり、消極的な態度故に貧乏くじを引く羽目になったりとどこか不憫な印象を受けることが多いです。一方でメガたちに引っ張られて充実した日々を満喫したり、困っている人を放っておけず助けに行く強さを発揮したりと“かわいそうかわいい”で終わらないのが彼女の魅力と言えます。元ネタのカードである《流星のガイアッシュ・カイザー》は踏み倒しに反応しての登場や大型のコスト軽減など便利な効果を複数備えたハイスペックドラゴン。今もなお人気の《永遠のリュウセイ・カイザー》の派生クリーチャーとしても有名ですね。
そんなアーシュがどんな酷い目に遭うのかと身構えていた中、目に飛び込んできた光景に絶句してしまいました。突然周囲の人たちの記憶からアーシュの存在が消えて、彼女が孤立していく展開は覚悟していてもキツかったですね。1人が苦手でこれまで友達の存在に救われていたアーシュに、この仕打ちは間違いなく効くのが改めてわかります。加えてアーシュとの日々の経験も消されてしまったためか、生徒会のみんなに不和が生まれていたのがまたショッキング。メガは好きなこと全部を両立させることが出来ず、生徒会長になったすずは独りよがりな性格に逆戻りと……これまでの成長が無かったことにされるのは視聴者としても悲しくなってくる光景でしたね。(みんなアーシュのことを不審がっていたものの、邪険に扱わなかったのが唯一の救いでしょうか)
といった感じに容赦のない曇らせ展開を1話から味わい次はどうなるのかとワクワクビクビクしていましたが、続く2話で涙を拭ったアーシュの行動にこれまたびっくり。ほぼ自力で立ち直り、メガたち1人1人と会話をして心を癒していく流れはあまりにも意外でした。これまでは何かと泣いたり怯えることが多かっただけに、ここまでの強さを発揮するアーシュに感嘆せずにはいられません。そんなアーシュに影響され、友達みんなの記憶が戻っていく瞬間もベタですがグッときますね。
あとはやはり今回の黒幕である牙修羅バットとのバトルで見せた勇ましさでしょうか。ゼオよりも先に怒りを露にして、みんなを鼓舞しながら戦う姿に惚れ惚れしました。用意したお守りを介して、みんなの力を受け取って覚醒するシーンなどは最高に主人公をしていましたね。とはいえアーシュがこれくらい出来ることは第1章の時から仄めかされていたので、ある意味で納得するところでもあります。それもこれもメガたち生徒会の仲間との日々のおかげ、みんなと過ごした日々で自信を持つ強さを得られたと思うと胸が熱くなってきます。待ちに待ったアーシュ主役回だけあって、気合の入った逆転劇で非常に面白かったです。
そしてここからは恒例のクリーチャーの元ネタに触れていくコーナー。今回はアオハル編で重要な情報が明かされたのもあり、色々と言及していきたいところです。
- ドーラのトロフィー
ドーラの回想シーンで登場した空手大会の優勝トロフィーですが、デザインがDM24-EX2こと「天下夢双!!デュエキングDreaM 2024」のパック表紙そのまんまで吹き出してしまいました。《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》や《悪魔神バロム》がわかりやすく描かれているのがじわじわきますね。(家に飾ってあった他のトロフィーも恐らくデュエキング系列のパックがモチーフでしょう)
パックの表紙デザインをそのまま使ってきたことに笑いつつも、デュエキングの表紙であるトロフィーを引用する点は結構納得がいきますね。元々トロフィーを模したデザインであることもありますが、デュエキングが「全国大会など環境で活躍したカードを取り上げる」趣きがあるので、勝利を求めるドーラが持つに相応しいのかもしれません。
- 古文書
むむが探していたとある古文書。その内容のデュエマらしさには度肝を抜かれました。「此の世は光、水、闇、火、自然、五つの龍神によって作られた」という記述は、かの「五龍神(五大龍神)」のことを指していることがわかります。デュエマアニメにおいても近年重要なポジションに置かれている龍神たちですが、ドラ娘世界でも創造主として君臨していた事実はファンとしてはそそられる内容と感じます。その内の1体であるはずの校長は何で学校の校長先生をやっているのだろうか……?
そして古文書に記されていた「闇の龍神」に関する記述と、むむの言葉からアオハル組に力を与えた存在が《黒龍神モルナルク》であることがほぼ確定したのも見逃せません。思い返せばこれまでクリーチャーを倒すたびに出てきた宝石も、モルナルクのカードのフレーバーテキストにある「美しき宝石」のことなのでしょう。校長(《天龍神アークゼオス》)と敵対している理由などはまだわかりませんが、目下の黒幕を特定出来たのは視聴する側としてもありがたい限りです。
- 《牙修羅バット》
学校の生徒たちの記憶を消し去り、アーシュを孤立させた張本人。元々読者公募で生まれた《阿修羅ムカデ》の派生クリーチャーであり、ここにきて本作でも採用されるとは思ってもみなかったです。デュエマアニメのゲジスキーといい、阿修羅ムカデはスペシャルズの中でも公式から結構優遇されているのが面白いですね。
劇中で度々鳴っていた音はこの牙修羅バットの超音波というタネ明かしにもなるほどと膝を打ちました。(その超音波は恐らく、元ネタのカードの呪文側である《真血染める闇牙》のことでしょうね)アーシュの可哀想な様子もありこれまでの敵クリーチャーの中でもひと際憤りを覚えましたが、それだけにアーシュによって倒される瞬間のカタルシスもひとしおでした。出番も最低限で、悪役としては悪くない活躍だったと思います。
アーシュ編も完結し、第2章もそろそろクライマックスに突入したとみていいでしょう。新入生交流会目前に立ちはだかってきたドーラとの戦いはどうなるのか?黒幕の目的は?これらの問題をどうやって解決するのか、非常に楽しみになってきます。1周年を迎えたところですし、第2章も大団円を期待したいです。
ではまた、次の機会に。