いにしえの冒険譚をここに
君たちに見つけてほしい
この世界で共に生きる、ポケモンたちとの冒険の日々を
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- 探究者たちの物語を知って
今回のアニポケはいにしえの冒険者・ルシアスの物語。てらす池で時を越えて出会ったリスタルの口から、ついに彼に関する大まかな過去が語られることとなりました。これまでの過去回想同様、画面が映画などで見られる長いアスペクト比になっており、このエピソードの特別感を高めてくれていたのも好印象。序盤から映画を眺めているような気分に浸ることが出来ましたね。
さてリスタル視点で描かれた過去の冒険ですが、まずルシアスや六英雄、ギベオンなどそれぞれとの邂逅が印象に残りました。出会いそのものは偶然に近いものの、「ラクアを目指す」という共通点の元で通じ合う過程は見ていて中々に心地よかったです。最終的に決裂する関係だとわかっていても、ルシアスたちの若々しさのおかげで悲壮感は全くなかったですね。エクスプローラーズ(探究者たち)というチーム名を考案する場面も含め、夢とロマンを追い求める若者の青春が感じられました。
そしてラクアに辿り着いた先での顛末に一転して愕然とすることに。ラクアの中心に存在する謎の物質(ラクリウム)を巡り、ギベオンと反目することとなったのは予想していたものの悲しかったです。またそれ以上にラクリウムを止めるためルシアスと六英雄、パゴゴ(テラパゴス)が身を挺した事実に言葉が出ません。バリアを貼ったことでラクリウムの進出を防いだということでしょうが、取り残されたリスタルのことを想うと胸が張り裂けそうになる話ですね。
とはいえルシアスの人物像と活躍はやはり魅力的。謎のヴィジョンでもその爽やかなイメージは読み取れましたが、今回の話でさらに夢追う好青年としての印象が深まった次第です。何よりこれまでのヴィジョンで見られたルシアスがパゴゴ視点であることも判明し、あの子の中でルシアスに関する多くの思い出が残っていることがわかったのもほっこり。目指した先で起こった悲劇に衝撃を受けた一方で、気さくながら勇敢なルシアスたちが本当の英雄だったと知るには十分な情報でしたね。肝心のラクアの居場所が全くわからなかったことには内心ズッコケましたが……
- 知られざる想いを受け継いで
これらの過去を明かしたリスタルの口から「ルシアスのことをこの子(レイラ)に話すつもりはない」と言葉が出たのも興味深かったです。ラクリウムのことが知られれば悪用する者たちが出てくると警戒するのは当然のことでしょうし、何より自分の子どもを危険な目に遭わせたくない母親としての気持ちも理解出来ます。ルシアスに関する情報が異様に少なかった理由も間接的に判明しましたし、それはそれとしてスッキリする話でもありました。
そのうえでリスタルが多くのことをリコに託したのが素敵なポイント。ルシアスの物語だけでなく、今のパゴゴのパートナーはリコであると認めてくれるシーンは胸が熱くなりました。パゴゴのためにラクアを目指していることから、彼女たちのことを信用しているのが伝わってきます。何よりルシアスと自分が守った証が残っていることを知って、安心したのもあるのでしょう。次の世代を守る選択をしたリスタルが、自分の手を離れた先の未来を信じた構図に感銘を受けずにはいられなかったです。
おかげでテラパゴスもといパゴゴがついにリコの正式な手持ちポケモンになったのが大きな見どころ。これまでは本来の持ち主から預かっているような立ち位置でしたが、上述のくだりもあって本当の意味でパートナーになれてめでたい限りです。(リコもニックネームであるパゴゴ呼びするようになったのがここすきポイント)ここまで過去を知ったところで、そのうえで今を生きる彼女たちが未来を受け継いだことがよくわかるくだりとなっていました。
- 謎多き男が求める宝
ルシアスとリスタルに泣かされた一方で、彼らの仲間であったギベオンについても複雑な心境を覚えました。上述にもあるように3人の仲は結構良好だったことがわかるだけに、ラクリウムを巡って対立することになってしまったのが切なく思います。ただルシアスとギベオンではラクアを目指す理由が異なっていたようにも思えるのが面白いポイント。前者は楽園と呼ばれるラクアを目指すこと自体を目的としていたのに対し、後者はラクアにある秘宝に興味があった節があります。形のないロマンと形のある宝、求めていたモノの違いが彼らを引き裂く原因になったのかもしれません。
またギベオンかつて口にした「裏切り」が相棒の白いジガルデによるものだったのは意外でしたね。途中までギベオンの命令通りにラクリウムを掘っていたのに、突如ラクリウムの結晶を止める行動に出た点にも驚くを隠せません。ただジガルデが世界を監視する役割を持つ「秩序」のポケモンという設定を考慮すると、ラクリウムの危険性を本能で察知したという考察も出来ます。(原題では10%フォルムで、回想では50%フォルムだった理由もちょっと納得しましたし)いずれにしても自分の意に反した行動を取った相棒を、今もなお側に置くギベオンの心境が気になってきました。
ギベオン自身についても未だに謎が多いです。100年前を変わらない姿を保っていることはわかっていましたが、回想シーンで一度割れた崖に落ちてしまったのは衝撃的。あそこから如何にして生還したのかが気になってきます。見た目が若々しいままなのもラクリウムが関係していそうですし(実際ラストシーンではラクリウムらしき煙が蔓延した部屋にいましたし)、ラクリウムを求めてラクアを目指している男の真意に目が離せません。そしてスピネルがギベオン大好きなヤンデレ説が浮上したのが地味にヤバい……
というわけで75話の感想でした。いやぁ前回以上の情報量の多さに興奮が止まらなかったです。ルシアスという人物を深く掘り下げながら、彼らの過去に何があったのかを細かく見せてくれることで魅力を引き出した良き過去編だったと思います。それらの物語を知ることで、ルシアスの意志を継いだリコたちへとシフトしていく構成も見事の一言。ラクアを目指すライジングボルテッカーズの立場の確立として申し分ない内容でしたね。(あと余談ですが、OPにオモダカさんなどが追加されていてちょっとびっくり)
そしてラクリウムが予想以上にヤバい代物だったのが印象的。ポケモンを暴走させるだけでなく、植物が急成長した後あっという間に枯れるシーンは非常に怖かったです。スピネルのブラッキー「自分こんなヤバいモノを摂取させられたんですか……?」これらの描写からしてラクリウムは「生物の成長を促す効果」を持ち、同時に「その生物の寿命を縮める」危険性を孕んでいる可能性が伺えますね。ギベオンが若さを保っているのもこのラクアが関わっているのでしょうね。(ダイアナのまた聞きで判明した高祖母であるリスタルが早くに亡くなったという話もラクアの影響でしょうか)強大な力を引き換えに命を奪う性質は、敵が狙いにして主人公たちが封印するのも納得のモノだと言えます。このラクリウムのルーツはどこにあるのか、そこにも注目していきたいところです。
さて次回は六英雄最後の1体・エンテイを探してある人物を訪ねるとのこと。しかしその人の名前が「ソーダヨ」で相棒のポケモンもソーナノという……実にややこしい名前に思わずクスっときてしまいます。他にもリキキリンやクエスパトラに襲われるようですが、本当にこの先にエンテイに繋がるのでしょうかね。少なくともシリアス続きだったからこその息抜き回になりそうなので、肩の力を抜いてチェックしておこうと思います。
ではまた、次の機会に。