あなたの夢に飛び立つもの
ピンチのピンチのピンチの連続そんな時 友達(ギヴァス)が欲しい!!
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- 現実への憤りを感じて
今回のアークはゲストキャラである「芝アオイ(しば・アオイ)」さんの視点で始まりました。何と言ってもリンさんの学生時代の同級生である彼女が、所属している出版社でヘトヘトになっている様子から始まる光景は中々に強烈でしたね。フレンドリーながら平然と仕事を押し付けてくる社長など、絶妙な生々しさがあって見ていてしんどくなってきます。社会人の悲哀は前作でも取り扱われていましたが、あちらとはまた違った辛いものを感じさせてくる点に感心せずにはいられなかったです。
そんなアオイさんが謎の赤い玉と遭遇し、ドリちゃんなる怪獣を生み出してからの成功の過程も印象に残りました。早いテンポながら徐々に仕事も順調になっていき、ドリちゃんとの交流を深めてくるので彼女への感情移入も容易かったです。(何よりドリちゃんがマスコット怪獣としてとても可愛らしく描かれているのがここすきポイント)だからこそドリちゃんの存在がバレてしまってからの反発には胸が痛みましたね。やっと掴めた幸せを取り上げられることを恐れ、周囲への怒りのままにキングオブモンスを生み出してしまう瞬間がショッキングに描かれていたと思います。
またアオイさんのリンさんへの嫉妬や「夢を掴むチャンス」に関する悲観的な言葉が大いに突き刺さりました。上手くいかずに苛立ち続けて、親しい相手を疎ましく思ってしまう感情は日常でも身近なものだと考えています。だからこそそれらの感情を暴走させるアオイさんへの共感が大きく湧いてきました。*1それでいて自分の仕出かしたことを後悔する善良さもあるなど、アオイさんの“普通”な人間性が垣間見えていたのが好印象。個人的にも彼女のそんな“普通さ”にどこか惹かれましたね。
- 夢咲き鳥はあなたの心に
アオイさんを巻き込んだ「赤い玉」に関しても語っておきたいところ。後述のキングオブモンスの原典に登場したモノと似た経緯を持った「物質文明の究極点」ですが、細部で異なる特徴を持っているのが目に留まりました。宇宙由来だったり玉そのものが願いに呼応して変身するなど、あちらとはまた別物であることが伺えます。(異なる世界でも似たようなモノが作られているということでしょうか)
そんな赤い玉がアオイさん自身の写し身のように描かれていたのも興味深かったです。アオイさんの願いからドリちゃんなどが生まれたことを考えると、なるほど出来上がった者願った彼女自身と言えるかもしれません。同時に短いながらも苦楽を共にしてきた友人、あるいは家族のようにアオイさんとドリちゃん(赤い玉)の間に確かな関係が築かれていたことが終盤でも示唆されていたのが素晴らしかったです。
それだけに赤い玉からお願いされて、消滅させたアオイさんのシーンも中々に切なかったです。ただその分、最後のアオイさんの力強い足取りにどこか元気付けられました。上述で夢を叶えることのしんどさ・難しさを描きつつ、それでも背中を押してくれた友人がいたことを魅せてくれたのは見事の一言。厳しい現実に疲れ果てたアオイさんに、夢のようなひと時を見せてくれた赤い玉は彼女の言う「夢咲き鳥」だったのだと、視聴者の心に刻みついたことと思います。
- 自惚れた邪悪な願い、怒りを纏いし最強獣
アオイさんの怒りに反応し、赤い玉によって生み出されたドリちゃん(ベビーザンドリアス)が変化する形で生まれた「最強合体獣 キングオブモンス」。映画『ウルトラマンティガ・ウルトラマンダイナ&ウルトラマンガイア 超時空の大決戦』にて登場した大ボス怪獣です。原典で子どもの想像力と赤い玉由来の力で誕生した怪獣であり、本作でも「歪んだ破壊衝動」をきっかけに誕生しているのが最大の特徴。“負の想像力の化身”という、まさに想像力をテーマにしたアークの敵としても相応しい存在と言えるでしょう。
巨大な翼や腹部の牙など、複数の怪獣のテイストをそのまま取り込み、見るからに恐ろしいキメラ的ビジュアルも絶妙の一言。また本作では上述の通り、ドリちゃんからこのキングオブモンスに進化しているのが興味深いところ。この変わりようはまるでデジモンのワープ進化のようだな……さながらアオイさんの怪獣のアイディアを、ドリちゃんが取り込んだことで誕生したように見える発想は中々に秀逸だと思いますね。
そして本作においてもその強大な戦闘力は健在。アークをそのままねじ伏せるだけの膂力はもちろんのこと、口から放つ火炎放射や額にある第三の瞳の破壊光線の威力は絶大でした。さらに翼で切り裂いて攻撃してきたり、腹部の牙から青い電撃を放つといった新技も披露するなど見ていて飽きません。*2途中後述のギヴァスが参戦してからも、2体相手に全く怯むことなく終始優勢に立っていた印象的です。アーク1人で倒すことが不可能だった程の強さで最後まで大暴れしていた様は、まさにかつての映画ボスの貫禄だったと言えますね。
- 友の願いに応えるため、月の巨神が再び立つ
そして11話と12話で姿を見せた機械巨像 ギヴァスが今回まさかの再登場。アオイさんの叫びに反応し、強敵・キングオブモンスに苦戦するアークを救うためにサプライズ出演を果たしました。その内再登場してアークを助けてほしいとは思っていただけに、この意外な助っ人には驚きつつも大興奮しましたね。アークと共に並び立つ絵面も胸熱で、ここまで見てきたファンとしてはテンションを上げずにはいられなかったです。(月の裏側で再起動するシーンでドビュッシーの「月の光」が流るた演出もこれまた素敵でした)
そんなアークとの共闘では以前見せた戦闘力を遺憾なく発揮。バケットアームの光線で攻撃するのはもちろんのこと、グラップルアームでキングオブモンスの動きを封じてアークをサポートする姿が印象に残りました。極めつけとしてキングオブモンスをアームで羽交い絞めにして、アークギャラクサーの必殺技を自分諸共当てさせようとしたシーンにはウルっときましたね。ギャラクシーアーマーのワープホールのおかげで助かったものの、身を挺して友を助けようとする献身ぶりが愛おしく思えてきます。激しい戦闘の末体のあちこちが大破している様子も相まって、ギヴァスの魅力を再確認した次第です。
またアーク&ギヴァスVSキングオブモンスの戦闘シーンですが、いつにも増して激しいカメラワークで描写されていたのが印象的。下から覗き込むようなアングルから吹っ飛ぶ車を皮切りに上から眺めるアングルに変化、さらにアークアイソードに視点が映ってまた下から……と次から次へと絵面がシームレスに変化するので見応え抜群でした。過去作でも似たようなアングルは多かったのですが、今回はそれらをまとめて1つの戦闘でやってのけたのですから驚きです。久々登場のキングオブモンスとギヴァスとの共闘を、見事に盛り上げてくれた演出の宝庫だったと感じましたね。
というわけで胸にくる現実の中で、少しでも癒される日々を与えてくれた21話の感想でした。アオイさんと赤い玉の友情とキングオブモンス、そしてギヴァスの出演と盛りだくさんの回でしたね。また赤い玉関連でウルトラマンガイアの客演を期待していたことに関してですが、叶わなかったのは残念なものの『アーク』の世界観を重視した作風だと思えば納得がいくものだったと考えています。僕自身アークが大好きですし、本作そのものを大事にしている点を賞賛するべきとして今回のエピソードを好意的に受け止めておく所存です。
そして次回は何とホラー回!?平穏な日常が過ぎていく中で、ユウマや仲間たちはある違和感に気付いていくようで……静かに進行していく世界の異変と、それを引き起こしていると思われる「白い仮面の男」の謎など、いつになくホラーテイストが強めな内容になりそうです。予告も不気味に描かれているのも面白いので、『ウルトラQ』を彷彿とさせる怪奇路線に期待したいところ。
ではまた、次の機会に。
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