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仮面ライダーガヴ 第16話「ノエルのおくりもの」感想

互いを思いやる賢者たち

サソリオレンジにキラメイシルバーにキラメイブルーと……戦隊俳優ばっかりだな!(歓喜)

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  • モノではない言葉を贈るべきこと

 闇菓子欲しさに手柄を挙げようとするロジョーの企みで、絆斗が攫われる事態に発展してしまった今回のガヴ。普通に考えれば大ピンチなのですが、ロジョーの計画が割と行き当たりばったりだったのでそこまで深刻にならずに済んでちょっとホッとしました。赤ガヴ狙いのジープは去っていくわ、ランゴにも取り合ってもらえないわ……さらにショウマと絆斗それぞれの企みに気付かないわで滑稽極まりなかったですね。(人間体でも横歩きになったり見ていて愉快だったのは結構好きですが)

 しかし今回の見どころとなったのはショウマと絆斗の仲直りパート。自分が騙されたことで絆斗が捕まってしまったと悩むショウマと、グラニュートの世界に忍び込もうとする絆斗それぞれの考えが目に付きました。面白いのが絆斗がグラニュートを潰そうとしているだけでなく、ショウマのためにストマック社を調べようとしていた点ですね。グラニュート憎しが増しているのは気になりますが、そんな状況でもショウマへの思いやりも含まれているのも伺えます。ぶっきらぼうですが、絆斗なりにショウマの心の迷いを断ち切ってやろうという優しさがあるということなのでしょう。

 絆斗を助けに敢えて捕まったショウマがそんな彼の優しさに胸打たれ、真っ先に謝るくだりも印象的。絆斗も即座に謝り返してくれるので、ライダーシリーズでも珍しいレベルの超スピード和解を見ることとなりました。これは最初は考えの違いからすれ違ってしまったものの、相手への想いは間違いなく同じだからこそ。2人の元来の素直さも相まって、無駄なようでいた“心のプレゼントがしっかり届いていた”とわかる演出が素晴らしかったですね。

 そして物質的なプレゼントではなく、真心とと思いやりを以て通じる過程は前回の『患者の贈り物』の構図に通じているのも見逃せません。ショウマと絆斗はまさに多少の困難を得て、本の中の夫婦のようなわかり合う“賢者”になれたということでしょう。名作文学を下地に、主人公たちの心の在り方を優しく描くというとても趣深い回だったと思います。

 

 

  • 仲直りの果てに残ったわだかまり

 といった感じでショウマと絆斗のスムーズな和解に胸を撫でおろすことが出来ましたが、そのきっかけにもなった幸果の言葉も大きな見どころとなっていました。悩めるショウマに対して「みんなケンカぐらいするっしょ」と軽く答えてあげる態度にまず安心させられますね。そのうえ「許してもらうまで何度でも謝る」ことを教えてあげるなど、地味ながら大切なことをしっかりと語ってくれるのが好印象。最早何度も言っていることですが、幸果のこうした暖かさは視聴者としても非常に嬉しく感じますね。(賢者の贈り物を持ってきてあげるシーンといい、彼女の教養の深さがショウマの情操教育に繋がっているのも素敵なポイントです)

 まぁ絆斗との関係を深められて良かったものの、ショウマがグラニュートである事実がより大きな爆弾になっているのは少々心配なところです。しかもグラニュートの世界行きを止めたことで、絆斗がショウマへの疑いを持ち始めるラストでさらに息を飲むことに。片やショウマはデンデおじさんにも言われて自分の正体を隠し続けているものの、いつか言えるのかどうかを考えているのがまた不穏に感じます。後々このわだかまりが大爆発することが、何となく予感出来てしまいますね。おかげでクリスマスパーティーの楽しい様子とは裏腹に、どこかハラハラした気持ちで今年最後のガヴを見終える羽目になりました。

 

 

  • 戦斧と粉塵!巨大な一撃で魔を割り砕く

 

CAKE!

 

SET CAKE!

SET CAKE!

 

\ワァーオ!ワァオワァオ!/

 

ブシュエル!!

FUWAFUWA!

 

 ショウマからクリスマスプレゼントとして渡されたブシュエルゴチゾウをヴァレンバスターに装填して変身したヴァレンの派生フォーム「ブシュエルフォーム」。またまた登場を果たしたクリスマスシーズンならではの限定フォームです。13話で登場したガヴと同形態であり、本作では初めて同じアイテムで別の変身を果たした例でもあります*1

 ビジュアルはガヴのブシュエルフォームとほぼ同じものの、チョコレートがコーティングされているおかげでカラーリングに若干変化が出ているのが特徴的。茶色いチョコに白い粉砂糖がかかっており、どこか高級感あふれたデザインになっています。また頭部に刺さったブッシュドノエルのツノが後ろ向きに生えているのも興味深いですね。(仮面ライダーWEBによるとこのデザインはトナカイを意識しているとのこと*2同じフォームでここまで見た目の差別化を図れることに感心せずにはいられません。

 戦闘ではガヴと同じように「クリスマックス(ヴァレンVer.)」の強烈な一撃を与えていくのが基本スタイル。しかしヴァレンバスターとの併用が出来るのがヴァレンならではの利点で、遠近それぞれで柔軟に使い分けるのが可能となっています。さらにクリスマックスを投げて敵の周囲に粉砂糖を撒き、ヴァレンバスターの銃撃で粉塵爆発を起こすというユニークな組み合わせも披露していました。何より体をハンマー投げのように回してクリスマックスを叩きつけたり、唐竹割りのごとく脳天にぶち込むダイナミックっぷりは絆斗に合っていると思うので、今後もこのフォームを積極的に使用してほしいところです。

 

 

  • その海月が目指すモノは何か?

 今回も1つの焦点といえばラーゲ9の動向ですね。前回からさらに成果を挙げて、次々とヒトプレスをランゴたちに送っている様子に内心悲鳴を上げてしまいました。裁判所の次は映画館と、監視カメラなどが持ち込まれていない閉鎖空間を狙うやり方も相変わらず恐ろしかったです。(余談ですが映画館で流れていた作品は『となりのカノジョ』は、『魔進戦隊キラメイジャー』スピンオフの1作『ヨドンナ3』で流れた劇中劇の流用とのこと。押切時雨/キラメイブルー役の水石亜飛夢さんが映っていたので結構びっくりしてしまいましたねハイ

 しかしラーゲ9の目的が「ストマック社に潜り込む」にあることがハッキリ描かれて別の意味で仰天することに。前回の時点でそれを仄めかす発言をしていたものの、闇菓子に目もくれない態度はかなり意外でした。恐らくは初登場時の闇菓子を欲する態度も演技だったのでしょう。そこで何故彼がストマック社を探っているのか?という疑問も出てきますが、それはいずれ明らかになるはず。他のグラニュート企業からのスパイかはたまたグラニュート世界の警察ポジションか……いずれにしても彼は「ストマック社の敵」であって「人間の味方」でないことは確かですね。

 ニエルブがそんなラーゲ9を新たな実験にしようとしているのも見逃せないポイント。彼なりのライダーシステムの開発に成功したようで、ラーゲ9に変身させるつもりの模様でした。ここでニエルブがラーゲ9の正体に気付いているのかが気になってきますが、どっちにしてもこの男ならとりあえずライダーの力を与えてきそうなのがちょっと怖いです。(予告映像で彼と何か取り引きをしていましたし)その内この2人がストマック社でもショウマ側でもない、影の第3勢力になりそうな予感がしてきました。

 

 

 今回が今年最後のガヴということで、放送後に公式が来年以降の展開を予感させるキービジュアルを発表したことにも触れておきたいところ。何と言ってもこのキービジュアルに描かれているガヴ以外のライダーが現状詳細不明の新ライダー&新フォームばかりなのが驚くべきポイントですね。ラーゲ9が変身する3号ライダーに加え、ヴァレンの新フォームに謎の黒いガヴと、見慣れない姿に思わず目が惹かれます。

 そして「世界には、ビターな刺激が必要だ」というキャッチコピーがまた不気味。ビターというワードからして何か苦々しい、視聴者にとって苦しい展開が待っていそうな気がしてなりません。上述の通り現状は上手くいっているショウマですが、爆弾をいくつか抱えているのでそれも関わって来そうですね。いずれにしても年明けからのガヴはある程度覚悟して視聴するべきでしょう……

 

 

 というわけで次回は新年最初の大バトル!お正月の餅つき大会で行方不明になった子どもの捜索から始まり、事件を引き起こしたグラニュートとの戦いが繰り広げられる模様。そこでニエルブからベルトを受け取ったラーゲ9がついに新ライダーへと変身するようで……新たな敵の出現と本作はじめてのライダー同士のバトルに、いきなり大興奮することになりそうです。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:チョコダンフォームとチョコドンフォームはモチーフこそ同じものの、あくまで別の種類のゴチゾウなので例外として扱う。

*2:リンク先(https://www.kamen-rider-official.com/gavv/17/#google_vignette)を参照。