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仮面ライダーガヴ 第21話「ビターすぎるガヴ」感想

邪悪な味が信頼を崩す

じゃあなんすか、2号ライダーは基本話を聞かず暴走しがちなイメージが強いってことっすか

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  • ほろ苦い真相に向き合う冷静さ

 グロッタの爆弾発言で一気に修羅場に発展してしまった今回のガヴ。前回同様怒りと困惑で我を忘れた絆斗がショウマを問い詰め、殴る光景だけで既に胸が痛くなってきました。加えてショウマが何か弁解しようとしても、絆斗の「お前もストマックの一族だからか」発言に傷付いて言葉が出なくなるシーンはもう見ていられなかったです。絆斗の言葉が「プロフェッショナル 仕事の流儀」みたいな演出で表示されたのはややおかしかったですが。前回の感想でも書きましたが、この場にいる誰もが悪意なしでやってきたことが裏目に出た結果なので余計に胃がキリキリしましたね。

 このままショウマと絆斗の溝が深まるかと思いきや、そこは流石の絆斗。これまでの情報からショウマとヴラム(ラキア)の関係を考察し、彼らにも何か事情があるのかもしれない……と考える姿に思わず感銘を受けました。ショウマに直接話を聞こうと思い立つ冷静さといい、上述の激昂ぶりが嘘のように落ち着いていたのも安心感が凄まじかったですね。復讐者としてグラニュートへの憎しみは激しいものの、絆斗の本質はやはり優しく思慮深いものであると再確認出来て心底ホッとしました。2号ライダーとは思えぬほど冷静だなぁとかつい思ってしまいましたねハイ。

 

 

  • 謎多き「黒いガヴ」

 冷静な絆斗のおかげでこの調子なら誤解も解けるところだったのですが、そこでもう1人のショウマ(公式名称が「ダークショウマ」とストレートすぎて吹きました*1)が出てきて事態をややこしくしていったので頭を抱えてしまいました。おでんの屋台や飲食店、駄菓子屋などで暴力を襲い無銭飲食を繰り返すダークショウマに、絆斗がさらに誤解を深める流れはこれまたショッキング。やり口が普段のグラニュートと違いすぎる点で気付きそうなものですが、それが出来ないほどこの時の絆斗は怒りに呑まれていたとも取れますね。絆斗からすれば信じようとした矢先に裏切られたものなのでしょう。

 それにしても、この誤解を招いたダークショウマは何者なのでしょうか。本来のショウマが突然倒れてから現れたので最初彼の別人格のように見えましたが、後述の予告を見る限り別人の模様。それだけに何の脈絡もなく登場した新キャラとして、どこか唐突な印象を受けますね。自分の眷属を生み出せる食べ物を探しているような行動といい、生まれたばかりで右も左もわからない赤子のようにも見えてきます。やはりこのダークショウマは酢賀がショウマのDNAから生み出したクローンなのか、はたまた別の何かなのか……この辺りの謎は次回以降明かされることを期待したいです。

 

 

  • ジュワジュワ&ヤミー!弾けて吠える真っ黒な刺激

 

グミ!

 

ガヴ! ガヴ! ガヴ! ガヴ!

BITEグミ!

ガヴ! ガヴ! ガヴ! ガヴ!

BITEグミ!

ガヴ! ガヴ! ガヴ! ガヴ!

 

\グワハァァ~!/

 

スパーキングミ!!

ヤミー!

 

 ダークショウマがジュワジュワなコーラ味グミを食べることで生み出した眷属「スパーキングミゴチゾウ」を、腹部のもう1つの口「ビターガヴ」に装填、ガヴガヴ食べることで変身した姿「仮面ライダービターガヴ スパーキングミフォーム」。突如出現したガヴそっくりのライダーです。外見はまさに「黒いガヴ」といったところですが、細部の違いから別物のライダーであることも意識させてきます。そのマスクはガヴのソレ以上に鋭くなっており、吊り上がった複眼もあってまるで悪魔のように凶悪な顔つきをしています。他にも肩や腕などの赤い装甲はいずれも尖っており、柔らかそうだったポッピングミとは対照的なビジュアルに仕上がっていると言えるでしょう。

 そして見た目以上に異質なのが戦闘スタイルで、殴る蹴るのシンプルな徒手空拳ながら自分の体を自壊させてしまうほどの破壊力を発揮してきました。力加減がわかっていないのか、殴って腕があらぬ方向に曲がったり関節が外れては自力で戻す絵面の怖さはたまらなかったです。さらに固有装備の「ビターガヴガブレイド」を使う際は、重さ故か引きずるように振り回していたのが印象的。とにかく荒々しいバトルを繰り広げていたのでガヴの初戦と比べても、獣じみた力任せで乱暴な戦い方をしていると思いましたね。

 それでいてグミの弾力を活かした跳躍力はこちらの方も持っているようで、倒れた状態からのキックでヴァレンを吹っ飛ばしてみせたのが驚きのポイント。このことからまだ自分の力に慣れていないだけで、潜在能力はあちらのガヴ以上であることが読み取れますね。(当人も劇中で「まだ堅い」と言っていた辺り、変身時のパワーに体がついていけていないのでしょう)またヴラムの必殺技とまともに受けても即座に立ち上がって反撃に転じていたことから、防御力やタフネスも相当なものの可能性があります。もしこのビターガヴが力に慣れて戦い方も洗練されてきたら……といった考えが頭をよぎるくらいには、脅威のダークライダーになるかもしれません。

 

 

  • ダルくも頼もしいお兄ちゃん

 今回もう1つの見どころとして目に留まったのが、主題歌映像にしれっと仲間入りを果たしたラキアの動向。まず冒頭で怒り心頭だった絆斗とは対照的に、落ち着いた様子でショウマから話を聞き出す姿勢だったので安心しました。包み隠さず全て話したであろうショウマを信じてくれたりと、割と理性的なところがあって後半の絆斗とは別に安心感を覚えますね。(前回のゲートを開ける様子から薄々気付いていたのもありそうですし)その後もショウマの地道な聞き込みを思い出して感心するなど、徐々に彼のやり方に影響を受けていくのが目に見えてわかるのがまたグッド。言葉の節々からお兄ちゃんらしい一面も見て取れる点も含め、ラキアのダルそうで意外と優しいところが今回の癒しになっていたと思います。

 さらにヴァレンとビターガヴが戦っているところを目撃して、何かを察したのかビターガヴの方を攻撃してきた時は驚きました。てっきり絆斗と同じようにダークショウマを間違えるかと思っていたのでこれは嬉しい誤算です。一目見て黒いガヴがショウマではないと見抜く辺り、彼もまた根は冷静なのが伝わってきますねまた「グラニュートは腹部のガヴで個人を見分けているのかもしれない」という考察をネット上で見た時はすごく腑に落ちました。敵として立ち塞がった時は実に厄介な強敵でしたが、味方になってからは一転してかなり頼もしくなってきたラキア。「人間に特別思い入れがあるわけじゃない」と言いながらも結果的に絆斗を助けてあげていますし、この調子だと絆斗とその内仲良くなれそうな予感もしてきました。

 

 

 というわけで今回は誤解がさらに積み重なって余計に拗れそうになっていく回でしたね。特に今回のショウマは終始曇っており、美味しいマカロンを食べてもゴチゾウが生まれない始末。(しかしお腹から仲間が出てこなくて不思議がるゴチゾウたちの様子がここすきポイント)幸果にも本当のことを打ち明けようと考えるものの、絆斗の件から恐れて口をつむぐシーンにも胸が締め付けられました。幸果なら頭ごなしに拒絶しないだろうという確信はあるものの、ショウマの気持ちもわかるので余計に辛かったです

 とはいえ次回予告を見る限り絆斗とはすぐに和解しそうなのがわかって安心しました。恐らくラキア経由でダークショウマがショウマ本人ではないと知った絆斗が、改めてショウマから話を聞こうとする流れになるのでしょう。とにかくこの情報が視聴者に伝わるのは大きく、これだけでこのギスギス空間に滅入ることなく次回を待つことが出来そうです。

 しかし前作の『ガッチャード』もそうでしたが、シリアス展開をやりながらも予告で解決することを視聴者に教えてくれる方式は中々に良いですね。重い内容に慄きつつ、次回にはスッキリさせてくれる!という期待を持って見られるのでカタルシスが得やすいです。引きずりすぎずさっさと話を進めてくれる、近年のライダーの見やすい構成には感謝したいところです。

(余談ですが例によってストマック家の情報交換のシーンはこれまた面白かったですね。ヴラムの裏切りにニエルブが珍しく焦りを見せていたのは新鮮でしたし、何も知らないままなのにいつの間にか全ての責任を押し付けられているランゴには軽く同情してしまいましたよえぇ

 

 

 さて次回は上述の通り、ショウマと絆斗が話し合う瞬間が描かれる模様。ダークショウマに翻弄されながらも、お互いに向き合うことが出来るのか。他にも今回絆斗にショウマの正体を知らされた幸果が、どのような答えを出すのか。彼らの信頼関係を続けるうえで、ここはまさしく分水嶺となることでしょう。ここまでの暗い気分を吹き飛ばすほど、スカッとする和解&共闘を見せてほしいですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:仮面ライダーWEB」(https://www.kamen-rider-official.com/gavv/22/)の「相関図」参照。