不肖メタレドが愛読しているWEB雑誌の1つである「週刊コロコロコミック(コロコロオンライン)」では、今もなお多くの作品が新連載として始まっています。それらは月刊コロコロコミックとはまた違った、ネット読者層に向けた独自色の強さもある種の魅力。僕自身それらを楽しみにしているので、過去の月刊コロコロ作品を追いかけつつ、週刊ならではの作品を読んでいる真っ最中です。今回はそんな、週刊コロコロ似て最近連載された新作漫画についての簡単な感想を書いていこうと思います。
(『ポケットモンスターSPECIAL』についても触れていますがそちらについては下に続く)
というわけで以下、漫画の簡易感想です。
ケツバトラー
連載開始から何かとバズって注目されている作品。面白法人カヤックとコロコロコミックのコラボで制作されたゲームを原作とした漫画なのですが、1話から剣を尻で握って戦う絵面の衝撃で全てを持っていきました。そうした戦闘法を使う「ケツバトラー」たちの戦いを描いたバトル漫画であり、大真面目にバカな絵面を展開してくるギャグ漫画として成り立っているのが非常に面白いです。(個人的には主人公が2話にて、尻の刀を突きさして地面に着地するシーンで爆笑してしまった件)
「血気(けっき)」なるエネルギーを作り出す丹田に最も近く筋肉がもっとも発達している尻で持つことに意味があるだとか、急所である頭を隠して戦える合理的な戦闘方法だとか……もっともらしい理屈でそれっぽく説明してくる様子も実にシュールでした。他にも何かと「ケツ」を意識させてくる絵面と言葉回しを使い、読者の腹筋を破壊してくるスタイルなのがこの作品の特徴といったところ。ケッ着なりケツ路なり、これでもかと言葉遊びを仕込んでくるので次はどのワードをケツと絡めてくるのかが楽しみになってくるほどです。
それでいてストーリー自体は普通に真面目なバトル漫画テイストなのがまたこの作品の妙。主人公「デンスケ」が父親の遺した剣術と刀で天下一を目指す様子は、まさに王道の流れを汲んでいると言えるでしょう。現在無料で読める範囲ではついに死んだを思われた父親が登場し、その呪われた現状を知ることになる絶望感が中々のモノとなっています。「刀が尻から離れないんだ」というワードの絶望感は想像しているものとは違っていましたが……だからこそ上述のシュールギャグの要素が引き立ち、話題性を持った漫画に仕上がっているのかもしれません。短期連載なのか早くも終わりそうな雰囲気ですが、どうせなら最後まで突っ走ってほしいと思います。
(余談ですが原作ゲームを開発したトモぞヴP氏は2D対戦格闘ゲーム『BLAZBLUE(ブレイブルー)』のユーザーで、その時のノウハウをこのゲームで活かしているという話を氏本人がXアカウントで話していて笑いが止まりませんでした。蒼の力の系譜はケツに受け継がれたのか……)
マネーウルフ
ミラコロコミックにて掲載されたフカホリユウキ氏の読み切りの連載版。『デュエル・ジャック!』などで知られる伊原しげかつ氏が作画を担当し、かなりパワーのある作品になった印象です。1話から敵キャラの顔芸も炸裂しており、ケレンミ溢れる絵柄の迫力でより魅力的になっていく様子に感心させられますね。そのため「マネーバトル」を交えた、バトル漫画としても見どころが高くなっています。
ストーリーとしてはビジネスを学びながら生徒が自由に起業出来る学園を舞台に、真の億万長者を目指す主人公たちの活躍を描いていくというもの。主人公の「金狼(きんろう)」が他の人のビジネスを助けるコンサルタントする形で、様々なビジネスの形が提示されていくのが本作の興味深いポイントです。例えば日本では馴染みの薄い自動配達(専用の棚に置かれた調味料などが残り少なくなると、ネットスーパーで自動的にその調味料を注文して届けてくれる)など、そういう方法があったのか!と膝を打つ手法を学べるのも面白いところですね。*1
それでいて思いやりや親切といった“人の心”を蔑ろにしない作風がこの作品の大きな評価点。その心を大切にしない企業の問題点などに触れつつ、顧客や従業員に目を向けたビジネスの在り方を追求してくれるので読んでくれて気持ちがいいです。最近のエピソードではAIを駆使した最先端の買い物技術を用意してきた敵キャラが自滅し、「技術は世の中と足並みを揃えていくもの」という教訓を得る流れに感動しましたね。優れたシステムや金儲けの手段を用いるうえで、関わっていく人々の想いを蔑ろにしてはいけないことを読んでいて学ばせてもらいました。
あとは1話の敵キャラだった「犬塚まめ子(いぬづか・まめこ)」が個人的なお気に入り。初登場こそふんぞり返った態度が鼻に付きましたが、金狼に負けてフードデリバリーでやり直すことになってからの頑張りにちょっと微笑ましいものを感じました。こうした高慢ちきなキャラが庶民の生活の苦しさを学びながら這い上がっていく展開は大好物ですし、最後に信頼を得て会社を渡されるまでに成長したオチにもスッキリしたので一気に推しになりましたねハイ。だから今後も彼女の出番を用意してくださいお願いします先生方!
獄門撫子此処ニ在リ
小学館スーパーヒーローコミックスにて先行掲載しつつ、週刊コロコロでも連載しているライトノベル原作のコミカライズ。*2原作のラノベが小学館ライトノベル大賞にて大賞を受賞作品ということで、このコミカライズもかなり力の入ったものであることが伺えます。(本筋にはあまり関係のない話として、原作の挿絵を担当しているのがあの『しかのこのこのここしたんたん』のおしおしお氏であると知った時は、美麗な絵柄に見惚れつつ変な笑いが出てきてしまったり)
ともかく内容としてはイマドキ珍しいくらいのストレートな伝奇小説といったところ。霊能力を扱う「無耶師(むやし)」という生業を持った少女が、様々な怪異と戦うのがコンセプトのようです。タイトルにもある主人公「獄門撫子(ごくもん・なでしこ)」の近寄りがたいキャラクターを筆頭に、浮世離れした雰囲気が立ち込めているのが何とも素敵ですね。オカルト要素も満載で、撫子が使用する六道をモチーフとした能力など中二病にぶっ刺さるモノも非常に多いです。個人的には2話前半にて「平安京と真逆の配置をすることで鬼が出入りしやすい環境を整える」トリックが披露されるシーンにニヤリときました。
現状2話までしか連載されていないので判断は付きにくいですが、他には撫子ともう1人のメインキャラ「無花果アマナ(いちじく・アマナ)」のやや洒脱な会話が注目ポイントでしょうか。アマナの如何にも胡散臭い美魔女感に翻弄されながらも、淡々とあしらいつつ仕事に取り掛かる撫子のドライさが妙にクセになります。何より今のところは全く仲良くなれていない2人が、1話冒頭の“あのシーン”にどうやって繋がっていくのか。そこに至るまでの過程も楽しみにしながら読んでいますね。伝奇モノ特有の設定の多さ(あとやたら「胡乱」という表現が多用されていますが、原作者の手癖のようなものでしょうかね)もまた一興として、密かに楽しんでいく所存です。
週刊コロコロにて最近掲載が始まった作品の中だともう1つ、「ポケスペ」こと『ポケットモンスターSPECIAL』のスカーレット・バイオレット編が移籍連載されたのも見逃せません。ポケスペといえばかつては学年詩にて連載されていたものの、「小学1年生」以外の廃刊に伴い「コロコロイチバン!」に移籍、そして週刊コロコロに辿り着いたというわけです。掲載誌を変えながらもこうして連載を続けてくれるというのはファンとしてもありがたい限りです。
しかしここまでくると過去のポケスペのエピソードも掲載してほしい、とつい考えてしまいます。ポケモンの歴史と共に始まった作品なので内容も膨大ですし、気楽に読める環境を整えたらちょうどいいかもしれません。個人的には少年時代のメタレドが読んでいたルビー・サファイア編を読み返したいですね。
ではまた、次の機会に。
