異形の力と力の邂逅
何事も暴力(リアルファイト)で解決するのが一番だ
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昨年の12月末に公開されたアニメデュエマLOST第2章。1話が放送されてから約2か月が経過しましたが、その続きが先日ようやく配信されました。2025年に入ってからアニメの情報が途絶え、長いこと音沙汰がなかったので見ることが出来てホッとしています。溜めに溜めた分、残りの3話を一挙に配信するというとんでもない方式を取ったのも驚きましたね。次年度のデュエマの展開を発表した配信も同時にあったので非常に濃い1日になりました。めっちゃ眠かったんですけど……
ただまぁ、待たせるにしても2か月間お知らせすらなかったのは正直いただけなかったです。一挙配信するにしても、年度末のデュエマ生配信の後というのはどうにもスケジュールが過密すぎる気がしてなりません。第1章の時からですが、不定期配信の体を取っているとはいえあまりにも見通しが甘すぎるのでは?とつい思ってしまいました。
とはいえ配信してくれること自体は喜ばしいこと。愚痴はここまでにしておいて、アニメ本編を楽しんだ感想を書いていきたいと思います。
- 異界の超獣の力を見に纏う
というわけで第2話は前回のラスト、突如行方不明になった宮井たちを探すことになったところからスタート。見覚えのある新宿の街並みが映りながらも、割とスムーズに「境界線の向こう側の世界」に向かう展開に感心しました。この辺りはジャシン帝が不吉めいた発言に見せかけた、アドバイスがきっかけになっているのが上手かったですね。クリーチャーによる事件だとウィンが察せられると同時に、回りくどい方法で教えてくれるジャシンのいじらしさにニヤリときます。(後述の同化を促すシーンといい、LOSTのジャシンはウィンへの好意があからさまなのが面白いところ*1)
そうしてあちらの世界に入ってからの見どころは何と言ってもウィンVS黒城のバトル。それもデュエルではなく、クリーチャーと同化して行われるリアルファイトでした。原作漫画と同じ展開で予想出来てはいたものの、ごく自然に生身での戦闘が繰り広げられる光景には思わず変な笑いが出てしまいます。とはいえ体の一部が異形と化し、驚異的な力で戦い合う光景はこれはこれで見ていて楽しかったです。中でもウィンがジャシンの腕を切り落とされて(ウィンの腕自体は無事でしたが)タコ殴りにされる流れは、黒城の容赦のなさも相まって緊迫感もすさまじいものがありました。でも正々堂々1対1をすると約束してはいないけど、普通にバロメアに加勢させる黒城にはズルい!とか思ってしまったり。
そしてウィンと黒城がそれぞれ披露したクリーチャーとの同化について。これは言葉通り相棒のクリーチャーと肉体を一体化させて、その力を使うことが出来る能力のようです。人間とクリーチャーの合体は過去作でも度々描かれたことがありますが、本作のソレは前例と比べても禍々しい雰囲気を纏っているのが目に付きました。特にウィンの苦しむ様を見るに、人間がクリーチャーの力を行使することがどれだけ危険なことかを見せられた気分です。*2カードゲームとは程遠い絵面ながら、クリーチャーの力の“強大さや恐ろしさ”といったデュエマの根幹にある要素はわかりやすく表現出来ていたと思います。
- それぞれの目的が交差し合う
クリスタルカードを巡って上述の殺し合いに近い戦いが繰り広げられたわけですが、そもそもの原因がDAEMON ROADでクリスタルカードが出品されていたこと。ウィン名義だったのもあり、黒城は持ち主であるウィンを狙ってきた流れにも自然と納得がいきました。謎の第三者に勝手に名前を使われた挙句、そのせいで襲われたと考えるとウィンが不憫でなりません。(そして黒城の殺伐とした様子から殺して奪うのが当然となるまでに、クリスタルカードの価値は計れないこともわかりましたね)
それ故クリスタルカードを奪おうとする黒城に対し、「希望」という言葉で自分の目的を口にするウィンの姿が印象に残ります。金の亡者と勘違いされていた状況でもあったので、そんなことは全くないことが向こうに伝わったくだりに胸を撫で下ろすこととなりました。他にも「大切な人」としてカードを託してくれたクリスタのことを思い出したり、ニイカが涙目ながらウィンを庇う瞬間など、ウィンの失われた記憶にまつわる動機を改めて実感しましたね。
またウィン以外の登場人物の「目的」もそれとなく描かれていたのが今回の特徴、と言うべきでしょうか。特に九十九矢さんは事件捜査中に失踪した父の手がかりを元に黒城を追っており、そのためにウィンを利用してしまっていたのが目に付きましたね。(一応誤解が解けてから素直に謝罪してくれて良かったです)そして黒城に関しては、この時点では何がしたいのかはっきりしていないのでここでは伏せておきましょう。ともかく、勘違いから衝突してしまった展開故に、それがほどけてホッとする回でもありました。
他に気になったところといえば、やはり本作の最大の謎である境界の向こう側について語られたシーン。黒城の依頼者と思われる男曰く「宝の山」とのことですが、ここでいう宝とは恐らくクリーチャーの存在かと思われます。地球上の生物にはない力があるのは間違いなく宝と言えるでしょうが、ここまでの危険な描写のせいで正気の沙汰には思えないと感じてしまいますね。別作品で例えると暗黒大陸やグルメ界のような、命の保証はないものの魅力的な価値も秘めているのがあの世界ということなのでしょう。(あとはその世界でメテオ・ドラゴンが《ストーンザウルス》と野性のクリーチャーバトルを繰り広げていたのが印象的)
そして今回から新規OP映像が完全解禁されたのも見逃せません。OPはナラティブそのままですが、本編の映像を流用していない完全の新規映像で思わず興奮しました。*3肝心の映像も、ナラティブの不穏かつ不気味な雰囲気にマッチした、ダークな映像が非常に魅力的でしたね。触れたい場面が多いので箇条書きにすると……
- 2章の主役ということもあってウィンと黒城が対になっているような演出が印象的
- ニイカの私服はどれも可愛いね!
- 人ごみの中に紛れるウィン、まるで「自分の世界はここではない」と主張しているかのようで……
- 黒城があの頃の自分とかつての家族を思い返す場面が辛い
- 九十九矢さんをあすなろ抱きするメグル店長が何か不気味
- アビスロイヤルを連続で映すシーン好き
- 手が届かないクリスタ&追っても追いつけないニイカは「ヒロインたちの心はウィンには届かない」ことの暗喩か?
- 街が境界線に包まれる→三日月に変わりタイトルコールが最高の一言
といった感じでしょうか。ここにきて本編の展開を予感させるような映像ばかりで興奮が止まらなかったです。惜しむらくは残りのエピソードも一気見したことで余韻が薄れてしまった点ですが、こうして見れただけでも喜ばしいことだと思っておきましょうかね。
ではまた、次の機会に。
