科学者は笑う、
狂気と踊りながら
酢賀がヤバすぎてデンテおじさんが相対的にマシに見えてくるの本作のバグだろ
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- 人の皮を被ったマッドサイエンティスト
酢賀のヤバさが天元突破!していた今回のガヴ。とうとうライダーへと変身したことも含めて、まさにこの科学者が主役と言っても過言ではないほどの暴れっぷりでした。自分の研究のために絆斗だけでなく、ショウマすらも利用し尽くそうとする様子は見ていて本当に怖かったです。中でもベイクに変身する際のどうでもよさそうな「変身」は印象的でしたね。自分の研究とその成果にしか興味がない男が、ライダーにとって最も重要な掛け声をおざなりにする……これだけで酢賀がライダーへの侮辱も込めた敵キャラとして君臨していることが伝わってきました。
そんな男が絆斗以前にも、8人以上の人間を実験体にしてきた事実にはこれまた衝撃を受けましたね。絆斗を改造出来たのもそのおかげというのは納得なのですが、20年以上前から被害者を出し続けてきたことには素直に戦慄してしまいます。何より酢賀がそれらの所業に対して全く罪悪感を持っていない言動を繰り返しているのが恐怖の一言。「ごめんね」と口に出しているものの欠片も悪びれてないことから、そういった感情が欠如しているとしか思えません。(ベイクの力を見せつけたくだりでも「絆斗にこの性能を見せれば使ってくれるだろう」と本気で考えていた節があるのが怖いですね)
まさしく人間なのに人の心がわからない怪物のような酢賀ですが、一方で絆斗に対して異様な執着を見せているのが気になるところ。彼が逃げ出した際には珍しく苛立ちを見せていましたし、その後も連れ戻すためにありとあらゆる手段を講じていたことが引っ掛かります。そもそも物語の序盤の時点から絆斗を引き入れようとしていたらしく、何故彼にそこまで入れ込むのか不思議に思えてきてなりません。この辺りに酢賀の動機や本音が隠されていそうですし、彼の絆斗へのこだわりについても今後明かされていくかもと注目していった方が良さそうですね。
- 襲撃×進撃!狂気の銃弾が全てを撃ち抜く
ベイクマグナム!
SET!
CHANGING!
FRIE!
ビ ヨ ン ド バ イ オ ロ ジ ー
BEYOND BIOLOGY!
ベイク!!
酢賀研造が自ら開発した「ベイクマグナム」にダークショウマがチョコチップクッキーを食べて生み出した「ブレイクッキーゴチゾウ」を装填、ガブリと嚙ませて変身した姿「仮面ライダーベイク ブレイクッキーフォーム」。ヴァレンをはじめとした技術を基に生み出された新たな人造ライダーシステムです。これまでのライダーとはまた異なるタイプらしく、本作のライダーでは珍しく名前に“ヴ”(アルファベットだと“V”)が入っていないことからも一線を画す特殊な存在であることが読み取れます。*1
そのビジュアルはチョコチップクッキーモチーフらしく、クリーム色の装甲に黒いチョコの斑点がいくつか入っているのが特徴的。美味しそうなコントラストになっているほか、模様からしてわずかながら迷彩柄のようにも見えるのが絶妙ですね。顔に関しても、敵ライダーらしく鋭い目つきが実に凶悪そうです。(あと変身音といいシークエンスといい、妙に『キョウリュウジャー』を彷彿とさせる部分があるのは偶然ですかね?)
酢賀の研究の集大成からか、戦闘においてはヴァレン以上の実力を発揮。車を持ち上げ蹴り飛ばすほどの怪力だけでなく、ベイクマグナムによる銃撃やチョコ部分が爆弾になる「サクッ」の擬音など、どれを取っても高威力で終始ガヴを苦しめていました。そこに酢賀本人の弄ぶようなファイトスタイルが合わさることで、強力かつ悪辣な敵ライダーとしての存在感を放っていたと思います。これでヴァレンの時よりも安全性が担保されているとのことですし、強敵として申し分なかったですね。(しかしそんなベイクでも変身時の負担はあるようなのが興味深いところ)
- 苛まれる若者に差し伸べられる手
というわけで最早ストマック家以上に厄介な敵と化している酢賀に振り回される絆斗がひたすら不憫な回でもありました。何と言ってもショウマの体調不良を知ったり彼がを人質に取られたりと、事あるごとにショウマへの罪悪感も抱いているので見ていられなかったです。そして極めつけは師匠の塩谷さんの死の真相を知る瞬間。全ては酢賀(と彼に協力しているニエルブ)の仕業だと知り、涙を流すシーンの辛いこと辛いこと。回想がフラッシュバックしつつ暗転する演出も相まって、絆斗の絶望の感情がこれでもかと伝わってきた次第です。
そのため絆斗のために奔走するショウマや幸果、協力してくれるラキアやデンテおじさんの存在はこの回の貴重な清涼剤でした。チョコルドゴチゾウ捕獲シーンや公園で黄昏れるラキアなど、コミカルなシーンのおかげで暗すぎない程度に楽しむことが出来ましたね。何より幸果がショウマと絆斗の微妙な関係にメスを入れようとしてくれたのが嬉しいポイント。ある程度事情を察しつつも、自分から動こうとしない2人には彼女のようなグイグイくるパワーがどれだけ必要なのかが視聴者に改めて説明されていたと思います。それはそれとして、物語冒頭で夜逃げの手伝いをしていることが判明していたのが地味に衝撃的だったり……
あとはデンテおじさんが妙に頼もしかったのも見逃せません。絆斗の体を治療して不調の原因を調べるだけでなく、ヴラスタムギアの複製を試みるなど味方科学者としてこれ以上ないほど活躍していた印象です。まぁラキアに殺されかけた件を何てことないように語るなど、相変わらず倫理観が怪しいですが……(他にも「ニエルブが作ったものならワシにも作れるじゃろう」と本人が聞いたらキレそうな発言がここすきポイント)ともかく上述の酢賀もあって、おじさんは味方でいてくれるだけまともに見えてくるのが奇妙な塩梅でした。
というわけで2週間ぶりとなったガヴ本編ですが、上でも書いた通り酢賀のインパクトが絶大すぎて全て持っていかれましたね。数々の悪行が明らかになっても気にせず、自分の研究の優位性ばかりを語る様子は本作屈指の狂気に満ちていたと思います。そのせいで最近出番が全然ないストマック社のみなさんの影がさらに薄くなっている気がしますが……
劇中で「目的があるなら何を犠牲にしてでも果たさなきゃ」と語っていましたが、彼の場合自分すら全て道具だと見ていそうなので犠牲だと思っていないかも……といった考えすら浮かんできます。そのためあのストマック兄弟でさえ事情は理解出来るのに、この男に関してはそれすら読み取れません。まさに研究というエゴに塗れたマッドサイエンティストそのものといったところでしょう。
そんな酢賀を演じる浅沼晋太郎さんの演技力もお見事。基本は声優として活動しているのもあって、変身後のアフレコも実に自然でした。正直浅沼さんが俳優としてもここまでの実力があるとは知らなかったので、今回の快演ぶりには舌を巻くばかりです。この調子で最後まで酢賀の恐ろしさを引き出していってほしいですね。
そして次回は絆斗の反撃回。塩谷さんの件などもあって失意に落ちた彼が、ショウマと共に酢賀に立ち向かう決意を固めるようです。またその過程で2人が面と向かって話し合う場を設ける展開も見逃せません。ここまで長いこと関わってこなかった分、拗れに拗れた問題を是非とも解消してほしいところ。加えてヴァレンの新フォームお披露目と合わせて、溜まりに溜まったフラストレーションをぶっ飛ばすほどのスカッとしたバトルに期待したいですね。
ではまた、次の機会に。
*1:キャストブログに(https://tvablog.tv-asahi.co.jp/reading/gavv/)よると「酢賀の戦う動機が他のライダー3人とは異なるから」とその違いを出したとのこと。
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