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メダリスト 第13話(最終話)「朝が来る」感想

そして、夢への道が始まる

今に見なよ きっと君の眩しさに誰もが気づくだろう

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  • これまでへの別離と感謝を

 ついに始まったメダリスト最終回は、待ちに待った6級のバッジテスト当日からスタート。ブロック大会に出場するために必要な最後の壁として、いのりと司が果敢に挑む姿に早くも胸打たれました。中でもいのりが以前よりも勇ましく、そして逞しくなっているのが一目瞭然でしたね。これまででのオドオドとした態度が鳴りを潜め、終始落ち着いた様子が目に付くのでわかりやすく場慣れしていることが伝わってきます。お母さんへの感謝を口にするシーンなどからも、彼女が間違いなく強くなれたのだと実感することが出来ました。

 今回のいのりが多くの人と会話する様子それぞれも大きな見どころですね。久々に再開した光(背が伸びているのは流石成長期)への熱い挑戦宣言然り、理凰と落ち着いて話せるようなったくだり然り、強くなったいのりに触発されて彼女と他者との関係も活発化しているのが見て取れました。司との会話は特に安定しており、これまで頼ってきた司先生の紐を結ぶ瞬間に思わずときめいてしまいます。いのりが紐が無くても自信が持てるようになった証左でもあり、彼にここまで繋いでもらったという意味が込められているのがまたエモかったです

 極めつけはラストのフリー中に見られたいのりの独白。冒頭から描かれていた「何も出来なかった自分」への別れを告げて、新しい自分を形成していく瞬間がハッキリとわかるように描かれていました。それでいて冷たく仄暗かった過去そのものを否定していないのがミソですね。あの時の寂しさや悔しさがあったからこそ、ここまで立ち昇れたのも事実。それを彼女自身理解しているからこそ、「さよなら」と同時の「ありがとう」なのでしょう。おかげで見ている最中は涙がボロボロと零れてしまいましたねハイ。ここまでの回想シーンも相まって、いのりがこれまで積み重ねてきたことの集大成を目撃した気分です

 

 

  • 美しき舞に酔いしれながら

 本作の目玉でもある氷上の演技シーンですが、最終回というだけあっていつも以上に気合が入っていました。いのりの演技だけでなく、同じく6級を受けていた理凰の演技もダイジェストながらハッキリと魅せてくれたのはかなり嬉しかったです

 理凰が本番前から肩の力を抜き、真剣ながらも気楽に踊っているのが伝わってきたのが非常に喜ばしいポイント。彼に関しては前回のこともあり気になっていたので、演技中に素晴らしい笑顔を見せてくれただけでも頬が緩みますね。周囲との人あたりも良くなっていましたし、この理凰の成長はいのりとはまた別ベクトルで感動的の一言です。(あと余談ですが、鴗鳥父ちゃんが真顔でズンズン走ってくるシーンがあまりにもシュールすぎて吹き出してしまいました

 そしてメインのいのりの演技については、上述の独白と合わせた演出抜きでも十分に綺麗でした。課題であるジャンプとスピンを次々と成功させる瞬間もさることながら、いのりの楽しそうな笑顔からフリーの演技の安定感を感じ取ることが出来ましたね。既に何度も見てきたフライングシットスピンやブロークンレッグも、自然とこなせる辺りに上達しているのが読み取れるので「いのりさんすごい!」な司先生同様に胸が高鳴ってきます。

 また前回の白根先生のバレエレッスンを活かしているのがわかる演技だったのが個人的に好感が持てるポイント。指の綺麗な形を意識しているほか、バレエの踊りを取り入れている演技に変化していたので素直に「美しい」という感想が出てきました。姿勢の正しさ1つとっても見栄えが大きく変わるからこそ、得点とは別に華麗で素敵なダンスを魅せようとする姿勢は大いに評価したいところです。総じて本作の魅力である踊りも最後まで堪能出来て感無量ですね。

 

 

 そして最終回の感想からそのまま簡単な総評をば。フィギュアスケートを題材としたつるまいかだ氏作の漫画のアニメ化として、まず現代チックなスポコン要素が目に付きました。勉強も何もかもダメな少女が、1つだけ誇れるものとしてフィギュアを目指す……そんな不退転の決意の小学生の子どもが成し遂げようとする真剣さは序盤から強烈の一言。またそれを叶えるためにコーチ含めた大人たちはどうするべきか、冷静に考え支える姿勢も印象に残ります。この様子から現実でも幼い頃から青春をつぎ込んでやっと目指せるフィギュアの世界だからこその“必死さ”が克明に表れていましたね。

 それでいてポジティブに溢れている描写の数々が見ていて気持ち良かったです。主人公たちの過去など悲壮的な要素が前面に出ているものの、それらを乗り越えていくのが物語のメインなので最終的には明るく解決していくのが絶妙。同時に人情溢れる描写も多く、周囲の人たちの善意が道を切り開いてくれるのでどこかほっこりした気分になれました。フィギュアの過酷さを視聴者に理解させつつ、果敢に挑んでいく若者の強さも伝えてくれるので、視聴中こちらも前向きになれる塩梅だったと言えるでしょう。

 あとは全体的に登場人物のアクがやたら強いのが印象的。出会い頭にエキセントリックな暴言を吐くクソガキ→そのクソガキに間髪入れずビンタする美少女の流れを2話の時点で炸裂させてきた時の衝撃は計り知れなかったです。それ以外にもやたらガツガツと攻撃的だったり言葉が足りなかったりどこか抜けていたり、一癖も二癖もあるキャラばかりで彼らを見ているだけでお腹いっぱいになりますね。

 「見ていてキツい」という声も上がってくる可能性のある要素ですが、僕個人としてはこの問題児ばかりの描写は結構気に入っています。こうした人を選びそうな点も立派な作品の個性だと思うので、劇中でそれを活かした作風にしている点に好感が持てますね。この調子でもっと性格に難のあるキャラなどに物語を引っ掻き回してもらいたいものです。(個人的なお気に入りキャラはやはり上述のクソガキこと鴗鳥理凰でしょうか。「ブスエビフライ」の悪口のセンスで印象付けてからの、プロの息子としての重圧に負けかけた繊細さ故の放っておけない魅力が何ともいじらしくて大好きです)

 

 本作のもう1つの見どころであるスケートのダンスシーンも実に素晴らしかったです。日本のプロフィギュア選手にしてプロの振り付け師でもある鈴木明子氏が振り付けをしているだけあって、小学生の演技ながらどれも本格的な仕上がりで感嘆するものばかりでしたね。CGに関しても違和感が少なく、すんなりと劇中の演目に集中することが出来た次第です。

 また演技に関しては全部ダイジェストで済ませるだろうと視聴前にタカをくくっていただけに、いのりら主役級の演技をほぼフルで見せたのが地味ながら驚きのポイント。この辺りの配分からは彼女らの演技を全てやりきって魅力を伝えようという、制作陣の本気を感じます。そうした熱意もあってテレビでフィギュアの大会をチョロっと見ているだけの身ですが、それでも十二分に本物の振りというものを肌で感じることが出来ました

 他にもフィギュアの得点計算や、整氷作業など演技以外の一面が描かれたのも興味深かったですね。(特にみんな得点はこうやって計算しているのか!とわかった時の興奮が個人的な思い出)いわゆる舞台裏の様子は現実だと中々知ることが出来ない、という点で大いに勉強になるシーンが多かったです。おかげでいのりたちが体感しているフィギュア教室や大会の空気感というものを間接的に感じ取り、劇中の熱に没入出来たかと思います。

(あとモダンバレエ経験者としては、スピンの遠心力の説明や使わない筋肉の痛みなどが身に染みて理解出来るのが評価点。視聴中そういった描写に何度も頷きましたよえぇ)

 

 まとめるとフィギュアスケートの世界の”熱”を感じ取ることが出来る、非常に熱いアニメでした。フィギュアのアニメといえば以前制作された『ユーリ!!! on ICE』も視聴していましたが、あちらのプロの世界に対してこちらはそれ以前の小学生だからこそのシビアな様子が表れていたと言えます。それだけに勇利って本人の技術も家のお金も凄かったんだなぁって改めて理解出来ましたね……

 何と言ってもフィギュアの世界に魅了された男性と少女の、夢をひた向きに目指す姿には何度も心が震えましたね。才能の差なども残酷と、それに負けない心の強さを描いてくれるので何だかんだでハツラツとした印象になる塩梅に感心させられます。それだけに主人公2人のそんな姿勢が周囲の人たちに影響を与えていく、王道の成長物語としても楽しめました。個人的には今季のアニメの中でも『チ。-地球の運動について-』と並んでトップクラスに楽しめたお気に入り作品です。

 そんなわけでアニメ『メダリスト』はこれにて完結ですが、同時にテレビアニメ第2期の制作が発表されたのも見逃せないところ。ここまで話題になったならやるだろうとは思っていたものの、いざ発表されるとやはりテンションが上がりますね。いよいよ始まるであろう全日本ノービスや、Cパートでチラッと映ったまだ知らぬ新キャラたちに早くも胸躍ります。2人の夢の続きを、早くアニメで見たいと思いつつじっくり待つ所存です

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

 

 

 

↓以下、過去の感想が書かれた記事一覧です。

 

 

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